銀河鉄道の夜 (ますむら・ひろし賢治シリーズ)

制作 : 原作 :宮沢 賢治 
  • 扶桑社
4.10
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本棚登録 : 355
感想 : 40
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  • Amazon.co.jp ・本 (326ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784594016982

感想・レビュー・書評

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  • ますむらひろし「イーハトーブ乱入記」(https://booklog.jp/users/junsuido/archives/1/4480057560)を読んでから。「乱入記」では宮沢賢治の銀河の表現方法を絵にするにあたっての試行錯誤っぷりが語られていました。
    よくよく読んだら銀河鉄道から星は見えていないではないか!空の色を「桔梗色」と書いたのはなぜなのだろう、天気輪が三角標になったってどんな状況?いやそもそも三角標とか天気輪ってなんなんだ。
    漫画にするために色々な人に相談したこと、自分が読み取っていなかったことを指摘されたこと。
    まずこの漫画の特徴は登場人物がネコであることなのですが、「乱入記」でも言っていたように、読んでみるとジョバンニたちがネコか人間かとはたしかに気にならなりませんでした。ますむらひろしの言う通りジョバンニはジョバンニなんですよね。
    文章にしかできない表現を視覚で見せるために、どのような向き合い方をするかということでとても興味深かったです。
    その反面、ジョバンニの心理描写で、鳥捕りへの気持ちや、カムパネルラが他の乗客と仲良くしていていじける場面は、宮沢賢治の文章で読むよりも漫画で読んだほうがくっきりと感じて「ジョバンニってこんなにいじけてたっけ?」と思いました。
    ますむらひろしは宮沢賢治の精神に沿うように調べて考えて漫画化しているため、絵と文章の印象の違いなども感じられました。

  •  同名のアニメーション映画と同じく、宮沢賢治『銀河鉄道の夜』を漫画家ますむらひろし氏が漫画化した作品。
     人物を猫として描くことには映画の公開当時から賛否両論があった。
     でも僕はこれで良いと思う。
     ちょっとしたコマのすみの絵でもますむら氏は手を抜いていないからだ。
     賢治独特の言い回し、たとえば、「水素よりもすきとおって」いる銀河の水が「手首にぶつかって」「うつしい燐光をあげて、ちらちら燃える」なんていう表現を普通、漫画にできるだろうか? それをしてしまうんだからすごいではないか。原作への深い愛がなければとうていできない離れ業だ。
     同じ『銀河鉄道の夜』ファンとして、愛のある漫画化なら僕は評価する。

     そしてなにより猫。
     猫が好きで宮沢賢治のファンの僕はもうそれだけでおなかいっぱい。
     ねこぎんがー♪

  • ますむらひろしが長年手がけている宮沢賢治作品の漫画化のうち、『銀河鉄道の夜』の文庫版、第1刷が1995年。中学生の頃、両親と確か龍泉洞を訪問したときに手に取り、深く理解も及ばずに読んだ記憶。最近Eテレ『ネコメンタリー』でますむらさんを拝見し、再び手に取った。
    今読んでみると「黒い帽子の大人=ブルカニロ博士」との会話『実験でちゃんと ほんとうの考えとうその考えとを 分けてしまえば/その実験の方法さえ きまれば/もう信仰も/化学と同じようになる』はすごく好みで、収穫の多い再読だった。

  • 宮沢賢治に興味ないであろう知り合いの男の子に貸してた漫画が帰ってきた。さっそく再読。
    幼い頃一番のお気に入りだったアタゴオルの作者、ますむらひろしによる漫画化だけあって、とても美しい。
    私としては、最終稿よりもブルカニロ博士編が好きだ。夜空の野原で星座を描く三角標、燃え続ける蠍の火、光をまとう十字架、そして天の川にぽっかり空いた孔・・・・・・。
    現実にはないものたちの描写に胸を打たれる。

  • 宮澤賢治の「銀河鉄道の夜」の世界が
    原作を十分尊重した上で
    漫画に表されています。
    (登場人物が「猫」である点は、私は気になりません)

    しかも、2つの異なる版で。

    来年から、
    氏による3回目の
    「銀河鉄道の夜」の連載が
    始まるそうです。
    いつか、書籍となることを、心から願っています。

  • 日ペンの美子ちゃん

  • 図書館本。原作が好きな人は読んで損しないと思う。すごい忠実に漫画化されてるし、漫画としても面白い。漫画家の賢治愛炸裂のあとがきも良い。

  • 最終形と初期形の2編収録。後書きにあるように初期形が後に作られている。作者自身も思うところがあったらしく漫画の完成度は初期形の方が高いように思われる。

  • 銀河鉄道の夜は何度も読んでいるけど、関連のイベントを企画することになったので復習に。
    アニメーション映画のほうも観てみたい。

  • 最初は猫に違和感があるが何度も読んでいると気にならなくなる。全体的に硬質な印象がある絵(ざっくり…)。ブルカニロ博士篇と、文庫版あとがきが好き。「『銀河鉄道の夜』という作品のまわりには、あまりに化学的銀河がうろついて、目も醒めるような銀河写真がくっついてくる。そして『銀河鉄道の夜』=銀河写真という安易な映像パターンのなかで、《三角標》の燐光の画像は忘れられてしまう。」実地的な調査と想像力のバランスがすごいと思う。(2013.10.25)/尊敬する先生からいただいたもの。この人の作品を通じて、初期形を読めるのが、すごく幸せな気がする。(2006.11.5)

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著者プロフィール

1952年、山形県生まれ。1973年に「霧にむせぶ夜」が第5回手塚賞に準入選しデビュー。ヨネザアド大陸のアタゴオルという架空の土地を舞台にした代表作「アタゴオルシリーズ」をはじめ、ファンタジックで童話的な作風が特徴。1997年、第26回日本漫画家協会賞大賞受賞。一連の宮沢賢治作品の漫画化の業績が認められ、2001年には宮沢賢治学会より第11回イーハトーブ賞を贈られている。現在、「しんぶん赤旗」日曜版に『銀河鉄道の夜 四次稿編』を連載し、全4巻の予定で刊行中。

「2023年 『グスコーブドリの伝記――ますむらひろし賢治シリーズ③』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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