奇妙な道 (扶桑社ミステリー ク 1-9 ストレンジ・ハイウェイズ 1)

  • 扶桑社
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感想 : 4
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  • Amazon.co.jp ・本 (347ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784594027025

感想・レビュー・書評

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  • 以前から云っているが、数あるクーンツ作品を傑作・駄作で分類する時、ポイントになるのは物語に使われる超常現象に対し、登場人物や設定において、ある特別な区別をされた際に何故彼(彼女)は他のみんなと違うのかというのがはっきり明示されているか否かが挙げられる。前者は『ファントム』、『ウィスパーズ』、『雷鳴の館』等、後者は『殺人プログラミング』、『闇の殺戮』等である。勿論後者についても読者を全く飽きさせない展開でぐいぐい引っ張っていくがいかんせん理由付けの部分が弱いと興醒めで魅力はそこで半減してしまう。
    さて今回はどうだったかというとまずは及第点。悪くない。
    本書に収められた2作の内、本書のほとんどを占める表題作は父親の葬儀のため、数十年振りに戻った故郷でいきなり20年前にタイムスリップする、それは現在の自分の人生を運命付ける正に人生の岐路の時であった、主人公は自分の理想とする新たな人生を取り戻そうとするという男の再生譚。今回の私なりの焦点は何故主人公がいきなり20年前に戻ったのかというのは実は主眼ではなかった。これは物語の設定として違和感なく入り込めた。では何かというと事ある毎に、特に主人公が失敗する場面からいきなりリセットされ、失敗する前に引き戻されるという設定。それが1度のみならず2度、3度と繰り返される辺りに不満があった。
    クーンツの作品は結局ハッピー・エンドで終わるというのが通説だが、これはいくらなんでも酷すぎると思った。しかし作者はそこに何ともロマンティックな理由を設けており、正直思わず微笑んだ。こういう手を使う所が、何ともクーンツの人生を反映しているような気がして憎めない。

    もう1作の短編「ハロウィーンの訪問者」は他愛のない話で恐らくこれは児童向けの説教小説だろう。怪物を出すあたり、クーンツらしいといえばそうだが。

    今回は以上よりやや傑作よりだと思うが小説としては小粒であることは否めない。次に期待。

  •  【奇妙な道】と【ハロウィーンの訪問者】の2篇が収められていました。
    両作とも、宗教色の強い話だったのですが、飽きることはなく最後まで読めました。シーンの一つ一つもイメージが鮮やかに浮かび上がり、映画を観ている感覚でした。

     【奇妙な道】の方は、この内容にしては爽やかなラストで読後は気分スッキリでしたが、【ハロウィーンの訪問者】の方は、予想に反した展開で、読みながら襟を正したくなるし、スッキリもしない。彼のその後を想像すると、可哀想だけど恐ろしいです。

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