毛沢東秘録 中 (扶桑社文庫 さ 10-2)

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  • Amazon.co.jp ・本 (369ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784594031015

感想・レビュー・書評

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  • 2017年4月27日読了

  • 2001年刊。全3巻中の2巻。

     3部はフルシュチョフによるス批判と中ソ対立の勃発。
     ソ連とは独自の中国的共産主義発展のため近代化に邁進する劉少奇・鄧小平。
     だがこれに冷ややかな毛沢東。ついに修正主義者に擬して毛の批判が暴発。プロレタリア文化大革命の開始だ。

     そして4部。時を経て、文革の忠実な推進者として名を成した林彪。
     しかし、実権は実務に長けた周恩来が握っていた。文革の疵を癒すべく対米接近を図る周とこれに批判的な林。
     周に対抗すべく国家主席の座を狙った林は、毛の逆鱗に触れる。そして林。ソ連亡命航空機墜落により…。

  • ★2011年34冊目読了『毛沢東秘録(中)』産経新聞著 評価B+
    中巻では、上巻第2部を更に遡り、毛沢東がなぜ文化大革命という第二の革命を決意することとなったのかを描く。
    1956年2月のフルシチョフのスターリン批判は中ソ対立を引き起こす。また、毛沢東は百家争鳴、百花斉放を打ち出したが、思わぬ不満に永続革命を彼は決意する。吹き出た党批判を押さえ込むため、反右派闘争で粛正弾圧を強め、大躍進運動を提唱、人民公社制度を創設して、大衆を総動員した急進共産主義への道をひた走る。しかし、その結果は、悲惨な大失敗に終わり、餓死者は二千万人を超えると言われている。国家立て直しには、やむを得ず実務派の国家主席の劉少奇、その部下 鄧小平の施策を実行するが、、、、しかし、この施策は、毛沢東にとっては我慢ならない修正主義に見えた。その結果、彼らを排除するために第二革命となる文化大革命を実行、造反派の過激な行動は、中央のコントロールを超えて激化してしまう。文革中に劉少奇に代わり、台頭するのは、国防相の林彪だった。だが、実際の行政や経済で再建したのは、周恩来国務院総理(首相)であり、彼は米中国交正常化にも多大なる貢献を見せた。国交正常化に批判的だった林彪は、焦り実務派の復権を阻止しようと画策するが、それがかえって、毛沢東の不信を買い、結局中央から逃走せざるをえなくなって、その途中で墜落事故死することとなる。

  • 中巻では、文革の遠因が形成された60年前後から劉少奇失脚に続く、60年代後半へと移る。毛沢東の大躍進、共産化政策の破綻、そしてそれを修復しようとした劉少奇・鄧小平と毛沢東・林彪との溝の深まり、そして次には毛沢東の後継者とされながらその毛自身に追い詰められた林彪の悲惨な死・・・物語は息もつかせぬほど急ピッチに展開し続ける。

    毛沢東の神格化を進め、文革急進派の江青たちとともに文革を進めてきた林彪の墜死に至るまでが詳細に述べられている。
    個人的には、彼の非業の死は自業自得ではないかと思うが、それにしても、毛沢東という人物の恐ろしさをリアルに感じることのできる巻だった。

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