妖異金瓶梅 (扶桑社文庫 S 10-1 昭和ミステリ秘宝)

著者 :
  • 扶桑社
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  • Amazon.co.jp ・本 (588ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784594032647

感想・レビュー・書評

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  • 普通のミステリをシリーズにするなら、探偵やワトソン役だの、馴染みの警察関係者たちは変わらねど、犯人は同じってことない。そんなの当たり前だ。
    その当たり前が通じない世界。

    憎まれっ子世に憚るらしいが、いや、その憎まれっ子の枠に収まりかりっているようなタマでなく、このなかのどれか一つでもやらかそうものなら、嫌悪の対象になってしかるべくなんだけど、見事に主人公としてストーリーに君臨しているから恐れ入る。

    水戸黄門が印籠を出すのと同じぐらい、やはりこんどもお前ですかいというノリながら、それでも面白く、エログロなはずをするりとうっかり読んでしまえるのは流石風太郎先生というところ。

    いや、子供は読んじゃだめですよ。ええ、絶対に。
    でも、大人は読んで損はない。

    水滸伝、金瓶梅を知ってると、尚、面白さが深くなること請け合いだが、
    なくても充分楽しめまする。

  • 実は金瓶梅って知らなかったんですが…なかなか面白かったです。

    金蓮さんの一途すぎる愛。数々の殺人に関わってる悪女?なんだけどなんだか憎めない。

    水滸伝の外伝的な物語と言うことなので時間のある時にでも水滸伝を読んでみようと思います。

  • 『金瓶梅』は言わずと知れた中国四大奇書の一つ。水滸伝の中の武松のエピソードを入り口にして、そこに登場する武松の兄嫁の潘金蓮が、姦通した後殺されずに姦夫の西門慶と暮らし始めるという設定だが、山田風太郎氏がその設定をベースに話をミステリ仕立てに仕上げている。物語は変わっていても登場人物は原典にでてくる者をそのまま登場させているらしいので、原典を読んでから本書を読めばさらに楽しめるも知れない。全篇を通じてエロティシズムが漂い、潘金蓮という稀代の淫婦の性(さが)が描かれている。それにしてもこの潘金蓮という女、男にすればなんとも怖ろしい魔性の女でありながら強烈に心を惹かれてしまう魅惑の女である。潘金蓮を目の当たりにし触れてしまったが最後、男はその虜になってしまうだろう。それが間違ったことであり、いけないことだと判っていても、男は否応なしに潘金蓮の蟻地獄に身を落としてしまうのだ。気の小さい私としては潘金蓮のような女に出会うことがないように唯々祈るのみである。しかし、一度だけほんのちょっと会ってみたいと思う危うさが心の中にあるのも事実。五十になっても惑う私であります。

  • 中国とミステリィが好きな人なら楽しく読めるはず。金蓮さんがすごい魔性の女なのに一途で憎めない。一途過ぎて怖いけど(汗)ラストの応伯爵が泣かせます。

著者プロフィール

1922年兵庫県生まれ。47年「達磨峠の事件」で作家デビュー。49年「眼中の悪魔」「虚像淫楽」で探偵作家クラブ賞、97年に第45回菊池寛賞、2001年に第四回日本ミステリー文学大賞を受賞。2001年没。

「2011年 『誰にも出来る殺人/棺の中の悦楽 山田風太郎ベストコレクション』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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