ある日系人の肖像 (扶桑社ミステリー)

  • 扶桑社
3.63
  • (1)
  • (4)
  • (2)
  • (1)
  • (0)
本棚登録 : 18
感想 : 2
  • Amazon.co.jp ・本 (606ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784594050085

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • ロサンゼルスに住む日系女性が祖父のことを調べていく話。

    ジャッキー・イシダは、弁護士として就職が決まっている。
    亡くなった祖父フランク・サカイには子供の頃は可愛がって貰ったが、しだいに疎遠になっていた。
    祖父のいぜんの遺書に出てくるカーティスという人物のことを調べてくれと叔母のロイスに頼まれる。祖父の雑貨屋を相続させたいという意外な内容があったのだ。

    第二次大戦中に日系人は白い目で見られ、砂漠の収容所に。
    フランクは参戦する。4年の間、日本人部隊は捨て石同様にヨーロッパの前戦で従軍。危険な任務で多くの仲間を失い、自らは怪我をして帰国。
    悲惨な経験に心は凍り付いていたが、ある出会いでみずみずしいものが残っていたと気づく。
    のちに写真で見合いした相手と結婚。
    穏やかでまっとうな人柄で、地域に根ざした生活をし、近所の黒人達にも信頼されていた人生。

    ジャッキーは、カーティスを知っているというジミー・ラニアーという黒人男性に出会う。
    ボランティア活動をしているジミーは、大柄で寡黙で取っつきはよくないが、子供には大人気。
    カーティスはフランクの店でバイトをしていた少年。が、とうに亡くなっていて、その死に方が、1965年のワッツ暴動の日に、フランクの店でと知って驚愕するジャッキー。
    警官に殺されたという噂があった。フランクを知らない人からはフランクが疑われることもあったらしい。
    ロイスすらその事情を知らないままだったとわかる。子供の頃に突然、引っ越したのがその時だったのだ。
    ジャッキーとジミーは関係者の話を聞いて回り、事件の真相を知ろうとする。

    フランク自身や様々な登場人物の視点を交錯させ、ロサンゼルスの現代史を構築する内容。
    カーティスの美しい母。
    たった2秒のためらいで、恋を失ったフランク。
    すべての事情を遺された者は知るわけではないが‥
    もし知っていたら、一部は救われるかも知れないが‥余計に切ないでしょう。
    迫力のある作品です。

    ジャッキー自身は、出世した両親の元で裕福な恵まれた育ち。
    回りからは世間知らずに見えます。
    とはいえ、良い学校には日系人どころか東洋人も一人だけという生活は、幼い頃には辛かったでしょう。
    同性の恋人との関係も次第に変化していくという内容。
    ヒロインの名がケネディ大統領夫人にちなんで名付けられたとは意表をつかれました。

    著者は日本人の母とポーランド系アメリカ人の父との間に、日本で生まれる。
    5歳で渡米。アジア系は一人という環境だったそう。
    1997年デビュー。2作目の本書で話題に。2作目とは思えないほどの筆力。

  • 図書館の本

    内容(「BOOK」データベースより)
    ロサンゼルスに住む日系人女性ジャッキー・イシダは、病没した祖父フランク・サカイの遺言状にでてくるカーティスという人物を探しはじめる。カーティスは、1965年におきた黒人暴動のさなかに、祖父の店の冷凍庫にとじこめられ命を落とした黒人少年四人のうちの一人だった。事件を調査する過程で浮かびあがる、若かりし日の祖父の姿とは…。日系人女流作家が、人種のるつぼL.A.の現代史を、過去と現在を自由に飛翔しながら圧倒的な筆力で描ききる、MWA賞候補作。

    想像と違ったお話でした。
    過去と現在を行ったりきたりしながら、日系人と黒人とが肩を寄せ合ってLAで白人が差別する環境で生きていく物語。
    でもこんなに現代の人が祖父の時代を手繰り寄せる過程が多いとはおもわなかった。
    2次大戦中の収容所もちょっとだけ描写があって。
    もっと人種差別が絡むかと思っていたのでちょっと期待はずれでした。

    Southland by Nina Revoyr

全2件中 1 - 2件を表示

ニーナ・ルヴォワルの作品

  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×