赤めだか

著者 :
  • 扶桑社
4.15
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本棚登録 : 1844
感想 : 359
  • Amazon.co.jp ・本 (283ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784594056155

作品紹介・あらすじ

サラリーマンより楽だと思った。とんでもない、誤算だった。落語家前座生活を綴った破天荒な名随筆。

感想・レビュー・書評

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  • [談の噺]落語家になると決めて親元から離れた談春(オレ)は、伝説の噺家である立川談志の弟子となる。矛盾に耐えろという師からの言葉を実践するかのような毎日が続くなかで、何度も先の不安に打ちのめされそうになるオレであったが、憧れや負けん気、そして嫉妬や師匠への愛が入り混じった感情が彼を落語の世界に引き止め、ついに師匠の面前で二ツ目の昇進試験を行う日がやってくる......。著者は、今は亡き立川談志の愛弟子であった立川談春。


    本からむんむんと情のにおいが漂ってきました。その情の一つひとつに笑わされ、ほろっとさせられ、考えさせられる。著者が落語家だからというつもりはまったくないのですが、なにか上質でくつろぎのある口上を聞いているかのごとき気持ちになりました。どこか人の弱さを代わりにぐっと呑み込んでくれるかのような文章の運びにも、なんとも言えない優しさとあたたかみを感じることができました。


    落語の世界の中でのそのまた立川談志の世界という中で繰り広げられる人間関係は濃密そのもの。それ故に師から弟子への言葉の中には、師のみが語ることを許されるであろう至玉が散りばめられています。それに応える弟子の側の粋もなかなか読み応えがあり、涙を眼にためながら「師匠よりオレの方が上手い!!」とのっぴきならない様子で言い切った弟子のエピソードには本当に泣かされました。

    〜落語家は伝統を語っていかなければいけません。当人の段階に応じた伝統を、落語を語ってゆく。そしてウケる根田を作ってゆく、それをこれからやってゆくのです。そして、最後には己の人生と己の語る作品がどこでフィットするか、この問題にぶつかってくると思います。〜

    立川談志って本当に桁違いの男だったんだなぁ☆5つ

  • 身長制限で閉ざされた競艇選手への道。
    立川談志の落語に出会い、弟子入り。
    家を出て、高校を辞めて、住み込みで新聞配達をしながらの前座時代。
    二ツ目昇進と真打ち昇進の試験。
    落語家を志してからスタートラインに立つ(真打ち昇進)までがとても正直に、時に滑稽に語られている。

    語りに引き込まれて、一緒に笑ったり泣いたりしているうちに談志師匠も兄弟子、弟弟子もみんな好きになってしまう。
    全編通して感じるのは談志師匠に対する絶対的な想い。
    小さん師匠の仰るとおり、「談春は談志に惚れ切っております」。
    ただただ、この人に認められたい。そんな一途さに感動した。

    自分のことを考えると、尊敬する先輩に認められたいという思いはある。
    お役に立ちたいとも思う。
    談春さん程のモチベーションではないとしても、その気持ちを大切にしようと思った。

  • 先日、テレビのチャンネルを変えている最中に、立川談志の「芝浜」をやっていて、思わず見入ってしまいました。
    私の中で毒舌のイメージばかりだった談志さんの落語を、ご本人の死後に初めて観て、その気迫に打ちのめされました。

    そして本書を読んで、さらに談志さんはすごい人だったのだと感じました。
    弟子であり、本書の著者である立川談春さんは、「談志は揺らぐ人だ」と書いています。
    人間誰しも、弱い部分や不安定な部分を抱えている。
    落語は「それが人間なんだよ」と肯定してくれる。
    そして談志さん自身も、身をもって「それが人間だよ」と示しているように感じました。

    ですが、芸人として一本筋が通っていることもひしひし伝わります。
    特に談志さんが談春さんに「お前に嫉妬とは何かを教えてやる」と言ったくだりは、こちらまで姿勢を正されました。

  • 立川談春師匠の修業時代のエッセイ。
    対談番組に出演されていたのをお見かけしたので、およそ10年ぶりに読みました。

    師匠の談志は、柳屋小さんの弟子。若くしてその才を謳われ、天才と言われた方です。(この点で、敬愛する小三治師匠とは対照的です)

    入門してからの談志師匠と弟子たちのやり取りが軽妙な筆づかいのうちに語られますが、まさに落語そのもの。抱腹絶倒しながら、ほのぼのとさせられ、ちょっぴり涙させられます。

    談春師匠の第一作とのことですが、当時から世評高く、講談社エッセイ賞をとられたのも納得です。

    再読して今回印象的だったのは巻末近くで語られる歌手のさだまさしさんとのやり取り。弟弟子の志らくさんに真打ち昇進で先を越され、自分の境遇を嘆く場面でした。

    さだ) 談春、一体自分を何様だと思っているんだ。立川談志は天才だ。俺たちの世界でたとえるなら作詞、作曲、編曲、歌に演奏どれをとっても超一流。そんな凄い芸人が五十年の間に二人も三人も現れるわけないだろう。憧れるのは勝手だがつらいだけだよ。談春は談志にはなれない。でも談春にしかできないことはきっとある。そのために談志の一部を切り取って近づこうとするのは恥ずかしいことでも逃げでもない。自分にしかできないことを本気で命がけで探してみろ。

    談春) でもオレもう少しなんとかなりたい、オールマイティーに近づきたい。

    さだ) あのな、誰も自分のフィールドに自信なんて持てない。自分の長所を伸ばすことだけ考えろ。長所がマラソンならマラソンで金メダルとるための練習をすればいいんだ。マラソンと100メートルどっちが価値があるかはお前が死んだあとで誰かが決めてくれるさ。お前、スタートラインに立つ覚悟もないのか。

    談春) あります。

    さだ) それなら早く真打ちになれ。そこがスタートラインだろう。

    年明け早々、背筋を伸ばしてもらえた心持ちにしていただきました。

  • 面白かった。
    どの世界でも残っていくのはわずか!

    真打になることの大変さ!
    立川流は好きだわ。

  • 立川談春の落語家人生の話。主に入門から二つ目になるまで。最近落語に興味が出てきており、興味深く読む。落語家の大変さ。読み終わった後、談志氏、談春氏の落語をYoutubeで見てみた。

    談志師匠のやはり変わっている生態や弟子たちのおもしろ話で、通勤中なのに吹いてしまう。楽しく読めた。立川流は落語業界では異端児である事や、あの時代お笑いに勢いやある種の品格さえ合ったなあと思わせる時代背景も面白い。

    映画も見てみたい

  • 歯を食いしばって頑張った経験はあるだろうか。
    10代で入門して、ちょっと思い込んだら、いやなんか間違っていても、師匠と呼べる人に出会って、そして、後輩に伝えていくことがある。
    真似はできないけど、ちょっとうらやましい人生です。

  • 落語が好きなので、なんとなく手に取ってよんだら、読みやすくて面白かった。
    談春と談志の関係ややりとりなど、とても心温まる内容だった。
    落語といえば、小さんさんが好きだ。談志と小さんの最後のやりとりは知らなかったので、ホロリと来た。師匠と弟子の関係ってすごいな。と思った。

  • 談志さんの何を知ってる訳ではないが、ボンヤリとしたイメージで偏屈なやたらと威張っている人って思っていたのですが。なんとも理論的で考えの深い、頭の速い人なんだなぁと。言い回しとか、言葉の組み方選び方が粋だなぁと。ちょっと立川談志ってカッコイイじゃないのーと、うまいこと騙されかかってる。

  • 立川談春が、前座時代の生活を綴った破天荒なエッセイ。「本当は競艇選手になりたかった」、意表をつく出だしから、とにかく、めっぽう文章がうまい。名人の呼び声高い談春ではあるが、文章家としても名人級です。
    新聞配達少年と修業のカタチ、談志の初稽古、師弟の想い、築地魚河岸修業、生涯一度の寿限無と五万円の大勝負など、一気に読んでしまいました。それにしても、私はまだ生で談春の落語を聞いたことがない、悔しいです。

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立川談春の作品

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