紳士同盟 (扶桑社文庫 (こ13-1)) (扶桑社文庫 こ 13-1)

著者 :
  • 扶桑社
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  • Amazon.co.jp ・本 (501ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784594057039

感想・レビュー・書評

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  • 詐欺をテーマにしながらも、黄金時代のハリウッド映画を彷彿とさせる軽快かつ洒脱な娯楽小説。些細なスキャンダルをきっかけに次々と不幸に見舞われる(ちょっとカウリスマキっぽい)とあるテレビマンが、はからずも戦後の混乱期からバブル直前の80年代にまで及ぶ壮大な詐欺(コンゲーム)に巻き込まれてゆく。

    カドカワ黄金期のアイドル映画の原作というイメージが強くなんとなく手を出さずにきたが、読んでビックリ最後の最後までダレさせない展開で面白いし、なにより犯罪小説ながら後味が悪くないのが好み。そして、薄っぺらくも、まだキラキラしていたころの東京の街の描写がなつかしい。

  • コン・ゲーム小説というのか。
    作者の解説によると、映画「スティング」にインスパイアされたとのこと、なるほど。
    連載されたのは1979年というから、世はバブルの始まり頃。登場人物がくびになったTVディレクター、借金まみれの芸能プロダクション経営者とタレント志望者、親の入院費が必要な放送作家志望、と芸能関係者ということもあり、チャラチャラしたテレビ業界の様子なども思った通りだなと納得。
    (EY513 AUH AMM機内にて読了)

  • 4(.5)人の詐欺師が主人公の話。
    詐欺の話のわりにアクドイ感じがあんまりなくて読みやすい。
    ユーモアと洒落っ気がたっぷりで詐欺行為がメインの話やのに、どことなく安心して読めるのは長嶋老人が言う『コン・ゲーム道』のお陰。(?)

  •  コン・ゲーム小説といえば,知的ゲームとして,被害者を上手く騙す,スリルとスピード感,ユーモアにあふれる小説をイメージするが,そこまでのものはない。ユーモアこそあるが,詐欺の手法はやけにリアルだし,同じ人を繰り返し騙す上,テレビ・映画業界の内輪ネタが多く入り込めない。コン・ゲーム小説というのは,そもそも描くのが難しいのだろうが…。時代錯誤的な表現もあり,時事ネタも古い。古典として読むならよいかもしれないが,エンターテイメントとして読むなら,ほかに面白い作品がいくらでもありそう。★2かな。

    〇 コン・ゲームの概要
    1つめの詐欺
     銀行の振込窓口の行員を調べ,行員の名前の入った受付印と振込依頼書を偽造
     →1000万円
    2つめの詐欺
     宮田杉作という金持ちの老人を騙し,山岸久子と共演できるというニセ番組を作るという詐欺を行う。
     →3000万円
    3つめの詐欺
     宮田杉作を騙し,従来よりも小さいサイズのテープの編集ができるスタジオ経営を持ちかける。
     →6000万円
     長島老人の復讐を兼ねて,映画マニアの橋爪正を騙す。落ちぶれた映画監督のルイス・アルトンの映画を作ると言って投資させた。
     →1億円

    サプライズ ★★☆☆☆
     大きなサプライズはない。唯一のサプライズは,長島紀子が長島老人の娘ではなく愛人だったという点

    熱中度 ★★☆☆☆
     コン・ゲーム小説なので,先が気になってしかたなく,熱中度が高い…かというとそうでもない。詐欺自体もそれほどワクワクするものではないし,見せ方も平凡

    キャラクター  ★★★☆☆
     長島老人,長島紀子,寺尾,旗本,清水と宮田老人など。それなりにキャラは立っているが…そこまで魅力的というほどめもない。特に長島老人のインパクトが弱い。ここは,もう少し天才的というか,謎めいた存在でもよかったと思うが…。

    読後感 ★★★☆☆
     最後は,長島老人の復讐として,悪役を騙すので読後感は悪くない。ただし,宮田老人がやや哀れ。

    インパクト ★☆☆☆☆
     薄い。読み終わった直後で,どういう詐欺があったか忘れてしまうほど。どの詐欺も現実感があるのだが,エレガントではないというか,小説らしい面白さに欠ける。

    希少価値 ★☆☆☆☆
     映像化もされているし(映画版は小説版とかなり内容が異なるようだが…),電子小説版もあり,希少価値はそれほどでもない。

  • 内容がマニアック
    詐欺は◎

  • 映画化もされた、詐欺をゲームとする一派の綱渡り。和製「オーシャンズ11」というよりは、井上ひさしが書きそうな、ちょっとコミカルな話。どうやら続編もある模様。

    主人公や舞台となるところは、「怪物がめざめる夜 」同様に、テレビ・マスコミである。作者はテレビでコメンテーターもやっているし、そこは変に変えないほうがリアリティも出て良いのだろう。谷啓や筒井康隆など、実名で出てくるあたりも、くすぐりとしてよく効いている。

    本書でちょっと引っかかったのは、イントロでも出てくる戦中戦後の描写である。人物の会話や行動は、常にスリリングでリアリティがあるのに、戦中戦後の部分だけが何故か浮いている。「怪物が~」に較べて、全体に弱いと感じてしまったポイントの一つはそこにあろう。

    また、若干出てくる人物のキャラクターも薄い。もっとギトギトした設定も可能だと思われるが、名前で無理やり印象付けられているようなところがある。

    とはいえ、どんどん続きが読みたくなったわけで、ストーリーの組み立てが上手いわけで、読む勝ちが有ります。

  • コンゲーム小説の傑作だが、そのネタが番組作りというマスコミならではの特殊なものであり、金融など明確なルールが存在していない業界だけに、いかようにで手口が作れる気がする。

  • 頭脳戦が凄い本との触れ込みから。
    金に困り、詐欺を働く4人の話。

    意外に古い本だったのでびっくり。
    トリックとか、どんでん返しとかはとてもわかり易く仕上がっていたと思う。
    最後のはひっかかるかなぁー…。

  • ネタバレ厳禁なコン・ゲーム小説(詐欺師小説)です。昭和テイスト満載で、どたばたエンターテイメント。
    もう少しだけ詳しく http://d.hatena.ne.jp/ha3kaijohon/20120321/1332287317

  • 相手に騙された!と思わせずに2億円を騙し取る話。普通に読める。ただ華麗なコン・ゲーム!っていう程の・・・?

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著者プロフィール

小林信彦 昭和7(1932)年、東京生れ。早稲田大学文学部英文科卒業。翻訳雑誌編集長から作家になる。昭和48(1973)年、「日本の喜劇人」で芸術選奨新人賞受賞。平成18(2006)年、「うらなり」で第54回菊池寛賞受賞。

「2019年 『大統領の密使/大統領の晩餐』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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