トリハダ

  • 扶桑社
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感想 : 7
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  • Amazon.co.jp ・本 (293ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784594059798

感想・レビュー・書評

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  • 多少の違いはあれど、毎日を平和に生きる彼ら。そこに差し込まれた、人間の狂気。一握りのそれは、やがて無視できない程の恐怖をはらみ日常を侵食し始める。この世で一番怖いのはやはり生きている人間なのかもしれない。 *** 幽霊の出てこない短編ホラードラマで有名な「トリハダ」のノベライズ版。数十話ある中から26話分が小説として書き出されている。日常に潜む、人間のもつ狂気や悪意が描かれ、幽霊や化け物の出てくるホラーよりよりリアルで恐ろしい。「こんなこと、あるわけ無い」と思いながらも「いろんな人が、いろんな事を考えて生きているし、もしかしたら、あり得るかも知れない」と考えてしまう。すれ違っただけの人間や思わず悪態をついてしまった人間、どこの誰とも知れぬ人間が自分の欲望や感情の赴くままに行動し、主人公たちの日々を容赦なくかつ徹底的に侵食していく様は圧巻。底無しの人間の悪意が書き上げられており、疑心暗鬼をになりそうな一冊だった。 文章は、砕けた感じでやや軽い口調。一度映像を見たことがある人向けかもしれない。お気に入りの話は、「余命診断」「雑音と無音の因果律」「配達される不快な要因と結論」。 「余命診断」は一人で留守番をしている主人公が、友人に教えてもらった都市伝説(放送終了後のテレビの砂嵐を撮影するとそこに紛れ込んだQRコードが反応し、撮影者の余命を教えてくれるというもの)を実行し悲劇に見舞われるというもの。友人と電話をしつつ、話のネタにと実行されたその行為。主人公に悲劇を招いたのはその都市伝説を実行したせいなのか、それともその都市伝説を実行しなくとも決まっていたことなのかが気になるところ。この一話に限ったことじゃないが、この「トリハダ」シリーズは何気なく行った行動によって運命が左右されている感じが非常に良い。「雑音と無音の因果律」は大きなヘッドホンで爆音(音漏れがし、かつ他者を不快にさせるほどの音量)で音楽を聴きながら、携帯電話をいじくりまわすことに日々を消費している短大生が主人公。音楽を聴き、携帯でメールを打ちながら目的地であるライブハウスに向かう途中の駅で惨劇に巻き込まれる。惨劇に巻き込まれる、といっても端から見れば十分に回避できた惨劇だ。しかし、この話程今の社会に即した話もないだろうと思う。携帯電話と音楽に夢中になって危機回避が遅れるというのは現代にもよくありそうな話だ。これが一番身近に感じて怖かった。「配達される不快な要因と結論」はややグロテスクかつ気持ち悪い話。毎年の花粉症に悩む主人公はいつも飲んでいる市販の抗アレルギー剤を今日も飲んでいた。ふと、ふたの裏に笑顔のマークが記入されていることに気が付く。メーカー側の気づかいだと思っていたが、その笑顔のマークがこの度主人公に起こった恐怖体験の結論を決定づけることになる。主人公の元に突然送り付けられた、焼死体の写真。その写真はあまりに凄惨で気持ちが悪い。しかし、その一枚だけでは終わらず、毎日徐々に変化している死体の写真が郵便ポストの中に投函され続ける。そして、最後の一枚を見た時、自分が今までしていた行為に恐怖と嫌悪を覚える。読みながら、こんな話あったっけ?と首をひねったが、忘れているだけか衝撃的過ぎて意図的に忘れていただけかも。全信頼を寄せていたそれが、気持ちが悪いものに変わる瞬間の鳥肌具合と吐き気具合がすさまじい。加害者は明らかに主人公を狙っているし、わざわざ「こういうことだぞ」という事を知らせてくる辺り、非常に強い悪意がある。ここまで悪意を募らせる原因になった理由を知りたい気もするが、本書には「えっ、そんなことで?」という事で恨みを買ったりすることが多いので、これも何気ない一言だったりするのかもしれない。 この話を読むと赤の他人と触れ合うのが怖くなるし、一人ぐらいしもすごく怖くなる。あと、このカバーをめくると何か仕掛けがある様子。一時期はやった「目が良くなる本」に使われている、3Dアートの類だと思うのだが、私が下手くそなのでどうしても見ることができなかった。最終話でカバーしたの話があったのでぜひ見てみたいのだが、残念。

  • 「想像は人を支配する」が心に残りました。
    恋人同士のけんかで女の人が死んだなんてとても悲しい出来事でした。

    この「トリハダ」は怖い話が好きな人におススメです。
    恐怖が漂っているゾクゾク感がたまらないので読んでください。

  • 《購入済》
    自分はホラー映画など心臓に悪い映像作品は大嫌いだったのだが、深夜に偶然トリハダシリーズを視聴して以来、幽霊さえ出なければ平気な耐性が出来てしまった。
    それでもやっぱり表紙が怖すぎて、書店でかけてもらったカバーが未だに外せないでいる。挿し絵もシリーズで使われた実写で、正直何度読んでも写真のページはドキドキしてしまう。
    映像のノベライズとしては、あっさりしてて肩透かしかな。
    静止画だと妙に怖いけど、表紙の笹野鈴々音って女優さんは声がとても可愛らしい方だった。怖いけど、不思議と惹かれるものがある。

  •  表紙がイチバン怖い。

     映像作品としてのインパクトが強かったので、あまり面白くはなかった。
     そこはノベライズだから仕方ない面ではある。

     最後の話の仕掛けは、言ってしまえば子供騙しだが、なんだか懐かしさを感じたのでグッドだった。

  • まずドラマを見よう。今なら多分レンタルショップでもレンタルしてるから。
    ドラマを見た上で「この話よく解らなかった」話があった場合の補完要員ですかね…。本単体ではストーリーのゾクッと感はあまり楽しめなかったかな(先にドラマ観たのもあるけど)

    でもこの本を読んで「怖い!でも面白い」と思った人は是非次はドラマを見ましょう。そして本は布教用にでも活用してしまえば…

  • フジテレビの深夜番組が元になっているそうだけれど、その番組は私の住んでいる地域で放送されないので、たぶん観たことがない、と思う(違う時間帯で放送されてるかな?)。
    番組で使われた映像をノベライズ化しているんだろうなというのが、読んでいてわかる。だって、読み物としたら怖くないものもあって、映像にしたら、場合によってはすっごく怖いだろうなぁと思われる話が少なくないからだ。
    単に短くまとめようとして、描写がおろそかになっちゃったのか、それとも読み方が悪いのか・・・。

    でも、中には怖さ満載!のものもあって、それはやはり「人間の狂気」に触れたもの(「人間が凶器」でもいいかも)。
    隣に誰が住んでいるのかわからないようなアパートの住人の方、一人で読むのは避けた方がいいかもしれない。
    私も、同じアパートに住んでいる人たちの名前や職業はよくわからない。会えば、挨拶くらいはするけれど。実家に住んでいるときは、そんなことなかったけれど、集合住宅ってこんなものなのかなぁ・・・。

    帯に「幽霊の出ない怖い話。」とあるけれど、確かに幽霊はでなくても、それを示唆するような怪談もどきはいくつか収録されている。でも、ほとんどが実在の「人間の狂気」が怖さのメイン。

    「こんな奴、滅多にいないだろ~」と思いながらも、「もしかしたら、あの人・・・」と思わせる。
    「キャ~ッ!!」という怖さはないけれど、ひたひたと心に染みてくる怖さ。
    さらさらと流してしまえば、恐怖は感じないかもしれない。
    でも、考えれば考えるほど、恐怖は増す。
    あとからやって来る怖さ。

    最後の話はノベライズのときに付け加えられたんだろうなぁ。少しビクビクしながらはまってしまった(苦笑)。
    蒸し暑くて眠れない熱帯夜のお供に、いかが?

  • 怖い話の短編集なんだけど、写真をオチにするのはどうかと思う。
    途中からなんだかどうでもよくなっちゃいました。

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