「若者はかわいそう」論のウソ (扶桑社新書) (扶桑社新書 76)

著者 :
  • 扶桑社
3.38
  • (10)
  • (37)
  • (32)
  • (11)
  • (5)
本棚登録 : 357
感想 : 43
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・本 (285ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784594062163

作品紹介・あらすじ

就職難・派遣叩き・ロスジェネ・貧困etc.はやりの俗説は間違いだらけ!『エンゼルバンク』のモデルとなった雇用のカリスマが解決策を大胆に提言する。

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • 本質的な地殻変動(社会の変化)として、
    A.1985年~1995年の10年間にわたって起きた、為替レートの著しい変化
    B.1985年から続く大学進学率の急上昇
    C.1980年以降、急低下を始めた出生率
    を指摘し、これを原因として次の7つの問題が発生したとする。

    1.円高による国内製造業の空洞化→非正規社員の増加
    2.サービス業(対人折衝業務)の増大→引きこもり増
    3.大学進学率アップによる大学生余り・学力低下→就職氷河期
    4.大卒比率アップによるブルーカラー職への志望減少
    5大卒比率アップによる中小企業への志望減少
    6.人口減による内需産業のマイナス成長
    7.大学の破綻
    である。

    これを解決するための策として「教育安保政策~期限付き外国人就労者受け入れ~」という持論を展開する。

    労働問題から今の日本の問題点を把握し、解決策を提示する独自の切り口が面白い。

  • データに基づいた議論だから確か、というのを鵜呑みにするのががいかに危ういかがわかる。
    確かに高卒採用がなくなったし、対人折衝系の仕事のみになって、それが苦手な人達の受皿仕事が消滅したというのは納得。若者の安月給は搾取だということの神話解体は目から鱗。
    この本が2010年。1年後に本書を引いた古市の「絶望の国の幸福な若者たち」がでで、ロスジェネ問題の言説に転換が起きる頃。その端緒を切った一冊と言えるかも。

  • 若者を取り巻く労働環境に関するいくつかの本を取り上げ、それぞれのデータの読み方の間違いを指摘、さらにそれらの書籍内容の一部を取り上げ、拡大解釈するマスコミの罪について書かれている。

    著者の指摘は「なるほど」と思うところもたくさんあったが、いくつか「どうなの?」という箇所も。
    例えば外国人労働者の25年期限付き受け入れって、普通、25年も住み着いたら帰りたくない人が多いのでは?
    強制送還ってわけにもいかないでしょうし・・・
    それに、世界中からまんべんなく集まればいいけど、実際は中国から来る人が多数でしょう。

    湯浅さんとの会談を載せることには著者の許容範囲の広さを演出されたのでしょうか?
    読むほうからすると、湯浅さんの発言のほうが説得力あるように感じました。

  • 分析の仕方、論理展開ともに真実味があり、著者の本は大好きです

  • 「仕事のなかの曖昧な不安」
    「仕事漂流」

  • 数字のトリックを丁寧に追う事でベストセラーの穴を追求する姿勢はカウンターとして必要だし良いことだと思うが、結論として若者は「かわいそう」ではないのか?というと、高度成長期やバブル期に若者だった世代と比較すると圧倒的に恵まれていない状況にあるという事をむしろ補完している論考になっている。

  • メディアリテラシーをつけるための本です。統計的なデータを見るときの注意事項等、勉強になります。でも、この本についても疑って読むのが正し読み方でしょうか。

  • 船橋図書館
    雇用の常識…の著者

  • 「大学卒業後の将来」「働くこと」「就職」について、今だからこそ、自由に考えてみよう。タイトルは衝撃的ですが、じっくり読んでみてください。

    [配架場所]2F展示 [請求記号]366.21/E14 [資料番号]2010107783

  •  世の中に流布するデータを再検証し、今の若者は本当に「かわいそう」な状態にあるのかを論じ、就職難やニート・フリーターの増加の本当の原因を追究する一冊。
     「派遣労働者の増加により大学生の新卒採用が減少している」というのは、著者の「派遣労働者は主にブルーカラーであり、大学生の新卒採用には影響はない」という立証によって否定される。この他にも、著者は若者の雇用にかんする様々な言説に論理的に反論している。
     単に「若者かわいそう」論を否定するだけではなく、きちんと自身の考えも論じているところが著者のすごいところ。ニートーやフリーターの増加については、産業構造の変化により、人とコミュニケーションをとる必要があまりない仕事(農業・漁業・林業・工場労働など)が大幅に減り、コミュニケーションが苦手な人が働ける場所がなくなったことが原因だと主張する。著者が出会ったフリーターのほとんどは、コミュニケーションが苦手そうだったという。
     フランクな文章で書いているけど、けっこう読みごたえがあるし、なかなか深いところまで論じている本だと思う。

全43件中 1 - 10件を表示

著者プロフィール

雇用ジャーナリスト、経済産業研究所コア研究員、人材・経営誌『HRmics』編集長、ニッチモ代表取締役、リクルートキャリア社フェロー(特別研究員)。
1964年、東京生まれ、大手メーカーを経て、リクルート人材センター(リクルートエージェント→リクルートキャリアに社名変更)入社。新規事業の企画・推進、人事制度設計などに携わる。その後、リクルートワークス研究所にて「Works」編集長に。2008年、人事コンサルティング会社「ニッチモ」を立ち上げる。『エンゼルバンク─ドラゴン桜外伝』(「モーニング」連載)の主人公、海老沢康生のモデル。
主な著書に、『「AIで仕事がなくなる」論のウソ』(イースト・プレス)、『雇用の常識「本当に見えるウソ」』(ちくま文庫)、『面接の10分前、1日前、1週間前にやるべきこと』(小学館文庫)、『仕事をしたつもり』(星海社新書)、『女子のキャリア』(ちくまプリマー新書)、『無理・無意味から職場を救うマネジメントの基礎理論』『経済ってこうなってるんだ教室』(ともにプレジデント社)など。

「2018年 『名著17冊の著者との往復書簡で読み解く 人事の成り立ち』 で使われていた紹介文から引用しています。」

海老原嗣生の作品

  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×