- Amazon.co.jp ・本 (263ページ)
- / ISBN・EAN: 9784594062194
作品紹介・あらすじ
気づかないうちに記憶がひとりでに変わる!?養老孟司×古舘伊知郎、言葉の名人と博学の解剖学者が、"記憶"の諸相を縦横無尽に語り合う名対談、ここに復活。
感想・レビュー・書評
-
記憶がウソをつくというよりも、独自解釈で編集された議事録のようなものだったり、その後の会話や写真なんかで記憶が入れ替わったりという現象は当たり前に起こり得る。
同じ会議に出席しながら、各々に印象や言葉、理解が異なる事はザラにあるのだ。あの時のアレが面白かったよねーと盛り上がっていても、自分にとっては、そうでもない、と。記憶を引き出して会話する時は相対的だから、その事象を持ち出して差異を指摘する事に虚偽性はない。
古舘伊知郎は確かに凄いと思うのだが、思考をショートカットし、ヒューリスティックに脊髄反射的に言葉を発するため、薄っぺらさが気になる。猫に前頭葉はありませんからね、と間違いを養老孟司に指摘されるが、検閲なき検索エンジンみたいに論理構築されぬ散逸された言葉の繋がりや直感の近傍を引き出すだけ。
記憶術としてローマンルーム法を用いるとの事だが、納得。論理的連結で解釈するのではなく、意味性を排除しても、絵面で覚え、語る事に慣れすぎたのだろう。そういう職業病もあると思うと面白い。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
このお二人の対談、ということで興味深く読みました。
当たり前だけど、対談、というのはそれぞれが尊敬の気持ちがあったり好意を持っていないとつまらないです。古館さんは養老先生を尊敬している、好意を持っているのがすごく伝わってくる。「あとがき」を読めばよく分かります。それに「そうか!」とか「なるほど」と先生の発言に感心している場面がよくあります。
かたや、先生はそんな古館さんとの対談を楽しんでいる。あの"古館節"ともいえる語りに、先生が"引きずり込まれてる"みたいなところがあって、「俺は何を言ってるんだ(笑)」なんて発言がある。養老先生がそんな言い方するのは新鮮な感じかして、ご自身の著作ではあり得ないことと思います。これも対談ならではです。
また、対談のおもしろさは、古館さんは喩えの話で、ご自分の過去の話がすごく具体的でそれ自体もすごいというかおもしろい。かたや、先生はそういう記憶はあまりないという。自分も細かく覚えている方でないから、古館さんの記憶力は驚異的と思うが、こんなところはお二人の違いが出て「記憶」というテーマの本としてもおもしろいです。
さらに話している間に、"思い出す"というのも、対談の良さです。これは当人たちも、思いもよらない"収穫"になると思うし、読者にとってもそうです。 -
対談本ということもあり、中身は少々薄い。
記憶というものが如何に曖昧で移ろいやすいものであるかと言うことがよく判る本である。
特に養老先生が罹ったという「一過性全健忘症」の話は面白い。 -
えーと。
学ぶ事とは、自分が変わってゆくこと。
内面が変化することだそうです。
つまり昨日の私は今日の私じゃないらしい。
厳密にいえばね。