記憶がウソをつく! (扶桑社新書) (扶桑社新書 79)

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  • Amazon.co.jp ・本 (263ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784594062194

作品紹介・あらすじ

気づかないうちに記憶がひとりでに変わる!?養老孟司×古舘伊知郎、言葉の名人と博学の解剖学者が、"記憶"の諸相を縦横無尽に語り合う名対談、ここに復活。

感想・レビュー・書評

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  • 記憶がウソをつくというよりも、独自解釈で編集された議事録のようなものだったり、その後の会話や写真なんかで記憶が入れ替わったりという現象は当たり前に起こり得る。

    同じ会議に出席しながら、各々に印象や言葉、理解が異なる事はザラにあるのだ。あの時のアレが面白かったよねーと盛り上がっていても、自分にとっては、そうでもない、と。記憶を引き出して会話する時は相対的だから、その事象を持ち出して差異を指摘する事に虚偽性はない。

    古舘伊知郎は確かに凄いと思うのだが、思考をショートカットし、ヒューリスティックに脊髄反射的に言葉を発するため、薄っぺらさが気になる。猫に前頭葉はありませんからね、と間違いを養老孟司に指摘されるが、検閲なき検索エンジンみたいに論理構築されぬ散逸された言葉の繋がりや直感の近傍を引き出すだけ。

    記憶術としてローマンルーム法を用いるとの事だが、納得。論理的連結で解釈するのではなく、意味性を排除しても、絵面で覚え、語る事に慣れすぎたのだろう。そういう職業病もあると思うと面白い。

  • このお二人の対談、ということで興味深く読みました。
    当たり前だけど、対談、というのはそれぞれが尊敬の気持ちがあったり好意を持っていないとつまらないです。古館さんは養老先生を尊敬している、好意を持っているのがすごく伝わってくる。「あとがき」を読めばよく分かります。それに「そうか!」とか「なるほど」と先生の発言に感心している場面がよくあります。
    かたや、先生はそんな古館さんとの対談を楽しんでいる。あの"古館節"ともいえる語りに、先生が"引きずり込まれてる"みたいなところがあって、「俺は何を言ってるんだ(笑)」なんて発言がある。養老先生がそんな言い方するのは新鮮な感じかして、ご自身の著作ではあり得ないことと思います。これも対談ならではです。
    また、対談のおもしろさは、古館さんは喩えの話で、ご自分の過去の話がすごく具体的でそれ自体もすごいというかおもしろい。かたや、先生はそういう記憶はあまりないという。自分も細かく覚えている方でないから、古館さんの記憶力は驚異的と思うが、こんなところはお二人の違いが出て「記憶」というテーマの本としてもおもしろいです。
    さらに話している間に、"思い出す"というのも、対談の良さです。これは当人たちも、思いもよらない"収穫"になると思うし、読者にとってもそうです。

  • 記憶って、言葉なんだと改めて思った。
    言葉を知らない乳児の頃の記憶がないのは、そういうことかと。

    言葉だからこそ上書き保存ができ、記憶が変化していく。つまり記憶がウソをつく。

    想い出の味や匂いで喚起される記憶など、言語化できない記憶もある。
    失った手足の感覚(遺体・痒いなど)というのも、記憶の混乱である。

    視覚と聴覚は言葉と結びつく。
    視覚X言葉=文字
    聴覚X言葉=話し言葉

    視覚からの情報は一瞬で大量に。
    聴覚からの情報は時間がかかるが論理的に。

    絶対音感は原始的能力。
    進化の過程で音の高さよりも音の質の違いが重要となったのではないか。
    音程が狂っていても、同じ音楽と認識できる方が高等な能力。

    なるほど~と思うことがたくさん書いてあるが、肝心の「記憶がウソをつく!」は、日常的に実感している、分かりきった事実であるのが情けないところ。
    想い出がいつも美しいのも、もちろん記憶がウソをついているからである。
    現実はいつもそんなに美しくはないのだから。

  • 対談本ということもあり、中身は少々薄い。
    記憶というものが如何に曖昧で移ろいやすいものであるかと言うことがよく判る本である。
    特に養老先生が罹ったという「一過性全健忘症」の話は面白い。

  • えーと。
    学ぶ事とは、自分が変わってゆくこと。
    内面が変化することだそうです。

    つまり昨日の私は今日の私じゃないらしい。
    厳密にいえばね。

  • [ 内容 ]
    気づかないうちに記憶がひとりでに変わる!?
    養老孟司×古舘伊知郎、言葉の名人と博学の解剖学者が、“記憶”の諸相を縦横無尽に語り合う名対談、ここに復活。

    [ 目次 ]
    第1章 言葉を記憶する
    第2章 記憶は嘘をつく
    第3章 忘却とは“幸せ”の証明である
    第4章 “懐かしさ”はどこから来るのか
    第5章 身体が記憶する
    第6章 郷愁を誘う感覚の記憶
    第7章 日本人の脳の不思議
    第8章 記憶をリセットする

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著者プロフィール

養老 孟司(ようろう・たけし):1937年神奈川県鎌倉市生まれ。東京大学名誉教授。医学博士(解剖学)。『からだの見方』でサントリー学芸賞受賞。『バカの壁』(新潮社)で毎日出版文化賞特別賞受賞。同書は450万部を超えるベストセラー。対談、共著、講演録を含め、著書は200冊近い。近著に『養老先生、病院へ行く』『養老先生、再び病院へ行く』(中川恵一共著、エクスナレッジ)『〈自分〉を知りたい君たちへ 読書の壁』(毎日新聞出版)、『ものがわかるということ』(祥伝社)など。

「2023年 『ヒトの幸福とはなにか』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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