マイ・フーリッシュ・ハート

著者 :
  • 扶桑社
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  • Amazon.co.jp ・本 (229ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784594064068

作品紹介・あらすじ

日本の変貌に惑い、ライブツアーの狂騒に酔い、うつ病に苦しみ、友情に救われながら、今日もひたすらピアノを弾く。当代随一のジャズピアニストによる真摯で痛切なメモワール。精神科医・春日武彦との特別対談「ジャズとうつ」収録。

感想・レビュー・書評

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  • ジャズピアニスト南博が、NYのバークリー留学から帰国し、日本でのフリーのミュージシャンとしての仕事ぶりを描いた自伝的エッセイ。

    あるジャズフェスティバルで南さんの作った曲を聴き(残念ながら本人の演奏ではない)、それがものすごい美しい曲(曲名はわからない)で、どんな人が作ったのか気になっていたところでたまたま書店でこの本を見つけ、即決で買いました。

    独特の静謐で軽妙な表現は彼の音楽にも通ずるものがあると思います。第2章のアイスランドのエピソードが印象的でした。アイスランドの壮大な風景に感銘を受けた様子が凡人には思いつかない言葉で表現され、もしかしたら彼のこの感動があの曲に反映されたのかも、と勝手にリンクさせて、曲を思い出しながら読み進めました。

    アイスランドだけでなく、国際的な交友関係から派生する世界の文化に触れた話はどれも面白いです。中国ツアーの困難とか、デンマークの友人の話とか。
    ピアニストとしての話より、マネージャーやプロデューサー、ピアノの先生としての仕事もこなさなければいけない苦労がリアルに綴られており、音楽でメシを食っていくのは大変だなと思わせる面もあります。


    南博という音楽を構成する要素がちりばめられた良書。

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著者プロフィール

ジャズ・ピアニスト、作曲家、エッセイスト
1960年東京生まれ。1986年東京音楽大学器楽科打楽器専攻卒業。
ピアノを宅孝二、クリスチャン・ジェイコブ、スティーヴ・キューンに師事。1988年バークリー音楽大学から奨学金を得て渡米。ボストンを拠点に活動する。1991年バークリー音楽大学パフォーマンス課程修了。1990年代からはスイス、フランス、ドイツ、デンマークなどに活動の範囲を拡げ、ヨーロッパのミュージシャンと交流、ツアーを敢行。国内では自己のグループ「GO THERE」をメインに活動、綾戸智恵、菊地成孔、ジム・ブラック、クリス・スピード、与世山澄子との共演でも知られる。
文筆にも定評があり、著書に『白鍵と黒鍵の間に──ジャズピアニスト・エレジー 銀座編』(小学館文庫)、『鍵盤上のU.S.A.──ジャズピアニスト・エレジー アメリカ編』(小学館)、『マイ・フーリッシュ・ハート』(扶桑社)、『パリス──ジャポネピアニスト、パリを彷徨く』(駒草出版)がある。

「2021年 『音楽の黙示録 クラシックとジャズの対話』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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