イスラム飲酒紀行

著者 :
  • 扶桑社
3.76
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本棚登録 : 443
レビュー : 80
  • Amazon.co.jp ・本 (311ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784594064365

作品紹介・あらすじ

ブーハ、アニス酒、ベルベルウイスキー、イランの「ドブロク」、ラク、シャハバ・ワイン、アラク…etc.酒を禁じるイスラム圏でも、これだけの地酒が存在する-イスラム圏における飲酒事情を描いた"爆笑"ルポルタージュ。

感想・レビュー・書評

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  • よくもまあここまで酒を探す話で一冊の本が書けたものだと感心。
    著者はアル中に近いほどの酒好きのようだが、酒探しにまつわり、あれやこれやのおもしろエピソードが目白押しである。
    表向きは酒類厳禁のイスラム世界や愛嬌のある現地の人々が話をさらに面白くしている。
    やっぱり高野秀行のノンフィクションは面白い。

  • 旅行中だろうと、飛行機の中だろうと、アルコール禁止のイスラムの国だろうと、とにかく酒が飲みたい。

    酒飲みのそんな心の叫びを体現した一冊です。
    酒の美味しさって味&酔えることに加えて、大なり小なりある後ろめたさにあると思うのです。
    その背徳スパイスが、禁酒のイスラーム圏ならより効いてくるわけです。
    しかも、禁酒のはずなのになぜか手に入るイスラムの地酒とならば、なおさらのこと。

    酒をテーマにしてて、実際、イスラムの国々で酒を探すことに内容のほとんどが費やされていますが、本そのものはちゃんとした旅行記です。
    むしろ酒を通じて、イスラム文化にうまいこと切り込んでいることが面白い。
    とにかくイスラムって、公と私をきちんと分けているのです。
    だから人前でのアルコールはご法度でも、仲間うちなら平気。
    ちゃんと美味しいお酒や肴もある。
    人のいるところにお酒がある、ってことを見事に表しています。

    私、この本を読んでいる間、立ち飲み屋へいく頻度が妙に増えました。
    お酒と旅とイスラムが好きな人に読んでほしい一冊。

  • なぜか感想をアップしていなかったことに気づき、この機会に再読。高野さん、飲み過ぎでしょ!と突っ込みつつ、やっぱり笑ってしまう。ほんと、酒飲みってこうだよなあ。お酒のため、とりわけうまいお酒のためなら、いそいそと大抵のことは面倒に思わない。他のことにはズボラでも。

    表向き飲酒が禁じられているイスラムの国々だが、人々はやっぱりお酒を飲んでいる。高野さんはなんとか地元の人と一緒にワイワイやりたくて、ずいぶん怪しげなところにも足を踏み入れていく。読者も一緒にその場にお邪魔しているような臨場感たっぷりのエピソードを読んでいくうちに、イスラム社会の姿がぼんやり見えてくる。そこが最大の読みどころだろう。

    世界のどこでも人々は、その時々で移り変わっていく政治と宗教のあり方に翻弄されないではいられないが、それでも古くから根付いてきたその土地、その民族の文化はしぶとく息づいている。本書を読むとそのことが実感できる。

    たいそう面白いと思ったのは、バングラデシュのガイドで仏教徒のバイさんが「仏教では酒を厳しく禁じているのに、どうして私たちは酒を造って飲んでいるのだろう?」とつぶやくくだり。言われてみれば実にそうで、飲酒は五戒の一つ、殺人と並ぶ大罪なのだった。まったく不思議なことで、高野さんも「仏教圏最大の謎」としつつ、次のように書いている。
    「イスラム圏には裏表があるが、仏教圏には裏表では済まない曖昧模糊とした複雑な世界が広がっているのであった」

    この本は写真がたくさん収められていて、それがとても美しく、味わい深い。表紙に使われている写真も紺色が本当にきれいだ。いい本だなあ。

  • イスラム教国内で酒を飲もうと言う紀行集。一日たりともアルコールを欠かせないと言う作者の執念が面白い。イスラム教国内では基本的にアルコールはドラッグと同じように禁止されていると思っていたのだが、読んでみると意外と簡単にアルコールを入手しているのに驚かされた。あとがきで指摘されているようにイスラム国家では他の宗教は全く禁止されているイメージを持っていたが、飲酒が禁止とされていない宗教も国内に存在している。そういう人達の為のアルコールは必要だろう。独裁的なイメージを持ちがちだが、その部分で勉強にもなった。最初面白かったけど、最後のほうは飽きてしまった。ちょっとワンパターンかな。

  • 高野さん、一生懸命否定してるけど、やっぱりほとんどアル中だと思います(笑)
    イスラム圏に取材旅行に行きながら、必死でお酒を探すという高野さんらしいといえばとても「らしい」作品。結果的に現地で色々画策する様子を描くという、高野さんカラーも存分に発揮されてて、面白かったです。

  • とにかく飲んで飲んで飲んで飲みまくる本。笑
    飲酒が禁止されているイスラムの国々のはずが、ほぼ間違いなくお酒に出会えるところが面白い。
    お酒のために危ない橋を渡りながらも、その場でしか出会えない人との刺激的な出会いや逸話があったりして、お酒というものを通して現地の人々の生活や価値観などが見られてとても興味深かった。

  • 『私は酒飲みである。休肝日はまだない。』
    著者の酒愛が生み出す唯一無二のイスラム圏の飲酒紀行。一般の旅行者では到底到達できない、原則飲酒禁止のイスラム圏で酒を求めてさまよう。酒を通して、その土地の風土や文化、イスラム教の教科書からは伺いしれないような肌身に感じる本質が描かれている。著者しか行けないような場所や、いまやその場所すら存在会いないような場所(シリアやソマリア)の貴重な体験がある。これを読んで実際にその場所に行ってみたいとは思わないが、実際にその場所に流れる空気や酒の匂いまで感じられるようなルポ。

  •  イスラム教で禁止されている飲酒について、様々なイスラム国家でトライする海外旅行記。「イスラム教=禁酒」という何となくのイメージではなく自分の目と耳で一次情報にあたって実態を教えてくれるジャーナリズムの醍醐味に溢れている一冊だった。
     ひとくちに「イスラム教」と言っても当然様々なグラデーションが存在し、それが色んな国の比較で明らかになっていくところがオモシロい。そんな対比を可能にしたのは著者のお酒に対する執念。それが凄まじくここまで必死になれる対象が欲しいとさえ思えた。(煙草吸ってたとき、喫煙所を探すときは同じようなマインドだったかもしれない)
     飲酒はイスラム国家におけるグレイゾーンであり、彼らは本音と建前を使いながら飲んでいる人は飲んでいる。何でも白黒はっきりさせて遵法意識丸出しで生きることを強要される、こんな生き苦しい時代だからこそ、彼らは酒を飲む。

  • フィールドワーカー高野秀行氏が、酒が禁止されているはずのイスラム圏で、地酒を求めてさまよい歩く旅日記。

    お酒に興味がないので読み始めはそれほど興味を惹かれなかったけど、お酒欲しさに普通の人に発見しにくい現地のアンダーグラウンドな文化を見つけていく様子は、ちょっと面白かった。

    でも『謎の独立国家ソマリランド そして海賊国家プントランドと戦国南部ソマリア』があまりにも素晴らしかったので、こちらはあまり高い評価はできない。

    高野氏の本は、人の生活や文化は「理念」みたいな画一的なもんではなくて、もっと雑多で一貫性もあんまりなくて、猥雑で勝手な物なのだと気づかせてくれる。どこか松沢呉一氏の仕事と共通している部分があるようにも感じる。

  • トルコ旅行に行く前の予習本(仮)として旦那が借りてきた本。意外と面白かったのでとお勧めされたので読んでみた。

    そもそもこういったエッセイ的な本は自分からあまり手を出さないので、それだけでちょっと新鮮。
    宗教的にアルコールが禁止されているはずのイスラム圏に、アル中気味な著者が、仕事や思いつきで渡航するたび、お酒を求めて奮闘(笑)する。
    読了後の一言感想としては、『英語話せるようになりたいな~』という頭の悪いものでした。やっぱりお酒を飲んだら楽しくなるし、勢いで現地の人たちとお話できたらもっと楽しくお酒が飲めると思うんですよね。この著者は行く先々で現地の人たちと英語なり現地語なりで交流していて本当にすごい、お酒に対する執念だけでなく、尊敬する。
    あとは現地の人々の背景を知る(もちろんこれがすべてだとは思わないけれど)いいきっかけというか、いい本だったなと思います。イスラムは本音と建前、遠い国、全く異文化だと思っていた人たちも、私たちと同じ酒飲みで陽気なただの人間なんだなと思わせてくれる本でした。まあこの著者が異常にコミュ力高いだけなのではという見解もなくはない。

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