イスラム飲酒紀行

著者 :
  • 扶桑社
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感想 : 87
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  • Amazon.co.jp ・本 (311ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784594064365

作品紹介・あらすじ

ブーハ、アニス酒、ベルベルウイスキー、イランの「ドブロク」、ラク、シャハバ・ワイン、アラク…etc.酒を禁じるイスラム圏でも、これだけの地酒が存在する-イスラム圏における飲酒事情を描いた"爆笑"ルポルタージュ。

感想・レビュー・書評

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  • 私は酒飲みである。休肝日はまだない。

    禁酒のイスラム国で酒を求めてさすらう旅物語。筆者ほどの酒への渇望はないが、酒飲みであれば、休日にほろ酔いで読むときっと楽しい。
    各国の風景の写真は美しく、飲みながら撮影した写真はその国々の呑兵衛文化が垣間見えるのもまた楽しい。

  • よくもまあここまで酒を探す話で一冊の本が書けたものだと感心。
    著者はアル中に近いほどの酒好きのようだが、酒探しにまつわり、あれやこれやのおもしろエピソードが目白押しである。
    表向きは酒類厳禁のイスラム世界や愛嬌のある現地の人々が話をさらに面白くしている。
    やっぱり高野秀行のノンフィクションは面白い。

  • 旅行中だろうと、飛行機の中だろうと、アルコール禁止のイスラムの国だろうと、とにかく酒が飲みたい。

    酒飲みのそんな心の叫びを体現した一冊です。
    酒の美味しさって味&酔えることに加えて、大なり小なりある後ろめたさにあると思うのです。
    その背徳スパイスが、禁酒のイスラーム圏ならより効いてくるわけです。
    しかも、禁酒のはずなのになぜか手に入るイスラムの地酒とならば、なおさらのこと。

    酒をテーマにしてて、実際、イスラムの国々で酒を探すことに内容のほとんどが費やされていますが、本そのものはちゃんとした旅行記です。
    むしろ酒を通じて、イスラム文化にうまいこと切り込んでいることが面白い。
    とにかくイスラムって、公と私をきちんと分けているのです。
    だから人前でのアルコールはご法度でも、仲間うちなら平気。
    ちゃんと美味しいお酒や肴もある。
    人のいるところにお酒がある、ってことを見事に表しています。

    私、この本を読んでいる間、立ち飲み屋へいく頻度が妙に増えました。
    お酒と旅とイスラムが好きな人に読んでほしい一冊。

  • なぜか感想をアップしていなかったことに気づき、この機会に再読。高野さん、飲み過ぎでしょ!と突っ込みつつ、やっぱり笑ってしまう。ほんと、酒飲みってこうだよなあ。お酒のため、とりわけうまいお酒のためなら、いそいそと大抵のことは面倒に思わない。他のことにはズボラでも。

    表向き飲酒が禁じられているイスラムの国々だが、人々はやっぱりお酒を飲んでいる。高野さんはなんとか地元の人と一緒にワイワイやりたくて、ずいぶん怪しげなところにも足を踏み入れていく。読者も一緒にその場にお邪魔しているような臨場感たっぷりのエピソードを読んでいくうちに、イスラム社会の姿がぼんやり見えてくる。そこが最大の読みどころだろう。

    世界のどこでも人々は、その時々で移り変わっていく政治と宗教のあり方に翻弄されないではいられないが、それでも古くから根付いてきたその土地、その民族の文化はしぶとく息づいている。本書を読むとそのことが実感できる。

    たいそう面白いと思ったのは、バングラデシュのガイドで仏教徒のバイさんが「仏教では酒を厳しく禁じているのに、どうして私たちは酒を造って飲んでいるのだろう?」とつぶやくくだり。言われてみれば実にそうで、飲酒は五戒の一つ、殺人と並ぶ大罪なのだった。まったく不思議なことで、高野さんも「仏教圏最大の謎」としつつ、次のように書いている。
    「イスラム圏には裏表があるが、仏教圏には裏表では済まない曖昧模糊とした複雑な世界が広がっているのであった」

    この本は写真がたくさん収められていて、それがとても美しく、味わい深い。表紙に使われている写真も紺色が本当にきれいだ。いい本だなあ。

  • イスラム教国内で酒を飲もうと言う紀行集。一日たりともアルコールを欠かせないと言う作者の執念が面白い。イスラム教国内では基本的にアルコールはドラッグと同じように禁止されていると思っていたのだが、読んでみると意外と簡単にアルコールを入手しているのに驚かされた。あとがきで指摘されているようにイスラム国家では他の宗教は全く禁止されているイメージを持っていたが、飲酒が禁止とされていない宗教も国内に存在している。そういう人達の為のアルコールは必要だろう。独裁的なイメージを持ちがちだが、その部分で勉強にもなった。最初面白かったけど、最後のほうは飽きてしまった。ちょっとワンパターンかな。

  • 『私は酒飲みである。休肝日はまだない。』
    著者の酒愛が生み出す唯一無二のイスラム圏の飲酒紀行。一般の旅行者では到底到達できない、原則飲酒禁止のイスラム圏で酒を求めてさまよう。酒を通して、その土地の風土や文化、イスラム教の教科書からは伺いしれないような肌身に感じる本質が描かれている。著者しか行けないような場所や、いまやその場所すら存在会いないような場所(シリアやソマリア)の貴重な体験がある。これを読んで実際にその場所に行ってみたいとは思わないが、実際にその場所に流れる空気や酒の匂いまで感じられるようなルポ。

  • 高野さん、一生懸命否定してるけど、やっぱりほとんどアル中だと思います(笑)
    イスラム圏に取材旅行に行きながら、必死でお酒を探すという高野さんらしいといえばとても「らしい」作品。結果的に現地で色々画策する様子を描くという、高野さんカラーも存分に発揮されてて、面白かったです。

  • 私は酒飲みである。休肝日はまだない。
    お酒好きの高野さんが、イスラム圏でお酒を探し出して飲むお話。
    相変わらずの面白さ!!イスラム圏で、お酒とか大丈夫なん?とおもったが、結構大丈夫そうだった。どこでもお酒飲みたい人がいるんだなーと思った。(こそこそ探して飲んでいたが)
    イスタンブールのラク飲んでみたい!
    イスラム圏への理解も深まる?ので、おすすめです。

  • ブックカタリストなど複数のインターネットラジオで紹介されていて手に取った。そもそも、タイトルからしておかしい。イスラム=酒はNG、という自分たちの常識からすると、なぜ?となるし、飲めると言っても外国人向けの場所かな?と予想して読んでみたら裏切られた。

    酒が飲みた過ぎていろんな人に出会い頭に「酒は?」と聞くと、様々ながらも最終的にはどのイスラム国もみな隠れて飲んでいて、飲酒の幅が広いという話。しかも、家に連れて行かれたり、怪しげな路地に連れ込まれたりと、いやこれ危険すぎるだろ!と感じながら笑いながら読めた。

    最後の方の「仏教も厳しく酒を禁止されているのに…」という下りも印象的だった。

    とにかく、イスラム圏の印象も変わる良書だった

  • 前から知っていたことだが禁酒なんて国民が守るわけがない。全国民当たりの飲酒量で上位を占めるのはメキシコでもロシアでも無くイスラム圏が占めている。
    興味深い紀行文だ。

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著者プロフィール

1966年、東京都八王子市生まれ。ノンフィクション作家。早稲田大学探検部在籍時に書いた『幻獣ムベンベを追え』(集英社文庫)をきっかけに文筆活動を開始。「誰も行かないところへ行き、誰もやらないことをやり、それを面白おかしく書く」がモットー。アジア、アフリカなどの辺境地をテーマとしたノンフィクションのほか、東京を舞台にしたエッセイや小説も多数発表している。

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