借金を返済するために、侯爵のマイケルは貴族の称号を必要とする大富豪たちに、自身を競売にかける。
落札者は銀行家のジェイムズで、彼はマイケルに次女のケイトを選んだ。
ケイトは愛を重視し、結婚初夜にマイケルにこう告げる。
「愛情のない人とは床を共にしない。せめて好みの色くらい知らなければ」と。
よくあるヒストリカル物だと、ヒーローはいきなり抱きしめたりいきなり唇を奪ったり、そうして相手を翻弄とさせるパターンが多いので、そしてわたしはそれが好きじゃないので、こう考えた。
きっと小悪魔的な美貌の娘が、ヒーローを可愛らしく振り回すのだろうなーと。
ちょっとドタバタな風味の、面白いストーリーかと思ってワクワクして読んだ。
ら…、そんなわけなかった。ロレイン・ヒースだもの。
切なくて哀しい物語。って言っても美しいような切なさじゃなくて苦しい方。
今回、ヒロインをなかなか好きになれなくて、余計に苦しかった。
自分は他に愛する人がいて、愛せないくせにマイケルに愛を求めてることが。
マイケルの努力が切ない。
自分は与えられないものを、与えろと言うのはなんて残酷なんだろう。
アメリカの小説読んでると、日本人とはまったく違う人種なんだと思うことがよくある。
馬車から飛び降りたマイケルを追って、自分も飛び降りてぬかるみに足をとられてケイトが転ぶシーン。
マイケルの肩を強く押して、マイケルがぬかるみにひっくりかえると、大笑いするケイト。
ここって笑う所なんだ、とびっくりした。
マイケルの具合が悪いんじゃないかと自分も馬車から飛び出したのに、その具合が悪いかもしれない相手の肩を押すかね?それで転んだの見て笑うかね?
何故なんだ、アメリカ人!と厚切り並にわたしも叫びたいよ。
マイケルの努力が、本当に胸をキュンキュンさせる。
だから、そうさせてるケイトが前夫に気持ちを向けていること、おなじだけマイケルを慈しまないことが、辛い。
自分が以前結婚していて、もう生娘じゃないことは黙っていたくせに、マイケルが父親に競り落とされたことが分かると猛烈に怒るのも、自分を棚に上げて平気なのか?と思うし、相当読み進めないとケイトを愛せない。
だから、最後にケイトが自分の行いに気づいて、彼への愛を自覚してからは本当に良かったと思う。
ロレイン・ヒース、流石だなぁ。上手い。
しかし、読むのは辛い。
☆4つ。