私にふさわしいホテル

著者 :
  • 扶桑社
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レビュー : 207
  • Amazon.co.jp ・本 (227ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784594066833

作品紹介・あらすじ

「元アイドルと同時受賞」という、史上最悪のデビューを飾った新人作家・中島加代子。さらに「単行本出版を阻止される」「有名作家と大喧嘩する」「編集者に裏切られる」etc.絶体絶命のトラブルに次々と襲われる羽目に。しかし、あふれんばかりの野心と、奇想天外なアイデアで加代子は自分の道を切り拓いていく-。何があってもあきらめない不屈の主人公・加代子。これぞ、今こそ読みたい新世代の女子下剋上物語。

感想・レビュー・書評

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  • 若い女性作家があの手この手で世に出て行く話。
    奇想天外な成り行きに笑えます。

    中島加代子は小説家がよく泊まるという山の上ホテルに、締め切り目前の小説家然として、今年も自腹で宿泊する。
    賞はとったものの、元アイドルとの同時受賞という不運で注目されず、本が出版されないままなのだった。
    担当編集者の遠藤は、大学時代の文芸サークルの先輩でもある。
    遠藤のほのめかしを受けて、文壇の大御所作家・東十条のもとに入り込み、奇策を弄して‥?

    大御所で女好きというと、普通はモデルを一人しか思いつかないと思うけど、こんな無茶苦茶な役でいいんでしょうか(笑)
    意外な縁が続いて、老大家がいい味出してきます。
    実名で宮木あや子や朝井リョウが出てきて、いかにも内幕物風。
    でも宮木あや子は何もしないし、確か後輩?の朝井リョウも他で書いてることを言ってるだけ?のような気も。

    ことあるごとに、とんでもないことを思いつく加代子の才覚に大笑い。
    次々に危機を乗り越えて、予想外に早く出世することとなる展開ですが、最後はそんなに幸せそうでもないという。
    毒を含んだ展開。
    作家の業のようなものを自覚しているからでしょうか。

    柚木さん自身、最初の賞をとった後、すぐには単行本化されなかったよう。
    その間に妄想が膨らんだ‥?
    生意気盛りの若さを感じさせる筆運びで、面白おかしく、勢いよく書かれていて、何となく元気が出ます☆

  • 文芸あねもねで、最初だけ読んでいたけど、こういう展開だったのか。
    気に入らない相手からうまくすり抜けたり、騙したり、終始ドタバタ。小説を生み出す人の苦しさや、舞台裏を覗き見した感じ。時折出ていた実在の作家さんの名前のおかげで妙にリアルだった。本好きな人には嬉しい。
    ベテラン作家と基本的にずっと対立というかいがみ合っているんだけど、気づいたらなんでも言い合う友人なのかも、というラストのダンスシーンは良かった。恋愛ではない分清々しい。
    だけどなんだか全体的に物足りない感じが…

  • 笑えるには笑えるけれど、設定がありえなさすぎと思った。

    テーブルクロスを身にまとっただけで、帝国ホテルのメイドに見えたり、痩せて名前を変えたら、別人として通用したり。お教室だか展示会だかで知り合ったからといって、急に何日も家に泊まりこむような仲になったり。

    子ども向けではないのだから、もう少し現実的でないと、馬鹿にされているような気がする。

  • 軽いセリフにやりたい放題の主人公。ドタバタコメディで終わると思いきや、心に残るラスト。主人公が嫌な奴になって終わるなんて面白いじゃないか。今出会えて良かった本。
    皮肉なことに、ようやく目標を叶えると、人は保守的になったり、無気力になったり、傲慢になる。さて、そこからどうするのか?幸せの先にあるものを示してくれた本。純粋さを、ひた向きさを、飢えを、未熟さを、失ってはまた取り戻す、その繰り返しなんだ。人生にハッピーエンドはあり得ない。心の炎を消してはいけないと思った。

    2015.6.20

    引用

    一生己の空洞と向き合って、書き続けねばならないということだ。もっと飢えなければ。少なくとも、その年齢でプラダの黒に真珠を合わせるほど、保守的になるべきじゃないよ

    すべてを手にした自分をどう鼓舞するか。世界に迎合せずに、いかに己の良心を守り抜くか。これまでがプロローグだったんだよ。さぁ、ここからはますます苦しいぞ。

    最も大切な、己の力で取り戻すイノセンス。これから先、何度でも彼女はそれを失い、そして手にするだろう。

  • どのエピソードも最後はスカッとするのだけど、誰に感情移入しながら読めばいいのかわからないのでちょっと戸惑う。最初は、加代子視点で読めばよいのかと思ったが、段々加代子が暴走していき、予測不能になっていく。
    小説家が実名で登場したり、出版業界の裏側が書かれていたり、リアリティさは面白い。
    最後、ダンスはよかったけど加代子にはもっと幸せでいてほしかったな

  • 疾走感があって一気に読んでしまった。加代子がおもしろくて爽快なんだけど、でも恐ろしかった。表紙やタイトルからイメージしたかわいい雰囲気とは違い、長い復讐劇。ぞっとしました。読後に胸にもやもやとしたものが残っている。これで本当によかったの?って主人公に聞いてみたい。

  • 面白かった。加代子って可愛い。一般的な男性にはアピールしない可愛さだろうけど。すごい情熱!渡辺J?を思わせる東十条先生も人間らしくて。

  • 「どうせ盗むなら、売れっ子以外の本もちゃんと盗め!口惜しかったら自分が本当に欲しい本探して盗め!犯罪者のくせして、世の中のものさしに従ってんじゃねえよ!」(有森樹李)


    中島加代子の「売れたい!賞が欲しい!」ってパワーがハンパない。佳代子も東十条先生も読み進めていく内にどんどん素敵なキャラクターになっていく。
    また実際の作者さんたちが出てきて面白い。

    作中、「どこかに「木」が入ると売れる。」と話があったけど柚木麻子さんも意識して付けたのかなとふと思った。

  • 小説家になりたい女性が成り上がっていく物語。
    おとなしそうにみえて、強かな主人公に共感してしまう。
    小説家の孤独と嫉妬も描かれていて面白い。作中に実在の作家が登場するのが、リアルでなお良い。

  • 執念の女、中島加代子!!

  • 主人公は、多分、私は苦手なタイプ。
    なのに、ぐんぐん引き寄せられてしまう。
    いや、引きずられてしまう。(笑)

    どんな困難にも、逆風にも
    機転と根性と度胸で乗り切っていく。
    のし上がるためには手段を選ばないのだ。

    しかし、どうも主人公が嫌いになれない。
    滑稽な文学界の表現にも、くすっと笑ってしまう。

    何しろ、実名で作家も登場している。
    朝井さんなんてイメージどおりのキャラで笑ってしまった。
    作家の裏側なんて、近いものがあるのかもしれませんね。

    よくわからない爽快感がありました。

  • 遅咲き新人女性作家の成り上がり物語。
    ようやく新人賞受賞したものの、待ち受けるのは、さまざまなトラブル。
    しかし、野心あふれる彼女の不撓不屈な行動に笑えて、
    文学界・出版業界を巡る裏事情が楽しい物語。

    最初数ページ読んで、今回はおしとやかな展開なのかと思いきや、
    そこまでするか!のドタバタ劇に。

    新人作家・中島加代子と、文学界のドン・東十条、
    それに、先輩でもあり大手出版社の編集者・遠藤の3人の視点で展開される。

    特に、佳代子と東十条の掛け合いが爆笑。
    『スポットが当たらなかったら、スポットの前に飛び出せばいい。
     そう、それが成功する最速のルール』が信条。

    罵り合い、騙し合いつつも、お互いに、その文章力・力量は認めていて、
    ドロドロした感じは全く無く、笑って読める。
    かつてのコンビだった編集者・遠藤に、陰で二人を酷評しているの聞いて、
    お互い協力したり、東十条の本宅まで居候して、彼の妻と愛娘まで味方にしてしまったり
    と展開が面白い。

    その中にも、文学界・出版業界の裏事情も織り込んでいて、
    それって、書いて干されないのかなとヒヤヒヤする。
    新人賞の出来レースって、あのタレントかなとか、
    文壇のドンで、濡れ場描写・直林賞(直木賞)選者といえば、あの作家かなとか。

    そして、一般読者からの酷評が目に入りやすい現代ネット社会。
    大量消費される文学と、薄学な読者のから軽々しい批判。
    執筆するたいへんさという作家の心の声を聞いた。

    後半、加代子の復讐劇完了。
    『読解力のない人間』
    そこに、読者に対する挑戦を感じた。

    最後、編集者・遠藤の言葉。
    『作家に必要なのは、執念とハッタリ、そして己の力で取り戻すイノセンス。』
    イノセンスとは、「物語を書きたい」という純粋な気持ちということだろか?
    これからの作家を目指す者へのエールで締めくくられているように思えた。

  • この作家の本は初めて読んだけど、テンポが速く読みやすい!エンタメ小説。目的のためなら手段を選ばない主人公。登場人物がみんな割とやなやつなんだけど、誰も憎めない。ラストですっきり。

  • 念願の文学新人賞を受賞した加代子。
    華々しい文壇デビュー、栄光の日々を想像していたが、
    実際には、同時に新人賞を受賞した女優に話題をすべて持っていかれ、
    世間からは全く見向きもされず、受賞作の刊行すらしてもらえない…。
    自尊心をズタズタにさた加代子だったが、
    今度はあらゆる手段を用いて、作品掲載のチャンスをつかみ取ろうとする。
    大御所作家の原稿を阻止したり、別人になりすましたり…。
    はたして彼女はデビューできるのか?!

    柚木さん2作品目。
    途中までコメディチックなのに、
    最後には復讐劇に持っていくという。すごい!
    急展開っぷりに着地点を見失いそうでしたが、
    最終的には「この主人公ならやりかねない」と納得しながら読了しました。
    それだけキャラクターが、安定して奇抜で濃かったです。
    面白かったなー!
    柚木さんは終わりに向けて徐々に毒を盛ってくる作家さんなのかな?

    1つ気になったのは、
    実在する作家を出す必要性はなかったと思うのです。
    読者の予備知識に頼っている気がして、ずるさを感じてしまう。
    きっと朝井リョウさんとは仲が良いのでしょう。
    エッセイでぜひやってください。

    私みたいに好き勝手感想を書く読者がいるから
    作家さんも大変なのね。。。
    読者も、無責任にならず、誠実な心のある感想を書かないといけないですね。

  • 元演劇部、作家を目指す主人公が、苦難を、ここまでするか!
    というくらいなことをして乗り越え、活躍していく話です。
    面白くて一気読みでしたが、近くにこんな子が居たらいやだなぁ。

    文学界や出版業界の裏側はああいうものなんでしょうか。

    実在する作家さんや、たぶんこの人?と思う作家さんが出てきて、
    こんなに書いちゃって大丈夫? と心配します。

  • 柚木作品は「ランチのあっこちゃん」しか読んでいない。宮崎美子のすずらん本屋堂をみて、この本を読みたくなった。そんな気はしていたが、実物の柚木麻子は相当痛い人物だった。そんな作者があんなに照れて語る作品はどんなのだろう…

    元ネタがすぐわかる「小説ばるす」東十条のモデルだって、化けて怒り出しそうなぐらいすぐわかる渡辺淳一。直林賞も直球のもじりである。文鋭社は集英社? もはや歴史上の人物である三島由紀夫はともかく、朝井リョウetc.実在の小説家がぱんぱん実名で登場する。どこまでが現実で、どこからが妄想??
    手段を選ばない、はちゃめちゃな作戦、それを行動に移すバイタリティ。アホらしくて、どんどん引きつけられて、どんどん読み進めてしまった。そして時折みせる、作家の苦悩と本音がまた深くつきささる。人気商売で、実力の基準もはっきりしない世界なので、やっぱり芸能界と同じような裏はあるんだなぁ。実力だけでもコネや運だけでも通用しない、そして売れることとクオリティの狭間。エンターテイメントの世界は大変だ。

    そして柚木麻子は現実の世界でも、直木賞候補になり、本屋大賞候補になった。まさか、カンヌのレッドカーペットも実現するのか??

  • 「さくさく読めて、面白かったです。テンポもいいし、心が温まりました。この調子でよろしくお願いします。」

    文中のこの言葉がぴったり。
    もっと面白くなるかなーと思ったけれど、固有名詞に頼り、内輪話に終始し、主人公の傍若無人ぶりに可愛げがなくて辛かった。

  • 野心家の小説家、加代子の豪快な生き様。
    「スポットが当たらなかったら、スポットの前に飛び出せばいい。そう、それが成功する最速のルール!」

    アイドルと同時に受賞し注目されなかった屈辱のデビューから名前を変え、様々な手法でベテラン作家を陥れ、文壇をのし上がっていく。
    戦いを重ねた結果、陥れたベテラン作家とはお互いを刺激し合える友人となる。
    自身の作品が原作となった映画に同時デビューした落ち目のアイドルを起用するものの、それは主役に見せかけて脇役だったりと完璧な復讐も行う。
    なりふりかまわず突き進む加代子にも、途中でしょげたり勢いをなくしたりする人間らしさがあるから話にもついていける。
    大学時代の先輩である編集者に「自分が落ちる時は同じところまで一緒に落ちてきてほしい」と願うところは特に良かった。
    実在する作家が実名で出てくるところも面白い。

  • おもしろおかしく読める。
    いまいち主人公には共感出来ずといった所か。

  • 主人公の上を目指す姿に元気をもらいました。落ち込んでばかりで何もしていない自分はダメだなと反省しました。最後はそうつながるのかと復讐劇にびっくり。また元気のない時に読みたいな

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著者プロフィール

柚木麻子(ゆづき あさこ)
1981年、東京都生まれの小説家。立教大学文学部フランス文学科卒業。2008年に「フォーゲットミー、ノットブルー」で第88回オール讀物新人賞を受賞し、2010念二同作を含む初の単行本『終点のあの子』を刊行。2014年に『本屋さんのダイアナ』で第3回静岡書店大賞小説部門受賞。2015年『ナイルパーチの女子会』で第28回山本周五郎賞受賞、直木賞候補に。2017年『BUTTER』で直木賞候補。2019年、『マジカルグランマ』が第161回直木賞候補となる。

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