親の計らい (扶桑社新書)

著者 :
  • 扶桑社
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感想 : 7
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  • Amazon.co.jp ・本 (275ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784594068196

感想・レビュー・書評

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  • もう何か月も前のことになるが、この著者の新聞のコラムの内容が
    「差別的」だと非難されたことがあった。
    アフリカ人とは、他のことはともかく住まいは別々の方がお互いに良いという
    内容だった。
    私などは「そうそう!その通り!」と膝を打って納得したのだが、世の中には
    「差別」と「区別」を混同している人が多いのかもしれない。

    クリスチャンである著者は、聖書にも精通している。
    そのせいか書き方も比喩が多く、またその比喩が格段に上手い。
    言わんとすることをじっくり考えないと読み誤る。

    いいなぁと思う箇所がたくさん登場するが、惜しいことに著者自身の作品からの
    抜粋集なので、感動というには少し違う。
    読みながらこちらがだんだん成熟していくような、そんな一冊なのだ。
    潔く簡潔で、今の教育に欠落している部分を見事に言いきれているのは
    いっそ気持ちが良い。
    日ごろ言葉にはしなくても「たぶん、こういうことだろうなぁ」とか
    「ここをこうすれば良いのでは」と漠然と思っていることが、実に明瞭に
    示されている。
    例えば「教育はすべて強制から始まる」というのがそうで、何がいけないのかを
    子どもに明示できない大人は、ここだけでも読んだ方がよろしいかと。
    いえ、私もエラそうに言えないのだけどね。
    終盤に近いところで、「良い母親のいる家庭ほど子どもは学校に行かず友人も
    作らず、いつまでも家にいる」という箇所は、何度読んでもドキリとする。

    経験豊富な人生の先輩が、深い熟慮をもって子どもたちを導こうとしている本。
    その「熟慮」を、「親の計らい」と呼んでいる。良い言葉だな。

    • nejidonさん
      だいさん、こんにちは♪
      コメントありがとうございます!

      「公平」と「平等」について、あらためて辞書で調べてしまいました(笑)
      これ...
      だいさん、こんにちは♪
      コメントありがとうございます!

      「公平」と「平等」について、あらためて辞書で調べてしまいました(笑)
      これはかなりの高確率で、間違って使う人が多そうですね。
      「差別」と「区別」の間違いも、誤った平等主義の弊害かも。
      ひとは皆同じだとする考えは、非常に乱暴です。

      「良い母親」の箇所は、「良妻賢母」とは少し違います。
      子どもを、まるでお客様のように快適な環境におくことに専念する母親のことです。
      家事も堪能で料理もうまく、いつも穏やかで
      優しい母親。
      ・・・でも、そんな人いるんですかね?(大笑い)
      2015/07/21
    • だいさん
      菊の紋 のお歴々は当てはまるのではないですか?(そのような環境に"置かれて”いて、環境を変えることは"できない”のかも知れませんが)
      菊の紋 のお歴々は当てはまるのではないですか?(そのような環境に"置かれて”いて、環境を変えることは"できない”のかも知れませんが)
      2015/07/21
    • nejidonさん
      だいさん、再訪してくださってありがとうございます!
      菊のご紋のお歴々、ですか?
      どこぞのメディアが何を流しているのか全く存じ上げないので...
      だいさん、再訪してくださってありがとうございます!
      菊のご紋のお歴々、ですか?
      どこぞのメディアが何を流しているのか全く存じ上げないのですが、
      一般家庭と同じ尺度でははかれないのでは?
      伝統も慣習も家庭教育の指針も教育方法も、まるで違うと思いますので。
      背負うものが大きすぎて、想像さえつかないのですが(笑)。

      ところで「良い母親」は私の身内におりました。
      灯台もと暗しです。もう大笑いですわ。
      2015/07/22

著者プロフィール

1931年、東京に生まれる。作家。53年、三浦朱門氏と結婚。54年、聖心女子大学英文科卒。同年に「遠来の客たち」で文壇デビュー。主な著作に『誰のために愛するか』『無名碑』『神の汚れた手』『時の止まった赤ん坊』『砂漠、この神の土地』『夜明けの新聞の匂い』『天上の青』『夢に殉ず』『狂王ヘロデ』『哀歌』など多数。79年、ローマ教皇庁よりヴァチカン有功十字勲章を受章。93年、日本芸術院・恩賜賞受賞。95年12月から2005年6月まで日本財団会長。

「2023年 『新装・改訂 一人暮らし』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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