夜の経済学

  • 扶桑社
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  • Amazon.co.jp ・本 (269ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784594069162

感想・レビュー・書評

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  •  まともにデータのない「夜の世界」に対して、社会科学的な手法を用いてあれこれと推定してゆく切り口が面白い。社会科学的な思考法を学ぶと同時に、社会科学的な手法を用いた遊びの面白さもある。

     巨乳のほうが選ばれやすいとか、お尻よりも胸を好む日本のほうがセックス回数が少ないとか、「そりゃそうだよなぁ」と思う下世話な話も多くて面白い。さすがSPA.

     推定される月収といい、リスクに対する収入といい、リスクに見合っていないなぁ、というのが第一感だった。やはり貧困との関連が気になる。

  • 荻上作ってことで。夜の経済学をちょっと覗いてみたいってのもあったし。なかなかに興味深いデータが見られました。

  • 思ってたのと違ったが、統計学の観点から物事を捉える大事さを学んだ

  • 経済
    社会

  • <blockquote><b>荻上</b 2ちゃんでも生活保護受給者をパッシングは目立つから、下が下を叩くんだな、っていうイメージが合ったんだけど、もう少しシンプルで【貧困を想像できない人がより厳しい」ってことなんだよね。
    <b>飯田</b> だんだん、ジヌンが厳しいとは思っていない。「アタリマエ」だと本当に思っている、その「アタリマエ」観というのは、イデオロギーとはまた別なのかもね。一部のタカ派な人が大きく攻撃しているのが目立つけれど、実はそれは例外で、貧困文化からと多い人はむしろ声を出さずに静かにかららの首を締めていくという状況なんだ、

    <b>荻上</b>そういう人は自分が厳しいとは思っていない。「アタリマエ」だと本当に思っている。その「アタリマエ」観というのは、イデオロギーとはまた別物なのかもね。(P260)</blockquote>

  • 期待はずれ

  • 東大卒の明治大学の准教授が監修しており、なかなかここまでやるか〜という事が書かれている。

    都道府県ごとの風俗の値段の適性値段の式や、東大女は学校で彼氏を作らないとあとが大変など。

    割り切りの女についてもかなり触れている。店舗型より割り切り型で働き女性のほうが低学歴でコミュニケーションを求めない人が割り切りをやるとある。男性も同じで箱型は大卒が40パーセント以上利用するが割り切りは1割を切るなど。

  • カタログ取る際、カバー写真に目を奪われたので、読んでみた。夜のお仕事をしてる人は、やはり経済的に追い詰められてる人が大多数と読んで、一女性として、考えさせられた。

  • 経済学の飯田先生と社会学の荻上チキさんの著書。
    ヤバい経済学インスパイア本だけど、SPAでの連載が元となっている点でやや下世話な話題。
    なかなか世の中に公的な調査データのない分野にちょっとした切り口を入れた点は興味深い。
    分析自体は基本的に回帰分析のみだが、係数の解説などは冗長な気がして、分析結果の魅せ方が難しいという点で参考になった。
    ちょっとした暇つぶしネタかなぁという以上の感想はなかったが、まあまあ面白い。

  • データサンプル数に問題があることは著者たち自身も告白しているが、そのデータを用いてどのように考えるかには非常に参考になった。
    エラーを見つけるための統計、のような考え方は評価したい。

  • 『夜の経済学』
    著者:飯田泰之
    著者:荻上チキ
    装丁:岡睦 (mocha design)
    表紙絵:チカツタケオ
    撮影:難波雄史
    図版:松崎芳則 (Muse Graphic)
    DTP製:株式会社 Office SASAI
    出版社:扶桑社
    判型:四六判
    定価:1430円(本体1300円+税)
    発売日:2013/09/26
    ISBN:9784594069162
    https://www.fusosha.co.jp/books/detail/9784594069162

    【軽いメモ】
     一般向けに易しく書かれている。経済学に限定するより、社会科学の啓蒙書という方が自然かも(啓蒙より、データの提供とか、偏見の中和とかのほうが主眼)。
     風俗産業や貧困層などの世間実態が知られていない分野・階層(または、誤解が多い分野)にフォーカスしている。本書は、データをもとに議論するための、「たたき台」の本とのこと。

    【メモ】
    ・日本国内の風俗産業の市場規模は数兆[円/年]
    ・「夜」の世界に光を照らせ --『夜の経済学』著者・飯田泰之氏インタビュー (SYNODOS 2013年10月11日)
    http://synodos.jp/newbook/5836


    【簡易目次】

    1章
    フーゾク業界を経済分析
    フーゾク業界の経済規模3.5兆円以上
    日本人女性の3.6〜5.4%がフーゾク経験あり
    フーゾクの平均単価の地域間のばらつきは7.8%
    etc.

    2章
    個人売春(ワリキリ)を市場分析
    ワリキリ価格はその地域のファーストフード店の時給の20~25倍
    ハメ撮り・ナマ・自宅などリスクを受け入れる要因
    この4年間で売春の平均価格は1割前後も低下
    etc.

    3章
    夜のマーケットの需要と供給
    地域間のばらつき フーゾク価格<地域間経済格差<ワリキリ価格
    フーゾク顧客とワリキリ顧客の違い
    etc.

    4章
    「幸福な若者たち」って誰のこと?
    生きづらい!? 偏差値60以上70未満女子
    「希望」があると幸せな若者たち
    東大女子最強説
    etc.

    5章
    ニッポン社会的排除白書
    生活保護受給者に「就職・仕事用のスーツが必要」と答える人 37.2%
    〈外国人犯罪〉率25.9%と答える、日本人の寛容度
    etc.

    6章
    流言とデマの経済学
    需給ギャップをニセ情報が埋める
    被災地に多かった地震兵器、地震再来流言
    日本の情報教育を憂う政治家49%
    etc.

    7章
    アダルトメディアの夜明け
    メガアップロード摘発からア動ブ、東スポ、MAN-ZOKU、TENGAまで

    荻上チキ×飯田泰之 対談 「ここから議論の応酬を」

  • 20140815 まさに夜の経済学。サンプルを収集して夜の町を紐解いている。面白いけど、途中で飽きた。

  • 著者の言うとおり、とりあえずいろんな事実を知るってことは大切だと思う。
    断片的なデータから推論を重ねて結論を導き出す過程は、読んでいて勉強になった。
    これ、続編はあるのだろうか。あったらぜひ購入したいな。

  • ロジスティック回帰分析やフェルミ推定を使って、大真面目に夜の風俗業界を分析しているのが面白い。ファクトデータが「MAN-ZOKU」ネットだというのが笑える・・経済水準で調整してもやっぱり、ススキノと中州は割安。大阪市内もやや割安らしい。。
    ・風俗嬢は三十万人前後、市場規模は3.6兆円。
    ・ロジステッィク回帰分析で分析した結果、大学の偏差値が1上がることに処女である可能性は「4.2%」上昇するが、東大女子はマイナス96%ということで、東大女子はもてまくっている。在学中は最強!でも、卒業すると彼氏をみつけるのが大幅に難しくなる(と思われる。)ので、在学中に東大彼氏と付き合って結婚するのが勝ちパターンということでした。

  • 大変つまらなかった。
    統計によるデータ解析からみた日本の「夜」の経済学。しかしサンプル数が少なすぎるのに無理やりいじりまわして結論までもっていっているところが、なんかなあ、と思って興ざめ。
    中堅大学(偏差値60以上70未満)をMARCH(明治・青山・立教・中央・法政)と呼ぶなんて、初めて聞いたぞ。

  • 図書館でかりる。
    気鋭のライターがfreakonomicsに影響を受けてあまり手間をかけずにまとめた本だと思い込んでいたが中身は地道に収集したデータと堅実でそれでいて難しくならない分析手法によって社会を面白おかしく見せる本だった。おもしろかった。
    個人的には性風俗産業よりも日本の大学生の実態調査のデータに興味をひかれた。

    また5章ニッポン社会的排除白書は貧困に対する想像力にかけるであるとか、外国人や障害者に対して厳しい日本人の性向をデータで示す。(これについて決して日本人に固有の偏りではないと僕は信じているが)日頃なんとなく考えていたことを専門家に「統計的に有意」といってもらうことのカタルシスみたいなのはある。

    Freakonomics同様に次作に期待したい。統計学でドームランの謎に迫ってほしい。

  • フーゾクやワリキリの実態をフェルミ推計を用いて数値化する好奇心をそそるところからスタートし、貧困や幸福など社会問題にまで踏み込んでいく。データを見ることで逆張りが溢れるメディアに惑わされないなど、読む前の期待がいい意味で裏切られた。

  • 風俗、特に売春の職業に関するデータと観察である。データも推計であるが、何らかの精神的疾患をもっている割合が多いという結果は初耳である。橋本市長の蔑視感も問題にしている。買春者の職業、収入、学歴についても調べていることは新しい。本の後半は別のことである。

  • ○ノンフィクションライター荻上チキ氏と明治大学教授の飯田泰之氏の著作。
    ○フーゾクの経済状況といった、社会の裏側に存在する大きな市場について、そのスケールや活況を、具体的な数値にて表し、分析している。また、そこから見える“真の社会的弱者”について、その実態を明らかにしている。
    ○まず、自分の身近な出来事を、統計学等の知識を用いて、数値化し、合理的に分析していることが大変興味深かった。
    ○また、荻上チキ氏の徹底した取材及び文章構成に、つい引き込まれてしまう。

  • んまあまあ。メンバーで買いだったが、不真面目とされる分野を真面目に分析という組み合わせはわかるし、そこは良いんだけど、まだふざけられただろうというか、固さが残ってたのが残念。

  • 荻上チキ・飯田泰之のコンビが贈る、身近なようでいてよく知らない世界を掘り起こす企画。元が週刊誌のコーナーなのでそこまで深ーく、ゲンミツに、ではないけれど、手法も見えてくる内容も含めて、正直なところ「へぇー」という感じ以上でも以下でもない一冊。いや、面白かったんやで。

  • 経済学者と評論家のコンビが素晴らしい。


    いずれかの一人ではここまて深いデータ収集、仮説・モデル設定、統計学的分析は不可能だっただろう。フェルミ推定(シカゴにはビアノの調律師は何人いるか?)も利用し、日本に風俗店は何店あるか?を算出。その他、首都圏大学生の偏差値別行動分析。生活保護の分析。震災後のデマ。メディアは視聴率を稼ぐために珍しい事例しか取り上げないが、データは現実を明らかにする。

  • 稼働店舗と1店舗あたりの在席女性の数から、日本全国の
    風俗嬢の人数を30万人と推測。

    風俗嬢の平均月収は49万円、首都圏と地方のワリキリの
    平均金額の違いなど、まあ、風俗関連の数字について
    よくぞここまで仮説を立てたと、好きな人には面白い夜の経済学。

    ただ、ただのエロ経済の話ではなく、光ったのが後半部分の
    貧困・生活保護に関わる考察。
    それなりの所得を得ている人たちは、生活保護を受けている
    人たちに対して厳しい評価を下している、これはすなわち
    ”貧困を想像できていない”という指摘。数字が物語っているだけに
    間違いなく事実。
    (別のことでも触れて、著者は”自分にやや厳しく、他人には
    超厳しい”傾向と表現しています)
    そして、この結果が今の日本を覆っている、息苦しさにもなっているの
    ではないでしょうかね。

  • 射精産業の実態を統計的な手法で分析した本。
    学歴と性体験などに関する内容も一部の章で扱っている。

    なにか「やらしい」ことで、面白い内容があるかといえば、特にない。
    また、学術的な意味合いで、新しい発見、切り口があるかといえば、それもない。

    春をひさぐ女性の窮状が散見され、それに心ふさぐぐらい以外のなにも感じられなかった。

    少々残念。

  • いわばヤバい経済学の日本版。統計的手法を駆使して社会現象をあぶり出していく。
    タイトルが「夜の経済学」と言うだけあって、下半身よりの話題から分析が始まる。例えば、風俗嬢の割合を可能な限りの情報を駆使しながら執拗に推定していく(20人に一人が風俗嬢の経験を持つという結論は、肌感覚的には少し控えめにも思えるが)。そのほか大学偏差値別の童貞/処女率とか、まあ下世話な話に事欠かない。
    ただ、これはあくまで導入。話題が地域別の風俗価格の分析に入ったあたりから、性風俗産業というのが様々な格差を如実に表すものであることが明らかになる。そこからさらに、生活保護や流言飛語といった社会問題にまで踏み込んでいく。下世話な話はここに至るための誘導であり、本来的な目的は、データから冷静な分析・議論をしていこうという真っ当なもの。そうして集められたデータからは、例えば高所得者ほど生活保護に対する寛容度が低い、多くの日本人が外国人の犯罪率を実際より平均的に20倍も過大に評価しているなど、考えさせられる実態が炙り出される。もちろんアカデミックな分析ではないものの、こうした形で巷間印象だけで語られがちな現象に光を当てることは意義のあることだと思う。
    まあ、最後の最後で、アダルトメディアの分析をして、ふたたび下世話な下半身に戻って話をしめていて、このあたりはやはりSPA!の企画なんだな、という妙な納得感がある。

  • この手の本としてはかなりのヒット。

    本文にも書いてあるとおり Inspired by 「ヤバい経済学」で、公式統計がない風俗などの分野について、なんとかして統計データを作った上でクロス統計で分析を行う、というのを読みやすくまとめてある。人々はなんで風俗産業で働いているのか、とかね。

    「ヤバい経済学」を読んだ時と、知的興奮という意味ではやっぱり非常に近いんだけど、出てくる分析がフィールドが日本だけあって、特に階層社会の現状については全く他人事ではない頭が痛い分析がバンバン飛び交うので、読後感はちょっと重い。「ヤバい経済学」も重い話題は多いんだけど、やっぱりアメリカの話題だから微妙な対岸の火事的な感覚で読めちゃうしね。特に風俗とワリキリでの参加者の階層や意識の違いのくだりは、現代日本社会の参加者なら誰でもかなりグサッと来るんじゃないか。

  • 多くのメディアでは語られない、もし語られたとしても根拠の乏しい、夜の経済について、生真面目にデータを用いて分析している本。

    こういうサブカルチックな本は面白い。ただ、こういう本はよく、筆者の主観が多分にはいってしまうものだと思うが、この本はかなりの調査量に基づいたデータをもとに議論が進むので、現実味があり、とてもおもしろかった。

    正直、ブックカバーをつけて読むべきだったかなぁと今さらながら思っている所存である。

  • 法経図・開架 KW/2013//K

  • キャバクラ勤めしていた身として、興味津津。

  • よくぞここまで調べた。また、東スポを過去20年さかのぼって登場の多い源氏名を調べるなど、役に立たないと思われる情報も、本当に時間と手間をかけて調べた。この点だけでも敬意を表す。アンケート調査データの分析方法だけでも経済学の手法がわかり、勉強になった。

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著者プロフィール

1975年生まれ。エコノミスト。明治大学政治経済学部准教授。東京大学経済学部卒業後、同大学院経済学研究科博士課程単位取得。内閣府規制改革推進会議委員などを兼任。主な著書に、『経済学講義』(ちくま新書)、『これからの地域再生』(編著・晶文社)、『マクロ経済学の核心』(光文社新書)、『歴史が教えるマネーの理論』(ダイヤモンド社)などがある。

「2018年 『新版 ダメな議論』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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