保守の心得 (扶桑社新書)

著者 :
  • 扶桑社
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  • Amazon.co.jp ・本 (209ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784594070038

感想・レビュー・書評

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  • 「保守」について真面目に考察した目からウロコ本です。
    まず、国を守れなかった場合は「滅亡」ですが、筆者によれば8通りの形態があります。
    ①タスマニア(民族殲滅)
    ②カルタゴ、満洲(国家灰燼)
    ③チベット(民族奴隷化)
    ④旧ユーゴスラビア(国家解体)
    ⑤冷戦期の東欧(衛星国家)
    ⑥ワイマール共和国(内戦直前)
    ⑦ナポレオン時代のスウェーデン(国内代理戦争)
    ⑧三島由紀夫理論(ニュートラル)
    以上は、悲惨さの度合い順に並べていますので、⑤あたりからは独立国家としての尊厳が確保出来なくなる状態も含まれます。そして、筆者は今の日本を⑦だと定義します。形式上は主権国家ですが、実質は米国の属国だという点で。(最近では、媚中派や媚韓派も目立つ)
    次に「保守」「革新」も分類します。
    ❶共産主義者(日本国と日本政府が大嫌いな左派)
    ❷日本国は嫌いだが日本政府は好き(東大憲法学者や国家観無き官僚)
    ❸日本を愛するが故に政府を批判(吉野作造の様な愛国者)
    ❹日本が好きで政府を簡単に正当化(盲目的右派)

    本書では、櫻井よしこ氏も愛国ビジネス者として一刀両断。
    さらに国の借金についても、「あれは政府の借金であって国民の債権です。自分たちの借金返済が大変だから貸してくれた国民からカツアゲしようというのが増税です」とわかりやすい。
    その点で、財務省の口車に乗せられて増税を決定した安倍総理もやり玉に挙げています。

    日本の保守政治が、特に安倍総理亡き後、信じられないスピードで左傾化している今だからこそ、日本の歴史、伝統、文化を死守しようと真面目に考える人が読むべき内容となっています。

  • 199

  • KM2h

  • 伊勢神宮の正式名称は「神宮「閉じる毎日、日別朝夕大御饌祭と言う神事が行われています。1400年以上途切れることがありませんでした。
    比叡山延暦寺の中心には根本中堂があります。ここには「不滅の法灯」と呼ばれる灯火があります。これも1200年もの間、1度も消えたことがない。
    ●自民党改憲案の中身を開けてみれば、憲法案は単なる日本国憲法の焼き直しに過ぎません。現行の日本国憲法は、わが国が培ってきた2000年の歴史を断絶させ、昭和20年8月15日を新たな建国記念日にしようと言う憲法です。敗戦前の憲法を無視し、マッカーサーの落書きに過ぎない日本国憲法を改正したところで、敗戦国からぬけ出すことなど不可能です。つまり帝国憲法を元に作り直していくべきです。
    ●保守はもともと、フランス革命において「理性があれば何でもできる」と言う狂った革命派に対して、「ちょっと落ち着けよ」と言うスタンスから生まれたアンチテーゼでした。伝統とは何かと言うと、要するに「常識」の積み重ねです。
    ●ハマコー曰く「保守とは、日本を文明国として地球上に生存させること」だと主張していた。
    ●伝統と国益の二者択一があった場合国益を優先するのが保守の態度です。伊藤博文も、国益に耐えられない伝統は変えるべきであると、国益を取りました。
    ●日本の国家体制は、政治体制の上に天皇がいると言うことです。常に1番上には皇室があります。天皇が続いている限り、国体はギリギリのところで踏みとどまっていると言える。皇室と国民の絆が切れた時は、日本が日本ではなくなる瞬間だと言う訳です。
    ●「国家と政府は違う」政府と言うのは所詮、国家の部分集合です。国民の代表ではありますが、1部分に過ぎません。その政府が国民の愛国心を鼓舞し、やりたい放題にやっていた時期というのが、歴史の中に間違いなくあります。
    ●日本人が世間の空気に負けてしまうのは、この「議論する」と言うプロセスを抜くことに慣れてしまったからです。何か問題が起きたときに論ずることなく、いきなり多数決で決めてしまう。それが民主主義だと勘違いしているのです。
    ●インターネットの可能性として、国会で良い論争をしていたら、内容をすぐに拡散できる点があります。議論の上手な人がいたら褒める。注目すべき議員を自分で見つけ発言を追いかける。こうしたことが、実は1番身近で可能な「成熟した保守」の活動になると思います。
    ●明治初期、板垣退助と大隈重信による二大野党がやりたい放題。伊藤博文が匙を投げ、お前たちがやってみろと、2人の間に角が作られます。いわゆる熊いた内閣です。すると案の定内紛が激しすぎて危機に陥りました。他人の邪魔はできても、政権を担当する能力はなかったのです。これはいかんと言うことで、変な政治家が出てきても、代わりに政治が行える、試験に合格した人である公務員を、キャリア官僚として置いていくことにしたのです。
    ●所得倍増計画。あれは「10年で9 給料を2倍にする」と言う単純な話ではありません。当時は労働運動と革命運動の全盛期です。労働者の不満を爆発させ、政府を転覆させようとソ連が暗躍していました。そこで池田首相は「今すぐ政治活動をやめて10年間働けば月給は2倍になるのだから、みんなで真面目に働こう」と言ったのです。
    ●国の借金の話。固定相場制であれば、金の保有量しかお札は刷れませんから、借金は税金で返済するしかない。しかし変動相場制の場合は、政府の信用さえあれば、無限にお金が刷れます。
    ●憲法改正、条文は最後で構わない。まず方針を決めることが先決なのです。

  • とにかくこの人は攻撃的だ。既存の保守を否定して、こう考えるべきを提言してる。あまりかわらんけど。

  • 「保守」とゆーか、人として当たり前の事乃至知っておく事が著されています。
    右だの左だのとか、実につまらんもんです。

  • 保守とは国を守ることで、墨守でも、復古でもない。

    国を守るためには、憲法、財政、外交が大切。外交は当然軍事も含む。外交、軍事の前提に経済力が必要。
    米占領軍は、占領地の法律を変えるという国際法では絶対にやってはいけない非道を行った。日本の歴史文化伝統を破壊するために。
    非武装中立なんちゅう、二律背反な言葉はない。日本のいう平和主義は、無防備孤立に過ぎない。

    日本が敗戦国でないと困るのが今の世界だが、本当にダメになってる感。

    経済政策のところはよ判らなかったが、増税が財務省に押し切られた感覚は何となく解る。
    偏った本なんだろうが、それでいいんじゃないか。

  • 毎年、続編を書いてほしい!
    混迷する政局(というか、ドタバタ政治劇)
    に目をそむけていちゃダメだね。
    でも、これだけスッキリバッサリ事実を書いて、解説してもらって、初めてわかることばかりでした!

  • 保守がバカだと国は滅ぶ。
    政党近代化の重要性を説く貴重な本。

  • 非常に読みやすい。
    "伝統"と"因習"は違い、古くて悪いしきたりは捨てて新しいものを取り込むのが保守であるという考えは当たり前のようであるが斬新であった。
    江戸時代では文献が少ないがために自分の頭で考えて知恵を絞り出す必要があった。物が豊かであると人はダメになり、不足すれば想像し努力する。全てのことに言えるかもしれないと思った。
    空気を読むとは"他人を慮る"、周囲のご機嫌を伺うのではなく、悪しき空気を正しい方向に導くということ。自分には中々達成できないが、いつか(本当は期限を決めたい所だが)そうなりたい。

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著者プロフィール

憲政史家

「2023年 『これからの時代に生き残るための経済学』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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