嘘だらけの日露近現代史 (扶桑社新書)

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  • 扶桑社
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  • Amazon.co.jp ・本 (280ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784594072278

作品紹介・あらすじ

■著者待望の書き下ろし

■ロシアを知れば世界がわかる



ベストセラーとなった「嘘だらけシリーズ」三部作が帰ってきた! 

著者はまずロシアについて、これまで扱ってきたアメリカ、中国、韓国とは「本質が異なる」と告げる。

そして、「米中韓は『文明』を理解できない国でしたが、ロシアは『文明』を理解したうえで破る国です!」と喝破する。

モンゴル人のパシリ時代から約600年後、ナポレオン戦争に勝ち、大国となったロシア。

それから130年、ロシアを乗っ取ったソ連は第二次世界大戦後には地球の半分を支配する超大国になっていた。

いかにして彼らは興り、滅び、何度叩きのめされても這い上がることができたのか? 

殺戮、粛清、謀略――血塗られたヨーロッパ史をひもとくことで見えてきたロシアのサバイバル術とは? 

たった一度の敗戦で70年も敗戦国のままにされている日本にとって、学ぶべきヒントはロシアにあった。ロシアを知れば世界がわかる。

そして日本の問題点が明らかとなる。



【殺戮、粛清、謀略―ロシアのサバイバル術八大法則―】

一、何があっても外交で生き残る

二、とにかく自分を強く大きく見せる

三、絶対に(大国相手の)二正面作戦はしない

四、戦争の財源はどうにかしてひねりだす

五、弱いヤツはつぶす

六、受けた恩は必ず仇で返す

七、約束を破ったときこそ自己正当化する

八、どうにもならなくなったらキレイごとでごまかす

感想・レビュー・書評

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  • キーワードは、憎むべきだが尊敬すべき強国に学べ、です。

  • ノヴゴルドから始まってプーチンのロシアまで。日本が戦争に負けると途端に出番なくなって悲しい

  • 強かな国民性
    それがソ連でありロシアである。

    第二次世界大戦の勝者がソ連であり、日米英独伊全て敗戦国という主張は正に慧眼である。
    確かに英は戦後の独立運動により世界中の植民地を失い、「栄光ある孤立」は過去のものとなった。
    米はソ連の口車に乗って日本を滅ぼしてしまったがために、独りで共産・社会主義と対峙しなければならなくなった。全く後の祭りである。

    両国とも、共産・社会主義の危険性よりも、日本人という黄色人種の台頭が許せなかったのだろう。

    一般的に白人は長期視点で戦略的と言われるが、意外と短絡的で感情的であると言う事か。

  • 小説でもないのに珍しく星五つ。それほど感動し、知的興奮を覚えた。

    1618年の30年戦争勃発。1648年のウエストファリア条約で、のちの世界は第一次大戦まで、戦争は大国間のゲームと化す。ヴェルサイユ条約以後、世界は戦争を総力戦、撃滅戦と意識する。

    満州国を承認していた国は世界20か国。

    シベリア出兵は戦争をやめたロシアのせいで、チェコが孤立。ソ連に拉致されたことを受け、チェコ軍を救出するために行われた。結果は成功。ウッドローウイルソンのとんでもなさの記述。

    日ロ対立に仕向けたドイツ。

    満州で日本人拉致が横行。満州事変に至る。

    ノモンハンではどちらも勝ちなし。日本は3万で30万のソ連軍に打ち勝つ。航空戦では圧勝、敵を1673機破壊。179機の味方被害のみ。

    洗車戦は800両破壊、29両の味方破損。

    以上はソ連崩壊後の資料開示によって最近分かってきたこと。

    などなど、満州関連も含め、欧州と極東を関連させてその影響の行方を追っているので、とても面白かった。文中の著者のおふざけにも笑えて良し。

  • ヨーロッパが植民地支配した歴史的な事実を踏まえながら、ロシアの立ち位置、そして、ロシア人の思考方法、クセ、ソ連となった経緯、そして崩壊、そういう展開の中で、好むと好まざるに関わらずその歴史的な展開に参加せざるを得なかった日本の振る舞いが、一定整理された書かれた書物であります。
    内容ですが、
    第1章 ロシアの正体
    第2章 ロシア帝国の誕生
    第3章 アジアに優越する欧州五大国
    第4章 地球規模のグレートゲーム
    第5章 ロシアから見た幕末明治
    第6章 ロシアをつぶしたソブエト連邦
    第7章 悪の論理はスターリンに学べ
    第8章 ソ連はなぜ冷戦に負けたのか?
    終 章 ロシアの苦悩とプーチンの野望

    薩長史観、東京裁判史観に毒された現代日本の思考回路をいったん遮断して、地球規模で、ヨーロッパ社会がとってきた歴史的展開を学ぶのもよろしいようで(笑)。 

  • 著者が既存のロシア史に一石を投じた一冊。
    多少右寄りと感じるものの、色々と目から鱗の記述があった。

    特に下記の記述が印象的だった。
    著者が既存の中国史に一石を投じた一冊。
    「米中韓は『文明』を理解できない国でしたが、ロシアは無軌道に見えて『文明』を理解してます。これは端的に能力の差です」
    「米中韓の三国には、外国との約束も自分との都合で勝手に変更するという特徴があるのですが、彼らの意思が問題ではなく、能力的な問題だと考えた方がいいでしょう。
     一方、ロシアは米中韓のような文明を知らない野蛮国とは違います。彼らは文明を熟知したうえで破ります。(中略)ただし、外交における巧みさは異なります。」
    「本書で、なぜロシアが生き残ってこられたのかを粛々説明しますが、彼らの外交能力は卓越してます。たった一度の敗戦で骨抜きにされてしまった日本人が学ぶべきは、ロシアの面の皮の厚さです」

  • ロシア=ノヴゴルド+キエフ+モスクワ
    ノヴゴルド バイキングがバルト海からながれてきて現地スラブ人を征服して作った国 建国 862 キエフを首都 882

    ノヴゴルド公国 モンゴルに降伏 タタールの軛

    モンゴルの手下にされたけど、生き延びてどさくさに紛れて東ローマ帝国(双頭の鷲の紋章)の正統後継者になりおせた

    東ローマ帝国、ロシア 宗教的権威と世俗的権威が一致

    東方正教、カトリック(旧教)、プロテスタント

    イヴァン三世 タタールの軛から脱出

    当時のオスマントルコ ヨーロッパが束になってかかってもかなわない 1529 第一次ウィーン包囲作戦

    1571 レバントの海戦でヨーロッパ連合軍がまぐれ勝ち

    1618 三十年戦争 最後の宗教戦争 スェーデンビール 敵地の農民に人糞を食わせて殺す
    カトリック バチカン、神聖ローマ帝国(ハプスブルク)、スペイン
    プロテスタント オランダ、スウェーデン、イングランド

    スゥエーデン グスダフアドルフ 名将

    和議の会議 ウエストファリア条約

    1699 カルロビッツ条約 オスマントルコはハンガリーを神聖ローマ帝国に割譲

    1682 初代ロシア皇帝 ピョートル大帝
    1721 ニシュタット条約で大北方戦争は終結 バルト海の制海権を得る ヨーロッパの大国となる

    1701-1714 スペイン継承戦争 ハプスブルク家が継承していたスペイン王家を、直系皇嗣が絶えたのを機にフランスブルボン家が占めようとしたので、西欧諸国が干渉
    1740-1748 オーストリア継承戦争 ハプスブルク家の皇位継承をめぐる

    1756 露仏墺の三国同盟がプロイセンに宣戦布告 7年戦争

    ピョートル大帝 妻のエカテリーナにクーデターを起こされる

    墺(オーストリア、神聖ローマ帝国) ヨーロッパの真ん中にあるから戦争が絶えない

    1763 パリ講和条約 イギリス イベリア半島の南端 ジブラルタル要塞を手に入れた

    1762 イギリスはマニラを攻略 マニラはフランスの同盟国のスペインの植民地だったから

    徳川吉宗 漢訳洋書輸入解禁 長い目で見ると日本を亡国から救った

    田沼意次 賄賂政治は政敵松平定信がひろめた

    アメリカ独立戦争 イギリス本国に対する謀反人(アメリカ人)をフランスが黒幕として支援 本質は英仏戦争

    フランスが勝ったが、財政難に苦しみ、フランス革命

    池田理代子 女帝エカテリーナ

    スウェーデン グスタフ三世

    フランス革命の指導者 ロベスピエール

    フェートン号事件 イギリスの軍艦がオランダの船をおって長崎港へはいる 長崎奉行なにもできず 当番だったのに何もできなかった佐賀肥前藩 臥薪嘗胆、富国強兵 薩長土肥の一つとなる

    1814-15ウィーン会議 フランス革命から続いていたナポレオン戦争が終結

    露 外交官 ネッセルローデ
    イギリス カニング フランス タレイラン オーストリア メッテルニヒ ウィーンハーモニー

    パーマストン 帝国主義、砲艦外交、恫喝外交

    榎本武揚 官軍の大将黒田清隆にオランダで書き写した国際法の教科書を預ける
    新政府で黒田の側近として使える 1874 露公使海軍中将 
    樺太在住のロシア人によるアイヌ人女性への強姦事件
    1875 千島樺太交換条約 

    露土戦争 サン・ステファノ条約 トルコからブルガリアを切離し、ブルガリア大公国として独立
    ベルリン会議 独立国としてのブルガリア大公国は否認 主権はトルコに遺したまま、ブルガリアに事実上の独立をみとめる ロシアは名を捨てて身をとった

    1905/3/10 奉天会戦で南満州からロシア軍を追い出す のちに陸軍記念日

    ロシア革命 明石元二郎の工作

    小村寿太郎 弾薬が切れていたのを隠し通した

    1907 日露、日仏、英露の協商が成立

    1907 日英露仏の協商が、独墺伊の三国同盟を包囲

    石井ランシング協定 門戸開放機会均等のアメリカの主張を認める代わりに、日本の満蒙権益を承認させる

    亡命中の革命家のレーニンを列車で送り込む 封印列車

    ラバロ条約、ロカルノ条約

    第一次世界大戦 ロシアは敗戦国

    コミンテルン

    ノモンハン ソ連軍の方がはるかに甚大な被害を出していた


    関東軍特種演習 関特演 梅津美治郎総司令官 70万の軍勢が満州国に終結

    ウデマイヤーレポート 第二次世界大戦の勝者はスターリン

    日ソ共同宣言で敗戦時抑留された50万人が帰国できた

    プーチン 権力基盤はガスプロム ガスの輸出で設けている

    トルコ人に、日本は北方領土をどうやって取り戻すべきかと聞くと、戦争でとられたものは戦争でとりかえすしかないだろう、という、じつに国際常識にかなった答えが帰ってきた

  • 米中韓と違って、露は文明といものを理解している。
    相変わらずこの人の史観は面白い。
    ロシアの怖さ、凄さを感じさせてくれる一方で、今の日本のひ弱さをひしひしと思い知らされる。

    とても面白かった。
    が、米国は、国民もきっとああなんだろうと感じる。韓国も、まあそんな感じなんだろう。
    中と露は、政治と庶民の関係というか、国がそうだから国民もそうなのかってのが、よく判んないな。

  • ロシアほど「胡散臭い」国はないだろう。
    しかしよく知る必要はある。
    「米中韓は『文明』を理解できない国でしたが、ロシアは『文明』を理解したうえで破る国です!」

  • タイトルが面白そうで読んでみたのですが、ロシアのこと殆ど知っていなかったので、どの部分が「嘘」だったのか完全に分からない部分もあったかもしれませんが、初めて知ることが多くて楽しかったです。

    はしがきに著者の片山氏が書かれていますが、この本は、今までの三作(アメリカ、中国、韓国)に引き続いて、ロシアに関する「通史」世に出すために書いたそうです。通史は読む分には楽しいですが、書く方はとても大変だと思います。片山氏の長時間の研究作業の結果を、楽しみながら読めるのは幸せです。

    以下は気になったポイントです。

    ・第二次世界大戦前は、ソ連は、日米英独の四大国を敵に回して、いつ滅びてもおかしくない状態であったが、スターリンは、日米と英独の戦争を煽って、共倒れのように潰し合いをさせて見事に生き残った(p20)

    ・ロシアの中心は、欧州部分、ルーツをたどれば3つの国になる。ロシア=ノヴゴルド+キエフ+モスクワ(p23)

    ・東ローマ帝国は1453年に滅んだことになっているが、第四回十字軍によって1204年に崩壊した。それまでキリスト教世界の頂点は、コンスタンチノープルであったが、バチカンに移った。ローマ帝国の分裂から800年、西が東に勝った最初(p25)

    ・東ローマ皇帝は、コンスタンティノポリス総主教に優越する東方正教(オーソドックス)の長、ギリシア・ロシア・ブルガリア・セルビア等、国ごとに分かれているが仲間(p28)

    ・オスマントルコ帝国(現在では40カ国に跨る)は、1529年の第一次ウィーン包囲作戦で神聖ローマ帝国を、1538年には欧州連合軍を鎧袖一触した、それほど強かった(p31、53)

    ・30年戦争当時、カトリック陣営は、バチカン・神聖ローマ帝国(オーストリア・ハプスブルク家)・スペイン、プロテスタント陣営は、オランダ・スウェーデン・デンマーク・イングランドに分かれた。戦争は、カトリックのフランスがプロテスタントについて決着した。これが最後の宗教戦争となった(p36)

    ・徳川幕府の鎖国は、ポルトガルやスペインと絶交し、オランダ寄りの中立宣言をしたことに、欧州がだれも異を唱えられなかったことにある(p64)

    ・日本が英露代理戦争に巻き込まれることになったので、ほどほどの新興国であるアメリカと真っ先に条約を結んだ(p104)

    ・1861年にロシアが対馬に居座って港の租借を要求した、そこでロシアのライバルであるイギリスを頼った、その結果、ロシアは半年に及ぶ占領を切り上げた(p105)

    ・オーストリアは、普墺戦争(七週間戦争)で負けたが、ドイツ帝国の建国さえ認めれば領土、賠償金も不要という寛大な講和に同意した(p113)

    ・日露戦争後に、南満州は日本の勢力圏となり、大日本帝国に喧嘩を売れる国はなくなった。セオドアルーズベルトは、日本に勝つには、イギリス海軍とドイツ陸軍が必要だろう、と言った(p135)

    ・ウェストファリア体制は、文明国間の法であり、非文明国には適用されない。これをひっくり返したのが日露戦争。このルールが変更されたのが、第一次世界大戦(p167)

    ・二つの世界大戦は総力戦、そして大国が滅ぼされる時代になった。第一次大戦では、ドイツ帝国とオーストリアハンガリー帝国、ロシア帝国が滅ぼされた(p167)

    ・1933年に日本とドイツが国際連盟から脱退、34年にはソ連が加盟した(p194)

    ・米英の二次世界大戦の目的は、ヒトラーに侵略された東欧の解放、中国市場で権益を獲得する、であったが、いずれもスターリンに取られた(p215)

    ・イギリスは、ドイツとの本土航空戦では勝利し、ブリテン島に上陸させなかったが、植民地をすべて失い、戦後10年経過しても配給生活が続いて、フランスやイタリアよりも経済の立ち直りが遅かった(p216)

    ・朝鮮半島の39度線(38度線ではなない)こそが、大陸勢力と海洋勢力の国益がぶつかる地政学的な生命線である(p220)

    ・ファシズムとは、党が国家の上位にある体制、つまり、一国一党である。ナチスもそうであった(p227)

    ・1991年12月、エリツィンは、ウクライナとベルラーシを誘って、ソ連邦からの離脱を宣言した。これに8つの共和国が追随して、ソ連はあっという間に消滅した(p244)

    2015年10月11日作成

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著者プロフィール

憲政史家

「2023年 『これからの時代に生き残るための経済学』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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