夫のちんぽが入らない(扶桑社単行本版)

著者 :
  • 扶桑社
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本棚登録 : 2038
レビュー : 282
  • Amazon.co.jp ・本 (195ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784594075897

作品紹介・あらすじ

2014年5月に開催された「文学フリマ」では、同人誌『なし水』を求める人々が異例の大行列を成し、同書は即完売。その中に収録され、大反響を呼んだのが主婦こだまの自伝『夫のちんぽが入らない』だ。

同じ大学に通う自由奔放な青年と交際を始めた18歳の「私」(こだま)。初めて体を重ねようとしたある夜、事件は起きた。彼の性器が全く入らなかったのだ。その後も二人は「入らない」一方で精神的な結びつきを強くしていき、結婚。しかし「いつか入る」という願いは叶わぬまま、「私」はさらなる悲劇の渦に飲み込まれていく……。

交際してから約20年、「入らない」女性がこれまでの自分と向き合い、ドライかつユーモア溢れる筆致で綴った“愛と堕落"の半生。“衝撃の実話"が大幅加筆修正のうえ、完全版としてついに書籍化!

いきなりだが、夫のちんぽが入らない。本気で言っている。交際期間も含めて二十余年、この「ちんぽが入らない」問題は、私たちをじわじわと苦しめてきた。周囲の人間に話したことはない。こんなこと軽々しく言えやしない。
何も知らない母は「結婚して何年も経つのに子供ができないのはおかしい。一度病院で診てもらいなさい。そういう夫婦は珍しくないし、恥ずかしいことじゃないんだから」と言う。けれど、私は「ちんぽが入らないのです」と嘆く夫婦をいまだかつて見たことがない。医師は私に言うのだろうか。「ちんぽが入らない? 奥さん、よくあることですよ」と。そんなことを相談するくらいなら、押し黙ったまま老いていきたい。子供もいらない。ちんぽが入らない私たちは、兄妹のように、あるいは植物のように、ひっそりと生きていくことを選んだ。(本文より抜粋)




こだま

感想・レビュー・書評

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  • 学校に通って卒業して就職して、結婚して子どもを持つ、いわゆる普通の暮らしが当たり前で、それができない人は「欠陥品」。そんな価値観が21世紀の現代もどこかにまだ残っているように思うことがある。石を投げられることはなくとも、道の真ん中を堂々と歩けないような、そんな感じ。だから結婚しないんじゃなくてできない、子どもを持たないんじゃなくてできない、そういう捉え方をされてしまって苦しんでいる人がたくさんいるのだと思う。

    夫のちんぽが入らない、本当に衝撃的なタイトルで、タイトルを聞いてから手に取るまでにかなり時間がかかってしまった。でも、読んでよかった。人生は人それぞれ、価値観も、身体も心も、家族のあり方も、人それぞれ。目の前の人の考え方や生き方を否定することなく最大限尊重できる人でありたい。他人に対しても、自分に対しても。

  • ネットで初めて見た時のタイトルの衝撃。
    本屋に勤める身としては、お客さんにこのタイトル言わせるわけにいくめぇ、とPOPを書いていてふと気づく。・・・・生まれて初めて書きました、このワード・・・・しかもサインペン。
    そして即完売。

    コミックエッセイみたいに軽めに書いてあるのかと思ったら、この「入らない」ことより他の悩みが重くて。よく生きてきたなこの人、この夫婦、と思ってしまった。「この人がいいんです」と言ってくれる旦那様。「入れられなくてもいいんです、愛し合ってますから」と言ってくれる旦那様。美談。
    という感じで終わるのかと。全然違った。

    私の友人も教師になって心を壊して、久しぶりに会ったら2~3倍に体は膨れ、言動もおかしくなっていた。優しくて、真面目な子だった。
    心も体もボロボロな奥さん。ご主人もそうとう苦しかったろう。「他の人のは入った」ことはご主人知ってしまったんだろうか。

    どの悩みも、なぜすぐ病院に行かない。
    何も解決してないし。
    「私も同じ悩みを抱えているんです」という女性がもし読んでも、痛すぎる表現にまた引っ込み、プラスになることはないかも。

  • 夫婦のあれこれを楽しく買いてある本かな?と思って購入。
    ぜんぜん…重〜い気持ちになりました。

    夫婦はできればSEXやボディコミュニケーション(寄り添って眠るでも良いし手を繋いで歩くでも)がある方が仲良く暮らしていけると考える私にとって(もちろん、絶対ではないし、違っても仲の良い夫婦はたくさんいると思う)、この夫婦の、『入れる』『入らない』『他の人と』という行為に、とても気持ちが悪くなった。

    精神的な事で入らないのなら、なおのこと、違う形で寄り添える夫婦でいられなかったのか…な。

    けれど、本には表せない、私には分かり得ない、いろんなことがあるんだろうな…

  • H30.11.17 読了。

    ・タイトルが気になって、手にとった本でした。内容は深いですね。チンポが入らない理由は・・・。でも、夫婦が紆余曲折しながら、よくぞ20年も連れ添ってきましたねと感服しました。こだまさんの夫がこの本を手にするのはいつのことやら。

    ・「『どん底』を持っているだけで、私は強い気持ちになれる。」
    ・「誰とも比べなくていい。張り合わなくていい。自分の好きなように生きていい。私たちには私たちの夫婦のかたちがある。」
    ・「私は目の前の人がさんざん考え、悩み抜いた末に出した決断を、そう生きようとした決意を、それは違うよなんて軽々しく言いたくはないのです。人に見せていない部分の、育ちや背景全部ひっくるめて、その人の現在があるのだから。それがわかっただけでも、私は生きてきた意味があったと思うのです。」

  • あるいはこれが小説なら、「救いがない」の一言で片付けてしまうかもしれない。しかしこれは1組の夫婦の人生であって、他人がどうこうと批評したり、まして結論づけたりできるものではないと思った。

  • このストレートなタイトルもあり、話題になっていることは知っていましたが、ひょんなことから手に入り、読み始めたら一気に終了。
    タイトルから想起されるイメージとは裏腹(どんなイメージなんだ)に、内容はとても真面目。
    母娘関係、男女・夫婦関係、性愛について、学校教育の問題、教師のおかれた現状など、ずっしりと重い問題なのだが、軽妙な筆致でずんずんと読ませてくれる。
    タイトルに臆することなくぜひ手にとってみて頂きたい一冊。

  • 図書館で借りるときにどんな顔をしたらいいのだろうかと思っていたが、白地に銀色の文字というパッと見わかりづらい、とても素敵なカバーのおかげでそんな心配は必要なかった
    内容はわたしにはとても苦しいものだった
    でもやめたくなくて一日で読み終えてしまった
    久々の読書だし、普段ならすぐに眠気に襲われてなかなか進まないものなのに……
    「入らない」という言葉が初めはおかしかったのに、おしまいの方では泣きそうになった
    『私たちが本当は血の繋がった兄妹で、間違いを起こさないように神様が細工したとしか思えないのです。』という部分は切なく、印象的
    以前から気になっていたもののタイトルが……なんて思っていたことが恥ずかしくなるくらい、とても有意義な時間だった

  • すごかった。読んでよかった。
    言葉にするのを躊躇うようなタイトルだけど、内容はさらに衝撃的。

    性交渉できない夫婦関係に加えて、あこがれだった教員としても上手く行かず、精神病を煩いながら、親や世間に普通を押し付けられながら生きていく筆者の、重たい人生が綴られます。
    重いだけではなく、自虐的なユーモアもあるので、クスッと笑えてしまうところも多い。真面目に読んでるタイミングでズルイと思いました。
    癖になる文章でした。

    以前読んだコンビニ人間を思い起こさせるような感覚がありました。
    語る人もズレているかもしれないけれど、その人に「普通」を押し付けて追い詰めていく構図がそう感じさせたのかも。

    結婚や子育ては人を成長させるし、とても貴いものではあるけれど、この世の中には様々な事情を抱えた人たちがいて、それが出来ない人もいる。
    歪みがあったり、健全ではなかったり、そういうことがあると正常化しようとする人は多いのだけど、歪むことでバランスをとっている人もいるし、そのあり方でないと生きていけない人だっている。
    ここまで壮絶ではないにしろ、この人の辛さは共感できる部分もあったし、自分ごとで気づくことも多い本だった。

    兄妹のように寄り添う夫婦のあり方に、惰性ではなく、切れない繋がりがあって一緒にいるのを感じた。
    愛だの思いやりだのとも少しちがった寄り添い方で、お互いを尊敬している部分も確かに感じて…本人たちにしかわからない感覚もあるんだろうけど、こういった夫婦のあり方は新鮮に感じました。

    胃にくるような重たい話です。
    こんな夫婦もいるんだという事実を知れてよかったと思うし、世の中の「普通」から外れて苦しむ人や、人に言えないことを抱える全ての人にとっても読む価値のある本だと思う。

  • ''でも私は目の前の人がさんざん考え、悩み抜いた末に出した決断を、そう生きようとした決意を、それは違うよなんて軽々しく言いたくはないのです。
    人に見せていない部分の、育ちや背景全部ひっくるめて、その人の現在があるのだから。''
    (本文引用)

    著者は自分の育ちや背景全部をさらけ出した上で、問いかけたかったのだと、これが言いたかったのだと、最後まで読んでわかった。
    夫婦はセックスをする。
    夫婦は子どもを産む。
    それって当たり前なの?
    それができない/しない夫婦は変なの?可愛そうなの?と。

    たぶん「夫婦が子どもを産む」ことだけじゃない。世の中には「それが自然」というどこか強制力をはらんだ空気が様々な場面でそこかしこにある。
    少なくとも私はそんな空気に当てはめられたくないし、無条件に当てはめることもしない人間でありたいと思った。著者のいう通り、人には人の考えや事情があるのだから。

    あと思ったのは、
    大多数の人ができることが、自分にはできない。
    それってその行為ができないことによる実害を被るだけじゃない。自尊心まで傷つけられるのだということ。
    そしてそこから自分に入った亀裂のような傷は、関係ないことのダメージでも深くなり、膿んでいく。時に自分で自分を攻撃しながら。
    そんな私自身にも身に覚えがあることを改めて突きつけられた気がする。

    途中、読んでいて正直しんどかった。
    でも読んで良かったと思う。
    自分たち夫婦のあり方は時間をかけて自分たちで見つけていこう。そう思った。

  • 読ませる文章だなぁと思った。猥雑な下ネタなのにどこか神々しくもあり、言葉変だけど意志のある下ネタというか、リアリティのある下ネタというか、むしろ下ネタなんだけど下ネタじゃない単語をVLOOKで充てたいというか。

    切実な問題だなぁと思う一方、もしも普通に入っててできないかったのなら、方法がたくさんある分、もっと苦しかったんだろうな。入らないことがある種逃げ道になっていたんじゃないかなと。

    奥さんが先生ってのは、確かに身につまされる話で、うちと同じ状況。何か不審に思われてたり、言われてたりするんだろうな。こども早く欲しいな。

    子作りを日本の将来のためとまで飛躍して、かつ神格化する人が周りに多いけど、それはこどもを持ってからもしくは妊娠、してからそう言うようになったんだろうし、それってずるくないか。ボランティアに偶然出会った人が、ボランティアしない人なんてちょっと人としてどうなのかって思っちゃうみたいな?そうなってからそうあるべきだって振る舞うのはずるい。

    まあおいといて、不遇な状況にもがき苦しむ中で、自分の人生の使命を見つける、人生の意味を見つけることで幸せになれる、最近読んだ本に書いてあったテーマに関連があってタイムリーだった。

    すっと読めるわりにはテーマ濃くてコスパ高いと思う。

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著者プロフィール

こだま
主婦。同人誌『なし水』で話題になり、その短編を元にした私小説『夫のちんぽが入らない』で2017年1月デビュー。「ブクログ大賞2017」エッセイ・ノンフィクション部門にノミネートされ、Yahoo!検索大賞 2017小説部門を獲得し、2018年には第34回「講談社エッセイ賞」受賞。2018年5月21日発売の『ヤングマガジン』25号からコミックとして連載される。2018年1月、2冊目の単行本『ここは、おしまいの地』を刊行。
2018年9月14日、『夫のちんぽが入らない』が講談社から文庫で刊行される。

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