夫のちんぽが入らない(扶桑社単行本版)

著者 :
  • 扶桑社
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本棚登録 : 2296
レビュー : 315
  • Amazon.co.jp ・本 (195ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784594075897

作品紹介・あらすじ

2014年5月に開催された「文学フリマ」では、同人誌『なし水』を求める人々が異例の大行列を成し、同書は即完売。その中に収録され、大反響を呼んだのが主婦こだまの自伝『夫のちんぽが入らない』だ。

同じ大学に通う自由奔放な青年と交際を始めた18歳の「私」(こだま)。初めて体を重ねようとしたある夜、事件は起きた。彼の性器が全く入らなかったのだ。その後も二人は「入らない」一方で精神的な結びつきを強くしていき、結婚。しかし「いつか入る」という願いは叶わぬまま、「私」はさらなる悲劇の渦に飲み込まれていく……。

交際してから約20年、「入らない」女性がこれまでの自分と向き合い、ドライかつユーモア溢れる筆致で綴った“愛と堕落"の半生。“衝撃の実話"が大幅加筆修正のうえ、完全版としてついに書籍化!

いきなりだが、夫のちんぽが入らない。本気で言っている。交際期間も含めて二十余年、この「ちんぽが入らない」問題は、私たちをじわじわと苦しめてきた。周囲の人間に話したことはない。こんなこと軽々しく言えやしない。
何も知らない母は「結婚して何年も経つのに子供ができないのはおかしい。一度病院で診てもらいなさい。そういう夫婦は珍しくないし、恥ずかしいことじゃないんだから」と言う。けれど、私は「ちんぽが入らないのです」と嘆く夫婦をいまだかつて見たことがない。医師は私に言うのだろうか。「ちんぽが入らない? 奥さん、よくあることですよ」と。そんなことを相談するくらいなら、押し黙ったまま老いていきたい。子供もいらない。ちんぽが入らない私たちは、兄妹のように、あるいは植物のように、ひっそりと生きていくことを選んだ。(本文より抜粋)




こだま

感想・レビュー・書評

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  • H30.11.17 読了。

    ・タイトルが気になって、手にとった本でした。内容は深いですね。チンポが入らない理由は・・・。でも、夫婦が紆余曲折しながら、よくぞ20年も連れ添ってきましたねと感服しました。こだまさんの夫がこの本を手にするのはいつのことやら。

    ・「『どん底』を持っているだけで、私は強い気持ちになれる。」
    ・「誰とも比べなくていい。張り合わなくていい。自分の好きなように生きていい。私たちには私たちの夫婦のかたちがある。」
    ・「私は目の前の人がさんざん考え、悩み抜いた末に出した決断を、そう生きようとした決意を、それは違うよなんて軽々しく言いたくはないのです。人に見せていない部分の、育ちや背景全部ひっくるめて、その人の現在があるのだから。それがわかっただけでも、私は生きてきた意味があったと思うのです。」

  • 学校に通って卒業して就職して、結婚して子どもを持つ、いわゆる普通の暮らしが当たり前で、それができない人は「欠陥品」。そんな価値観が21世紀の現代もどこかにまだ残っているように思うことがある。石を投げられることはなくとも、道の真ん中を堂々と歩けないような、そんな感じ。だから結婚しないんじゃなくてできない、子どもを持たないんじゃなくてできない、そういう捉え方をされてしまって苦しんでいる人がたくさんいるのだと思う。

    夫のちんぽが入らない、本当に衝撃的なタイトルで、タイトルを聞いてから手に取るまでにかなり時間がかかってしまった。でも、読んでよかった。人生は人それぞれ、価値観も、身体も心も、家族のあり方も、人それぞれ。目の前の人の考え方や生き方を否定することなく最大限尊重できる人でありたい。他人に対しても、自分に対しても。

  • 夫婦のあれこれを楽しく買いてある本かな?と思って購入。
    ぜんぜん…重〜い気持ちになりました。

    夫婦はできればSEXやボディコミュニケーション(寄り添って眠るでも良いし手を繋いで歩くでも)がある方が仲良く暮らしていけると考える私にとって(もちろん、絶対ではないし、違っても仲の良い夫婦はたくさんいると思う)、この夫婦の、『入れる』『入らない』『他の人と』という行為に、とても気持ちが悪くなった。

    精神的な事で入らないのなら、なおのこと、違う形で寄り添える夫婦でいられなかったのか…な。

    けれど、本には表せない、私には分かり得ない、いろんなことがあるんだろうな…

  • こんないい意味でタイトルに裏切られた本は初めてだ。タイトルで敬遠されてしまうのがもったいない。すごい衝撃。最高!この本に出会えて良かった!!

  • この作者は面白い。
    オイルを塗り続けることの健康被害について考えたり
    大仁田こそ流血すべきという筆記には
    密かにファンになりそうなほどだった。笑笑

    読み進めていくと、意外な展開だった。
    まじか、と思った

    個人的に、グッときたのは
    自殺してしまいたい人の考え方に触れることができた気がするからだ

    自殺したいと思う作者とが書いた本を
    自殺しないでと思いながら読むわたし。
    とても勉強になった。

    子供を産むってなんだろう。
    産むことが当たり前だと思っちゃいけない。
    いままでの人生で起きてきたことが当たり前だと思っちゃいけないと、学びました。

  • この感想が適切かはわからないけど、すごく良かった。なぜ適切かわからないと濁すか。それは、作者はきっと自分の人生について、夫を含めて最終的には肯定的に見ているように見えるのだが、読者である私からだと主人公だけが我慢しすぎてかわいそうだと思ってしまうから。
    教員、そして家庭生活の日々の中で唯一の捌け口だった、日記を書いていたサイト。主人公はサイトを訪れた相手の欲のままに抱かれるが、ずっと後になってから最初に会った男に指摘されるまで、実はそのサイトが出会い系だと気付かない滑稽さ。たとえ主人公がその日記に日々の苦しみを綴っていても、結局はそういうキャラ作りだと思われてしまう。これってなんて酷い話なんだろう。
    酷いのは夫もだ。入らないからって自分だけ咥えさせて顔射して寝る??夫とその後一緒にお風呂に入り、顔を洗っているとかならまだ愛があるけど、そんな性行為で主人公が得るのは虚しさだけだ。
    顔射する人間は女性の尊厳を傷つけていると思う。もっとも、主人公がそれで快感を覚える性癖なら何も問題ない。しかしどうもこだまさんの文章を読むと、そこに主人公が快感を得ている描写がないのだ。だからかわいそうという感想が浮かんでしまうのかもしれない。
    主人公がセックスで存在意義を感じるのはいい。それは勝手だ。しかしなぜ主人公に関わる全ての男、そして夫は、自分だけの欲求を押し付けばかりで、主人公と共に気持ちよくなることを考えていないのだろう。どうしてそんな男に囲まれた人生でも、主人公は肯定的に捉えられてしまうのだろう。

    ここまでが、読んで悲しくなったところ。
    「良かった」というのは、多くの女性が感じるであろう心の機微を文章にしてくれたこと。私も存在意義を感じたくて、気持ちよくないセックスをしたことだってある。そのとき感じた充実感と虚しさをここまで文章にしてくれた作品は今まであまり出会ったことがない。
    そしてその二つの感情を私が抱いていたのは若かりし頃の話だ。この主人公で言えば、処女を捨てた頃合いか。決して結婚してからではない。過去には自暴自棄なり、教員になってからも傷つき辞めた私も、今では人並みの幸せを夫と得ている。
    そう、これがすべてフィクションであるなら、私は問答無用で☆5を付けた。痒いところに手が届く最高の文学だから。ただ、実際にこの日本を生きる女性の随筆だからこそ、☆5は付けられなかった。

  • この本が出版されてから、本屋さんには
    若い女性の店員にこの本のタイトルをわざわざ言わせようとする男性客が押し寄せたり、
    冷やかしの電話がたくさんかかってきたそうです(アホか)
    そんな話を先に聞いてしまっていたため
    売るためならどんなタイトルだってつけてしまう出版社にあまり良い印象を持てずにいました。
    もともと同人誌に掲載されたと言うこのお話。
    このタイトルをつける必要性はどこにもない内容だったけれど
    このタイトルでなければ売れなかっただろう。

    実際ここに書かれているのは『入らない』ことなんて
    たいしたことではないと笑えてくるくらい
    生きることに苦労を重ねる夫婦の話だ。
    とても読みやすくユーモアのある文章なので
    うっかりすると何か感動的な話を読んだ気になってしまうが
    夫婦が流した血と涙の重さはズシンと心に響いた。

  • あるいはこれが小説なら、「救いがない」の一言で片付けてしまうかもしれない。しかしこれは1組の夫婦の人生であって、他人がどうこうと批評したり、まして結論づけたりできるものではないと思った。

  • このストレートなタイトルもあり、話題になっていることは知っていましたが、ひょんなことから手に入り、読み始めたら一気に終了。
    タイトルから想起されるイメージとは裏腹(どんなイメージなんだ)に、内容はとても真面目。
    母娘関係、男女・夫婦関係、性愛について、学校教育の問題、教師のおかれた現状など、ずっしりと重い問題なのだが、軽妙な筆致でずんずんと読ませてくれる。
    タイトルに臆することなくぜひ手にとってみて頂きたい一冊。

  • 仕事のできる彼は家庭の事で人に言えない悩みを持っているかもしれず、いつも明るくて優しい彼女は自分の性別に違和を感じているかもしれず、責任感が強く、いつも人に優しくありたいと願っている担任の先生は、ちんぽが入らないのかもしれない。
    いつだって人を傷つけるのは、想像力の無さから生まれる悪意の無い一言で、そんな言葉で傷ついた人を救ってくれるのは、世の中のふつうを押し付けず、ありのままを受け入れてくれる人の存在なんだと思う。
    話の内容は重いが、軽妙な語り口でとても読みやすい作品。タイトルで忌避せず、是非多くの人に読んでほしい。きっと明日から少し人に優しくなれる。

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著者プロフィール

主婦。ブログ『塩で揉む』が人気。同人誌即売会「文学フリマ」に参加し、『なし水』に寄稿した短編を加筆修正した私小説『夫のちんぽが入らない』で2017年にデビュー。翌年には2作目となる著書『ここは、おしまいの地』を上梓した。現在、『クイック・ジャパン』『週刊SPA!』で連載中。

「2020年 『夫のちんぽが入らない(5)』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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