- Amazon.co.jp ・本 (222ページ)
- / ISBN・EAN: 9784594078980
作品紹介・あらすじ
「君の笑った顔、虫の裏側に似てるよね。カナブンとかの裏側みたい」――憧れのクラスメイトにそう指摘された少年は、この日を境にうまく笑えなくなった。
Webサイト『日刊SPA!』で驚異的なPVを誇る連載エッセイ『タクシー×ハンター』。その中でも特に人気の高かった「恋愛エピソード」を中心に、大幅加筆修正のうえ再構築したのが、この『死にたい夜にかぎって』だ。
出会い系サイトに生きる車椅子の女、カルト宗教を信仰する女、新宿で唾を売って生計を立てる女etc. 幼くして母に捨てられた男は、さまざまな女たちとの出会いを通じ、ときにぶつかり合い、たまに逃げたりしながら、少しずつ笑顔を取り戻していく……。女性に振り回され、それでも楽しく生きてきた男の半生は、“死にたい夜”を抱えた人々の心を、ちょっとだけ元気にするだろう。
作者である爪切男は、同人誌即売会・文学フリマでは『夫のちんぽが入らない』主婦こだまらと「A4しんちゃん」というユニットを組んで活動。頒布した同人誌『なし水』やブログ本は、それを求める人々が行列をなすほどの人気ぶりだった。
もの悲しくもユーモア溢れる文体で実体験を綴る“野良の偉才”、己の辱を晒してついにデビュー!
(本文より抜粋)
私の笑顔は虫の裏側に似ている。学校で一番可愛い女の子が言っていたのだから間違いない。生まれてすぐに母親に捨てられ、母乳の出ない祖母のおっぱいを吸って育った。初恋の女の子は自転車泥棒で、初体験の相手は車椅子の女性だった。初めて出来た彼女は変な宗教を信仰しているヤリマンで、とにかくエロかった。そして今、震度四強で揺れる大地の上で人生最愛の女にフラれている最中だ。部屋の窓から鋭角に差し込む朝の光を浴びた彼女が、ヤジロベエのようにゆらゆらと揺れている。
感想・レビュー・書評
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濃い!濃い!恋!
うっすい人生の自分には味わえなかった他人の人生をつまみ食いさせてくれる本です。
読み終わってから全ての登場人物の幸せを願いたくなるような愛情に充ちている。
「男はやせ我慢」とインタビューでおっしゃっていた気がするがやせ我慢でけっこうではないか、と思った。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
「死にたい夜にかぎって空にはたくさんの星が輝いている」って今まで読んだどんな日本語の文章よりも美しい気がして、ちょっと泣いてしまった
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母親に捨てられ、借金を抱えた父親からは鉄拳で育てられ、クラスで一番の美少女からは笑顔が虫の裏側みたいだと言われる。童貞を出会い系サイトで知り合った車いすの女性にささげたあとは次々と女性との関係を結んだり恋したり捨てられたり…どう考えても不幸でしょ。まったくもって不幸な人生だ、と思うのだけど、ここには全く暗くじめじめした不幸がない。なぜだろう。最低で最悪な人生を歩き続けているはずなのに、彼の人生には笑顔が見える。
7年間同棲していた彼女から別れを切り出され、独りぼっちの生活に戻ってしまう、その日でさえ笑顔の彼がいる。うつ病で浮気性の彼女との7年間で何度も裏切られたり傷つけられたりしてるのに、なぜ笑顔で見送れるんだろう。あぁそうか、最低で最悪な人生の中でも小さな幸せを見つける術を彼は知っていたからか。その術を教えてくれたのが彼を通り過ぎて行った女たちなのね。なるほどね。彼と彼に関わったたくさんの女たちの幸せを祈りたくなる私も、なんだか笑顔になってしまう。不思議だ。何だか知らないけど元気が、笑顔がじわじわと生まれて来る。不思議だ。 -
自宅ソファーで読了。
破滅的かと思えばそうでもなく、退廃的かと思えばそうでもなく。
切なさがあり。 -
中学の頃に読んだ音楽雑誌でミスチル桜井和寿が「『諦める』という言葉は『明らかにして、見極める』という意味が転じたもの」と語っていた。ゴルゴ松本の命の授業的な胡散臭さを感じなくもないのだが、僕は「なるほどな」と思ったものだった。ネガティブな意味ではなく「こんなもんだ」と見極めることで浮き上がってくるものが人生には存在する。愛すべき人たちや自分自身にちょっとくらい欠点があっても「まあいいか」と笑って許せばいいじゃないか。足りないものばかりを数えてたって始まらないのだ。
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著者のことを知るきっかけは、
「ボクたちはみんな大人になれなかった」の燃え殻さんが本書について言及していたこと。
その呟きと、タイトル、表紙の装丁だけで、良書に違いないと確信した。
1/25発売の本書を手に入れたのがなんやかんや1/29。
流通の壁を感じて悲しくなりましたが、このことについて綴ると無限に止まらなくなってしまいそうなので割愛。
帰宅してamazon様からの荷物を開封し、一気読み。
やはり、予感は的中した。
書いてある内容・エピソードはお上品ではないが、
著者の爪さんの生き様を感じることができ、熱が伝わってくる。
薬師や渋谷の風景が浮かんでくる。
登場する女性たちも、みんな魅力的に浮き上がる。
序盤こそ、時折出てくる、「このフレーズとか文、おもしろいでしょ?」的な雰囲気にちょっと醒めるところもあった。
が、途中からは爪さんとアスカさんとの物語にぐぐぐっと引き込まれて、それどころじゃなくなった。
もちろん、万人向けではないと思う。
というか、一部の(女性の)方々からは、
「これだから男ってクソだわー」とか批判されると思う。
いいんじゃないすかね、人それぞれで。と思う。
ただ、僕は本書を いい!と思える人と友達になりたいし、
飲みに行って、くそくだらねー話をし続けていきたい。 -
ひっそり追いかけていた爪切男さんの新刊。ずーっと楽しみにしていたので本当におめでたい!6年間共に暮らした元カノを中心に進む、関わった色んな女性にまつわるお話。折角なので最後は中野のスタバで読んだが、本からふと目を外すと、本当にいろんな人がいる。もしかしたら、それはアスカさんであり、南さんであり、赤毛ちゃんであるかもしれない。出会って別れたら忘れてしまうからこそ、本に残すのはとても素敵なことだよなぁと思う。最後はうるっときて「なんでうるうるしてるんだ、私は」と思ったりした。面白おかしい、どんな人にでも寄り添う優しい1冊でした。
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久々に面白い本に出会いました。
著者と同じ世代で昔を懐かしむような感じです。
とにかくおススメです。 -
芸人の光浦靖子さんが、人の人生まで知りたいと思う余裕がないから、エッセイは読まない。小説がすきだ。と、どっかで語っていた。
わたしは気づくとエッセイばっかり読んでいる。手元にエッセイがないと落ち着かないほどである。
エッセイの魅力は、自分に重ね合わせて読んでいると、なんだか自分まで変われる気がしてしまうところだと私は思う。私は単純な人間だから、いろんなことに影響を受けまくって生きていて、そのなかでも活字で描写された人間の絵姿には特に弱い。リアルよりも映像よりも想像力を要する本というフォーマットは、自分にめちゃくちゃ重ねやすいのだ。
この本も、自分と重ねながら読んだ。
爪さんも、その彼女も、私とは全く違う人生の歩み方をしているのだけど、なかなか心にくる部分があって、長く余韻が続く一冊になりそうだ。
破壊的なエロスとか、精神病のカオスとか、いろんな闇が詰まってるけれど、ただただ愛しかない。帯の通りですが。
「女は花で、男は花瓶だと思う」このフレーズが、彼女に対する爪さんの愛とか優しさの根源なのだろう。
女同士で話していると、普段はどうってことなくても、いざというとき優しい人がいいよね~~って話になるんだけど、実は爪さんのような包容力を私たちはものすごく求めているような気がする。それは27歳になった今だから感じるのかもしれない。
最後の話を、実家から帰る特急電車の中で読んでいた。学芸大学駅あたりで別れのシーンを読み終えて、窓を見やると1年半前に暮らしていた駅を通過するところだった。
きっと一生、わたしはこの駅を通るたびに、私を捨てた彼のことを思い出す。それが呪いのようでつらかったんだけど、この本はそれでもいいんじゃない?って言ってくれるような本だった。
もし、この本をまだ読んでなくて買おうとしている人がいたら、ぜひ帯を味わってから読んでほしい。
この最高にかわいくてチープな本は、予想以上の破壊力と愛の込められた一冊だった。
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