とりあえずウミガメのスープを仕込もう。

著者 :
  • 扶桑社
3.98
  • (11)
  • (22)
  • (12)
  • (0)
  • (0)
本棚登録 : 243
レビュー : 25
  • Amazon.co.jp ・本 (268ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784594079833

作品紹介・あらすじ

書き下ろし短編も!
本屋大賞受賞作『羊と鋼の森』の著者がおくる食エッセイ

「毎月一回食べもののことを書く。食べることと書くことが、拠りどころだった気がする。」(「まえがき」より)

月刊誌『ESSE』の人気連載が、待望の書籍化!
北海道のトムラウシに1年間移住したり、本屋大賞を受賞したり……。さまざまな変化があった6年半の月日を、「食」をとおして温かく描き出す。
ふっと笑えて、ちょっと泣けて、最後にはおなかが空く。やさしく背中を押してくれるエッセイ78編に、書き下ろし短編1編を収録。全編イラストつき

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
  • 「あの味が好きだった、と思い出すしあわせな記憶の上に、毎年少しずつ改良したおいしさを重ねていけるのが家族の楽しさだと思う」
    この一文に象徴されるように、料理を通して宮下さんのご家族に向けた愛情がストレートに伝わってくる。
    そして宮下さんご家族の丁寧な暮らしぶりもよく分かるエッセイだった。

    お母さんの料理で一番好きなものは、と聞かれた時の息子くん達の返答には感心した。
    次男くん「昆布と椎茸のスープ」、長男くん「ひじきのマリネ」は普通の子供からはなかなか出てこないメニューだと思う。
    このエピソードからして、宮下さんが普段いかに食材にこだわり栄養に気を付けているかが伺われた。
    この他、塩鮭を注文する時に大学進学を機に親元を離れた長男くんの不在を思い知らされ泣いた話や、大雪の時に娘ちゃんが作ってくれたパンケーキの話、毎日の手作り弁当に欠かせない「ゆかりたん」の話等、宮下家の皆さんのエピソードには毎回心に残るものばかり。
    あと、福井の水ようかんは一度食べてみたい。

    最後の書き下ろし短編も良かった。
    表題にもなったように、私もとりあえずウミガメのスープを仕込んでおこう。

  • これは料理の話ではない。家族について、暮らしについての話だと思います。

    料理のエッセイ集のはずなのに、どうしてこんなに泣いてしまったのか。少なくとも表面上はことさらに感動的な話というわけでもないのに、なぜか涙が出るのを我慢できなくなってしまって、読んでいたカフェから逃げるように出てしまった。何にどう感動したのか、うまく説明できないのがもどかしい。たぶん、料理を通して見えてくる家族への愛情とか、人生観とか、そういうものに魅せられてしまったのだと思う。
    小説での料理の位置づけを語る言葉として、「どんなときもおいしそうな料理しか出てこなかったら、それはおかしい」という一文がある。小説における料理は、その時々の登場人物の心情を表現する装置である、と。本書でもまさにそのとおりで、おいしそうな料理よりも、幸せそうな料理、楽しそうな料理、嬉しそうな料理が多かったように思う。料理を通して描かれた、筆者や家族のエピソードがどれもみんな愛おしい。料理がテーマのエッセイ集だけど、一番強く印象に残っているのは、料理そのものではない。
    登場する料理を食べてみたくなるというよりも、むしろ、こんな家族を持ってみたい、こんな生活を送ってみたいと思わせてくれる、そんなエッセイ集。
    ぜひとも多くの人に読んでほしいと思う。

  • 一話一話味わい深くてホッとするエッセイごちそうさまでした! という読了感。

    「クリスマスの夜」でウルッときたり、「ものすごくおいしい」でなるほどなぁってなったり、「海苔の」でフフってなったり……

    書き下ろしの「ウミガメのスープ」も良かった。ここでの「ウミガメのスープ」って、自分をここまで支えてくれた、応援しくれた人たちに真心込めて一生懸命自分なりの感謝の気持ちを伝えること、なのかなぁと解釈した。
    それならば、まだ見ぬ先に不安を抱くより、「とりあえずウミガメのスープを仕込」まないとね。

    大切な人に少し凝った手料理を作ってあげたくなった。

  • 作家・宮下奈都が雑誌「ESSE」に連載した食べ物に関するエッセイ集だ。
    この人のエッセイを読んでいると、肝っ玉母さん、という言葉が思い浮かぶことが多いのだけれど、まだ赤ん坊の息子を抱えて途方に暮れる若く頼りない姿も描かれていて、ああ宮下さんこんな時もあったんですね、と親し気に話しかけたくなる。

    子どもたちのために作ったごはん、子どもが作ってくれたごはん、さまざまな食べ物のエピソードはささやかだけれどあたたかく、なんかいいなあ、と思う。

  • 著者の物語が好きでいろいろ読みました
    優しい人だなあって思ってました
    エッセイを読んで「まあっ!」て
    家族への愛があふれています
    なんていいお母さんなんでしょう
    真似はできません
    ウミガメのスープは作れないわ、私には
    奈都さんが一層好きになりました

    ≪ 食べ物は 人生そのもの だって愛 ≫

  • いまこの瞬間も1秒後には過去になる。
    なんてことのない日常だけど、できれば丁寧に生きたい。特別なものじゃなくても家族や大事な人にはなるべくいいものを食べてほしいし、毎日健康に暮らしてほしい。
    その思いがシンクロしすぎて、泣いちゃう。
    後悔しないように、今日を生きたい。

  • 宮下さんの食べることへのこだわりがとても好きです。小さなことからコツコツとではないですが、大切なことを間違えないで日々を積み重ねていく姿勢、見習いたいです。家族もみんな思いやりあって宝物のようです。

  • 宮下奈都さん、知れば知るほど、好ましい♪

    以前、「作家はエッセイなど書かず、小説だけを書いていればいいのに!!」とか思っていたこともあったんだけどw

    好きな作家さんの日常や人柄や、考えや感じたことにふれることのできるエッセイは、その作家さんが書いた小説を、より楽しませ、より深く味わわせてくれる、大切なものなんだよね~。

  • 目次ページからあふれる幸福感。エッセイ一つ一つに日常の喜びと悲しみがあった。

  • 久しぶりの新刊ということで、楽しみにページをめくりました。期待していた物語ではなく、エッセイ。それも料理に関する2ページ程度に収まる短編。この量では、何も伝わってこないなと思いつつ、読み進めて行くと、意外にも心に響く。食べ物を題材にはしているが、ほのぼのとした人間模様を伝えてきます。流石です。

全25件中 1 - 10件を表示

プロフィール

宮下 奈都(みやした なつ)
1967年福井県生まれ。上智大学卒業。2004年、「静かな雨」で文學界新人賞に入選し、デビュー。日常に起こる感情の揺れを繊細で瑞々しい筆致で描きだす作品で知られる。『スコーレNO.4』が書店員から熱烈な支持を集め、注目を浴びる。
代表作に、2016年本屋大賞、ブランチブックアワード2015大賞、「キノベス!2016」などを受賞した『羊と鋼の森』があり、2018年6月に映画公開される。ほか、福井からトムラウシに移り住んでいた頃の日々を描いた『神さまたちの遊ぶ庭』や、福井での身辺雑記や本屋大賞受賞前後のエピソードなどを描いた『緑の庭で寝ころんで』がある。

とりあえずウミガメのスープを仕込もう。のその他の作品

宮下奈都の作品

この本を読んでいる人は、こんな本も本棚に登録しています。

とりあえずウミガメのスープを仕込もう。を本棚に登録しているひと

ツイートする