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- / ISBN・EAN: 9784594079833
作品紹介・あらすじ
書き下ろし短編も!
本屋大賞受賞作『羊と鋼の森』の著者がおくる食エッセイ
「毎月一回食べもののことを書く。食べることと書くことが、拠りどころだった気がする。」(「まえがき」より)
月刊誌『ESSE』の人気連載が、待望の書籍化!
北海道のトムラウシに1年間移住したり、本屋大賞を受賞したり……。さまざまな変化があった6年半の月日を、「食」をとおして温かく描き出す。
ふっと笑えて、ちょっと泣けて、最後にはおなかが空く。やさしく背中を押してくれるエッセイ78編に、書き下ろし短編1編を収録。全編イラストつき
【内容紹介】
◆一章 つくること、食べること
「豆を煮る」、「泰然自若シチュウ」、「100%オレンジゼリー」、「お正月のカレー」、「ローガンと出汁」、「キノコ嫌い」、「楽譜とレシピ」、「塩鮭の注文」、「大雪のパンケーキ」ほか
◆二章 なんでもない日のごはんとおやつ
「最強ハンバーグ」、「スイカの種」、「おいしい朝ごはん」、「ミルクティーとスリッパ」、「山の中のお正月」、「ゆかりたん」、「餃子とアジフライ」、「お金持ちのサラダ」ほか
◆三章 思い出の食べもの
「君の名前」、「水ようかん」、「まぼろしのオムライス」、「おついたち」、「鹿まんじゅう」、「読書会のメニュウ」、「スープを煮込む」、「四月のかき氷」、「黄金色のジャム」ほか
◆短編 ウミガメのスープ
イラストの公募展で大賞を受賞した私。うれしいはずなのに、がんばらなきゃならないのに、心細くて怖いのはなぜ? お祝いすら心の重荷になるのはどうして?
「お姉ちゃん、一緒にお菓子を焼こうよ――」
ある日、家にやってきた妹と話すうち、私にとっての「描く」ことを取り戻していく。
感想・レビュー・書評
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ああ〜宮下奈都の本、やさしくてあたたかくて好きだなあ
読む毎にどんどん好きになる
この本は食エッセイなのですが、宮下さんの人柄がよく伝わってくる一冊でもありました
3人の子ども達のお母さんとして優しい眼差しと心意気で書いている宮下さんも素敵だし、1人の人間として宮下奈都個人のエピソードも本来の宮下さんってこんな人なんだろうということを感じられて楽しい
失敗ごはんの話が特に好きでした
学校で勇気を出して挙手→発表するも答えが間違ったために笑われ落ち込んで帰宅した娘に、「なんでも好きなもの作ってあげる」と励ましたエピソード
お兄ちゃんが「僕の時は秋刀魚だった」と会話に加わってくるところも宮下さんのお母さんとしての優しさや家族の仲の良さを感じて微笑ましい
添えられていた『笑われたことのない人は脆い。失敗したことのない人は危ない。』には、散々失敗してやはり落ち込んだ過去の私まで救われた気分
前書きに「普通のことばかり書いていている。回数にして八十回弱。誰の中にも八十回くらいは食べ物の話がひそんでいると思っている」と書いてあって、読んでみてなるほど確かに…
私にも思い入れの程度に差はあれど、思い出のある食べ物はたくさんあった
改めて、生きることは食べることだなあ -
食べ物にまつわるエッセイ集。日々の食べ物から懐かしさや憧れや苦い思い出やいろんな感情が湧き出てくることに感心しました。
私にもそんな食べ物あるかなぁと自分に反映させながら読みました。 -
食がテーマのエッセイ集。テーマごとにまとめてあるので、時系列がいったりきたりするが、そんなこと言ったら野暮。毎編、いろいろなところに連れて行ってくれる。食の好みがズバン! と変わるのわかるなぁ。給食でどうしても食べられなかったメニューや、抜群に美味しかった鳥取砂丘で朝日を見ながら食べた○○のカップ麺を思い出した。
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雑誌ESSEに連載していた食に関する80弱のエッセイと、書き下ろし短編。
昔の話も最近の話もある。
食に対して大きなこだわりはないと言いつつも、レシピ本だけで何千冊?!も持っていたり色々な料理を手作りされていて、作家業でお忙しいはずなのに凄いなぁ。 -
スープって、人生みたい。
いろんなものを、コトコト、コトコト、毎日煮込む。
甘い時間も、しょっぱい思い出も。
たくさんのものを注ぎ込んで、いろんな想いが溶け合って、味わい深く、おいしい人生になる。
“おいしい”は“しあわせ”になって、
胸に届いて 心を満たす。
宮下さんが集めた言葉たちが、彼女の手によって仕込まれ、料理される。
1ページ、1ページ、ほっこりする 美味しい味付け。
見た目にきれいにまとめあげるだけでは こうはいかない。
アクだったり、焦げだったり。
そういったものの大切さを愛をもって受け入れて、
料理された言葉が持つ力をーーなにかが育つ種だったり、生きていく原動力だったりといった芽となることを、つまりは命へと繋がっていくような豊かなひとときを、どうぞ召し上がれ、と差し出してくれる。
料理の隠し味は愛情、なんてよく言うけれど、
人生も愛情さえちゃんとあれば、味わい深く温かみのある料理ができるのではないか。
そんな、陽だまりのような希望を感じる。
今日という1日をどんなメニュウにしようかな?
そんなふうにハッピーハングリーになれる、しあわせ本。 -
これは料理の話ではない。家族について、暮らしについての話だと思います。
料理のエッセイ集のはずなのに、どうしてこんなに泣いてしまったのか。少なくとも表面上はことさらに感動的な話というわけでもないのに、なぜか涙が出るのを我慢できなくなってしまって、読んでいたカフェから逃げるように出てしまった。何にどう感動したのか、うまく説明できないのがもどかしい。たぶん、料理を通して見えてくる家族への愛情とか、人生観とか、そういうものに魅せられてしまったのだと思う。
小説での料理の位置づけを語る言葉として、「どんなときもおいしそうな料理しか出てこなかったら、それはおかしい」という一文がある。小説における料理は、その時々の登場人物の心情を表現する装置である、と。本書でもまさにそのとおりで、おいしそうな料理よりも、幸せそうな料理、楽しそうな料理、嬉しそうな料理が多かったように思う。料理を通して描かれた、筆者や家族のエピソードがどれもみんな愛おしい。料理がテーマのエッセイ集だけど、一番強く印象に残っているのは、料理そのものではない。
登場する料理を食べてみたくなるというよりも、むしろ、こんな家族を持ってみたい、こんな生活を送ってみたいと思わせてくれる、そんなエッセイ集。
ぜひとも多くの人に読んでほしいと思う。
(NetGalleyで読了、その後購入して再読) -
宮下奈都さんのおいしいものに纏わるエッセイ。
宮下さんのエッセイは柔らかで、あたたかい。
とくに『にこにこ』という表現からは、
ほんとうに可愛らしくにこにこした子供のまーるい顔が思い浮かぶ。
どんな子どもたちかも知らないのに。
栗ごはんの話がとても好き。
そういうことって、あるんだな。
でてくる料理が美味しそうで。
とくに、コトコト煮込んだ系の料理はおいしそう。
素材のおだしが、濃い色に溶け出したのを想像してしまう。
辰巳芳子さんの昆布と椎茸のスープや
竹内冨貴子さんのひじきのマリネを思わずメモってしまった。
おいしい料理と柔らかな人々の情景に、
また頑張ろうと思えました。 -
初めての宮下奈都さん
食べることと生活をテーマに優しく暖かい文章でいっぱいな一冊
小松菜を食べていれば大丈夫とかひな祭りの特別な献立とか共感する部分が多くて、でも宮下さんの自然体な丁寧さや北海道での一年に憧れる
大きな鍋私も欲しいなあ
著者プロフィール
宮下奈都の作品






食べ物の話というより家族愛を感じるエッセイでした。オフコースは『秋の気配』や『さよなら』が好きでよく...
食べ物の話というより家族愛を感じるエッセイでした。オフコースは『秋の気配』や『さよなら』が好きでよく聴きました。正直、『ワインの匂い』はノーマークでした。