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Amazon.co.jp ・本 (336ページ) / ISBN・EAN: 9784594087500
作品紹介・あらすじ
「野党は“反発“、政権側は“反論“」「決定打を欠いた」「笑われる野党にも責任」……。
政策論争に沿った報道ではなく、対戦ゲームのような政局報道に終始するのはなぜなのか?
統治のための報道ではない、市民のための報道に向けて、政治報道への違和感を検証。
「市民の問題意識と個々の記者の問題意識、組織の上層部の問題意識がかみ合っていく中で、より適切に報道は、権力監視の役割を果たしていくことができるだろう」(本文より)
「ご飯論法」「国会パブリックビューイング」の上西充子・法政大学教授が、不誠実な政府答弁とその報じ方への「違和感」を具体的事例をベースに徹底検証。
・権力者と報道機関の距離感はどうあるべきなのか?
・政府の「お決まり答弁」を生み出す、記者の質問方法の問題点。
・なぜ「桜を見る会」の問題を大手メディア記者は見抜けなかったのか?
・政権与党による「世論誘導」に、知ってかしらずか加担する大手新聞社
・新聞社はどのように変わろうとしているのか?
感想・レビュー・書評
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昨年の2月に『呪いの言葉の解きかた』の書評を書いた。さまざまな呪いの言葉がある中で、政治にまつわる言葉は厄介である(今気が付いたが、やっかいには「厄」が付いている)。「政治の話はしたくない」「◯◯を政治利用しないで」「野党は反対ばかり」‥‥。
私はそれらの「空気」を変えたいとずっと思って来た。けれども、なかなか変わらない。何故か。「安倍政権」が世論操作してきたのか?「マスゴミ」が悪いのか?「国民」が未熟だからか?それとも私が「勘違い」しているのか?
今年3月に上梓した本書は、その根源を一生懸命に探っている。上西充子さんは2018年に「ご飯論法」という言葉を流行らせた。安倍政権の不誠実な国会答弁や記者対応を一言で言い表した言葉である。「朝ごはんを食べなかったのか」と問われて「ご飯は食べていない」と答えていながら、実は「パンを食べていた」等と、ことを巧みに隠す言い方を喩えたわけだ。問題を表面化せず、論点のすり替え、等々を使った最近特に目立つ与党の答弁である。(cf.加藤周一「白馬は馬にあらず」)記者は気がついていないのか?気がついてそれに乗っているのか?私はずっと不満だった。
本書は政治報道を丹念に追い求め、ひとつひとつを検証して、じゃどう書けば良かったのか?まで述べたものである。
本来政治報道は、問題の論点を読者に提示するのが仕事のはずだ。しかし、それを避けて「政局報道」に走る。「国会がこのように荒れた」「解散はあるのか」「時期首相は誰か」。その政局報道の陰で、1番問題にするべき時に論点を示さず問題法案が通っていっていく。最近の悪法は全てそれで通って行く。そして通った後に問題点を示す。
例えば、このように「切り込んだ批判」を上西充子さんは書いている。
⚫︎自民、学術会議問題で「逃げ切り」に自信「批判の電話も少ない」月内に集中審議(毎日新聞2020年11月10日)
・この記事に山崎雅弘氏が「政治記者なのに、なんでそんな風に「傍観」するんですか」と批判した。すると、該当記者が反論したという。「傍観していません。これはストレートニュースです。深掘り記事は他に書いている」と。
上西充子さんは、その主張を受け入れつつも、「ストレートニュースには新聞社の「視点」や「判断」は含まれないのか」と再批判している。そして、記者の該当記事を細かに分析して見せている。事実の切り取り方、表現次第で、読者の印象は大きく変わるのである。「政府が逃げ切りに自信があるなら、もうそのまま逃げ切るだろう」と思うのである。それは政府の印象操作に手を貸す事と同義だろう。
「逃げ切り」報道も、報じられているのは「政局」である。まるで対戦ゲームのように、いかに相手にダメージを与えるか、いかにポイントを稼ぐかに国会審議の狙いがあるかのように描かれている。そこに欠けているのは、何が論じられ、その論点はどうだったのか、だ。
このような「外側」からの報道の「ファクトチェック」はとても重要だと思う。残念ながら、こういう問題意識を持って報道を読んでいる市民は、上西充子さん含めて未だ少数だ。よって、報道はまだ変わらない。
おそらく、ツィッターを見ると、最近はいくらかやっているのは見えているけど、それでも大勢の市民の「ファクトチェック」を始めることが、報道や野党の姿勢を変えることになるのだろう。 -
ここ数年巧みな答弁に血圧あがること数知れず
それを伝える報道表現の大切さを改めて考えられただけでも読む価値ありすぎる -
政策の悪手や政治家の不祥事、私利私欲にまみれ民の生活に目を向けようとしない為政者は本来、有権者の代表であり、私たちが異議を唱えて抗うべき対象であるが、可視化されにくい本質は "有権者の無関心" である。興味がない。諦める。ノンポリをきめてカッコつける。これが我々の悪手となり、権力を握る為政者や利権に群がる企業家の思うツボとなる。ツボといっても霊感商法じゃないよ。
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東2法経図・6F開架:070.1A/U44s//K
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東洋経済2021515掲載
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上西充子の作品
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「ハーバー・ビジネス・オンライン」って扶桑社が運営していたのですが、不思議なコトに真っ当でした。扶桑社が今頃気付いたの...
「ハーバー・ビジネス・オンライン」って扶桑社が運営していたのですが、不思議なコトに真っ当でした。扶桑社が今頃気付いたのか?
「ハーバー・ビジネス・オンライン」が配信停止 上西教授「残念」 | 毎日新聞
https://mainichi.jp/articles/20210507/k00/00m/040/256000c
皆さん読んで!
「忖度(そんたく)しない」を掲げるウェブメディア「ハーバー・ビジネス・オンライン」が...
皆さん読んで!
「忖度(そんたく)しない」を掲げるウェブメディア「ハーバー・ビジネス・オンライン」が5月7日、全ての記事の配信を停止する。ハーバー・ビジネス・オンラインの編集部が7日、公式サイトで発表した。一部連載は別の3媒体で継続する。
ハーバー・ビジネス・オンラインは2014年に開設し、ESSEやSPA!などの雑誌を出版する「扶桑社」が運営。「『忖度しない』情報ニーズに応えるオピニオンメディア」を掲げ、政治からカルチャーまで広く専門家らによる記事を配信してきた。
記事配信の停止が発表されたこの日、ツイッターでは、「攻めてるメディアだったのに配信継続してほしい」「本当に残念」と惜しむ声が寄せられた。
2018年から寄稿してきた上西充子・法政大教授は「サイトの終了はとても残念ですが、過去記事はそのまま残していただけるようです」とツイート。「私がヤフーニュース個人からハーバー・ビジネス・オンラインに書く場所を移したのは、編集長とやりとりをしながら記事が書けたという点が大きいです」と振り返った。上西さんは取材に「『忖度しない』情報ニーズに応えるオピニオンメディア」という考えに共感し、「はっきりと書くことに対して、『是非』という形で受け止めていただいたので、問題意識を編集長と共有して書くことができていた。これを書いたらまずいということが基本的にはない形でやってきた。書き手からすると、問題意識を共有できる人と日ごろから意見交換しながら発信できるのは非常にありがたい媒体だった。サイトとして配信停止されるのはとても残念です」と話した。【木許はるみ/デジタル報道センター】
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