そこに定食屋があるかぎり

  • 扶桑社 (2024年8月2日発売)
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本 ・本 (224ページ) / ISBN・EAN: 9784594097745

作品紹介・あらすじ

また食べたくなる、また来たくなる店が、
だれにでも1軒はある。
おなかも心も満たしてくれる、
おいしい食堂のルポルタージュ。

NHK「あさイチ」著者出演で話題!

地元民から愛される絶品メニューがある。
キャベツがぱりっと新鮮。
漬け物はできる限り自家製。
安い。女ひとりもOK。
おいしい条件を満たす定食屋を著者が訪ね歩く。
儲けはあるのか? 
激安チェーン店が席巻するなか、
なぜ地価の高い都会で頑張るのか? 
絶滅危惧寸前の過酷な飲食業態、
定食屋店主の踏ん張る心の内と支える客を
独自の目線で切り取った渾身のルポ。

喪失と再生を繰り返しながら、
おいしいご飯を頬張りながら、
代謝しながら、一歩ずつ明日を進もう。
そこに定食屋があるかぎり、
私たちはきっと大丈夫だ。

感想・レビュー・書評

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  • 主に都内の24軒の、街の人に愛される定食屋と、
    支える人たちを取材したルポルタージュ。
    これはコロナ禍を挟んだ6年間の記録でもある。
    はじまり 山角
    取材した24の定食屋 定食屋観察録①②
    これから 再びの、山角

    美味しいご飯を召し上がれ。
    それらは定食屋。中華屋と町中華、蕎麦屋、
    韓国料理店、洋食屋、大衆割烹もあるが、
    どの店もメニューへの心を打つ拘りと優しさが溢れている。
    大正時代の創業や2代目3代目と受け継がれる、店がある。
    50歳を過ぎてからの開業の、店がある。
    コロナ禍の影響が転機となり開業した、店がある。
    人生色々、困難も悲しみも乗り越える逞しさ、有り。
    常連客や業者のバックアップ、有り。
    マスコミによる辛酸は悲しいけど、SNSには功罪有り。
    クラウドファンディングの話には、その結果に胸熱。
    後記で、その店のその後が記されたのも好感。
    水明亭のその後は、まだ不明。あのちゃんぽん食べたかった。
    近所にある定食屋へ週1回必ず通っているので、
    この店にもエピソードがあるんだろうなぁと
    思いをはせてしまいました。1,000円以内の定食が多いし、
    600円の定食もあるんだもの。掲載された店の如く、
    その経営と努力には並々ならぬ心意気があるに違いない。
    と心を巡らわせていたら、モリモリの
    もつ野菜味噌炒め定食が食べたくなってしまいました。

  • 読むだけでもお腹が空いてくる様なルポルタージュ。今度東京に行ったら立ち寄りたい店に早速ピンを留めた。

  • 魅力的な定食屋の数々。
    矜持を持って働く人達の姿に感動、そして定食屋に行きたくなりました。
    思わずGoogleMapで近所の定食屋を調べたり。一人で行くのは勇気いるけど、いつかチャレンジして行きつけを作りたいな。

  • 2024年16作品目

    定食屋探訪ってなんでこんなにワクワクするんだろう
    古き良き定食屋の様相には美しさすら感じる
    これが無くならない世の中であってほしい

  • 大平一枝さんのことは「東京の台所」で知り、愛読しています。市井の人々を、淡々と、ドラマチックではないのに、すごく伝わる…

    24件の定食屋さん。
    定食好きにはたまりません。
    でも、初めてのお店は敷居が高くて、勇気がいる…
    行きたいんですけどね。

    家族経営でがんばることの大変さ、それで守られる低価格。頭が下がります。
    わかっていても、こちらの財布と体力にも限りがあり、この中の1件でよいので訪問できたらな、と思います。

    息子さんが手伝っていたけれど、今年閉店されたやしろ食堂さん。
    オリンピック…と思う水明亭さん。
    に思いを馳せながら、他のお店が1日でも長く続くことを願います。

  • 大平さんにハズレなし。

    コロナ前にウェブメディアで連載されていたという町の定食屋さんインタビュー。
    連載はコロナでなくなってしまい、でも自分で取材を続けてついに本になったそう。
    …すごいよね。

    大平さんと言えば台所だけど、こちらも町の台所というか、家族経営の台所といった印象が残った。ただしどこもめっちゃ忙しそうだったけど。

    それにしてもどこもおいしそうで、でも読後にグルメ本の印象は全くない。
    主体は人、取材対象が人だからかな。

    大平さんの本はお涙ちょうだいモノじゃないのに、いつもどっかしらでじわっときてしまう。
    これぞ筆力、読めてよかった。
    ーーー
    追記:インタビューと書いたけど、正しくはルポルタージュ。
    人のレビューを読んだり著者や本について調べたら影響されるので、読んだら何も見ず書くようにしてるため、ちょいちょい相違が…
    書いた後で見たらルポルタージュでした。
    ちなみに著者のサイトで「悲願と渾身の作」とあった。正に。

  • 昔ながらの定食屋を取り上げ、そのお店の背景や看板メニューを紹介。取り上げられる定食屋の料理がどれも食欲をそそるものばかり。掲載店の何店かで食事をしたことはあるが、そのお店にこんなエピソードがあると知ると、料理とともにお店で働く方々に改めて感謝の意を込めたい。

  • 吉祥寺だと、まるけん食堂、更科。


  • ごはんものを夜中に読むと、お腹がすいてたまらなくなる。
    味、食感、香り、そして店の雰囲気。わたしはベッドの中にいるはずなのに、まるでその店でそのメニューを目の前にしているような錯覚に陥る。この本で紹介される定食は、どれも素敵に美味しそうだ。

    でも、それだけじゃない。店を構え、守ってきた人がこれまでどんな人生を送ってきたのか、いまどうしているのか。そんな想像が食欲を追い越してくる。こんなに読むものに先を急がせる"ごはんもの"があっただろうか?

    ただのごはんコラムにならないところが大平さんの書くものだなあとしみじみ思うドキュメンタリーです。

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著者プロフィール

大平 一枝:作家、エッセイスト。長野県生まれ。大量生産、大量消費の社会からこぼれ落ちるもの・
こと・価値観をテーマに各誌紙に執筆。著書に『東京の台所』『男と女の台所』『もう、ビ
ニール傘は買わない。』(平凡社)、『届かなかった手紙』(角川書店)、『あの人の宝物』(誠
文堂新光社)、『新米母は各駅停車でだんだん本物の母になっていく』(大和書房)ほか。
「東京の台所2」(朝日新聞デジタル&w)、金曜エッセイ「あ、それ忘れてました(汗)」
(北欧、暮らしの道具店)、「令和・かぞくの肖像」(OIL MAGAZINE)など連載多数。


「2021年 『ただしい暮らし、なんてなかった。』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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