60歳からの知っておくべき地政学 (扶桑社新書 520)

  • 扶桑社 (2024年12月24日発売)
3.61
  • (4)
  • (10)
  • (6)
  • (2)
  • (1)
本棚登録 : 128
感想 : 11
サイトに貼り付ける

本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています

Amazon.co.jp ・本 (232ページ) / ISBN・EAN: 9784594099299

作品紹介・あらすじ

トランプ復権でアメリカはどう変わる?
石破内閣誕生でアジア版NATOは発足する?
地政学で世界情勢の「今」と「未来」がよくわかる!

米中対立にウクライナ戦争と、世界ではまだまだ紛争が絶えず、これらが第3次世界大戦の引き金になるとさえいわれている。ロシアや中国といった大国の指導者こそ変わらないが、今年 11 月には米国の大統領選挙、その前後では日本でも自由民主党総裁選挙と衆議院解散総選挙が行われたばかりだ。
とりわけ 60 歳以上の読者にとっては、これまでの60年間の人生の中でも、世界の情勢や日本の外交政治が大きく変わる転換期といえる。
中には60歳で定年を迎え、あとはのんびり余生を過ごせばいいという人もいるだろう。だが、日本はいつ戦争に巻き込まれるかわからず、決してひとごとではない。「日本にとって何が正しく、どう行動すべきか?」それを知るために有効な学問が「地政学」だ。
本書では、中国、ロシア、欧州、米国といった大国を地政学的に解説するのは もちろんのこと、インドをはじめとした経済成長著しい新興国、さらには日本でも昨今問題になっている移民政策についても解説していきたい。
髙橋洋一 (本書「はじめに」より)

【本書の内容】
序 章 「戦争を知る」ことが地政学
第1章 「イデオロギー」の冷戦時代
第2章 「中国経済」「ロシア軍事」包囲網時代
第3章 「機構」から読み解く新冷戦時代
第4章 国益に繋がる経済・通商政策
第5章 新冷戦時代の外交・安全保障
終 章 喫緊に迫る「危機」と未来の「希望」

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • 日本はいつ戦争に巻き込まれるかわからない。
    日本にとって、何が正しく、どう行動すべきか?
    それを学ぶための学問が地政学。
    やっと最後までとばしながらではあったが、読み終えた。
    ただ私には難しすぎてよく分からなかった。
    この本の終わりに
    戦争は外交の失敗!
    大切なのは学ぶ姿勢を止めないこと。
    その通りだと思う。

  • 難しい内容だったが、読みやすかった。高橋氏の本は難しいことをわかりやすく書いてあるものが多い。終章で書いてあった通り、学ぶ事を止めない姿勢は大切だと思う。

  • とても分かりやすく解説してくれている。

  • 日本を取巻く世界情勢を地政学の見地から解り易く読み解く。筆者は高齢化世界を満喫するシニアにも最低限の国際政治への理解が必要と説くが、その意味では最適なテキスト。

  • 著者は、異端のエコノミストである。但し、これは、オールドメディア、マスゴミからの見方であり、彼等は、自分達に都合の良い人物を捜し、権威付けし、利用価値がなくなれば、ポイ捨てされる。世の中、何が正しいのかのか、悪いのかは、我々自身が勉強し、様々な考え方を知ることである。マスゴミの一方的見識の押し付けを信用せず、本書みたいな書物も参考にして判断することが必要だと思う。

  • 高橋先生の解説が凄いのは、、、

    上辺だけの国際情勢を語るのではなく、過去の歴史、遺恨を知りながら、その上で統計的な「数字」で語るから、説得力があるし、的を射てるんだなと再認識。。

  • すごく勉強になった。60歳と言わず、知っておくべきだと思う。
    防衛費を増額しなければという理由とか、もっと詳しく話せないものなんだろうか。

    個人的だけど、安倍氏の株が上がって石破氏の株が下がった。

  • 財務省出身の高橋氏の得意分野は経済であって、地政学ではないと認識した次第。わかりやすいが。

  • 学習不足を痛感しています・・・がしかし、脳は老化の一途をたどる!

  • 第1章 「イデオロギー」の冷戦時代
    - ベトナム戦争: 米国が唯一敗北した戦争であり、戦後の社会的影響が大きかった。
    - キューバ危機: ソ連によるミサイル基地設置の試みが、米国とソ連の核戦争の危機を招いた。
    - 米ソ間の対話の必要性: 核戦争の危険性を認識し、直接対話できるホットラインの設置が行われた。

    第2章 「中国経済」「ロシア軍事」包囲網時代
    - 米中貿易戦争: 知的財産権を巡る摩擦から始まり、関税引き上げ合戦が続いている。
    - AIIBと人民元: 中国主導のアジアインフラ投資銀行(AIIB)は信頼性が低く、人民元が国際通貨になる可能性は低い。
    - ウイグル問題: 人権問題が中国の国際的な立場を脅かしている。
    - 南シナ海の戦略: 中国の海洋進出と軍事拡張が国際的な緊張を生んでいる。

    第3章 機構から読み解く新冷戦時代
    - アジア太平洋の安全保障: NATOの拡大と日米英の軍事同盟「AUKUS」の形成。
    - 経済圏の競争: 中国の「一帯一路」やRCEPの台頭に対抗するための経済的な包囲網が形成されている。
    - BRICSの役割: インドの経済成長がBRICSの成長を牽引している。

    第4章 国益に繋がる経済・通商政策
    - 自由貿易の推進: 日本は日米の貿易交渉を通じて輸入先の多角化を図るべきであると強調。
    - ODAの重要性: アフリカへの政府開発援助が重要な外交手段となっている。
    - 中国への依存度の低下: 日本は中国への経済的依存を減少させる必要がある。

    第5章 新冷戦時代の外交・安全保障
    - 平和の5要件: 同盟関係、相対的な軍事力、民主主義の程度、経済的依存関係、国際的組織への加入が戦争リスクの低減に寄与する。
    - 日本の防衛政策: 中国や北朝鮮の脅威に対抗するため、防衛費の増額が必要とされる。
    - 核シェアリングの議論: 日本の非核三原則の見直しが求められる。

  • もうすぐ誕生日が来ますがまだ60歳です、新刊をチェックしている高橋氏の本が出たので読みました。この本は単なる地政学の解説本ではなく、地政学の意識を持って巷に溢れる情報を理解しなさい、という趣旨で書かれていると思います。

    米国ではトランプ政権が開始され、予想以上の大変革が起きます。この機会を活かすも殺すも、それまでの準備と、今後起きる変化に上手に対応していくことが大きな差を生むことになると思います。この本に書かれていることを参考にして、自分の生き方を考える良い機会を与えてもらったことに感謝します。

    以下は気になったポイントです。

    ・世界で起こっている事象を深く理解するための一つの視点が「地政学」だ、世界の戦争の歴史を知ること、そして国や地域が置かれた地理的条件から物事の深層を考えるという学問である(p14)

    ・朝鮮戦争において、釜山から対馬、さらには九州にまで脅威が迫る中、日本が本格的な戦争に巻き込まれないようにするために防衛策として掃海艇の派遣が下されたことは十分に理解できる、日本は現実的な判断から集団的自衛権を行使し、同盟国と自国を守ったと言える(p24)

    ・日本は長年、ロシアを過度に敵視せず、中国だけに対抗するというスタンスだった、しかしウクライナへの侵攻を機に、仮想敵国としてロシア、中国、北朝鮮の三方面に対応せざるを得なくなった、冷戦の火種は今もなお燻り続けている(p34)

    ・死者の絶対数は第二次世界大戦だが、人口換算後のランキングでは、一位は、中国唐(8世紀)の安史の乱(3600万人に対して、4億2900万人)2位は、モンゴル帝国の制服、以下、中東奴隷貿易、17世紀の明朝滅亡である(p36)人類は20世紀以降、急速に平和的になったと指摘されている(p36)

    ・半導体製造装置メーカは世界でも限られる、ASML(オランダ)、アプライドマテリアル(米国)ラムリサーチ(米国)、東京エレクトロン、KLA(米国)の5社が8割を占めている(p43)

    ・国際金融のトリレンマとは、自由な資本移動、独立した金融政策、固定相場制、を同時実現できない。中国は共産主義体制なので、自由な資本移動を許していないので、自由な資本移動を制限し、固定相場制と独立した金融政策の2つを選ばざるを得ない。こうした制約があるので、中国が主導するAIIBからは低コストでの資金調達は難しい(p51)

    ・海中の原子力潜水艦は、空からは簡単に捉えられない、さらに長期に渡って燃料補給を必要せずに連続航行ができ、余剰電力で海水から酸素を作れるため、数ヶ月以上の潜航が可能、その意味では現時点で最強兵器とも言える(p58)

    ・プーチンが停戦に応じるためには、ウクライナがNATOに加盟しないことが絶対条件となる、しかしウクライナがNATOからこれだけ軍事支援を受けている状況では、事実上NATOと一体であるとプーチンには見えるだろう、これがプーチンが和平を回避して戦争の長期化を望むインセンティブとなっている(p75)

    ・旧ソ連諸国を中心とした陣営には、集団安全保障条約機構(CSTO)がある、現時点での加盟国は、ロシア・アルメニア・カザフスタン・キルギス・タジキスタン・ベラルーシであり、NATOに対抗する地域的な軍事同盟と位置付けられている(p88)

    ・経済は、アジア太平洋・欧州・北米州の3極がある、米大陸にはUSMCA(2020.7,米国、カナダ、メキシコ)の貿易協定でNAFTA に代わるものである、欧州にはEU、アジア太平洋には、RCEP(2022.1)があり、参加国は、ASEA10カ国(インドネシア、タイ、シンガポール、マレーシア、フィリピン、ベトナム、フルネイ、カンボジア、ラオス、ミャンマー)と、それらのFTA(自由貿易協定)パートナーである日本、中国、韓国、オーストラリア、ニュージーランド、2024年6月にはチリが正式加盟した、ロシア中心のEAEU(ユーラシア経済連合)もある(p101)

    ・債務返済に苦しんでいるスリランカに対して、日本、インド、先進国からなるパリクラブはスリランカの債務問題に対処している(p113)こうしたスリランカのような事例が相次いだことで、一帯一路の評判は低下の一途を辿っている(p114)G7から参加したイタリアも2023年12月に正式に離脱した(p114)

    ・TPPへの参加で日本は自由貿易の恩恵を受けられるようになった、自由貿易とは、可能な限り国家間で関税をかけずに輸出入を行うことを指す、自由貿易のメリットを受けるのは主に輸出業者と消費者、デメリットは、輸入業者と国内生産者である、そして自由貿易の恩恵とは、メリットがデメリットを上回ることを意味する、これは経済学の200年の歴史において最も確実な理論である(p131)

    ・ISD条項(国家対投資家の紛争処理条項)について、日本はこれまでに50以上の投資協定に署名しており、その中にもISD条項が含まれているが、対日訴訟は1件も起こっていない、世界では多数発生しているが、訴えられるケースの多くは国内法が不備な途上国である。ISD条項は、投資家や企業が国際投資で相手国に不平等な扱いを受けないようにするためのものであり、日本のような先進国には有利に働く(p133)

    ・カントの提唱したのは、民主主義の程度・経済的依存関係の構築・国際的組織への加入、の3つで、この中で民主主義にフォーカスしたのが、民主的平和論である、民主主義国では、選挙で選ばれた政治家は、国民の視線を意識せざるを得ず、三権分立や二院制のような権力機構の抑制が存在するため、戦争という行動が選ばれにくい(p156)平和の5要件とは、1)同盟関係、2)経済的依存関係、3)国際的組織への加入、4)民主主義、5)相対的な軍事力である(p160)

    ・第二次世界大戦が終わった日は、日本人としては「8月15日」であるが、他国の人々は「9月2日=戦艦ミズーリ艦上での日本政府のポツダム宣言に基づく降伏文書に署名した日」である(p171)

    ・核シェアリングとは、NATO加盟国が抑止力を共有する仕組みで、核保有国(主に米国)が非核加盟国に核兵器使用に関する協力や訓練を行う、但し実際の核兵器の管理、運用権は核保有国にある、これにより非核国も核抑止力を使えて安全保障を強化できる。すでに、ベルギー、ドイツ、イタリア、オランダ、トルコでは実施されている(p201)

    2025年1月19日読破
    2025年1月23日作成

全11件中 1 - 11件を表示

著者プロフィール

嘉悦大学教授、株式会社政策工房代表取締役会長。1955年東京都生まれ。都立小石川高校(現・都立小石川中等教育学校)を経て、東京大学理学部数学科・経済学部経済学科卒業。博士(政策研究)。1980年に大蔵省(現・財務省)入省。大蔵省理財局資金企画室長、プリンストン大学客員研究員、内閣府参事官(経済財政諮問会議特命室)、内閣参事官(首相官邸)などを歴任。小泉内閣・第1次安倍内閣ではブレーンとして活躍。2008年に退官。その後、2020年10月から2021年5月まで内閣官房参与を務める。著書に、第17回山本七平賞を受賞した『さらば財務省! 官僚すべてを敵にした男の告白』(講談社)のほか、近著に『「経済オンチ」が日本を破壊する! 間違いだらけの「ド文系」経済政策』『「外交オンチ」が日本経済を破壊する! 間違いだらけの日本の「経済安全保障」』(清談社Publico)、『60歳からの知っておくべき経済学』(扶桑社新書)、『日本はどこに向かおうとしているのか』(徳間書店)、『財務省亡国論』(あさ出版)、『フェイクとおバカの見分け方 髙橋洋一のファクトチェック 2025年版』(ワック)、『財務省バカの「壁」』(祥伝社)、『お金のニュースは噓ばかり』(PHP新書)などがある。

「2025年 『財務省ぶっちゃけ話』 で使われていた紹介文から引用しています。」

髙橋洋一の作品

  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×