虚弱に生きる

  • 扶桑社 (2025年11月5日発売)
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Amazon.co.jp ・本 (224ページ) / ISBN・EAN: 9784594100933

作品紹介・あらすじ

病気じゃないけど、体力がない。労働する元気も恋愛する元気もない――。
SNSで「虚弱エッセイ」が話題沸騰の著者による
「虚弱体質」のリアルをつづる、新世代のサバイバル・エッセイ!

・21歳で身体にガタがきた
・仕事がないからじゃなくて、体力がないからお金がない
・眼鏡をかけたら不眠症が治った
・世界の中心が膝になった
・そもそも本当に虚弱なのか
・面前DVと場面緘黙症
・愛よりも健康が欲しい
・生理のない女になりたい
・ずっとスタートラインを目指している

ほか

感想・レビュー・書評

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  • 著者の「虚弱」と「健康」という二つのテーマをとことん深掘りしたエッセイ集。
    私自身も「虚弱」を自覚しており生きづらくて仕方がないのだが、たまたま男性の体で生まれてきたため、身体面での虚弱さは著者よりは多少マシなのかもしれない。もし女性の体に生まれてきていたら、著者の抱える生きづらさや経験を、より深く身をもってなぞるように生きていただろうな…と思う。
    梅崎春生「怠惰の美徳」、pha「パーティーが終わって、中年が始まる」といった著作を好んで読んできたことも重なり、すごく共感できる内容だった。

    一方で、以下の健康ルーティンに関する記述などからは、同じようなことをしているのに、ストイックな性格の著者と、怠惰で呑気な性格の自分との間で対照的な向き合い方が垣間見えたことも興味深かった。

    「毎日変わり映えのしない鶏胸肉を食べ、ラジオ体操と筋トレをし、カロリー計算と体重・体脂肪測定をし、湯船に浸かっている。何一つ楽しくない。全部めんどくさい。これで劇的に健康になれればまだやりがいもあるだろうに、微々たる効果しかない。そうしたストレスを解消する時間もない」

    私も著者とよく似た生活を送っているが、食事管理アプリなどはゲーム感覚でわりと楽しみながら続けている。無理するとすぐ疲れてしまい、そうしないとやってられないから。効果の大小にかかわらず、「虚弱な体」という限られたリソースの中で試行錯誤して遊ぶこと自体がもはや趣味になっているかもしれないが。
    私は努力が嫌いだし、そもそも努力するための体力も気力も無い気がする。どうなんだろう。

    また、著者は「体力がない人のほうが意外と長生きすると思いますよ、などと声をかけてもらうことがある」とのこと。梅崎春生も医者から同様の言葉をかけられていたらしいし、我々虚弱族にもワンチャン希望はあるのかもしれない。まあ梅崎は極度のアル中で早死にしちゃったんだけど。
    虚弱な自分を否定するのではなく、この体と真摯に向き合って生きていきたいと思える一冊。

  • 虚弱対談がSNSで流れてきた時に、共感を覚えすぎていたので、書籍化されるのを知って刊行を楽しみにしていた
    奇しくも久々の通勤でもらってきたインフルエンザで床に伏せている時に読んだため、作者の様々な不調に対して、より親近感を感じることができた(動きたいのに動けない、可処分時間が少ない など…)
    作者は虚弱さとの戦いの結果、バリバリ働くことなどに対して折り合いをつけ、目指したい姿や優先すべきことを自分で決めようとしているように感じる
    SNSや実社会などにおいては、体力があり、家庭を持っており、社交的で…などの姿が良いものとされるように感じてしまうが、そうしたくてもできない人に優しく寄り添うエッセイだった

  • わかる〜〜〜〜〜(27歳女)
    著者ほどでは無いが、他人に対して思う感情が最近はほとんど、この人体力あるなぁ……な握力15以下な女なのでわかる…わかります……の連続と同時にこの人大変そう〜〜という自分を棚に上げた感想

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著者プロフィール

1995年生まれ。早稲田大学文学部卒業。大学時代よりライターとして活動し、現在はエッセイを中心にWebメディア、雑誌、映画パンフレットなどに寄稿している。本作『シティガール未満』が初の単著となる。

「2023年 『シティガール未満』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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