途上国を考える (放送大学教材)

著者 :
  • 放送大学教育振興会
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  • Amazon.co.jp ・本 (261ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784595314940

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  • ・途上国の国家形成
    ・未完成な国民国家の課題
    ・途上国政府の役割像

    第一次産業の開発:韓国、セマウル運動(77)
    ・勤勉・自助・協同を基本精神にした地域開発運動
    ・1970年スタート
    ・全国の村に一定量のセメントを無償提供し共同作業に使用を限定しただけで、いかに使うかは各村の判断に任せた
    ・一定期間後、セメントがどのように使用されたかを詳細に調査し、有効に使用されたと評価された村だけに第二段のセメントと鉄筋を無償提供
    <特徴>
    1.長い歴史の中であきらめていた農民に、やる気を出して働けば成果が得られる仕組みおよび働くインセンティブを提供したこと
    2.政府が公平に努力を評価し支援することを通じて政府に対する信頼が醸成されたこと
    3.上下関係の強い農村社会に村民間の社会資本(Social Capital)の蓄積を促したこと
    →計画自体を村民に任せる住民参加を1970年の時点で試みていた

    ・ポスコ(95)

    政府開発援助(ODA)を考える(176)
    1.持続性と民間企業の競合性
     -援助の打ち切り
    2.現地ニーズの把握
     -ソーシャル・マーケティング
     -途上国の実情を知るには(182)
     -援助によって貧困の原因を取り除くことか、貧困を緩和することができれば、望ましい援助ができたことを意味する。
     -それには、貧困の原因は何かを正確に把握することが欠かせない。
     -外部の者が援助相性地域に入っていって貧困の原因を突き止めることが可能な分野は?
     -長い歴史の中で形成されてきた慣行は安定性を重視するものが多く、一部の人に富と権限が集中して非効率な面が少なくないが、それを修正して新たなものを導入しようとする外部の人(援助の対象地域に住んでいない者、途上国政府高官、政治家も含む)に対しては必要な情報が出にくい組織でもある。
     -援助による農村開発プロジェクトが成功しない理由:重要な情報の把握が困難なため、貧困の原因を取り除けない
    3.説明責任と援助大綱
     -世銀の援助:途上国に理論が応用されるとき、理論の前提条件が途上国の現場で満たされていないことが多い
    4.援助の限界
     -現地情報:途上国政府の政治家・中央官僚(首都在住)が地域の実情に疎い
     -主要空港、コンテナ・ポートや高速道路の設置等、国全体を見渡して計画する分野ではこのやり方に問題はないが、宗教や習慣が異なる地域の開発を議論するには情報不足は致命的となりかねない。
     -NGOとは異なり、一つのプロジェクトや地域に同じ人が10年、20年とかかわり続けることができないので、現地の人々の信頼を勝ち得ることが難しい。
     -援助プロジェクトが効果を発揮できる条件作りは簡単にはいかない:コンディショナリティの適切さ
     -保健・教育ではレベルを引き上げるには長期間継続することが不可欠であるが、貧しい国ほどより高いレベルの維持管理コストをキープすることが困難なので、目標の達成もそれだけ困難となる
     -上記より、現地の人々の信頼が必要な農村開発プロジェクトはODAとしてはふさわしくはない。
     -ODAは経済成長を促進するインフラ整備には威力を発揮しうるが、絶対的貧困削減を目標にするといろいろの障害に直面する。衛生面の改善や義務教育の普及には維持管理コストの捻出が不可欠。農村やスラムの改善には情報不足と現地の人との信頼関係構築に弱点をさらす。

    ・政府の役割として重要なことは、自国の現状を正確に把握し、工業化に成功した途上国が現在の自国のような状態にあったときにどのような政策を採用したのか絶えず研究を怠らないこと。この意味で経済官僚の役割は大きく、彼らの研究を促す環境の整備に政権担当者が積極的であるかどうかが問われる(221)

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