- 本 ・本 (296ページ)
- / ISBN・EAN: 9784595324505
作品紹介・あらすじ
『枕草子』には、清少納言の人間観や美意識が明快に表現されているので、豊富な原文講読を通して、王朝時代の散文表現に親しみ、『枕草子』の全体像を解説する。また『枕草子』に顕著に見られる清少納言の批評精神を、当時の他の作品や、後世の文学作品も視野に入れて相対化し、現代に通じる価値観の発露として理解するとともに、文学的な達成と影響力を把握する。
『枕草子』という一つの作品を通して、多様な表現スタイルや、自由で洞察力に満ちた人間認識が、普遍的な文学精神の基盤であることを認識する。
感想・レビュー・書評
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2024年開始の放送大学講義の教科書。1冊で『枕草子』を概観し,テンポ良く書かれた原文を読みながら現代語で内容を知り,背景を知ることができる。今まで有名な箇所しか知らなかった『枕草子』をより深く知ることができ,また清少納言の置かれた立場や執筆姿勢がわかり,清少納言と『枕草子』が大変身近に感じられるようになった。
島崎裕子先生がお書きになった『枕草子』上下巻(ちくま学芸文庫)も,時間はかかるだろうが読破したいと思う。
また清少納言を高く評価した樋口一葉にも興味が沸いた。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
放送大学科目履修生として、今期は「『枕草子』の世界」を履修している(人間と文化コース/導入科目)。古文は超苦手なのだが、現在放送中の大河ドラマ「光る君へ」が面白くなるかもという不純な動機もある。
本テキストは、『枕草子 春曙抄』本文で読むことと、「連続読み」という2つの方針で書かれている。『春曙抄』はいわゆる版本のひとつで、「『枕草子』を文学創造の端緒にする文学書(p19)」とのことだが、高校の古文で習った「冬は、早朝(つとめて)」は入っていない。また、『枕草子』は季節章段、列挙章段、宮廷章段などの章段ごとに書かれているのだが、「連続読み」することによって全体の構成ととともに清少納言の明晰さや性格も窺い知ることができた。
終盤の「香炉峰の雪」は大河ドラマで実写版を観たこともあり、より印象深く読むことができた。
著者プロフィール
島内裕子の作品





