7月のダークライド (ハーパーBOOKS H205)
- ハーパーコリンズ・ジャパン (2024年2月16日発売)
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感想 : 31件
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Amazon.co.jp ・本 (432ページ) / ISBN・EAN: 9784596537171
感想・レビュー・書評
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子供たちを守るため未熟な青年が奮闘するが… 苦悩多き青春時代の郷愁を誘う物語 #7月のダークライド
■あらすじ
主人公である青年ハードリーは大学を中退し、遊園地の恐怖体験ができる施設で働いていた。ある日遊園地で幼い姉弟と出会うのだが、彼女らの身体に煙草のやけど跡を見つけてしまう。虐待を懸念したハードリーは児童保護サービスに連絡するも、相手にしてもらえない。幼い姉弟を守るべく、ハードリーは虐待の証拠を探し始めるのだが…
■きっと読みたくなるレビュー
思いっきり青年の想いがつまった物語、探偵や冒険小説の部類ですね。
本作イチ推しなのは主人公のお人柄。未成熟な正義感がヒシヒシと伝わってきて、それでも懸命に情熱を貫く姿を応援しちゃう。ただ若いながらも過去の経験からそれなりの価値観や熱意を持っているのに、知識不足なのは否めない。特にバランス感覚が成熟していないことから、いつも悪い結果を招いてしまう。
わかるわー、わかりみがすぎる。若い頃の自分を見ているようで、読んでいて恥ずかしくなってしまいました。
でもその他の登場人物が素敵なんです。市役所の受付、ゴスロリファッションのエレノアがキュートすぎて尊い。ハードリーよ、こんなにも良くしてくれる友人はいませんよ。想いや気持ちは分かるけど、大切に思ってくれている人の言葉には耳を傾けなさいっつーの。
フェリスはエロいし、サルヴァドールは幼いし、トレイシーは謎が多いし、なかなかの逸材ばっかり。未熟な青年が出会うには刺激が強すぎる。でもきっとたくさんのことを学べる環境でもあるんですよね。若い頃はいっぱい経験しなきゃ。
さて中盤あたりから物語が動き始めます。マジで?という主人公の行動に若干引きつつ読み進めるのですが、これまでにはないパワフル展開に読む手にも力が入る。ラストは主人公の人柄を反映したような読後感に浸れてチルかった。遠い昔の自分を思い出させてくれた素敵な作品でした。
■ぜっさん推しポイント
皆さんが23歳の頃は、何をやっていましたか? 何か悩みはありましたか? どういった願望がありましたか? 23歳なんて、つい最近のような気がするんですが、実際に年数を数えてみると遠い昔。
私は主人公と同じく大学を辞めそうになっていて、アルバイトしながら仲間とバカ騒ぎしていました。中退を決めた後、大学生の肩書がなくなってしまったことに気づき、不安に駆られる毎日が始まる。それでも自分には何か才能や生きる道があると盲信していたのですが、年収や地位は周りに水をあけられてしまっていました。
そんな粗末な生活を1年ほど送っていたのですが、その頃の一番の願いは「社会に入っていくこと」でした。
ただ何をやりたいわけでもなく、何ができるわけでもなく、何を積み上げてきたわけでもない。守られているものが無くなった時、初めて自分が未熟であったことを痛感するんですよね。それでも私の周囲には優しい友人たちがいて、色んな助言をしてくれたのです。そのおかげで「社会に入っていくこと」が実現できたのですが、まぁ苦労しました。
人それぞれ大人になるために、様々な苦労や経験を重ねながら人生のダークライド〈遊園地の乗り物〉を乗りこなしてゆくのです。そしてきっと、一緒に乗っている人をいかに大切に思えるかによって、結果が変わってくるんだと思いました。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
殴られて尻もちをついても、また立ち上がる。
主人公は、二十三歳の青年ハードリー。 hardlyとは 「ほとんどない」「すこしも
…………ない」という意味の英語だ。本名はハーディだが、みんなからハードリーと呼ばれているため、自らもそう名乗っている。一年半通っていた大学を辞め、いまは遊園地のなかで最低賃金の仕事をしており、親しい仲間とマリファナをやっては酩酊しつづけている典型的な負け犬のダメ男だ。(解説より)
そんな彼がある日、虐待が疑われる姉弟と出会い、彼女たちを救おうと決意することで彼の生活は一変する。
そして冒険が始まる。
新たに出会った人々や彼を慕う友人の力を借りながら奮闘する中で、文字通り変わっていく彼。
ではなぜ彼は彼なりには幸せを感じていた生活を捨て、見ず知らずの姉弟を救う闘いを断固として諦めなかったのか。
その理由を見つけることが、この物語を読む者への問いだったのではないだろうか。はっきりとは書かれていない。読む人によって様々に答えはあるのかもしれない。あっていいのだ。
そして自分の中に答えを見つけ出せた者が、殴られて尻もちをついても、また立ち上がることができる人になれるのかもしれない。
ハードリーのように。-
2024/07/17
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2024/07/17
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2024/07/18
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邦題ってどの程度原作者の考えが反映されてるんですかね〜?
なるべく原題に近い方がいいんじゃない?とも思うけど
その邦題大成功!ってパターンも...邦題ってどの程度原作者の考えが反映されてるんですかね〜?
なるべく原題に近い方がいいんじゃない?とも思うけど
その邦題大成功!ってパターンもいっぱいあるし
難しいですよね
ただシリーズものでないのに、関連性を持たせるってのはやっぱり浅ましさ感じちゃいますよね
とっても同意です
『自由研究には向かない殺人』なんかも(これはシリーズだからまだ許せるけど)1作目はなかなかいい邦題と思ったけど、後がだいぶ窮屈になってましたよね
いずれにしても、邦題付けって編集者のセンスを見せる!って無駄に力入ってそうですよねw
2024/08/17 -
ほんと、どういう経緯でタイトル決まるんだろ?って思います。
翻訳者さんだけの意向じゃない気がするんですよねー。加賀山さんがこんなタイトル付け...ほんと、どういう経緯でタイトル決まるんだろ?って思います。
翻訳者さんだけの意向じゃない気がするんですよねー。加賀山さんがこんなタイトル付ける?って。
編集さんとか社の力持った人が横ヤリ入れてくるんすかね。
こんな感じにしちゃって、これから先の作品のタイトルどうすんのよって思っちゃいました。
『自由研究〜』も自分的にはキャッチーだなと思っていましたが、確かに段々とその語呂が制約めいたものになってますよね。
ジェフリー・ディーヴァーなんかは割と手抜きのタイトル付けされてますけど、そうかと思うと『石の猿』とか、もうそこ他の感じと合わせてもいいんじゃない?とかもあってほんと不思議。
まあ、こうやってタイトルひとつでいちゃもんつける輩がいるんですから力も入りますわねw2024/08/17 -
そうそう!『石の猿』ね!
急にどした?って思いましたよねw
まぁ、シリーズの中では異色作ちゃあ異色作なんですけど
完全にイメージなんですが...そうそう!『石の猿』ね!
急にどした?って思いましたよねw
まぁ、シリーズの中では異色作ちゃあ異色作なんですけど
完全にイメージなんですが、池田真紀子さんはそういうことやりそうw
『7月の〜』に関しては加賀山さんの意向じゃない気がしますね〜
完全にイメージですけどw2024/08/17
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主人公は虐待を受けてる母子を助けようとする。
その中で自分の生き方が変わっていくのまではわかるけれど、最後まで「このやり方は駄目では…」と思いながら読んでいた。
てっきり過ちに気づいて別の方法を模索すると思いきや「西部流の解決(直接対決)」で挑む感じで、ちょっと納得できず。
女性陣達からは止められてるあたり、男だけの感覚なのかなぁ…どうもそのせいでユーモアすら入ってこずでした。 -
久々のルー・バーニーという作家の名前だけで、冒険小説好きの好奇心が全面反応してしまう。ちなみに若かりし頃、冒険小説のフォーラムを主宰していたとは言え、ぼくは軍事オタクでもスパイオタクでもない。冒険小説とは日常生活の中から逸脱してあるアクションをやむを得ず選択してゆく勇気や意志を描くもの。ぼくはそう理解している。題材ではない。あくまでそこに介在する人間とその魂を描くフィクションのことを冒険小説と呼ぶのだ。
さてルー・バーニーだ。何年ぶり? 何と5年ぶり。しかも第三長編。何とも寡作である。でも書けばただじゃおかないとばかりに骨のある作品を提供し、ミステリー界をどよめかせる作家である。その理由は何だろう? 騒がれたのは『11月に去りし者』だけだから、データは少なすぎる。しかし『ガット・ショット・ストレート』と併せて過去二作品を見る限り、何と言っても登場人物の人間の魅力、そしてその心の魅力であり、それらを束ねたクライム小説としての語り口だろう。
出版社も自信があるのだろう、昨年のベストをかっさらったS・A・コスビー「ルー・バー二ーの最高傑作」、巨匠ドン・ウィンズロウ「心を摑んで離さない」と、わくわくするような言葉が並ぶ。これではずるいではないか、と思いながら期待感たっぷりで読み始めた本書。それは危険な導火線に火をつけたようなものだった。
何と本書の主人公は、ルー・バーニーとしては珍しいくらい若年、一人前にさえなっていないと言える平凡な23歳の青年である。働く場所がなんと<呪われた西部開拓地>と奇抜である。西部開拓時代を背景とした体験型スリラー施設なのだ。ゾンビのならず者、食屍鬼の住民、ブート昼墓場の幽霊たち。そこを巡る恐怖の時間と、主人公がこの作品で図らずも出会ってしまう現実世界の幼児虐待犯罪が、どちらもタイトルの<ダークライド>にかかってくるという構図なのだ。
主人公ハーディは、幼い姉弟と運命的に出会ってしまう。それは、両親に連れられた小さな姉弟だったが、彼らの胸に刻まれていたのは、煙草と見られる複数の火傷痕だった。彼らは親たちから虐待を受けているに違いないとハーディは確信する。以来、ハーディは幼い姉弟を放っておくことができず、思い悩むと同時に、あらゆる解決策を模索する。本書の真のスリルがスタートし、そして徐々に闇は色濃く彼を脅かすようになる。それは、両親に連れられた小さな二人の男女の幼児の胸に刻まれた煙草と見られる複数の火傷痕だった。ハーディはその子供たちが親たちから虐待を受けているのではないかと想像する。
彼らを救い出す手はないだろうか? また子供たちを虐待する見も知らぬ親たちの罪を何とかして暴くことはできないのだろうか? 子どもたちを救い出すとしても、少年以外の誰一人としてそれを知らないし、救い出そうとも思っていない。では自分がそれをやらねばならないのだ。ハーディはそのように心の絶対絶命状況を自覚してゆく。
相談相手の伝手を辿りつつ、専門家などにも意見を聴くものの、証拠も正体もわからない子供たちを救う手立てがなく、ハーディは悶々とする。闇を行く日々。ダークライドがスタートしたのだ。手を貸してくれる者もいれば、相談を聴いてくれる専門家も何とか接触するが、具体的な解決策には至らない。ハーディの冒険はこうしてスタートする。探り、対策を練り、実行する。そう、これぞ冒険小説の基本構造。久々に血が沸き立つような興奮を覚えた。
結末は書けない。ハーディは仲間を得て救出作戦を実行する。結末は書けない。それはあなた自身がこの本を通じてダークライドを体験すべきだから。この春、ぼくが最も興奮した作品なんだ。結末を書けるわけなんてないじゃないか。 -
遊園地で働く主人公が、虐待された形跡の残る子供を見かけた事から始まるミステリー。まず、遊園地の子の色々を探る時点で、私的にはアウトとは思う。公的機関に訴えても難かしいかな。と言う意味でも、リアリティがなくて残念だった。
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遊園地で働く青年ハードリーはある日、煙草の火傷痕の残る幼い姉弟を見かける。
行きがかり上、虐待を通報するも当局に相手にされなかった彼は、証拠を掴むため素人探偵まがいの調査を開始する。
見えてきたのは裕福なのに荒れ果てた家と、弁護士の父親の背後にちらつく麻薬組織の影。
23年間、面倒を避け気ままに生きてきたハードリーは、幼い命を救うため人生で初めて壮大な賭けを仕掛けるが……。
前作の印象がとても良かったので、読んでみた。若さゆえの猪突猛進はなかなかのもの。 -
主人公は遊園地で働く23歳のハードリー!
最低賃金の仕事だけど、別に多くを望むわけでもなく、ハードリーは十分に幸せだと思っている…
そんな彼が虐待を受けていると思われる幼い姉弟を見かける
そして、およそヒーローらしくないハードリーが幼い命を救うために壮大な賭けを仕掛ける!
「二人を助けるチャンスが0.1%でもあるなら、ぼくはためらわない」
ハードリーは決して諦めない
友だちとマリファナをやって日々を過ごすだけの負け犬ハードリーは終わりだ
これまでの自分ではない!
なりたかった人間になる!
彼を掻き立てるものは何なのか?
おそらく、彼の生い立ちも関係するだろう…
「二人には自分しかいない」
ハードリーは自分のなかの正義を貫くために前に進む
しかし、素人の計画は無防備で危なかしくハラハラさせられる
そしてラストは… -
「思うんだけど、問うべきことはちっとも複雑じゃなくて、すごく単純じゃないかな」ぼくは言う。「なぜぼくがあの子たちを助けたいかじゃなくて、ぼくにしろ誰にしろ、なぜあの子たちを助けたくないなんてことがあるのか」
小気味いい文章が好きだーと思いながら読んでいて、途中で『ガットショット・ストレート』の著者だと気づく。
納得ー!!
現在しか見ないような生活に満足している青年ハードリーが、偶然見かけた幼い姉弟。
明らかに家庭内で虐待を受けている二人を救おうと、奔走するハードリー。
といっても完全に素人なので、危なっかしくて仕方ない。
けれどそれでも諦められないハードリーと周囲の変化が胸を打つ。
ラスト…ラストーーーーーーー!!!!!! -
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説明されてはいるものの、なぜこの子たちを助けたいのかそもそもの動機が理解しにくいため、彼がなぜここまでするのか、最後まで歩み寄れず。甘々でまるでファンタジー。うまく行きすぎるし、カタキ役も中途半端だし。フェリスとの関係含め青少年の憧れを詰めこんだのか?と思えるほど。ラストは思い通りになってよかったね、と言ってあげたいくらい。大谷さんが語られるくだりのみ、ほんわかしました。
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2024/09/21
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2024/09/21
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無気力、それの何が悪いのか
頑張ったことがそんなに偉いのか
これは物語だから……
寂れた遊園地で働く青年が、ふとしたことがきっかけで、いままで思ったことがない使命感を募らせ、自らの手で未来を切り拓こうとする。
物語には、おばあちゃんがすきなジミー・ペイジのいるツェッペリンに、おばあちゃんが「女々しいあいつ」と言うジェフ・ベック、20世紀末の16弦が咽び泣くようなシーンもあれば、一方で、GoogleやiPhoneが活躍して、現代であることを思い出す。
同じ作者の前作『11月に去しもの』と同様に、シーンが映像として浮かび、その中でともに悪戦苦闘する。
でも、読み終わって、主人公は本当にこれでよかったのか、なんだか変なものが残る。
まぁ「物語なんだから、細かいこと言わない」って感じかなぁ〜 -
遊園地で働く23歳のハードリーが煙草の火傷跡のようなものが幼い兄妹にあることを偶然見かけるところから始まる。それまでなんとなく生きていたハードリーが、兄妹を助けたいと動き始める。行政は当てにならず頼るところが見つからないまま自分で調査をする。なぜここまでするのか、どうすることが一番いいのか。そういう問いとともにハードリーの生い立ちが明かされていく。前作の『11月に去りし者』よりもユーモラスもあって脇を固める人物たちも魅力的。一人で突き進んでしまうラストまでたっぷり読ませる作品。
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主人公は何か特殊技能がある訳ではないので失敗を重ねるけれどゆっくり目的に近づいていく過程を楽しむ作品。
特段驚きや盛り上がりがある訳ではないのを主人公周辺のキャラ達の魅力でカバーしているけれど、その魅力的なキャラ達が特に明確な理由なく主人公に惹かれているのが引っかかった。 -
CL 2024.5.15-2024.5.17
軽快な語り口のわりにラストは切ない。
主人公のハードリーの強い思いで進んでいくので多少現実的でない面もあるけど、この余人に理解し難い使命感がいいな。 -
展開を想像させてくれるところが、有るにはあった。が、やっぱりそうなるか、と思わせておいてそうなっていかない。
陳腐な展開という部分もあるのに、最後まで、ハラハラさせて飽きさせない。
計算され尽くしているだろう最後の最後に、で「どうなるの」と読者の想像に任せられない部分を残したままにする。
あとを引きまた行きたくなるダークライドでした。
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主人公は饒舌な23歳、ハードリー。遊園地の'呪われた西部開拓地'で'死んだ保安官'役をして生活している。が、親からの虐待を疑われる幼い姉弟を見かけた時から気楽な生活が一変する。結末をどうつけるのか色々考えながら読み進めたが、そうくるか、と胸熱。
