ザ・ボーダー 上 (ハーパーBOOKS)

  • ハーパーコリンズ・ ジャパン
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  • Amazon.co.jp ・本 (768ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784596541185

感想・レビュー・書評

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  • 米国、メキシコ、グアテマラ、3か国を中心とした麻薬カルテル、密売、殺人。タイトルのボーダー(境界線)には色んな意味がある。麻薬の国境越え、人間が正常に保てるか、刑務所の外と内、生と死。メキシコの麻薬王アダン・バレーラの死によって麻薬戦争の終結をもたらすどころか、内部抗争が起こり混とんとする。それに巻き込まれる一般住民。壮絶な社会派ミステリーです。疲労感とともに人間の闇、麻薬の闇への疼痛を感じる。カルテルのボス・カーロ、麻薬取締官・ケラー、貧困少年・ニコ、どう関わってくるのか!後半の800ページが楽しみ。⑤

    • アールグレイさん
      こんにちは(^_^)/ポプラさん

      800ページ!( ̄0 ̄)
      頑張るなぁ(x_x)私は本を見ただけでgive up
      下巻 fight o...
      こんにちは(^_^)/ポプラさん

      800ページ!( ̄0 ̄)
      頑張るなぁ(x_x)私は本を見ただけでgive up
      下巻 fight oh !
      2022/07/01
    • ポプラ並木さん
      アールグレイさん、こんにちは!
      800ページ×2です。今下巻ですよ。大変です!
      京極さんのようなレンガ本はさすがに。。。と思いますが、下...
      アールグレイさん、こんにちは!
      800ページ×2です。今下巻ですよ。大変です!
      京極さんのようなレンガ本はさすがに。。。と思いますが、下巻頑張ります!
      2022/07/01
  • ドン・ウィンズロウ『ザ・ボーダー 上』ハーパーBOOKS。

    『犬の力』『ザ・カルテル』に続くシリーズ第3弾。完結編。 上下巻で1,500ページを超える超大作。

    まるでノンフィクションのような麻薬戦争の実態。面白い。冒頭から麻薬の利権を巡る血煙と硝煙が漂う暴力と殺戮の世界が描かれる。人間の欲望は果てしなく、留まるところを知らない快楽への欲求が愚かな人間たちを麻薬の世界へと向かわせるのだろう。

    メキシコの麻薬戦争はアート・ケラーが望む結果とはならず、アメリカへのヘロインの流入は止まらない。麻薬の利権を巡り、次々と新たな麻薬カルテルの支配者が生まれていく。麻薬取締局の局長に就任したアート・ケラーはニューヨーク市警麻薬捜査課と共にある極秘作戦に着手するが……

    本体価格1,296円
    ★★★★★

    • aveleさん
      面白そうですね。分厚いか。読みがいありそう(^^)
      面白そうですね。分厚いか。読みがいありそう(^^)
      2019/08/01
    • ことぶきジローさん
      読み応えがあります。心して読むべし!(^_^)
      読み応えがあります。心して読むべし!(^_^)
      2019/08/01
  •  小説に圧倒されるというのはどういうことを言うのだろう。かつてドストエフスキーやトルストイの大長編作品群にぼくは確実に圧倒された。加賀乙彦の『宣告』に圧倒された。五味川純平の『戦争と人間』全9巻に圧倒された。船戸与一の『猛き箱舟』に、高村薫の『マークスの山』に、ジェイムズ・エルロイのLA三部作『ブラックダリア』『LAコンフィデンシャル』『ホワイトジャズ』に圧倒された。劇画でいえば白戸三平の『カムイ伝』に圧倒された。手塚治虫の『火の鳥』に圧倒された。そういう圧倒的なパワーに打ち倒されるような感覚を失って久しい。敢えて言えばアンデシュ・ルースルンドの『熊と踊れ』二部作がその類いだったろうか。

     読者を圧倒する小説とは、壮大なスケール感を持つ骨太な物語でなければならない。阿修羅の如き悪と、神のごとき善とを内包する人間たちの運命のぶつかり合う軋みが聴こえるようなドラマでなければならない。壮大な構想で読者を牽引してくれる力がなければならない。それらすべての困難な条件をクリアして余りある作品が、ウィンズロウのライフワークと言ってもよい巨作が、実は本シリーズであり、完結作である本書だ。

     シリーズ第一作『犬の力』が<このミス一位>、第二作『ザ・カルテル』が<このミス二位>(ちなみにこの年は『熊と踊れ』が一位だった)、そして第三作であり完結編である本書がこの夏登場となった。圧倒と言うしかない分厚さと重さと物語性を引っ提げて。世の読書子が心の底から待ち望んでいたような小説として。

     メキシコ麻薬戦争をめぐる現代史を学ぶ機会はなかなかないだろう。このシリーズがなければ闇に葬られてたかもしれない暗黒の現実。コロンビア産の麻薬がメキシコを経由してアメリカ国境を渡るという単純な構図を見ると、生産利益、運搬利益、販売利益を目的とする反社会的な受益団体の存在が見えてくるはず。メキシコは運搬と販売を司る仲介利益に群がる組織間の戦場と化してしまう。一般人やジャーナリストの犠牲者を多く出した40年という長い暗黒史にメスを入れたのが、実はこのシリーズなのである。

     麻薬捜査官のアート・ケラー、麻薬王アダン・バレーラ。二人の対立構図を描いた大河小説とも言える前二作を受けて、本書では第二世代の組織による新たな暗闘が幕を開ける。『ザ・カルテル』ではメキシコ麻薬戦争で実際に犠牲者となったジャーナリストに作品は捧げられていたが、本書では麻薬カルテルによって葬られたバス一台分の無辜の学生たちの実名が挙げられ、作品は彼らに捧げられている。

     例えば2014年のケラーの嘆き。「メキシコではバスに乗った四十九人の学生が亡くなった。アメリカでは二万八千六百人がクスリで亡くなった。誰ひとり復活しない。おれにはやるべき仕事がやれていない」
     「二〇〇〇年から二〇〇六年までは、とオブライエンはケラーに説明する。ヘロインの過剰摂取による死亡者数は横ばいで、一年に約二千人だった。二〇〇七年から二〇一〇年までは、約三千人に増加した。それから急激に増え始め、二〇十一年には四千人、二〇一二年には六千人、二〇一三年には八千人になった。」
     「二〇〇四年から現在までに、イラクとアフガニスタンで失ったわが国の兵士の総数は七千二百二十二人だ」
     「同じ期間に、十万人以上のメキシコ人が麻薬戦争で殺され、二万二千人が行方不明になっています。ちなみにこれはひかえめな数字です」

     この数字の規模でシリーズは進んできたのだ。そしてケラーが取り組んできた長い麻薬との闘いの人生でもある。本書はその総括ともなる大作で、何と上下巻併せて千五百ページを軽く超える重量級のクライム小説である。凄い厚みと重みだが、それを読ませてしまう推進力こそが、ドン・ウィンズロウという作家の持ち味である。

     それぞれの章に登場する複数主人公が良い。潜入捜査官として苦闘するボビー・シレロ。ビリー・ザ・キッドの異名を持つ殺し屋ショーン・カラン。グアテマラからアメリカへの国境越えを図る少年ニコと少女フロルの運命。そしてメキシコのファミリーたちのそれぞれの狂気の個性。またも犠牲になるジャーナリストの悲惨。前作までの覇者と死者とその子供たち。刑期を終えて再登場する古き麻薬王たち。

     何よりも時代は変わり、ドナルド・トランプを思わせる新手の大統領がアメリカと現代とを掻き回す。麻薬戦争はメキシコからアメリカに移る。さらに過激に残酷になり地下に潜ってゆく薬物戦争に対峙するケラーの運命。

     多くの人間の運命を乗せた重機関車のように物語は疾走する。ケラーのラストの法廷での証言が彼の辿った四十年を振り返る。まさに現代の『戦争と平和』と言える本シリーズ。できれば一作目『犬の力』から辿って頂きたい。そして本作の持つ圧倒的な力に、是非とも魂まで揺さぶられて頂きたい。

  • 米国の麻薬捜査官による執念の追跡の物語
    政治任用により高官となり、メキシコからの麻薬流入を食い止めるために囮捜査を指揮。米国大統領候補の娘婿の運用するファンドが、麻薬マネーを受け入れ、マネーロンダリングに手を貸しているとの情報が入る。
    政治的圧力を受ける中、追求しきれるか。
    同時並行で、ニカラグアから少年が脱出し、米国密入国を目指す。マフィアを逃れてきたものの、結局はその一味になってしまうのか。
    ドラマ仕立てで面白い。上下巻

  • やっと上巻を読破。次の下巻は文庫本なのに800ページ以上。このシリーズを最初から読んでいるがとにかく登場するメキシカンの名前が覚えられない。しかも3シリーズ上下巻ずつでどんどん登場人物が累積される。しかもあだ名も出てくるしなぜかファーストネーム、ファミリーネーム入り乱れ。でもなぜかこのメキシコ麻薬戦争に引き付けられる。

  • 40年に及ぶ麻薬戦争3部作完結編の上巻。
    作者畢生の大作である。
    犬の力から読み始めて15年が経った。
    評価云々関係なし。勿論面白い。
    絶対おすすめです。

  •  平置きされているこの文庫本を手に取ると、どの本よりも厚い感触に、まず手が驚く。765ページだ。『犬の力』、『ザ・カルテル』に続くこの3部作は、ボリュームだけでも作者の執念を感じる。

     主人公は今や麻薬取締局DEAの局長になっており、上巻では彼の直接的な活躍より、麻薬を取り巻く周辺(すなわち主人公の人生なのだが)の人物を描いていく。
     麻薬カルテルの首領の首をすげ変えてもすぐに次の顔が現れるように、麻薬の売人から中毒者まで、次から次へと登場人物に不足はしない。また、登場人物にトランプ大統領のモデルが登場するように、この物語は現実社会に基づいている。作者の執念はジャーナリズムに根差していると強く感じる。

     さあ、3部作の長大な大河小説は最終巻を迎える。読み終えたくない気持ち半分、読み急ぐ気持ち半分で、秋の夜長にもぐり込む。

  • 前作で、悪の化身を倒した。しかし地獄は地獄のままで、いや悪化していく。
    実際のメキシコで発生した醜悪な事件が取り入れられており、人間の恐ろしさ、おぞましさが、これでもかと描かれている。


    1作めの「犬の力」で唯一の希望の光だった、あの二人が登場する。

  • 「犬の力」「カルテル」に続く3作目。最近は後から追加されて全3部作、という作品が多い・・・

    主人公ケラーが主人公なのは同じだが、前2作目とは趣が違う。今まではバレーラという強大な敵がいたわけだが、今回はバレーラ亡き後の跡目争いと乱立した組織同士の闘い、そしてDEAとの戦いとまさに三つ巴、四つ巴の闘いとなっていて、登場人物が今までにも増して多い。

    それぞれの視点で描かれるので話の展開も目まぐるしいため、今一つ感情移入しにくい。
    果たして後半、このドラッグウォーズはどんな展開に、そしてどんな決着を迎えるのか?

  • 『犬の力』を猛烈に読み返したくなりました。

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著者プロフィール

ニューヨークをはじめとする全米各地やロンドンで私立探偵として働き、法律事務所や保険会社のコンサルタントとして15年以上の経験を持つ。

「2016年 『ザ・カルテル 下』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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