毒見師イレーナ (ハーパーBOOKS)

  • ハーパーコリンズ・ ジャパン
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本棚登録 : 503
レビュー : 63
  • Amazon.co.jp ・本 (528ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784596550026

作品紹介・あらすじ

ある殺人を犯した罪で死刑囚となった少女イレーナ。ついに絞首台へと送られる日を迎えるも、そこで思わぬ選択肢を与えられる――今すぐ絞首刑か、それとも、国の最高司令官の毒見役になるか。だが毒見役を選んだイレーナを待ち受けていたのは、逃走防止の猛毒だった。かくして少女は毎日与えられる解毒剤なしには生きられぬ身体に。わずかな生きる希望に賭け壮絶な日々に立ち向かうが……。

感想・レビュー・書評

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  • 危険な毒見役として生きることになった娘は…?
    中世風異世界ファンタジーですが、ヒロイン像が鮮やかで、展開もスピーディーで面白い!

    まだ10代のイレーナは殺人の罪で1年牢獄に繋がれていたが、死刑か、最高司令官の毒見役になるかを選ぶように命じられる。
    舞台は、建国されてそれほど経っていない新しい国イクシア領。
    イレーナの罪というのは、イレーナを含む孤児たちを監禁して実験していた男を倒したのだが、これが将軍の一人の息子なので正当防衛などは通じない。

    イレーナは立場を得てまともな服装となったものの、毎回、命の危険にさらされる毒見役。
    しかも、イレーナの処遇を不服とする将軍には、密かに命を狙われ、誰が敵か味方かわからない。
    もともと身寄りがない孤児で、あまりにも悲惨なところからのスタート。
    ぐっと引き込まれる描写で、どんどん読み進めます。
    このイレーナが実は身が軽くて、あっという間に凄腕になっていくのね~(笑) 少しずつ親しい人も出来て、味方を増やしていくのを見守る心地。

    前の王家が腐敗していたために革命が起こり、今は独裁体制で法律は厳しかった。
    直属の上司のような防衛長官のヴァレクは、最高司令官の右腕。渋い年上の男性で、イレーナを教育するうちに次第に惹かれ合うようになります。
    なんといっても、このヴァレクがいい男で。
    イレーナを認めていく過程と気持ちを伝えていく様子がなんとも‥
    続きを読まずにはいられなくなります!

  • 殺人の罪で死刑囚となったイレーナは、死刑執行日に「絞首台に行くか、それとも最高司令官の毒見役となるか」の選択を迫られる。
    しかし毒見役には人権も自由もなく、前任者たちはいずれも無残な死を迎えている。絞首台なら簡単に死ぬことができるが、毒見役になれば残りの人生を毎日死と隣り合わせで生きることとなる。
    そんな残酷な選択を彼女に与えたのは、イクシア領の防衛長官のヴァレク。イレーナは毒見役を選び、ヴァレクの元で毒見の訓練を受けることになるが、その選択が国を揺るがす陰謀と自分の過去が複雑に絡み合う過酷な運命へと繋がっていく。

    すっっっごく面白かったです。全力でオススメします。
    「ハンガー・ゲーム」や「炎と茨の王女」が好みだったらこの小説はまず外れません。この二つに続く面白い小説が見つけられてとても満足。
    一度読み出したらうっかり250ページ(本の半分)を読んでしまい、その次に読み始めたら最後のページまで読んでいました(笑) 500ページを超える小説なんですけどね…。
    読み始めた日が休みだったら、最後のページまで一気に読んでいたかもしれません。それくらい、面白かった。

    まず毒見役、という設定が他になくて面白い。
    容赦ないヴァレクの鬼訓練をこなしていくわけですが、世話役に嫌がらせされたりするわけですよ。また、イレーナが殺してしまった男の幽霊が彼女に付きまとい、さらにその男の親は将軍なので、彼女が生きてるの許せないから命を狙ってくるという。ただでさえ毒の危険にさらされているのに、普通に命も狙われているというこのハラハラ感。
    そんなデッドオアアライブな毎日を、自分の持ち前の機転で乗り越えて行くイレーナがすごい。特に演習で脱走者役になった時が楽しかったです。あのヴァレクに「信じられない奴だな」とまで言わせたんですよ!

    物語の展開のどうなるか分からないハラハラ感に加えて、恋愛のドキドキ感もちゃんとあるのがまた良かったです。
    もう最初っからヴァレク。アメリカの女子高生じゃないけど、私もヴァレクにぞっこんですよ(笑)
    最初から最後までほぼずっと一緒な相手役だったので、もう嬉しくて嬉しくて。徐々にヴァレクさんの態度が優しくなってくのが分かるし、イレーナがピンチの時にたいてい来てくれるのが彼ですからね!
    でも立場があれですから、最後らへんまで甘い展開はないんですけど、だからこそ最後の数十ページが盛り上がる盛り上がる。やっとデレが来た! みたいな(笑)
    イレーナもツンデレですからね~。

    次巻の「イレーナの帰還」も大変楽しみです。
    というかこの著者さんの作品はぜひ全部訳して欲しいです。
    訳者の方も上手で、違和感なく物語を読むことができました。

  • 面白かった♪
    最初、タイトルを読んだときは毒見師の話という事で藤沢周平の「武士の一分」を思いながら、そんな話かとあたりをつけていました。
    が、
    読み進むうちに、展開する世界はちょうど栗本薫さんの「グインサーガ」のようであったり、あるいは上橋菜穂子さんの「獣の奏者」。絵で言うならレンブラントに代表されるような光と影が曖昧な世界でした。
    つまり魔術師が跋扈する妖しいヨーロッパの中世。
    独特の陰鬱で窒息しそうな重苦しい日常の中で、それを唯々諾々と受け入れずなんとか自我を見つけよう、掴もうとする主人公や人々が絵画的に描かれているのです。
    読むほどに惹き付けられ、最後は一気でした。
    信じていたものに裏切られ不信でいっぱいの主人公が、自らの運命を知恵とそして愛とで切り開いていく、という本は数多くあるので、そのテーマ自体はなんら目新しいとは思わなかったのですが、
    主人公を毒見師にしたというのは、なかなか面白かったです。
    毎日、生きる事と死ぬ事の線上を行き来させられ、
    諦めと失望と自棄に陥りながらも、「生き抜く」という目標を始めは夢のように、そして次第に現実の物として掲げていく主人公は逞しく、そして清々しいです。
    戦いのシーンも丁寧に書き込まれていて視覚として頭に入り込んできます。
    主人公以外の人物についても、悪者は悪者らしく、善意の人はそのように描かれ、ある意味「安心」のキャラクターたちです。
    何よりもヒーロの押さえた人格が渋くて知的で、なおかつ情熱的です。
    はじめはメタ視点で読んでいた私も、いつのまにか、自分とイレーナを重ねて同じように嘆き、悲しみ、そして喜びました。

    と、言うことで、
    とっても素敵な本に出会えたと思う私です♪

  • 面白かったーー!

    長さがあるものの一気読み。展開もどうなるかわくわくさせるし、途中からロマンス小説感が高まってきてテンションが上がる。若干漫画的なのもあって読みやすい。いっそ漫画化したら面白そう。

    主人公はたくましい所もあるけど、弱さもあり、人間的で頑張れ!って思える。
    ヴァレク最高。途中から、絶対イレーナの事好きだよね~っていう目で見てた。ヴァレクのすべての行動を、これは好きだからに違いない、と思って読むと更にときめく。

    毒見の部分は少ないので、物語の取っ掛かりとしてあるって感じ。(でも終盤の『マイ・ラブ…!』の所は良かった)ファンタジーでロマンスで、魔法もどうなっていくのかって感じで今度が気になる。
    どうして3冊一気に買わなかったのか…。すぐさま2冊目を購入して世界観に浸っていたい。

  • 異世界ファンタジー三部作の一作目。
    異世界で少女が毒味役をさせれられて苦労しつつも生き延びる、といった前知識しかなかったもので、読み始めてみたら色々とびっくりした。勿論とっても面白かった。

    舞台は、軍が王制打倒のクーデターを成功させて生まれ変わった全体主義的な国家。政府の長が軍の最高司令官であり、衣服も食料も全部支給され、国内の各州は将軍が統べている。しかもお馴染みの魔法使いは駆逐され今では南の隣国にしか存在していないとか。異世界ファンタジー小説の典型をぶち破ってくるこの世界観設定からしてまずインパクト十分で、初っ端からぐぐいっと引き込まれた。
    それに加えて、主人公であるイレーナの性格がまた好ましい。生きる事にまじ貪欲。頭の回転が速くて冷静で、もちろん内面では感情の起伏が激しい普通の女の子なんだけど、うじうじ悩まず思考が即座に行動に起こされる。今目の前の問題に全力で挑み戦う事を恐れない強さがある。
    そんな彼女の視点から描かれる物語の展開はスリリングかつスピーディーだから、読者としてはノンストレス。だらだらっと中弛みするところが全くない。各場面が彼女冷静な観察眼を持って詳細かつ簡潔に描写されおり、冷たく乾いてるのにその奥底には常に彼女の生きる事への執念や恐怖がしっかりを根付いているから、イレーナの未来が気になり読む手が止まらなくなってしまう。

    イレーナが恋人役のヴァレクに惚れてまう理由はようわかる。しかしその逆、ヴァレクがイレーナに惚れた理由といか明確なエピソード的なものは描かれていないので、彼が本気になったのは一体いつのことだったのかしら?と疑問に思わなくもない。強いて言えば、もう最初に入浴させて次に会ったときから容姿的に気に入っており、どんどん明かされていく彼女の強さに魅せられていった、ということなんだろうけど。
    それと少し気になったのが、この世界における文明の進捗具合と技術レベルの兼ね合い。最初に軍事政府→近現代の国家観と思い込んでしまったため、読み進めていく内に、まだ拳銃も機械も存在しておらず、実際の生活技術レベルはいわゆる中世ベースのファンタジーと同じいということなのか?と戸惑った。実際のところは国家という枠組みよりもよほどミニマム。まだ統一国家が確立されていない時代、州規模の一地域で起こった物語、といった風に受け止めればしっくりくるな~と読み終わってから思った。

  • 【献本企画ありがとうございました!】
    ということで、繁忙期でしたがさっそく読んでみました。献本していただいたので、レビューを隠さず、少しでもネタバレ含みそうになったら途中で注意書き入れる形にします。
    感想を簡潔に一言で述べるのであれば、「面白かった!」の一言です。
    この表現には批判もあるかもしれませんが、私の好きな上橋菜穂子さんの本のような、非常に緻密に広がるファンタジー世界、そして、同じく私の好きなダン・ブラウン氏の本のような疾走感とアメリカっぽい感じを持ち合わせている本のように思いました。

    さて、粗筋は……

    イクシア領、第5軍管区。主人公エレーナは、ブラゼル軍管の息子を殺害した罪により、地下牢に収容されていた。まさにその絞首刑執行のその日、彼女には思わぬ選択肢が与えられる。最高司令官の毒味役になるか、このまま絞首刑執行かーーーー。彼女は毒味役となる道を選ぶが、それは生き残る唯一の道であるとともに、苦難と波乱の幕開けであった。

    イレーナはなぜ殺人を犯さなければならなかったのか。そこがひとつのキーポイント。他の事件とともに徐々に明かされていくのだけれど、それとともにイレーナが少しずつ心を開いているかのように、どんどんイレーナに感情移入していき、イレーナと同じように張り詰めた緊張感に陥っていく。まさに一気読み!!

    恐ろしい怖い描写も多いのだけれど、それがとても良い緊迫感。明るいキャラクターで中和されるせいかも。双子とか。バランスがとても良いので読みやすい。

    ということで、非常におすすめです。世界観がとても作り込まれているので、どっぷりこの世界に浸かってもらいたいです。


    ここからはネタバレ。



    ひとつだけ残念なのが、恋愛描写。
    せっかくの世界観でせっかくのストーリーなのに、恋愛がちょっと邪魔しているような気も…。結構年齢差ある気がするから、てっきり時間をかけて徐々になのかと思っていました。さらっと済ませるか、でなければじっくり描くか。そう思ってしまうのは日本人だからなのでしょうか。そこが、上橋菜穂子さんとの大きな違いですね。
    あとはラスト。
    図書館戦争の映画を観た後だったので、思わず笑ってしまいました。いや、図書館戦争は、命令命令ってしつこく出てくるし、上司と部下、そして自衛隊という特殊な組織。複線がたくさんあると思うのだが、イレーナたちはどうだろう。もちろん命令だらけだ。ただ、脅しでもあり、万が一刃向かえば死だ。関係性が変わったことを示したいのだろうけれど…まあ、図書館戦争のシーンが色濃かったせいと、上橋さんの本と比べてしまったからでしょうね。同じように感じた方がいないか知りたいなと思うラストシーンでした(笑)

    でも、兎にも角にも面白いので、続きも早く読みたいです!

  • 面白い。1日で読むほどに。
    とにかくテンポがいい。余分な説明が一切ない。
    構成が素晴らしい。
    物語のスピードと2人の仲が変化がいい。
    それであんなに怒ってたのねー。
    話は王道。魔法の都合の良さも許容範囲。
    訳も違和感無し。
    表紙をみると女性向け?
    オジサマでも読める内容だと思う。

  • いやあ、何年ぶりでしょうか。続きが気になって、夢でも本の謎解きをした挙句飛び起きて、寝不足上等!と最後まで読みきったのは。
    読み始めて数チャプター経ってから、意図的に盛り上がるところで場面切り替えというかチャプターを閉じて、「で、どうなるの?」と次のチャプターを読まざるをえない、という仕組みにしているのだな。と冷静に思っていたはずなのに。まんまと引っかかります。
    ヴァレクにも、まんまとハマりました。これみよがしに青い瞳で、格闘技も剣も使えて、暗殺もできて、でも優しくて、どこか含みのある性格で。そんな見え見えなツンデレには引っかかりませんよ!と息巻いていたのに、いつのまにやら、ヴァレクがこんなこと言うのはきっと理由があるはず、ヴァレクが疑うってことは何かおかしいんだ、と完全にヴァレク教信者に。いやあ、最後のデレっぷりもすごかった。愛の証が、あれか。すごいな。
    あえてマイナス点をあげるなら、イレーナが不安定です。なんというか、作者の好きにされているようで、ころころと意見が変わります。矛盾しまくった精神が人間だと言われればそれまでなのですが、それをフィクションに求めるひとはまあまあ少数派なのではないでしょうか。だからといって、あまりにカリカチュアなのもいただけませんが。
    イレーナの境遇には同情するものの、イレーナという人物にはあまり感情移入できませんでした。どうにも甘ちゃんなイメージが払拭できず。
    ヴァレクが全部持っていってしまった感は大いにありますが、アーリとジェンコの「最強の双子」(このネーミングが好きだ)にもほっとさせられます。
    次巻に期待。

  • なにこれなにこれ!ヴァレクがかっこよすぎてわたしの精神が崩壊する。早く二巻読まなくちゃ!

  •  主人公が毒見師で、毒見師を育てる人がいるという設定が新鮮でおもしろかった。困難があっても生きていこうとする主人公の意思の強さに憧れる。久しぶりに翻訳ものを読んだが、分かりづらい表現も少なく、ドキドキしながら読めた。続きが気になるので、翻訳されてほしい。

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