レッド・クイーン (ハーパーBOOKS)

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感想 : 36
  • Amazon.co.jp ・本 (584ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784596550484

感想・レビュー・書評

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  • 2015年に発売されるやいなや、
    NYタイムズのベストセラーリスト初登場1位を獲得、
    読者投票によって選出されるGoodreads Choice Awardsにおいては新人賞を受賞し、
    すでに映画化も内定済みで、
    全世界37カ国で刊行されるに至った話題作。

    普段は話題作やベストセラーには興味がない僕だけど、
    これは書店で行きずりの一目惚れ。
    真っ赤な表紙の血を流す少女にまんまとヤラれたのだ(笑)

    翻訳小説は訳者との相性もあるので
    読むまでは不安だったが、
    コレは冒頭からグイグイ引き込まれた。

    それにしても、不確かな現実世界と比べ
    この物語の強度よ。
    海外の小説を読んで思うのは、
    良作には半端ない熱量が込められた作品が多いということだ。
    この小説も同じく。
    心に食い込んでくる波動やエモーション、
    小説の飛翔力が違うのだ。


    優れた能力を持つ、支配階級『シルバー』が
    力を持たない奴隷階級『レッド』を支配するとある国。
    主人公は貧しい村で家族と暮らす17歳の少女メア。
    ある日、メアは不思議な力に目覚める。
    それは奴隷階級の『レッド』が決して持つはずのない、支配階級『シルバー』の力だったのだ。
    メアは王家に直ちに捕らえられ、死を覚悟するが、
    命と引き換えに名前と自由を奪われ、
    “行方不明になっていたシルバーの王女”に仕立て上げられてしまう。
    宮殿で待ち受ける謀略と裏切り、
    冷酷な国王と魅力的な二人の王子。
    奴隷として生まれた赤の女王、メアの運命は…。

    というストーリー。

    まぁ、要約すれば、
    貧民街で育った少女が瞬く間に王子の婚約者となる
    絵に描いたようなシンデレラストーリーなのだけど、
    『シルバー』という特殊な能力を持った特権階級での生活が主となるだけに
    アメコミばりの異能力を使ったバトルシーンがふんだんに織り込まれ、
    ただのメロドラマでは終わらない。


    言語による世界の更新という意味でいうと、
    詩歌は破壊。
    小説とは『世界の構築』だ。

    この小説もまた、圧倒的なリアリティで
    新しい世界そのものを描いている。

    『レッド』という貧民たちが暮らす世界や
    愛するものすべてから引き離され、
    赤の他人に成り済ませと無理強いされ、
    これから一生、嘘をつき続けて
    『シルバー』の世界で生きなくてはいけないメアの気持ちを考えると
    本当に胸が締めつけられる。
    しかもシルバーの世界でメアの素性を知る者は限られていて、
    バレることは即、死をあらわす。


    人の頭に入り込み、考えを読み、
    心を操ることができる能力を持つウィスパーや、
    意志の力ひとつで、
    建物全体を動かせる能力を持つテルキー、
    固い石像を一撃のもとに破壊できる能力、ストロングアーム、
    木々を意のままに操る能力、グリーンワーデン、
    手に触れたものをなんでも爆破することができる能力、オブリビオンなど
    異能力者たちの派手なバトルシーンとともに
    レッドであるメアと
    シルバーである上流階級との手に汗握る心理戦が
    この小説のいちばんの読みどころだ。


    テンポよく転がる予測不可能なストーリー、

    どんな困難にも決してあきらめたりしない主人公の少女メアを筆頭に
    冷酷な国王のタイベリアス・カロア六世、
    人の心を読む能力を持つ王妃、エラーラ、
    心優しき第二王子のメイヴンと
    逞しく勇敢な第一王子のカル、
    カルの花嫁候補で、なにかとメアを目の敵にする
    エヴァンジェリン・セイモス、
    そして、メアの歴史の教師で
    唯一、『シルバー』の中で
    彼女の心の友となる老紳士、ジュリアン・ジェイコスなど、
    魅力的なキャラ設定と

    徹底してディテールにこだわることで
    嘘にリアリティを持たせた世界観、

    『裏切りファンタジー』の名の通り、
    誰が誰を裏切るのか分からない全編にみなぎる緊迫感、

    そして、二人の王子の間で繊細に揺れ動くメアの心情や葛藤も丁寧に描かれていて、
    ページをめくる手が止められない後半の怒涛の展開も含め、
    新人が書いたとは思えない筆力にも脱帽する。
    (映画好きや海外小説好きなら設定や世界観に見に覚えがあるかもだが、ひと括りにはできない魅力があるし、安易なハッピーエンドでは終わらないところに好感を持った)


    ファンタジーは子供のものと侮るなかれ。
    社会経験を積んで大人になればなるほど、
    ファンタジー小説に含まれる
    「苦み」を楽しめるようになる。

    大人だからこそ堪能できる
    虐げられた者の『痛み』と『裏切り』を描いたファンタジー、
    読むべきは、僕たち大人なのだ。

  • プロットが良いという海外の評判を聞いて読んでみたが、
    ヤングアダルト(ラノベともいう)に慣れてないせいか、
    主要人物だけに都合の良い展開や、
    手のひら返しすぎで「自分の好きなやつ以外死んでも御構いなしなお前が一番ヒドイやないかい!」なヒロインに全く共感できず、
    個人的にはそんなにどんでん返しってほどもでもなく、
    600ページ近く辛抱強く読んだのがむなしい(笑)

  • 続き物だったのか……。
    三部作らしく、どうなるのかすごく気になる終わり…!!ここから大きく動き出すのかなぁ。

    後半は本当に読む手が止められなかった。続きいつ出るのかなぁ……。まだまだ気になることたくさんあるよー。

  • 貧しい村で家族と暮らす少女メアは、ある日、不思議な力に目覚める。
    それは奴隷階級の"レッド"が消して持つはずのない、支配階級"シルバー"の力だった。
    メアは王家に直ちに捕らえられ、死を覚悟するが、命と引き換えに名前を奪われ、"行方不明になっていたシルバーの王女"に仕立て上げられてしまう。
    宮殿で待ち受ける謀略と裏切り、冷酷な国王と二人の王子。果たしてメアの運命は。
    (あらすじより)

    十二国記の新刊が待ち遠しくて、逆境から王座へ這い上がる女の子の話に期待して買った次第。

    面白いけど消化不良かなぁ。

    表紙からも中世ヨーロッパの科学レベルを想像してたけど、普通に車や液晶モニターや監視カメラや飛行機もあったりして科学レベルは高いらしい。
    放射能もあるみたい。
    なのにお城で舞踏会とかシルクのドレスとか出てきて世界観が掴めず、、、
    細かい記述がないので上手くイメージを修正できなかった。

    書きすぎてもくどいし、難しいもんですね。

    主人公のメアも、シルバー達に嫌悪感を抱きつつ、割と簡単にイケメン王子達にドキドキしちゃっててモヤモヤした。

    顔を合わせると吐き気がして、去り際には切なくなるってどんな心理状態?? 血液が銀色だったり、マーベル・コミック顔負けの超能力だったり期待できる要素はたくさん!

    すでに3巻まで出てた!
    罠にハマって逃走、レジスタンスの仲間入りの2巻!
    仲間の身代わりで捕らえられ、拷問されちゃう3巻と続くようです!

    拷問ってマジかよ!ひゃー

  • 血が銀色で異能を持つ支配階級のシルバーと、血は赤く奴隷階級のレッドが存在する世界。
    少女メアはすりをして稼いでいたがレッドにも関わらず異能を発言することで王子の婚約者となり…。
    シンデレラ、陰謀、恋愛、裏切り、戦闘と色々な要素が楽しめる作品でした。
    しかし、ラストは当面の危機はしのいだが、問題てんこ盛りのまま次巻へ続くなので早めに次をお願いしたい。
    表紙イラストは思わずジャケ買いしそうなほど素晴らしいです。戦うヒロインらしさがバッチリです。

  • 表紙に惹かれて、注目。世界で絶賛中!!
    これは買うしかない。
    いや、おもしろい。設定が素晴らしい。

  • ちょっとなろうにありそうな海外ファンタジーラノベ。
    続編もあるのよね、とぐぐったら今は4冊目(上下巻)まで出てるらしい。

  • 2022.4.6
    続きがあるのね…
    これはまだ序章。先を読むかどうかは微妙でした。

  • テーマや設定はわりと好みだし、疾走感のある筋書きも読んでいて飽きはしないんだけど、なんで読んだ後こんなに疲れるんだろうと思って2回目読了。

    気になった点としては、全体的にメアの心情描写が多すぎる。
    カルのことが気になるような心情を描いた数行後にはカイローンやメイヴンに気が移ってたり、カル1人に対しても、憎しみが抑えきれない描写のすぐ後に彼の優しさを私は知ってる、みたいな独りごちた文がきたりするのがなんだか…。
    いやまぁ人間らしいといえば人間らしいんだけど、さすがに文章描写としてはくどいし、結局どっちなの?!という気持ちになる。

    あとは心情描写に寄りすぎて場面展開、特に場所の描写が薄い点。
    特にメアの世界がどんどん広がっていく(精神的にも物理的にも)ストーリーなだけに、ここの説明が薄いとなかなか自分の頭の中で映像化できない…。
    しかもページ数がわりとあるにも関わらず、その時その時の心情にさきすぎてるからか、ここもっとキャラクターの背景に深みが出るんじゃない?って展開がすごくあっさり描かれてるのが少し勿体無いかも。

    この辺りは作者が映画化を見据えていると知って多少は納得。
    たしかに言葉で語らずに映像(演技)で見せれば、だいぶ削ぎ落とされて面白くなりそう。

    バトルファンタジーとしては、躍動感もあるし奇をてらった設定じゃないから飲み込みやすい。

    恋愛物としては、そもそもなんで皆こんなにメアに惚れていくのかがあまり分からない笑
    カイローンはともかく、カルとメイヴン、特にカルはメアのどこを好きになってるの…?
    これだけ社会的なテーマを打ち出しておいて、街に出て初めて会ったレッドの女の子にシルバーが一目惚れ!みたいなシンデレラストーリーは、ちょっと噛み合ってない気がする…。

    ツッコミ出したらキリがないけど、ブレすぎてどこに落ち着けるのか逆に気になってはくるから、本当に映像化向きだな〜と思う

  • う~ん。
    メイヴンが裏切り者だろうなと、わりと早い段階で想像できたので、どうしてあんなにあっさりメイヴンを信用するのかが不思議だった。
    レッドの少年兵士が~の理由は確かにお涙ちょうだいで、信用に値するかもしれないけど、自らの血を裏切ってまでレッドのために!というには動機が弱いと感じた。
    そう言えばあの時、太鼓判を押した人物いたよね。あの人はどうなの?あれもメイヴンの仲間?
    何にせよ、メアが大人びてるようで、あまりに幼稚だからびっくりした。スリを生業にしてるわりに、精神的には全然分かっちゃいない、と思った。
    苛酷な人生を生きてきたのは分かるけど、それって肉体的な辛さが勝ってたのかな。精神的には全然成熟してない、おこちゃまだなと。
    だからあっさり信用しすぎて、あっさり裏切られる。
    あっさりと言うなら、国王の死があまりにあっさりで驚いた。もう少しどうにかならなかったかな。
    あと、ジュリアンとか・・・けっこうサクッと流してるけど、かなりの人数が殺害されてるのがえぐい。ルーカスもかわいそうだったなぁ。
    あとラストね。
    そんな手があるなら、もっと早くに助け出してやれよwと思った。
    あんまりメアに寄り添ってやれないけど、メイヴンにざまあしてやりたい気分なのでwとりあえず最後まで読むつもり。

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