- Amazon.co.jp ・本 (672ページ)
- / ISBN・EAN: 9784596550903
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ウィル・トレント・シリーズ、6作目。
ウィル・トレントは、ジョージア州捜査局の特別捜査官。
今回は彼の出生に関わる重い秘密が明かされる回でもあるのだが。
ウィルの上司のアマンダと、その同僚だったイヴリンの若き日の話がかなりの比重を占めます。
女性警官二人の物語というのは珍しいので、こちらがポイントかと。
ウィルは長身で金髪、穏やかで大人しい性格。頭はいいのだが識字障碍を抱え、それをごまかしながら何とかやってきた。
施設で育ち、里親を転々とし、どこか影があるので、潜入捜査を得意としていたこともある。
凶悪な殺人事件が発生したが、なぜかウィルは捜査から外される。
それは、ウィルの実父が出所しているからだった。
40年さかのぼって、1975年。
アマンダは小柄で若い頃は現在とは別人のように動揺しやすい。とはいえ、全てを面に出すわけではない。
謹厳な警察官の父親に育てられてきたからだ。
イヴリンはなかなかの美人で大胆、アマンダと気が合うようになります。
男社会の警察で、それでも女性が少し増えかけてきた時代。
署内の偏見をかいくぐり、町では柄の悪い連中と渡り合う日々。
そこで遭遇した恐ろしい事件で‥
ウィルにまさかこんな過去があるとは。
子どもの頃は知らないでいた点もあり、それだけは良かったという気はしますが。
アマンダとは運命的な出会いだったのですね。
アマンダは内心、我が子に抱くような激しい愛情を抱きつつ、その執着をそのまま面に出すわけにもいかない、という葛藤があるらしい?
姿を消していたアンジーの影がそこに。
カリン・スローターはすごい。 -
「彼女達が闘った時代」と
「主人公の生い立ち」の話
ウィル・トレントシリーズ6作目
現在で起こった女性の失踪事件と
過去1975年に起きた失踪事件の二つの時間軸で進む。
現在では、捜査に加われず鬼上司アマンダの圧力、謎の行動に戸惑うウィル
そして過去では、警察官として下っ端で気弱なアマンダ(おっ!)と現在のウィルの相棒フェイスの母親イヴリン(破天荒)がバディを組んで捜査にあたる。
警察内での人種差別、性差別が強く、行く先々で「女は引っ込んでろ」と罵られる。またアマンダの父は同じく警察官であり娘の行動を束縛、仕事でも人種差別的な言動で恨みを買う人物が多く、娘というだけで二重に苦しむことになる。
読んでて戸惑った。なぜこんなすぐに泣き出しそうな女性が、冷酷な鋼鉄の捜査官になるのか…想像がつかないからである。
どんな圧力にも屈しない、いや屈するけれども「自分達以外の誰が救えるのか?」という想いに従い進んでいく。
そして両方の事件に絡む「ウィルの父」の影、主人公の生い立ちがようやく明かされる。
まさかそういう過去があったとは…過去と現在を対比して読むと重みが増す場面が多く、楽しめました。
(アマンダ達とは別の)女達の戦いも、始まったばかりなのかも…
終わり方、ゾクッと来ました。 -
苦悩の刑事ウィル・トレント。女性の行方不明、殺人事件の捜査の過程で、殺人犯として刑務所にいるはすの自分の父親と手口が似ていることに気づく。そう、父親は仮出所していたのだ。まさかあの男が・・・1975年のアトランタ警察。現在はウィルの鬼上司であるアマンダは当時は駆け出しで、しかも女性はひどく差別されていた。同僚のイヴリンとともに男性刑事たちが自殺と断定した売春婦の死亡事件を調べる。現在の事件と関係があり・・・
非常にややこしく、読むのに時間がかかってしまった。「小説宝石」で書評家北上次郎氏は2018年の翻訳ミステリーとして1位にしていたけれど、ややこしさがやや得点を下げる。(ややこしいと思うのは私の頭脳の問題か)
しかし、70年代の警察。セクハラやパワハラは日常茶飯事。真っ当な捜査をしようとしても、妨害される。この時代にアトランタで女性刑事をしていたら、さぞかし毎日濃い苦渋を舐めていただろう。
アマンダとイヴリンの戦いの方が、平行して描かれる現在の事件よりも読ませるようか気がする。 -
良い意味で米国小説らしい重厚な内容。親子関係、恋愛、性差別問題、種々のテーマが自然に提示されていて日本の小説では味わえない濃密な読み応え。
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アマンダ最高、キティもよかった。てか女性陣クセ強すぎる。