- Amazon.co.jp ・本 (608ページ)
- / ISBN・EAN: 9784596550941
感想・レビュー・書評
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レビューの評価が高かったので期待し過ぎてしまったせいか、それほどでも…と思ってしまった。
猟奇的な面は確かに突き抜けているように思えるが、悪さをする人が、出てくる人皆ただただ嫌なやつで、もっと繊細な面もある、とか、多面性があるとより面白いのかもなぁと思ってしまった。
外国物はサバサバしているので、日本物のようにねっとりと悪くない感じというか。
それでもやっぱり続きがやや気になるので、続きを読むかもしれない。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
ジェフリー・ディーヴァーらからの賛辞とあったけど、間違いなくそれにふさわしい面白さだった。一気読みに近い感じで読んだ。
日光東照宮の三猿をモチーフにはしているけど、意味は違ってる。そこは日本人ならわかってくれるはず?これが正しいと思われたら嫌だな。
主人公の奥さんのことは最初から違和感はあった。
それにしてもひどい家庭環境だと思った。母親が恐ろしすぎる。バリー・ライガの作品を思い出したけど、それに輪をかけてすごい。
犯人が捕まってないのにあまりイヤーな感じてはないのが不思議。最後なんかむしろやるじゃんなどと思ってしまった。
続きあるんですかね? -
J・D・バーカー『悪の猿』ハーパーBOOKS。
大昔の扶桑社の海外ミステリーを思わせるようなサイコ・ミステリー大作。連続殺人犯『四猿』の狂気を最後まで見事に描き切っている。
日光の『見ざる、聞かざる、言わざる』に準え、被害者の耳、眼、舌を切り取り、家族に送り付け、最後には殺害するという残酷な犯行を繰り返す連続殺人犯『四猿』……長年、この事件を捜査している刑事のポーターは『四猿』とおぼしき人物の死を知るが……
ポーターの捜査状況と『四猿』により拉致監禁された少女エモリーの過酷な運命、『四猿』の恐ろしい日記が交互に描かれ、少しずつ事件の核心が見えてくる。
久し振りに物凄いサイコ・ミステリーに出会った。 -
たとえば帯などに「ジェフリー・ディーヴァー推薦!」 などと書かれると、正直、ひく。
いや、ジェフリー・ディーヴァーは唯一無二だし、ジェフリー・ディーヴァーほど面白いわけもなし、ただジェフリー・ディーヴァー「っぽい」だけならアホらしいし、あれほどどんでん返しされたら疲れるし、
ということなのだが、読んでしまった。
面白い。
帯の文句などすっかり忘れて読み耽っていたのだが、なるほど推薦もするだろうというのが、読後の感想である。
ジェフリー・ディーヴァー式の、どんでんどんでんどんでんとは違う。
むしろ、息詰まる緊張の持続である。
読むのを中断した時・・・・・・たとえば駅に着いた、待ち合わせ相手が来た、電話が鳴ったなどで本から顔を上げた時、自分の呼吸や体がどれほど硬くなっていたか自覚できるだろう。
場面がかわり、視点がかわりする度に、様々な緊張を味わわせてくれる。
結果、たまたま今夜の夕食予定だった献立(肉料理)を、考えなおす気になる。
度々、調べるべき、確認するべき項目のリストが出てくるのだが、これがディーヴァーと同じ様式である。
ディーヴァーのこのリストは、後になって見てみれば、驚くほどのヒントになっているのだ。
せっかちな私などは、毎度毎度つい読み飛ばして、後になって己のウカツさを嗤うのだが、この本については、どうだろう?
例によってつい読み飛ばしてしまった上に、頭が読後の興奮ですっかり沸き立ってしまって、もう文字など読めやしない。
どなたかが確かめてくれれば幸いである。
おすすめの一作。 -
翻訳が読みやすく、面白い。
現代の話と日記の話が交互に出てくるタイミングも、早く次を読みたい感を煽る。
本著は殺人者をダークヒーロー的に描いてるように読めることもあり、読後感はわりと爽やかで悪くない。 -
2019.09.30読了
いや〜、来ましたよ久しぶりに読みごたえのあるやつ!!
なんか最近おもしろい作品に出会えないなーと嘆いていた私にやっと来た!って感じです。
早速、他の作品も検索しましたが、なんとこれが2作目の新人作家さんでした。
でも、この実力すごいです。緻密に計算されてます。
とにかく時間ある方ない方、皆様におススメ!読んでいただきたーい!
1つ気になるのは、見ざる言わざる聞かざるの理解が日本人のそれとはちょっとずれてる気がします。まあ、そこはガイジンさんですから仕方ないですね
ちょっとしたニュアンスの問題です。
作品の良し悪しにはあまり影響していないのでご安心あれ
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2018/10/28読了。
5年間追っていた事件の犯人と思われる人物が死亡した、というところから始まり、犯人を追う今と犯人の日記で追う過去のエピソードという進め方など、独特な構成に引き込まれた。
内容も、グロやサスペンスがふんだんで楽しめた。
正直最初は設定になじめずあまり読み進められなかったが、入ってきてからはさくさくっといけた。 -
いやあ、面白かった。抜群に面白いサイコミステリ。でも、599ページのボリュームなので、なかなか読み終えることができず、時間がかかってしまった。それでも、全てがストンと頭に入ってくるので、前のページを読み返したりせずに済んだ。翻訳ものは名前を忘れたり、内容が複雑だったりして必ずと言っていいほど読み返すハメになる私なのだが。
ポーター刑事の元に一本の電話がある。交通事故が起こり、被害者が亡くなったとの知らせだ。そこで疑問。殺人課のポーターになぜ?それは、被害者がポーターが長年追っていた連続殺人犯の四猿だったからだ。
四猿とは、「見ざる」「聞かざる」「言わざる」に「悪事をしざる」を足したもの。四猿は、まず被害者家族に被害者の耳を送り付け、次に目、その次に舌を、最後には被害者が遺体で発見される。被害者に共通しているのは、その家族が何らかの悪事を働いているということ。
本当にこの遺体は四猿なのか。監視カメラでは、四猿らしき人物がバスに飛び込む姿が映っていた。そして四猿が身に着けていたいくつかのヒントを頼りにポーターが調査に乗り出す。遺品は切り落とした耳の入った白い箱に日記帳。安物のスーツに不釣り合いな高価な靴(2センチ大きい)。そして75セントの小銭にクリーニング屋の引換券。
以後、ポーターと同僚刑事のクレア、それから今回の被害者のエモリー。そして、日記の中の少年時代の四猿。4つの視点から物語が語られていく。
ポーター目線では、犯人を追い詰めていく緊迫感が。クレア目線は、事件を追うもう一つの刑事目線。それから、エモリーの目線は、犯人に監禁され、真っ暗闇で味わう恐怖と不安を。そして、日記では、四猿の特異な少年時代の体験が。それぞれ興味深く綴られていく。
特に、日記が面白い。青い体験のような感じで始まった日記は、全く違う形を整えていく。やがては四猿が四猿たる所以が、また、今回の事件を起こす動機が見えてくる。
読んでいる間中、続きが気になってしょうがなかった。これでデビュー2作目とは恐れ入るばかり。綿密に練られた構成にあまりにグロいシーン。そしてラストがまた秀逸。サイコミステリはこうでなきゃって思えるラスト。これから読む人が羨ましい。