ジョブ理論 イノベーションを予測可能にする消費のメカニズム (ハーパーコリンズ・ノンフィクション 22)

  • ハーパーコリンズ・ジャパン (2017年8月1日発売)
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Amazon.co.jp ・本 (392ページ) / ISBN・EAN: 9784596551221

感想・レビュー・書評

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  • 前々から積読状態だった「ジョブ理論」にようやく手を付けました。
    この本も有名になり過ぎて、本を読まなくても何となく内容が理解できるので、
    「まーいっか」となっていたいのですが、
    読まざるを得ない環境に追い込まれたので、読んでみました。

    重厚な見た目とは裏腹に、案外読みやすいです(アリガタヤ)。
    そして副読本として、「「ジョブ理論」完全理解読本」と一緒に読みました。
    こんな本があるなんて!って感じでしたが、知人が教えてくれました。

    ※「ジョブ理論」完全理解読本
    https://booklog.jp/users/noguri/archives/1/4798157104#comment

    後半に進むに従って、少し尻すぼみ感はありますが、
    それでも「顧客のジョブを解決するために顧客は
    商品やサービスを購入している」という考え方は画期的だと思います。
    この考えは忘れないように生きていきたい!

    クリステンセンの本は初めて読みましたが、
    他の本も読んでみたい(ちょっと勇気がいるけど)と
    思わされるような良書でした。

  • クリステンセン教授の著作を読むのは「イノベーションのジレンマ」、「イノベーションの最終解」に続き、十年振り三作目。

    もっとも有名な前者が、なぜ優秀な会社が元々低位の破壊的イノベーターに負けてしまうのか、を論理的に実証したのに対して、本作は、どうすれば、イノベーションを起こせるか、を問うた本。

    ジョブ=お客様が解決したい用事・やっかいごと=(the job to be done) という設定で議論が進む。最初に登場するミルクシェイクの事例は、読んでて「なるほど」と思うものの、そのあとは、同じような驚きはなく、そりゃそうだ、という感じだ。この本の考え方が既に世の中に浸透して長いからかもしれない。

    ドリルの刃を買う人は、ドリルの刃が欲しいわけではなく、穴が欲しいのだ、という有名な訓話に近い話が続く。

    いわゆる「ソリューション営業」と「インサイト営業」の中間ないしは融合、のようなものかと思う。

  • 顧客の求めているものをわかったつもりでは、イノベーションが成功するかは、一か八かだ。
    何が顧客にその行動をとらせたのかを真に理解していないかぎり、賭けに勝つ確率は低い。
    ものの見方を変えること。大事なのは、プログレス(進歩)であって、プロダクト(商品)ではない。
    私たちが、商品を買うということは、基本的に、なんらかのジョブを片付けるために何かを「雇用」することである

    ■ジョブ理論の概要
    ・ジョブを明らかにして把握できたあとは、そこで得た知見を優れた、プロダクト・サービスの開発に落とし込む青写真に書き換えなければならない。
    ・ジョブには複雑さが内在する。機能面だけでなく、社会的及び感情的な側面もある
    ・ジョブはつくりだすのではなく、見つけ出すものだ。
    ・ジョブそのものは変化しなくても、解決の方法は、時が経つにつれて、大幅に変化することがある
    ・顧客がなぜその選択をしたのかを理解できていなければ、根本的に欠陥をかかえたプロセスの進め方がうまくなるだけだ
    ・イノベーションをみると、その中心にあるのは、顧客ではなく、顧客が片づけるべきジョブである
    ・ジョブを最初に発見するのは、偶然やあてずっぽうではない。ジョブ理論を深く理解することで組織はイノベーションの取り組み方と成長する方法を根本から変える能力を手に入れられる

    ■ジョブ理論の奥行と可能性
    ・問題は道具にあるのではなく、何を探し、観察した結果をどうつなぎ合わせるのかにある
    ・ヒントは、①身近な生活の中、②無消費に眠る機会、③間に合わせの対策、④できれば避けたいこと、⑤以外な使われ方、のなかにある
    ・片づけるべきジョブは、市場調査に頼るのではなく、人々の生活を注意深く観察して彼らの望みを直感し、それに従って進むことによって、探すことができる
    ・市場に成長の余地はもうないと感じられたら、ジョブを適切に定義できていない可能性がある
    ・できれば避けたいジョブは、進んでやりたいジョブと同じくらい沢山ある
    ・人は視野を広くもたなければならない。システムの世界で、ユーザ体験というと、美しい画面にボタンを使いやすく整列させることがすべてとおもいがちだ。
    ・顧客が自分の要求を正確にもれなく表明できることはめったにない。顧客の行動の動機は、本人がいうよりも複雑であり、何かを購入するまでの道筋ははるかに入り組んでいる。
    ・顧客が達成しようとする進歩は、文脈の中で理解しなければならない
    ・顧客がなしとげようともがいていることは何か、それがうまく機能していないのはなぜか、何か新しい解決策がほしいと彼らに思わせているのは何か
    ・ジョブを思いつくときには直観がものをいう。感覚としてはあっている
    ・片づけるべきジョブを明らかにするのは、最初の一歩にすぎない。あなたが売るのは、進歩(プログレス)であって、商品(プロダクト)ではない
    ・新しいプロダクトが成功するのは、その特徴や性能がすぐれているからではない、それに付随する、「体験」がすぐれているからだ
    ・もっとも知りたいのは、同じジョブのためにそのプロダクトを雇用したレビューアたちが何と言っているかである

    ■かたづけるべきジョブの組織
    ・プロセスは目で見て理解するのが難しい、プロセスは、公式に文書化された手順と、非公式な習慣的な行動とでできている。
    ・プロセスは手で触ることができない。企業と一体化している。
    ・痛みを伴うリストラクチャリングは、だいたい臨んだ成果に結びついていない
    ・ジョブのレンズを通すと、誰が誰の指揮下にあるかよりも、顧客のかたづけるべきジョブを完璧に解決するプロダクト・サービスを組織が体系的に提供できることのほうがはるかに重要である
    ・顧客の片づけるべきジョブを中心に組織全体をまとめるには、予測可能で、反復可能なプロセスがなければならない
    ・うちでは、組織よりも、プロセスのほうをはるかに重視している。当社が迅速に動ける理由のひとつは、会社全体を通じて、同じ技術、同じプラットフォームを使い、同じ指針に沿っていることだ。
    ・プロダクト指向ではなく、プロセス指向だ
    ・顧客がほしいのは、プロダクトではく、問題の解決策だ。
    ・イノベーションのデータの誤謬  
     ①組織の情報フィルターが多層化するにつれて、ジョブではなく、企業は数字を管理するようになる
     ②大きな利益、すなわち、見かけ上の成長へフォーカスしてしまうと、ジョブへのフォーカスを失ってしまう
     ③確認したいデータのみに目がいってそれ以外のデータに注目しなくなってしまう
    ・組織に選択を正しく行うことができるようにするためには、かたづけるべきジョブのコンセプトを単純にしなければならない
    ・ジョブ理論が力を発揮すると、業務は引きしまる。無駄や、間接費が体系的に減り、使う時間や、エネルギーイや資源が最小化される。
    ・私たちは、あらゆるものを測定できる。しかし、何を測定するかが重要だ。

    目次
    序章この本を「雇用」する理由
    第1部 ジョブ理論の概要
     第1章 ミルクシェイクのジレンマ
     第2章 プロダクトではなく、プログレス
     第3章 埋もれているジョブ
    第2部 ジョブ理論の奥行きと可能性
     第4章 ジョブ・ハンティング
     第5章 顧客が言わないことを聞き取る
     第6章 レジュメを書く
    第3部 「片づけるべきジョブ」の組織
     第7章 ジョブ中心の統合
     第8章 ジョブから目を離さない
     第9章 ジョブを中心とした組織
     第10章 ジョブ理論のこれから
    謝辞
    日本語版解説
    索引

    ISBN:9784596551221
    出版社:ハーパーコリンズ・ジャパン
    判型:4-6
    ページ数:392ページ
    定価:2000円(本体)
    発売日:2017年08月01日第1刷
    発売日:2018年05月20日第6刷

  • 一見、面白い新手の考察かなと感じて読むが、よくよく考えると、著者の論理の強引さによる抜け穴がそのまま、反証として成立する危うさを感じる。つまり「人が何かを買い求める際には必ずしも確度の高い理由がある」、こうした前提は成り立たないという事だ。その理由の深さや広さを尺度として、割とピンポイントのものを〝ニーズ“、付帯する潜在的関連性まで見抜く事を〝ジョブ“と呼んでいる。しかし、換言しているだけで、違いは無い。勿論、この物差しだけで、ある人には気付きを与えるのかも知れない。デザイン思考の手法のように観察すれば見えてくる潜在的な因果律を拾う。しかし、大多数は強い理由などなく、流されるような、経路依存を生きている。そしてこのルーチンから抜け出た微弱な新たな選択も、価格という決定打で簡単に妥協を生む。この抜け穴こそ、我々が与えられた一見新たな論説、言ってしまえば詭弁に感動する本著の建て付けに似ているという事だ。

    なぜ売れるのか。なぜ売れないのか。

    企業が今ほど顧客のことを知っている時代はなかった。ビッグデータ革命のおかげでデータ収集は多様性でも量でも速度でも、飛躍的な進歩を遂げた。集めたデータを分析するツールも高度化し、データの山から大きな宝を掘り当てようと日々様々な分析が行われている。しかし、データを拠り所にしても、ヒット商品に辿り着かない。本著では、ミルクシェイクを一例に挙げる。ミルクシェイクを朝買う人たちに人口統計学的な共通要素は無い。彼らに共通したのは片付けたい共通のジョブ。長い通勤時間ゆっくり飲めるシェイク、空腹を紛らわすことだと。

    また、別の事例も紹介する。パンパースは中国で売れないオムツを売れるように改善するために、オムツを履かせる文化を作ろうとしたが失敗。おむつを履いた赤ちゃんがよく眠れるようになり両親に自由な時間が生まれた、あるいは乳幼児の睡眠時間が知能にもたらす影響をデータ提供したことにより最も売れる紙おむつのブランドとなった。

    ここで挙げた二つの例は、いずれも「時間」に関わるものだ。プロダクトの本源は「自己の有する相対時間を向上されるモノ」。つまり、寿命を延ばす、限られた時間を有意義に過ごす、効率的に過ごす、楽しく過ごす、時短、性的接触のショートカットなど。で、偶々それを強く意識付けた、関連付けたプロダクトが先手必勝となるという理屈だろう。だとすれば、時間を要する失敗はしたくないから、日々、同じものを買うのだ。プロダクトの持つジョブとプロダクトを持たぬ状態のジョブの対立。これが、著者の論理の抜け穴ではないだろうか。

  • ざっくり言えば「解決すべき課題を社会的・感情的側面からとらえ、一番大事な要素を見ぬき、それを解決する体験を作れ」ってことになるのかな。機能性・利便性に偏ってることを自覚させてくれる良書だった。

  • 『イノベーションのジレンマ』で破壊的イノベーションがどのようにおきるのかを明らかにした著者が、なざイノベーションはおきるのか? どうすればイノベーションを起こせるのか? を書いたのが本書になる。

    顧客はいったいどんなジョブを片付けるために商品を雇用したのか?
    製品やサービスを、その性能でとらえるのではなく、それを使う人がそれを必要とする理由に注目することを教えてくれる。
    「人は4インチのドリルではなく、4インチの穴がほしいのである。」
    人は、特定の場面で、ほしい変化があるから、その商品やサービスを求める。
    例えば、朝、ミルクシェイクがほしいのは、長い通勤時間に、気を紛らわせてくれて、小腹も満たしてくれ、しかも、運転中に片手で飲めるものがほしいからだ。

    特定の場面で、ほしい変化を本書ではジョブと呼び、そのジョブに注目して、製品を考えていくことがイノベーションを起こすことにつながると述べている。

    仕事をする上で、自分たちの提供しているものは、はたして、どんなジョブの為に求められているのか、もっとジョブに注目したものにすべきでないか、考え続けることが重要だと感じた。

  • jobについてはよく言われてきて、「人はドリルが欲しいんじゃない、穴を開けたいんだ」はよく知られている。私もこの本が出た時には、何をいまさら、とちょっと思った。が、20年をかけたと言っているだけあって内容は濃い。『イノベーションのジレンマ』が「なぜ、失敗するのか」ということをデータで検証しているのに対し、本書は「なぜ、成功したのか」をいくつもの事例から帰納的に検証、それは時間もかかるわけだ。もともとのタイトルは『Competing Against Luck』「運と戦う」とでも言うのか。運に任せるのではなく、ジョブを特定し、求めれる体験を構築、ジョブ中心でプロセスを統合し、顧客体験を設計せよと説く。原題のままでは、「これジョブじゃないか」と言われそうだからあえて邦題を『ジョブ理論』にしたのだろうか。マーケター必読かな。

  • ジョブ理論。
    イノベーションを前提としたマーケティング論。
    いざ実践となると考え方を根本的に変えないといけないと気がつくが今までの延長線上の戦いにも見えて組織として動く難しさ感じる。
    ただ視点としてはこのつもりじゃないとニーズに応えるではなく認識することが難しいのだろう。

  • 「イノベーションのジレンマ」のクリステンセンの最新刊。ユーザーがサービス・プロダクトを使うのは、ユーザーのジョブ(「課題」と理解したい)を解決するためである。企業は、ユーザーのジョブを意識してサービス・プロダクト開発し、組織を作らねばならない。
    言っていることは、従来からのマーケティング理論と同じような気がするが、ジョブの定義の仕方(ほどよい具体感、抽象感のバランス)の事例など、なるほどと頷ける指摘はさすが。シンプルだけど、それだけに腹に落ちやすく、応用が効きやすい理論だと思います。

  • どんなジョブを片付けたくて、何を雇用するのか。そして何を解雇するのか。この考え方で自身が取り組むべき課題を言い当てることができると良いのだが、、
    自身を例に考えると、ある製品を提供しようとするとき、その技術仕様・スペックでお勧めするのではなく。相手のジョブをどう片付けるかという視点をもって対面すべき、ということなのだろう。ただ、そのときの姿勢を具体的に想像するまでには至らなかった。

  • イノベーションにおいて「顧客課題から始めるべき」という誤った論説が流布しているせいで、その誤った宗教に染まっている人も多い。そんな人たちにせひ読んでほしいのが「ジョブ理論」だ。

    この本の中核をなすのが「人は製品やサービスを“ジョブ(やるべきこと)”のために雇う」という視点だ。「ジョブ」とは願望や欲求そのものではない。それは、“不完全な現実”において、“仕方なく”選んだ手段であり、「本当はこうしたい」が実現できない文脈にこそ宿る。

    たとえば、あの有名なミルクシェイクのエピソード――朝の通勤時、子どもを静かにさせたい父親が、粘度の高いミルクシェイクを“雇う”という話。ここには、「子どもがジュースを好きだから」という表層ではなく、「静かにしてほしい」という背景の“仕事”がある。この視点の転換がまさに「顕在化された課題」とその先で行き着く「矮小なアイデア」から脱却する鍵になる。

    ジョブ理論を応用した「ジョブ・ストーリー」の構文はぜひ参考にしたいフレームワークだ。
    ・When(状況)
    ・I want to(やりたいこと)
    ・So I can(目的)
    ・But(阻害要因)
    ・Therefore I have to(雇われた手段)

    これを活用して顧客理解を進めることで、「非言語のインサイト」に光を当ててくれる 。単なる課題解決ではなく、「この人がなぜこの選択肢を選ばざるを得なかったのか」という現実の葛藤に向き合うことで、より強いプロダクトコンセプトを生みだすことができる。

    多くのマーケティングやペルソナ分析が見落とすのは、「顧客は論理的に意思決定をしているわけではない」という点だ。ジョブ理論は、合理的なニーズではなく、“文脈における衝動”を扱うフレームである。

    「顧客課題から始める」とこうした“無意識の圧力”を見落としたまま、仮説検証を進めてしまうことで、イノベーティブさから程遠い「矮小なアイデア」に行き着いてしまう。
    顧客のインサイトとは、とどのつまり「課題は“感じていない”が、困っている」という矛盾だ。そして向き合うべき"Pain"は、「それでも現状維持する理由」である。ジョブ理論は、まさにこの違和感に名前を与え、構造として抽出してくれるツールだ。

    ただし、あえて一石を投じるなら、ジョブ理論の危うさは“個別性”への過信にある。最初の一歩としてN=1に向き合うことで、それを浮き彫りにすることは当然すべきである。一方で、「ジョブは状況ごとに異なる」と言い切ると、スケーラビリティの視点が抜けがちになってしまう。

    事業において重要なのは、「どこまでが個別性で、どこからが共通性か」を見極める設計力である。N=1のインサイトを、どうN=1000に拡張可能な言語に変換するか。この「編集力」こそ、ジョブ理論の“次の地平”として持つべき観点であり、これを「グランドデザイン思考」と名付けた。

    『ジョブ理論』は、マーケティングでも、事業開発でも、「顧客理解とは何か」を再定義する思想書である。単なる手法ではなく、「どの視座で顧客を観察するか」という根底の“問い”に迫る。この本を読んだ後、誰か一人の顧客に深くインタビューしてみてほしい。きっと、あなたの見ていた「顧客像」が、音を立てて崩れていくはずだから。

  • 『#ジョブ理論』

    ほぼ日書評 Day734

    ジョブ理論、原語ではjobs to be done(JTBD)だ。
    ネットを検索すれば、星の数ほど解説文が見つかり、(おそらくは)ほぼ全てでニーズとジョブの違いについて解説がなされていると思うが、本書でも取り上げられる有名なドリルと穴の例をしっかり位置付けているケースは意外に少ないように思われる。

    ジョブ理論以前は、ドリル=wants、穴=needsと解説されることが多かったのだが、本書ではその中間にjobという概念を持ち込んだ。

    評者の解釈では、ニーズの実現(構成)要素を "done? y or n" が判定できるレベルまで具体化・細分化したものがジョブである。
    よって「穴」はジョブであり、本来のニーズはその穴をもってして実現したい何かということになる。

    内容的には例によってサンプルがアメリカ的過ぎて共感しづらいものが多い(冒頭の運転しながらミルクシェイクを飲むとか)が、もっともピンと来るのは、コストコで700ドル(10万円超)のベッドマットレスを「衝動買い」した一般男性の例か。

    売り場の一角にあった、わずか2種類のマットレスから、実際に横たわってみて寝心地を確かめることもせずに、そんな高額な買い物を即決できた理由を探る。

    決断自体は一瞬だったが、古いマットレスには眠りの質を妨げるということで、1年以上不満を抱いていた。この場合、質の悪い眠りを排除することがジョブとなる。

    そして、そのジョブをdoneにするために、何らかのプロダクトやソリューションを雇用することが必要となり、それがここでは新しいマットレスということになる。
    ただ、注目すべきは、新しいマットレスを雇用(hire)したい気持ちより、古いマットレスを解雇(fire)したい気持ちの方がはるかに強かったということ。

    そして、コストコという一般には寝具購入とは縁遠そうな店でそれをしたのは、マットレス専門店で販売員の営業攻勢にさらされたくない。妻と一緒の買い物シーンだから、後々面倒なことにならない。コストコは不具合があれば返品を受け付けてくれる。こうした一連の要素だという。

    ところどころ牽強付会に感じられる箇所もあるが、B2CだけでなくB2Bの世界でも、実際のエンドユーザーの立場になってのジョブを今一度考え直してみることは有用と考えさせられた。

    https://amzn.to/40HOjlA

  • Job to be done.(解決すべきジョブ)を起点に組織からデータ分析、マーケティングの実践までを組み替えることができるか、を描いた良書。
    顧客はドリルよりも穴、ミルクシェイクよりも会社までのクルマの移動時間。どこにジョブがあるか、言い換えれば問いがあるかに気付けるが肝要になってくる。
    最後に筆者も書いているように汎用性が高いアプローチだと感じた。何度でも読み直したい。

  • whatでなくてwhy
    改善よりも改革
    役に立つかでなくて意味があるか
    真に解決すべき問いは何か?
    と言った話に近しい。

    内容についての納得感は十二分である一方、
    よく言われる話。

    ということはつまり、(自身含め)理解しつつも行動を変えられていない。或いは、分かったつもりになっているだけ。
    ということなのか。

    企業が売りたいと思ったものは売れない
    の話に関連した、受動データ/能動データの話や真に主観的でないデータは存在しない。という考察は興味深かった。

  • 自分を例に取ると味噌汁の個包装が思い当たる。

    現在、一人暮らしでよく自炊をしている。
    自宅には和食に使う調味料が多く(他には中華もある)、献立はもっぱら和食になることが多い。

    和食となると、ご飯、主食、菜食、汁物と並ぶが、一人暮らしのIHコンロが一口の生活には全てを揃えるにはハードルが高い。主食と菜食を作り置きしておくことがあるが、毎回ではない。例えば、主食を作っている間はコンロが埋まってしまい、菜食も汁物も作れない。しかし、個包装の味噌汁があれば、湯沸ポットで沸かした湯を注ぐだけでできてしまう。

    しかも、コンビニで売っているようなカップ状の味噌汁に比べてコストがかなり抑えられる。確かカップは具材にもよるが、1食分で100円ほどする。一方、個包装のものは一袋24食分ほど入っていて300円ほど(1食分で12.5円)と圧倒的なコストパフォーマンスを発揮する。

    また、応用も効きやすい。例えば、麻婆豆腐を作ろうとした際に、味噌がいる。一人暮らしで作る量的に、あの個包装の味噌が丁度いい。

    あと、会社での昼ごはん。出社した際に弁当を買うことがあるが、その際に個包装で買った味噌汁を一組持って行くだけで簡単に味噌汁ができるのも良い。だいたいの会社の休憩室には給茶器があり、紙コップかプラコップがあるので、それを容器にできるから、わざわざ感もなくて良い。

    あとは、登山に行く時にも使える。山頂でコーヒーを楽しみたいと思っているから、だいたいバーナーと耐熱容器は持ち合わせているもの。昼ごはんにおにぎりなどをチョイスしたら、最高のお供になる。

    これがジョブ理論の考え方だろうか。

  • かなり面白かった。
    商品を求める人の特徴を知るのではなく、なぜその商品を求めたのか、どんなジョブを片付けるためにその商品を雇用したのか、という目線でビジネスを考える本。

    言われてみればその通り、、!と納得することばかりで、小難しい言い回しなどもなく、具体例も的確ですごく読みやすかった。

    ただ、少し長い。

  • とても良かった。

    プロダクト作りを進めていく上に置いて1つの観点を与えてくれる書籍。
    何を作るかや既存のプロダクトを考えていく時に、顧客の抱えているジョブを理解し、そのジョブの達成のために採用される手段としてプロダクトが用意されている、という観点は忘れてはいけないなと思った。
    この各領域におけるジョブが何なのかについては詳細な調査と洞察を使わないと見つけられない部分なので、数字だけでなく顧客が抱えている文脈を正しく理解する必要がある。
    筆者自身は顧客の属性ごとの分類(セグメンテーション)はあまり意味ないと語っている。


    そのような形でとても面白い本だった。

  • 難しい。何度も迷子になる。
    ニーズやインサイトとの違いが、わかったようでわからなくなる。
    でもメーカーのお仕着せ・仕様からの勝手な分類ではなくて、生活者の立場で役割を捉え直さなければならないんだな、というのはとても伝わった。
    だからこそ真の「ニーズ」的なものを捉えたかったら、大袈裟に言えば体験をデザインするような行為視点が必要なのかも。

  • 【どんな本か?】
    これからのイノベーションを予測し、生み出すためのヒントを与えてくれる本。


    <金言>
    「どんな”ジョブ(用事、仕事)”を片付けたくて、あなたはそのプロダクトを”雇用”するのか?」


    <ジョブの定義>
    ある特定の状況で人が成し遂げようとする進歩。


    <注意点>
    ・機能面・社会面・感情面を考慮すること。

    ・形容詞や副詞で説明しているものは有効なジョブではない(片付けるべきジョブは動詞と名詞で表現できる)。

    ・ジョブには適切な抽象度がある。

  • ジョブ理論
    著:クレイトン・クリステンセン

    <所感>
    *
    良著。いわゆる「痛み」発信のアプローチについてこれまで学んできたことを多分に含んでおり、今読んだことで理解もすっきりと進んだ。
    *
    クリステンセンの「イノベーションのジレンマ」が破壊的イノベーションに関する理論書の性格出会ったのに対し、本書「ジョブ理論」はもう少し実践的で、アクションにつなげやすい。
    *
    DAにおけるサービス考案の際にも参考にしたい記述がいくつもあった。定期的に立ち戻りたい。



    <メモ>
    *
    ジョブの解決という行為を体験と結びつけることは、競争優位を獲得するうえで極めて重要である。なぜなら、競合相手にとってプロダクトの模倣だけなら簡単にできてしまうが、自社のプロセスに強く結びついた体験を模倣することは難しいからだ。
    *
    ジョブは、「ある特定の状況で人が遂げようとする進歩」と定義される。重要なのは、顧客がなぜその選択をしたのかを理解することにある。すなわち、ジョブの定義には「状況」が含まれる。ジョブはそれが生じた特定のコンテクストに関連してのみ定義することができ、有効な解決策もまた特定のコンテクストに関連してのみもたらすことができる。→カスタマーストーリーに沿った体験の構築の重要性
    *
    成功するイノベーションは、顧客の成し遂げたい進歩を可能にし、困難を解消し、満たされていない念願を成就する。また、それまでは物足りない解決策しかなかったジョブ、あるいは解決策が存在しなかったジョブを片付ける。
    *
    ジョブ理論は、消費者がさほど困っていなかったり、存在する解決策で十分間に合ったりするときには役に立たない。
    *
    顧客のジョブを見極めるということは、顧客が実際に支払おうとするもの以上に機能を増やしすぎてはいけないということだ。
    *
    ジョブの見つけ方

    *
    生活に身近なジョブを探す。自分の生活の中にある片付けるべきジョブは、イノベーションの種が眠る肥沃な土地だ。
    *
    無消費と競争する。片付けるべきジョブについて学べるのは、何らかの商品やサービスを雇用している人からだけではない。何も雇用していない人からも、同じくらい多くのことを学べる。
    *
    間に合わせの対処策。ジョブをすっきりと解決できずに間に合わせの策で苦労している消費者に着目する。
    *
    できれば避けたいこと(「ネガティブジョブ」)はイノベーションの優れた機会であることが多い。
    *
    意外な使われ方。顧客がプロダクトをどう使っているのかを観察することでも多くを学べる。
    *
    特定したニーズは、顧客が今何に苦労しているのかという社会的および感情的な側面は考慮せずに、機能面ばかりを重視したものとなりがち。感情的および社会的な側面は多くの場合、機能的なニーズと同じ平面上にあるのではないか。→DAサービス考案でも意識したいポイント。
    *
    現状に満足はしていないものの、今のやり方になれている消費者の「変化に反対する力」は大きい(損失回避バイアス)。それを打破するだけの価値・体験を提供できるか?
    *
    新しいプロダクトを成功に導く地検は奥深く込み入っていて、統計データよりもむしろストーリーに近い形で現れる。個々のインタビュー結果をカテゴリーに分類するのではない。→起業の科学でも言われていた点。
    *
    ジョブを中心にしたイノベーションの考え方の3ステップ

    *
    ジョブの特定:どのジョブにも、機能的、感情的、社会的側面があり、それぞれの重要性はコンテクストに依存する。
    *
    求められる体験の構築:3つの側面を踏まえ、ジョブ遂行に伴う体験を構築する。
    *
    ジョブ中心の統合:ジョブの周りに社内プロセスを統合し、求められる体験を提供する。
    *
    自社製品を購入するときだけでなく、使用するときに、顧客はどのような体験を求めているのか?→UI設計において意識すべき点
    *
    Airbnbでは、地元の雰囲気やゲストに提供できる体験について事前に説明文や写真を駆使して伝えている。これは、ゲストに自分の選択にがっかりさせないために、そして厳しいレビューを書かせないために大切なのである。→レビューがモノをいう時代だからこそ、ユーザーの期待値コントロールは重要となる。
    *
    GMの車載情報通信サービス「オンスター」の開発過程がとても参考になる(DA)。
    *
    「スタックの誤謬」とは、技術者が自分の持つテクノロジーの価値を高く評価しすぎ、顧客の問題を解決するための、下流のアプリケーションを低く評価しすぎる傾向のことを指す。これは、テクノロジーの領域外でも当てはまる。→プロダクトアウトvsマーケットイン
    *
    マネージャーには、職務柄、情報に反応する習性がある。否定的な情報であればなおさら、素早く対応せざるを得ない。このため、売上データ等の能動的データに引きずられやすくなる。
    *
    われわれは自分に適したデータを選び出す習性がある。「アイデアを引き出すための道具としてではなく、自分の意見を補強するために調査を利用するときによくみられる。→材料探しにコンサルを起用するようなイメージ
    *
    ジョブを形容詞や副詞で説明しているとしたら、それは有効なジョブではない。明確に定まった片付けるべきジョブは、動詞と名詞で表現できる。
    *
    提供者のジョブと消費者のジョブが整合することが望ましい。医療業界において、病気の患者が増えることは提供者にとって収益機会だが、消費者にとってはunhappyである。これを整合させるために、病気予防に関するイノベーションが促進されるのは健全な流れ。→保険の場合、ロスを減らすことが双方にとってwin-winである。ロスプリや安全社会構築はその面で筋好。

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