エクストリーム・エコノミー 大変革の時代に生きる経済、死ぬ経済 (ハーパーコリンズ・ノンフィクション)

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  • Amazon.co.jp ・本 (528ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784596551597

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  • 【人が集まれば】
    数値に現れない経済は存在します。

    特に政治が不安定な場所では経済を正確に集計できません。
    しかし、経済が存在しないわけではなく経済活動は存在します。
    どんな極地でも人が集まれば物々交換であれ経済は存在します。

    栄枯盛衰はあるにしても人はどこでもいつでも力強く、しかもしぶとく生きていきます。ただ、ひとりではこれができないのです。

    山奥に引きこもり自給自足で一人暮らしをしている人もいるかもしれませんが、ひとりでは限界があるのです。普通の人より3倍の能力をもつ人でも、普通の能力以下の100人には勝てないのです。人は集まり意識を共有することにより強大な力を得て、たくましく生きることができるのです。また、人は他の人と接することにより自暴自棄にならず生きることができるのです。

    経済に格差はつきものです。平等に配布されるものは経済とは呼びません。したがって、経済が存在するところに経済的格差は必ず存在するのです。

  • 極端な状況に陥った場合でも、何かしらの方法で経済を成している人たちを9つの例をもとに説明した本。
    エストニアのIT社会は今後目指す形になりそう。日本でも導入すべきかと思うが、あくまでも政府との信頼関係のもと導入しなければ、機能しないだろう。マイナンバーカードなどが良い例だ。
    日本には新しいリーダーが必要だと感じる一冊だった。

  • ある事柄が極端な地域における経済を調べ上げ、将来のために参考にしていくというコンセプトの本である。いくつかの地域については興味深く読むことができた。しかし私の読解力が低いためか、大半は冗長に感じ、読み進めることが辛かった。

  • #flier

  • 金融の専門家である大槻奈那氏の推薦書で、英国人経済学者が、世界の様々な状況にある地域経済について調査し書いた本。津波災害に襲われたアチェ、中東の難民キャンプのあるザータリ、ジャングルの不法開発が進められた南米のダリエン、繁栄と転落を経験しているグラスゴー、超高齢社会の先頭を行く秋田など、著者が極限の場所と言っている地域経済に焦点を当てている。繁栄や衰退には様々な要素が関連するわけだが、最終的には人と人とのつながりを中心とした力強い社会が形成されているか否かが決め手となるように感じた。勉強になった。

    「敵は砲火と剣によって国を滅ぼし、その地にあった財産のほとんどを破壊するか奪い取っていく。民衆は荒廃の中に取り残されるが、数年も経てば、以前と変わらぬ暮らしに戻っている(JSミル『経済学原理』1848)」p25
    「自然災害が経済成長を早めるという事例は世界中で見られる」p44
    「災害後4年間で、アチェには総額67億ドルの資金が投じられた。巨額の金は好況をもたらし、地域は熱っぽい雰囲気に包まれた。援助機関が連れてきた就業者は、支給された妥当な額の給料をアチェで消費した。援助機関はまた、多くの地元住民を雇用して、再建のためレンガやコンクリート、木材を調達した。需要が急増すれば、価格は高騰する。インフレ率は2004年の5%から2005年には20%に跳ね上がり、翌2006年には35%を記録した」p47
    「(地元の教育の向上)国際援助機関を見ていて学位の大切さがわかったし、経済状況が上向いたために塾の費用を払う余裕ができた」p52
    「グラスゴーが極限経済の地なのは、20世紀にこれほど深刻な没落を経験した都市はほかにないからだ。19世紀後半、グラスゴーは「大英帝国第2の都市」として、芸術、デザイン、建築、工学、技術革新、貿易など多くの面で、首都ロンドンをしのぐまでになった。「現代のローマ帝国」と呼ぶ向きもあったほどだ。しかし、わずか1世紀後には造船業が消え、失業が蔓延し、グラスゴー郊外のカルトンでは男性の平均寿命が縮み、54歳になってしまった」p251
    「繁栄していた都市が転落するというグラスゴーの物語は、私たちの多くが都市に住む現代において貴重な教訓になる」p251
    「労働力のプール、技術のスピルオーバー、供給連鎖は、都市で暮らすあらゆる人にメリットをもたらすが、それを維持することにとくに誰かが責任を負うわけではない。ということは、崩れはじめたときに食い止めるすべはほとんどないということだ」p261
    「企業が街を去るたびに、有能な労働力を確保しにくくなり、技術革新は減少し、サプライチェーンは細くなり、その地にとどまっているすべてのものに悪影響を及ぼす。だから企業が出ていかないように、自分の街の企業に害を及ぼすものは、外国との競争を含めて、けっして見逃さずに措置を講じていかなければならないのだ」p261
    「グラスゴーのテネメント(共同住宅)の生活を聞いていると、本物の経済効果をもたらす力が社会資本にあると感じる。信頼と助け合いが大事なのだ」p278
    「新しい住宅計画は、地元の小さな売買や商店や住民同士のちょっとした助け合いが地域に果たす役割を、行政がいかに軽く見ているかを鮮明に暴いた。グラスゴーが共同住宅に乗り出した最初期は、地元の店の重要性が暗黙的に認識され、テネメント1階には店舗専用のスペースが設けられていた。しかし、この暗黙的な認識は1960年代にはもう死に絶えていた」p286
    「(エストニア)私たちはいわば、テクノロジーに「全賭け」したんだ」p358
    「ほかの国々は、テクノロジー全賭けの行く末を興味深く見守っている」p362
    「経済学とは日常の取引における人間の学問である。富の研究であると同時に、より重要な、人間研究の側面を持つ(アルフレッド・マーシャル『経済学原理』1890)」p454
    「経済学における最大の欠落は、社会資本を完全に無視しているという点だ」p463
    「高い潜在能力をもっていても困難に見舞われる可能性はどこでもあり、それを踏まえて人や社会のレジリエンスをもっと重視しておく必要がある。レジリエンスの経済学では、多くの人にとって、そして多くの国にとっても、所得を生む発端は非公式経済にあると考える。社会の富は人的資本と社会資本の上に築かれ、金融資本と物理資本はその次に来るととらえるのだ。所得と富をこのように人間寄りの視点から見ることは数値化しづらく、今日の経済指標や将来計画にほとんど組み込まれていない。もしそれらが組み込まれていたなら、高齢社会に広がる圧迫感や、テクノロジーの進歩がもたらす痛みの真の所在、急成長の裏でレジリエンスを侵食する不平等を、見落とすことはないだろう。この旅の先々で私はそれを感じた」p464

  • 9つの都市のレジリエンスについて説いた後に、コロナ後を占う。
    秋田が未来の経済としてラインナップされてるのが興味深い。しかもその次の都市はエストニア⁈
    エストニアでさえ、課題がデジタルデバイドというのもまた興味深く、価値観含めたさまざまなデバイドが今後の課題になることは避けられないのだろう。

  • 物事の本質を知ろうとしたときに我々は往々にして2つのアプローチを取る。まずは平均的な物事を見て、次には平均とは対極にある極端な物事に目を向ける。極端な物事は往々にして単なる外れ値である可能性も高いが、平均では決して見られない本質を掴める可能性もある。

    本書はその極端ーエクストリームーな9つの社会を見ることで、市場主義経済の本質に迫ろうとした論考である。

    本書で描かれるのは、
    ・市場の再生ースマトラ沖津波から復興したインドネシアのアチェ、市場が自然発生したザータリ難民キャンプ独自の貨幣経済メカニズムが動くルイジアナ州立刑務所
    ・市場の失敗ー完全に国家から見放された中南米ダリエン地峡、賄賂のはびこるコンゴのキンシャサ、造船業が崩壊し高い自殺率に悩まされるグラスゴー
    ・市場の未来ー超高齢化社会の日本の秋田、世界最先端のIT国家であるエストニアのタリン、シカゴ経済学によって絶対的貧困は解決されつつも極端な格差社会を招いたチリのサンティアゴ
    という3つのテーマと9の地域・都市である。

    各都市において市場がどのように機能しているか、もしくは機能していないかを探ることで得られる結論は目新しいものではない。
    市場が社会にとってプラスに作用するためには、決して市場を野放図にさせずに、一定の制度・ルールを定める必要があることや、グラスゴーの例が示すように社会関係資本(Social Capital)が破壊されると社会・経済自体が疲弊していくこと、などである。
    とはいえ、9つの都市の生々しい実態を見ることで、市場の限界を知れる点で本書は特有の面白さがある。

    単純に読み物としても面白い上に、市場を改めて考えるきっかけにもなる良書。

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