アルバート、故郷に帰る―両親と1匹のワニがぼくに教えてくれた、大切なこと (ハーパーコリンズ・フィクション)

制作 : 金原瑞人  西田佳子 
  • ハーパーコリンズ・ ジャパン (2016年9月17日発売)
3.86
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  • Amazon.co.jp ・本 (480ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784596552037

アルバート、故郷に帰る―両親と1匹のワニがぼくに教えてくれた、大切なこと (ハーパーコリンズ・フィクション)の感想・レビュー・書評

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  • とある書評で「ラスカルを彷彿とさせる…」とあったので、これは読まねばと思った。
    アニメはともかくスターリング・ノースの「はるかなるわがラスカル」は何度も読んだ好きな作品なのだから。
    確かに思い出させるものはある。が、もっと軽い。
    スタインベックやらなんや出てきてしまい、コメディで終わりそうな気もしたが、ちゃんと?終わってくれてよかった。

    でも「ラスカル」のようにもう一度読みたいかといえば、もう結構…。

  • 〈それにしても、21世紀になって、これほど面白い小説は書かれていないのではないか〉

    帯のアオリであり訳者あとがきの一説でもある。その言葉を信じて、いや、真偽を確かめるべくこの本を手に取った。なるほど、あながち嘘ではないようだ。まあ、他にも面白い小説はありそうだが。YAのような装丁だが、これは中高生には向かないのではないか。ていうか、大人向けでしょ、これ(きわどい描写もあるし)。

    1935年アメリカ。大恐慌から6年が経っている。ウェストヴァージニアの小さな炭鉱町に住む若い夫婦が主人公だ。妻のエルシーはハイスクールを卒業後、しばらくフロリダのオーランドに住んでいたことがあって、炭鉱の砂埃だらけの町で一生を終えるのなんて真っ平ごめんと考えていた。というのも、オーランドでハンサムで脚の長いダンスの上手な男に恋をしてしまったからだ。でもその男は俳優を目指してニューヨークに行ってしまった。故郷に戻ったエルシーは高校の同窓生のホーマーから熱烈なプロポーズを受けていたけれど、炭鉱夫の妻になるのがいやさで断り続けていたが、ホーマーの上司が仲を取り持って二人はいっしょになる。その結婚祝いに、エルシーの元彼から結婚祝いのプレゼントに贈られたのが、一匹のワニ。物語はこのワニをフロリダに帰してやるための旅で起こった、奇想天外な出来事を綴ったものだ。

    著者はこの夫婦の息子(次男)。父と母からの聞き書きをもとにこの物語を書き上げた。本当の話か作り話かはさておき、若い夫婦がお互いの心の中にあるものに気づくまでの数々の遣り取りや心の動きは、いちいち身に覚えがあってちくちくと突き刺さる。二人は千キロの道のりをビュイックで走っていく。後部座席にはたらいに乗せた120cmにも成長したワニのアルバート。そしてねどこからともなく飛び込んできた名前のない美しい雄鶏。アルバートはエルシーにとってわが子も同然。いや、ここではないどこかへ自分を連れ出してくれるはずだった、かつての恋人の忘れ形見みたいなものだ。エルシーにとってこの旅は「あったかもしれないもうひとつの人生」を探す旅だったが、ホーマーにとってはエルシーの心を取り戻す賭けだったのではないだろうか。いずれにせよ、これは〈宿命〉(キスメット)だった。

    旅の果てで二人が手に入れたものはなんだったか。人生という名の冒険はに終わりはないのかもしれない。

    最後に。これ、きっと映画化されると思いますよ(笑)。

  • 若くして結婚した二人が旅で様々な出来事に遭遇し、自分のいるべきところを見つけ出すロードムービー物。

    かなり面白く読めたが、遭遇するたくさんの奇想天外なエピソードに興醒めすることもあった。やり過ぎじゃないかなと。

    それにめげさせずに最後までぐいぐい読ませたのは、ワニ、雄鶏、旦那さん、奥さんの描写が秀逸で、それぞれが物語に欠かせない役割を持っていることにあると思う。

    子供だけどいざという時助けてくれたワニ、神のように俯瞰して世界を見ているかのような雄鶏、真面目で誠実でたくましい夫(作者の父)、何より奥さん(作者の母)の生き生きとした描写には、読んでいて何度も笑顔になることができたし、頭の中に色々な場面の情景が何度も浮かんできた。
    しょうもないと思う部分は確かにあったが、そのあたりはとても素晴らしいと思う。

  • 何のおすすめで読もうとしたか忘れたけど思ってたのと違った。途中であきらめた。

  • …ここに来てみたらば、存外高評価でビックリしました(笑)
    合う合わないの違いかな…。 

    優しい文章でサクッと読めてしまいます。
    (児童文学かと思っていました!)
    年寄りが、若い時分のやんちゃぶりをハデに脚色して
    語った中から教訓めいた部分を放りだす様な作りです。

    勿論素敵な部分も沢山在ります。
    時間は誰かにあげられる最高のプレゼント、なんて
    ハッとさせられました。

    似たような作りでも「卵を巡る祖父の戦争」とは
    比べ物にならない。
    …そしてなによりエルシーが奔放で我儘すぎて…
    それが良いって云う方にはご褒美なのかも?
    登場人物が好きになれない小説は駄目でした><

    雄鶏&ホーマーは好きでしたよっ

  • 1930年代の米国。炭鉱の鉱夫のホーマーと妻のエルシーは、ペットのワニ、アルバートが大きくなったので故郷の川に帰してあげる旅にでます。
    銀行強盗や労働紛争に巻き込まれたり、野球選手や看護婦になったり、スタインベックやヘミングウェイと知り合ったり、まさに波乱万丈。アルバートの帰る先はどこ?

    なんとも奇想天外なお話。楽しめます。

  • 若き夫婦は飼っているワニのアルバートを故郷へ戻してやるべく旅に出た。
    車の後部座席にワニを乗せ、千キロもの距離を一路南へ。
    行く先々で繰り広げられる珍騒動と、風変わりで愛すべき人々との出会い。
    いつしか二人と1匹のクレイジーな旅は、愛を知るための道のりに変わってゆく──。若かりし頃にワニを飼っていたという両親の話を基に著者が紡いだ、型破りな愛と奇跡の物語。

    「私と仕事、どっちが大切なの?」と夫に聞く妻は居ても、「ぼくかワニか、どっちかを選んでくれ」と妻に聞く夫はたぶんホーマーだけだと思う(笑)
    最初はこんなことを聞いてきたホーマーも、旅の道中でだんだんアルバートに馴染んでいくのが楽しい。というかむしろ彼にとっては命の恩人でもある(笑)
    ワニがここまで賢い生き物かどうかは分からないけれど、アルバートは本当に素敵なワニでした。にかって笑う姿が頭に浮かぶ(笑) こんなワニなら飼ってみたいとちょっと思った(笑)

    読み始めた時はあんまり気分が乗らなくてじゃっかん流し読みな感じだったんだけど、気づいたら何が起こるか楽しみになって文字を追っていました。
    ほんとに予想不能な事態ばかり起こって、それがすごく面白い! 
    二人ともすれ違ってばかりなのだけど、お互いがそれぞれ道を切り開いていく力を持っているので、結局最後にはちゃんとお互いの元に戻ってくるっていうね。

    最後アルバートをくれた憧れのバディが出た時は、さすがに「しまった!」って思ったけど、そこでエルシーの本当の気持ちを知ったら、今までのホーマーの心配はすべて杞憂だったんだなって分かってほっとしました。
    結局アルバートとは別れることになってしまったのは悲しかったけれど、アルバートもホーマーもエルシーも自分が幸せに生きられる道を見つけられたのだから、これで良かったのかなと思います。

  • 結婚祝いにもらったワニのアルバートと住みやすい故郷のフロリダに帰すため、ヒッカム夫妻は旅に出る。

  • 読み終わるのがさみしい、と久々に思えた作品。

    ペットのワニ、アルバートとさよならする旅のはずが、破天荒な脱線の連続...アルバートは球団のマスコットになったり、映画に出演したり...で、湿っぽい別れの予感はどこへやら。ヒッカム夫妻の思惑も(それに職業も)刻々と移ろって落ち着かず。アルバートを本当に手放すのか (手放さないでほしい!)も含め、ギリギリまで結末が読めません。

    しっくりいかない夫婦関係と、その鍵を握るアルバートに寓意を読み取ることもできそうですが、実話に基づいているというからニクい。
    アルバートの一挙一動と「ヤーヤーヤー」(鳴き声!)に和み、小気味好いジョークに脱力し、最後はホロっとさせられる......深読みはさておき、物語の純粋な「楽しさ」に肩までつかる、贅沢な小説です。

  • 「21世紀になってこれ以上面白い小説は書かれていないのではないか」
    帯にもなっている、訳者あとがきの言葉だ。
    ここまで言える作品を送り出せるとは、何て素敵なことだろう。
    言葉通り、とても面白かった。
    しかし、タイトルやあらすじから思い込んでいたラブコメ系エンターテイメントではなく、胸の深いところに沈み込むもののある作品で、読み終えてからずっと思い返して考えている。
    私はてっきりほとんど事実を基にしているのかと思い込んで途中まで読んでいたのだけど、これは「結婚」についての寓話なのだと気づいてはっとした。
    パートナーとの生活は穏やかなだけじゃない、本当に旅に出なくても、ワニとニワトリを連れて旅に出るくらいのことも、あるよね。あるある。
    大好きな「ロケット・ボーイズ」と同じ著者の描き方はさすがで、最後の締めにはグッと来た。
    何度も読み返したくなる作品。

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