結婚という物語 (ハーパーコリンズ・フィクション)

  • ハーパーコリンズ・ジャパン
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感想 : 4
  • Amazon.co.jp ・本 (416ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784596552143

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  • 生まれる愛、誓う愛、試される愛。ありふれた幸せな夫婦は、ある日夫にかけられた強姦の冤罪により、運命の試練にさらされ―2019年女性小説賞受賞、NAACPイメージ・アワード受賞、アスペン・ワーズ文学賞受賞。

  • 手紙のやりとりによる時間の経過具合で、揺るぎ無いはずの愛に変化があらわれ、時には暴走した感情までを巧みに表現されており、読みながら「あぁ」とか「うぅ」と唸らされたのでした。

    正直ラスト(及びラスト前)の選択には理解が追いつかなかったけれども、そもそも結婚という物語は人それぞれの形があるのだからそれもそうだよな、と思い直し受け入れることとしました。

  • 結婚という物語 タヤリ・ジョーンズ著 妻は冤罪の夫を愛せるのか
    2021/5/15付日本経済新聞 朝刊
    結婚、離婚、再婚をする。あるいは生涯結婚しない。いずれにしても、結婚という制度は一人の人生に大きな影響力を持っている。この小説は、アメリカの黒人の新婚夫婦に起こった冤罪(えんざい)事件を軸に、当事者とその周りの家族や友人の心の動きを、3つの視点から多層的に探り、結婚という制度に対する問いを投げかける。


    結婚してわずか1年半のある日、夫のロイが強姦の疑いで投獄され、懲役12年の刑が下る。妻のセレスチャルは夫の無実を信じつつも、次第に心が離れ、幼なじみの男友達アンドレと親密になっていく。先述の「3つの視点」とは、ロイとセレスチャルとアンドレのことで、それぞれの一人称、あるいは送り合う手紙によって進行していく。夫婦2人の視点に、第三者のアンドレの視点がからんでくる点が斬新である。

    無実の罪を信じる妻には、暗黙のうちに不変の愛と善人としての役割が求められてしまう気がするが、妻も自我を持った一人の人間である。辛い立場に置かれた状況の中で混乱し、揺れ惑い、やがて自分の喜びを見つけたいと願うこともあるだろう。裕福な家庭で両親の愛に包まれ、自由に生きてきたセレスチャルが、幼い頃から自分をよく知り、好意を寄せるアンドレと結びついてしまうことは、理解できる。しかしもちろん、良心の呵責(かしゃく)にも苛(さいな)まれるのである。

    決して典型的な物語展開にはならず、登場人物の葛藤が滲(にじ)み出てくる繊細な心理描写に惹きつけられた。そこには、人間のずるさも愛らしさも存分にある。どうすればいいのか、本当はどうしたいのか、愛はどこにあるのか。追いつめられながらも人生を進めるために、彼らは自問自答し、質問を投げ合い、時に爆発する。

    又、ロイとセレスチャル、そしてアンドレの、それぞれの両親の物語も詳細に描かれている点にも注目したい。アメリカの黒人家庭の数世代にわたる社会状況と意識変化を実感すると共に、被害者の証言だけで逮捕されたロイの現実がリアルに迫ってくる。白人警察官による黒人への不条理な暴力をきっかけに大きな広がりを見せた「Black Lives Matter」運動と結びつけずにはいられない。現代の社会制度の中で生きるということを根本から考えさせられる小説でもある。

    《評》歌人 東 直子

    原題=An American Marriage(加藤洋子訳、ハーパーコリンズ・ジャパン・2200円)

    ▼著者は米国の作家。米エモリー大学教授。

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