フェアリー・プリンセス夢迷宮への片道切符 下 (MIRA文庫 JK 2-2)

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  • Amazon.co.jp ・本 (296ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784596915108

作品紹介・あらすじ

弟を取り戻すため、幼なじみのロビーと妖精界に飛びこんだミーガン。だが途中ではぐれてしまい、ようやく見つけたとき彼は妖精王の手で鳥の姿に変えられていた!頼みの綱をなくしたミーガンに、さらに衝撃の事実が告げられる。彼女は人間の母親と妖精王との間に生まれた、2つの種族の血を引くプリンセスだというのだ―皮肉屋の猫やクールな冬の王子まで現れて、波瀾含みな怒涛の後編。

感想・レビュー・書評

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  • 下巻です。

    上巻のレビューは、概要について思ったことを述べたので、下巻に関しては、切り口を変えて、「こうだったらもっともっと面白くなる!」みたいな所見をば。

    ネタバレになるので、未読の方はご注意を。

    あと、ぼくは基本的にこの作品を面白いと思っておりますので、ダメ出しをしたいわけじゃなく、あくまでも、「こんな風にしたらもっと面白くなるのでは!?」ということで。

    ---------------------------------
    1,基本構成について
    まず、基本構成が、良い。

    いきなり褒めてますが。

    上巻13章、下巻12章の計25章から成り立っている本書ですが、このペース配分と、それぞれの章で、それぞれに見せ場が作ってあって、非常に読み進めやすいです。

    25章で成立していると、たとえば、1章を5分でアニメ化すれば、全体で125分、1章が4分ならば、全体で100分の、劇場用長編アニメになると言うことです。

    これは、案外見落とされがちなのですが、とてもとても大事なことです。

    その時に、漫然と章を分けてしまうと、それぞれの章が持つ意味合いが薄くなり、結果、映像化の際に不必要な場面を削除したりする必要が出てくるのですが、本書は基本構成がきちんと成立しているので、削除する必要がありません。

    ちなみに、誤解のないようにいっておきますが、ぼくはこの作品は、徹頭徹尾、映像化向きの作品であると思っております。

    実際に映像化することを考えた場合、非常に構成を作りやすいです。

    2,主人公について
    主人公ミーガンは、何の変哲もないどころか、ネットおたくで地味で冴えない女の子、という設定ですが、それ自体にはなにも悪いところはありません。

    むしろ、ラノベにおける定番キャラとして考えた場合、これは妥当としかいいようがありません。

    きっと、海外にもいますよ、こう言うの。

    その彼女が、弟のために異世界へ旅立ったりするのは、王道中の王道であり、さらには、幼なじみだと思っていた妖精パックや、北の国王子アッシュから心寄せられるというのも、ロマンスとしては充分にいい、と思います。

    惜しむらくは。

    せっかく、今回のお話の肝が、アイアン王国という、コンピュータが発達したからこそ生まれた非道な妖精、という敵だったので、だからこそ、この主人公ミーガンのもつ、「ネットおたく」という特性を活かしたクライマックスが用意できていたらなあ、というのが、残念なところ。

    期待しますよ、そりゃあ。

    「半分人間だから鉄に触っても平気」というルールは間違っていないと思うんだけど、そこに、「人間として16年間生きてきたからこそ身についたスキルがあるのよ!」という方が、キャラクター付けに意味合いから考えても、良かったのではないかと。(ただし、クライマックス時点で、ラスボスを倒しうる「武器」が失われたときには、本当に、「どうやって解決するんだ!?」と、前のめりになって読むことができたので、基本構成は本当に良いのですよ、本当に)

    是非、続編では、ミーガンのこのネットおたく能力が活かされますように。(アイアン王国の行く末が非常に期待できないわけですが)

    3,シェイクスピアの世界
    シェイクスピアの世界というか、『夏の夜の夢』の妖精たちの世界、ですよね。

    この世界は好きです。

    でも、もっとおちゃらけた、間の抜けた部分があっても、良かったかな、と。

    戦争状態にあるという設定なので致し方ないですが、本家シェイクスピアは、どのような作品を描いても、必ずユーモアとウィットを忘れない劇作家だったので、その点で、ちょっと真面目すぎて、幾分退屈にも感じました。(王国厨房の女トロルとか、面白そうなフリはあったんだけど)

    あまり見ないんですよね、最近、小説でもアニメでも、このユーモアの部分を。

    なんかモッタイナイ。

    あと、せっかくミヒャエル・エンデの『はてしない物語』のような世界観で作られているのだから、もっと、たくさんの作品から、多種多様な人物たちを出しても良かったのではないかな、と思う。

    フィクションの登場人物たちが生きている世界。

    うん、それって、ぼくが自分の作品でやろうとしていることなんですけどね。(ぼくの芝居を見た人なら知ってる、文学刑事シリーズです。『Bitte,bitte!』や、『きまぐれえすぷれっそ』、『Dolce!』などなど)

    だからむしろこの作品に興味も惹かれたんだけど、ある意味で、自分でやる土壌が残されたと言うことなので、安心してこのネタは自分のものとして扱います。

    ホッとした。(^^ゞ

    4,妖精パックと王子アッシュ
    ミーガンも含めたこの三角関係は、ロマンスとしては最上級でしょう。

    悲しいことに、完全にアッシュに軍配が上がってますが。

    もっと、パックにポイントあげないと。

    クライマックス、やっぱりパックに出てきてほしかった、と思う人は少なくないはず。

    この作品はそのままで映像化できるとは思いつつも、クライマックスにパックはやはり駆けつけて、アッシュとの戦いがほしいなあ、と思うんですが、それはあれですね、以下続刊を楽しみに待て、ということですね!?

    待ちますとも!

    5,iPod
    なぜこれだけ固有名詞で登場してるの? と思わなくもないですが、これこそ、旅のお供にiPodとでも言うくらい、もっともっと、その機能自体を、劇中で活躍させても良かったのではないかと思った。

    音楽は大事ですよ。

    パックとアッシュを結びつける音楽を流すシーンとか。

    あっても良かったんじゃなかろうかと。

    その上で、中盤以降で壊れて使い物にならなくなったのに、アッシュやパックにしてみれば大事なものだから、みたいな扱いで宝もののようにとっておいたら、最終的にモリネズミ男たちに気に入られるとか。

    そういった意味では、せっかくなのに、ちょっとモッタイナイガジェットになっちゃったかな、と。

    ---------------------------------

    てな感じでいろいろ思ったことを書き連ねましたが、ここまで考えることができるほど、この作品は楽しかったです。

    また、パックの活躍なども、きっと、続刊でこそ見せ場があることでしょう。

    始めて手に取ったハーレクイン。

    こんな企画と機会がないと、手に取ることがなかったかも知れない本書。

    妙に警戒する気持ちも当初はありましたが、むしろ、良質な、丁寧なファンタジーでした。

    日本の小説で、これくらい気持ちのいい作品が出てきてもいいくらい。

    出会えて良かったです。

    ブクログ様、感謝いたします。

  • 話題なので乗っかって読んでみた。
    女の子が好きな要素がこれでもかと詰まってますね。続刊でどんな展開になるのか楽しみ。

  • セクシーな敵国の王子様アッシュとやんちゃなボディーガードの妖精パックの2人の美少年に取り合いされながら、しっかり守ってもらうミーガンの冒険物語。

    "本当の名前"やら"雪の国"やら、どこかで聞いた言葉が多いの作品だけあって、それなりに読んでいて面白かったです。

    パックは助かったのか、ミーガンとアッシュはどうなるのかなど、続きが気になりはしますが、新品を買ってまで読む気はしません…

  • ブクログさんの献本で頂きました。

    ナルニアに近いと思っていましたが、ラブストーリーの入れ方はトワイライトに近いのかな?
    若い子が好きそうですが、20代の私でもドキドキしました。
    あと、ストーリーが流れるように進んでいくので読みやすいです。

    キャラの個性が強いだけあって人の衝突も激しいし、葛藤も大きい。
    けれども、そういう部分部分がおもしろい。
    ただ、主人公の少女のコンピュータが得意だという個性が最後まで特に使われることがなかった。
    連作らしいので、次回なのかな?
    三角関係も気になる!

    今回ちょっと物足りない部分は次へお預けという楽しみなら満足できそう!

  • 【ブクログ献本企画作品】

    (ネタバレあります。ご注意!)

    読了~。

    アッシュの魅力満載の下巻だ。

    連れ去られた弟・イーサンを取り戻すために、妖精界と人間の世界を行ったり来たりする。

    ーーー

    主人公のミーガンが、ITオタクでてありながら、古代種族の血を引いている姫君であるというところに、作者のメッセージがあるような気がする。

    まだシリーズの第一作。
    一筋縄ではいかない妖精界で、ミーガンがどのような選択をするのか。

    続きが気になる。

  • この本は原書でもやはりティーン向け。
    これはすごく受けのいい本であることが分かるはずです。
    なんてことのない女子高生が
    運命を受け入れ、果てしない戦いへと
    身を投げ出さねばならないこと。
    そしてイケメンちゃん(笑)とのちょっぴり甘いロマンス。
    甘々じゃないのがいい感じです。

    これは現代に対する風刺もこめられています。
    そう、アイアン族のそれはまさに現代の象徴。
    だからフィクションとは言えども
    どこか他人事ではないんですよね。

    シリーズものなので
    これからこの3人+1がどうなるのやら!!

  • とても深い内容だった。
    話を読む中でわかってくる、人々の神話や非科学的なモノを信じる力が失われた結果による妖精界の変化、ミーガンが狙われる理由、ミーガン・妖精猫・パック・アッシュの冒険には、驚かされるものばかりだった。

    アメコメっぽい言い回しは否めないけど、それを差し引いても、すごく面白かった思う。

    最後、母親に会えるも、作中でイーサンをさらった犯人の情報を得る対価として支払ったものの重さがミーガンにわかっていないというのはすごく悲しかった。そしてアッシュと交わした契約を果たすべく、それを受け入れるところはカッコいいと思った。

    パックがダウンしてからまた出るかなと思っていたけど、ずっと出なかったのはちょっと残念だった。

    ミーガンとパックの恋模様かと思いきや、アッシュにどんどん惹かれあっていくところはとても面白いと思った。

    ファンタジー類はずっと抵抗があったけど、これを読んで、とてもその魅力に引き込まれた。

  • 自分の危険も顧みず、弟を助けようとしているミーガン。
    ここまで人のことを大切に思えるのはすごいのかも。
    今回のことで大きく人生が変わってしまったけれど、どうなっていくのだろう。
    今後が気になる話だった。

  • 映画や漫画のように、映像が浮かびやすい小説です。
    シェイクスピアがモチーフなので、読んだことない人はこれをきっかけに、古典を読むのもいいかもしれませんね。
    決闘するパックというのは、ちょっとドキドキしちゃいましたが、アッシュ王子優勢か・・・
    戦いの場面が多いのですが、若い人にはこれぐらいのアクションがいいのかも。
    続きがありそうです。

  • ブクログより献本、頂きました☆

    上巻より続いての下巻。
    読み終わったら、、、
    案外面白かった!!!
    というのが第一印象。

    しかも、この物語、まだまだ続くようですね。
    途中で何となく雰囲気を察したけれど…。
    しかし、先が気になってしまいました。

    ミーガンの冒険は、イケメン冬の王国王子アッシュとのラブを交えて進みます。
    明らかにティーンズな内容なのだけれど、
    しばしこんなことにご縁のないおばちゃんとしては
    なんだかドキドキしてしまいました。
    トキメキました。

    多分、あの『トワイライト』と似てるんじゃないかな!?(未読)
    一人のイマイチだった女子が実は・・・で、
    その彼女がモテ期を迎える…
    って言ってしまえば簡単だけれど、
    読み応えもありました。

    妖精とか、ファンタジーの世界に慣れているなら
    全然問題なく読めるかな。

    今回の上下巻で色々と伏線が撒き散らされた感じなので、
    その伏線が今後どうやって回収されるかが気になります!
    また、謎もまだ残っているので、それらがどう解決されるのか。
    ということで、きっと続きも読むと思います。

    でも、いつ出るのかな〜〜。

    【7/23読了・初読・私の本】

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