令嬢探偵ミス・フィッシャー 華麗なる最初の事件 (mirabooks)

  • ハーパーコリンズ・ジャパン
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レビュー : 2
  • Amazon.co.jp ・本 (320ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784596918390

作品紹介・あらすじ

お茶と銃を片手に名推理――
最強のお嬢様探偵、ここに誕生。

人気ドラマ原作、シリーズ開幕!

英国の伯爵令嬢フライニーは上流社会の暮らしに退屈していた。
そんな折、晩餐会でちょっとした盗難騒ぎを解決してみせた彼女は、
その洞察力を見込まれ知人夫妻に頼み事をされる。
異国に嫁いだ娘の体調がおかしく、夫に毒でも盛られているのではないか、
真相を確かめてきてほしいと言うのだ。
二つ返事で引き受けたフライニーはメルボルン社交界に潜入するが、
事情を探るうちとんでもない大事件に巻き込まれていき……。

感想・レビュー・書評

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  • Netflixで配信していた(今は配信終了してます)ドラマの原作。ドラマのファンだったので楽しみだったので読み出したらイッキ読み!そしてあのドラマは小説の世界観を忠実に再現してたんだなと。

    棚ぼたで父親が爵位を継いで極貧生活から貴族社会へと放り込まれたフライニー。当時としてはかなり進歩的なお嬢様。イギリスでの生活に疑問を持っていたところにある依頼のためにオーストラリアへ。

    ミステリーの謎解きはサクサク進みます。ドラマを見ていたので登場人物も想像しやすく、みんな個性的で生き生き描かれます。これ、小説もシリーズ続くといいな。あードラマまた配信してくれないかな。あと映画も!

    ちなみに小説ではフライニーは20代後半ってことだけど、ドラマではもう少し年上と思われる女優さんが演じてましたね。表紙のイラストによく似てました。というかイラストを似せたのかな?1920年代の衣装やインテリアとか最高だわと思った記憶が。

  • 申し訳ない、侮っていた。
    男爵のお嬢さんが、イギリスの上流社会で探偵ごっこをして、宝石泥棒くらいの事件を捜査する。
    なぜか現れ助けてくれる男性たち。
    みんなが好意を寄せてくれるけど、さあ誰とつきあったらいいかしら?

    とかいう話だと想像していた。
    ちがった。
    しかし、こんなかわいい表紙なのだから、誤解も仕方ないではないか!

    フライニー・フィッシャーがイギリスの男爵令嬢なのは本当だ。
    ボブカットで、奔放で、煙草を吸いまくり、ダンスが巧く、ファッションのセンスは飛び抜けていて、車をかっ飛ばし、飛行機は冒険の友で――
    つまりは、素晴しくフラッパー(はねっかえり)だとしてもだ。

    宝石泥棒の事件はあった。
    冒頭ですぐさま解決した。
    そして彼女はオーストラリア、メルボルンへと向かうのだ。
    一探偵として!

    出くわす事件は、なかなかむごいものだった。
    痛い。痛覚を刺激されて、読むたびに痛い。
    こんなにかわいい表紙からは思いもつかない事件だ。

    では、助け手となる男性たちは出てくるのだろうか?
    出てくる。
    彼らは、しかし、乙女を危機から救わんとする騎士ではなく、恋心につき動かされた紳士でもない。
    仕事はする。そして料金はちゃんと貰うという、至ってビジネス的な男どもだ。
    対するフライニーもそれをよしとしている。
    なぜなら彼女はプロだからだ。
    プロはただ働きをしない、させない。

    探偵業だけではない。
    フライニーは、私的な面で人を雇う時も、雇用条件とそれに見合う対価を正しく提示する。
    1920年代というのに、なんとも頼もしい、しっかりした御令嬢だ。

    実は、オーストラリアはフライニーの生まれ育った故郷である。
    イギリスの男爵令嬢が、なぜ?
    その経緯は、作中で彼女が語ってくれる。
    なるほど、フライニーが、こんなにもたくましく世慣れていることの理由にもなっている。
    フラッパー中のフラッパーな彼女は、どんなにむごい事件も、えげつない事件も、喜々として取り組み、挑戦して、解決する。

    この『華麗なる最初の事件』は、その調査の間に、シリーズのレギュラー陣がそろっていく話でもある。
    読後感は、こんな事件の話だったのに、よい。
    フライニーの活躍ぶりもめざましく、なるほど人気テレビシリーズになり、映画にもなったのがうなずける。

    さらに、私が気に入った点は、実在の人物がさらりと、しかし印象的に登場することだ。

    エルテ(1892~1990)はファッションやジュエリー、舞台美術などの様々な分野で世界を魅了したデザイナーである。
    彼の作品を見れば、たいていの人が、ああ、あの! と、思いあたるのではないか。
    エルテその人は出てこないが、彼のデザインした服は仰々しく現れる。
    『完璧にフォーマルで、きわめてエロティックなドレスで、フライニーはどうしても自分のものにしなければならないと感じた。』(92頁)
    そして、フライニーはそのドレスをまとい、胸を高鳴らせて、パーティー中の目を集めてタンゴを踊るのだ。

    ネリー・メルバ(1861~1931)
    オーストラリア出身で初めて、世界的名声を得たソプラノ歌手である。
    メルバトーストもピーチメルバも、ロンドンのサヴォイ・ホテルの料理長が、彼女のためにとつくったものだ。
    その人気と名声のほどがうかがえる。
    プッチーニのオペラ《ラ・ボエーム》の普及に大いに貢献した人物でもある。
    だから、マダム・メルバは、その曲を第一に歌ったのだろう。
    『純粋でつやのある声は朗々と響き、ひとつひとつの言葉が注意深く発音され、慎重に音程に乗せられた。だがフライニーがもっとも気に入ったのは、彼女がすべての音にこめた感情の豊かさだった。』 (243頁)

    彼らの登場によって、フライニーの活躍の舞台が――そのファッション、空気、音、文化が、ありありと目に浮かぶ。
    シリーズの続きにも、こういった登場があると嬉しい。
    令嬢探偵フライニー・フィッシャーと、魅力的な仲間たちの次なる活躍を、大いに楽しみにしている。

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