レディ・ジョーカー (上)

  • 毎日新聞社 (1997年1月1日発売)
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Amazon.co.jp ・本 (432ページ) / ISBN・EAN: 9784620105796

感想・レビュー・書評

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  • 「レディ・ジョーカー 上」(高村 薫)を読んだ。

    高村薫さんの作品の魅力は徹底したリアリズムにあるのかもしれない。
    その取材力に裏打ちされた迫力ある文章で読者をねじ伏せにくるのだ。

    これ一回読んだはずなんだがまったく覚えてないということは読んだつもりで読んでないな。

    気になった場面を引く。

    『成長も消滅もせず、誰も取り除かず、誰かが関わりをもっているいるのだが、すでに社会的合理性を失い、言葉の喚起力を失って、それでも現にたしかに在るのは間違いない民主主義の綿埃に、
    根来はなすすべもなく苛立つのだ。』(本文より)

    閉塞感に飲み込まれたある種の草臥れた心情がしっかりと描き出されている場面だな。

    あー面白かった。
    (下)に突入!

  • 合田雄一郎刑事シリーズ 第3弾

    一九四七年 怪文書
    第一章 一九九〇年 ー 男たち
    第二章 一九九四年 ー 前夜
    第三章 一九九五年 ー 事件

    終戦直後の労働争議を発端とした因縁が、下町の競馬好きな男たちの鬱屈とした不満に火をともす。

    老人、障害児を持つ元自衛官、金属加工職人、証券マン、警察官で構成される犯人グループ「レディ・ジョーカー」と捜査本部から日之出ビール社長・城山のボディガードととして参加した合田との戦い。


    相も変わらずの硬質な文体でしたが、事件が走り始めるとスピードが上がってきます。

    人間の動機、感情の緻密な揺れ動きを描いた上でのストーリー進行が面白い。

  • 名作でふ。
    WOWOWドラマも映画も見ました!

  • ・・・ああ・・・高村女史の本読んでると、今流行の作家さんたちの
    作品、吹けば飛ぶようだ・・・・(すみません

    助手さんたちもたくさん抱えてらっしゃるんだろーけど、
    ほんっとーに突っ込みどころが無いというか、色んな物事を完璧に勉強されているというか・・・。
    だけじゃなく、彼女のすごいところは、美術や、クラシック音楽などにも造詣が深いということ。

    彼女がクリスチャンだということにも通じるのかもしれないけど
    描く人物のひとりひとりが、ストイックで、静謐で・・・
    特に合田刑事。ううう(萌)
    彼女の出世作「マークスの山」でも大活躍だったけど・・うう(悶)

    合田刑事だけじゃなく、実に人物の描き分けがうまいし、饒舌。

    情景描写や、人物描写も隅々までされているので、まるで映画を観ているようです。

    ただ、さらっと読めないので、読み始めるのに一呼吸いるんだよねw
    今回、株の話がかなり出てくるので、ちょっときつかったっすw
    (株雑誌出してる出版社にいたくせに未だによくわからん世界だw)

    でも本当に勉強になるし、見事に「完璧な別世界」を魅せてくれる、稀有な作家です・・・愛して止みません。

  • 競馬を通じて集まる5人、戦前の労働運動、大手ビール会社社長。
    マークスに引き続き読んだが、照柿を飛ばしているので合田刑事の現状について「?」だった。
    合田刑事の苦悶・苦境、さまよえる精神を反映しているかのように、切れが悪い。
    この話の中では誰も痛快で無敵なヒーローはいなくて、どのキャラも苦悩し、迷い、決断するが、無力でがんじがらめで無様で、低調。

  • 私の中ではこれは文学。
    合田シリーズの中ではこれが間違いなく傑作だと思う。
    何度読み返したかわからない。
    どなたかがレビューされていましたが諦観と怒りが混ざり合ったタイトル、これも秀逸。

  • 企業恐喝をテーマに「人間」を描いた傑作。

    上・下巻、おまけに各ページ(イントロは違ったような気がしますが)上・下段あるという恐ろしいボリュームの小説ですが全く苦になりません。
    当時の編集者にグリコ・森永事件関係の担当者がいた事もこの小説を書くきっかけになったそうです。犯行の手口等は実際の事件の手口をなぞったものになっています。
    そのあたりがあまりにリアルに描かれているため作者は実は実行犯の関係者ではないだろうかと思えてきます。企業恐喝をテーマにしたサスペンス小説なのですがその他にも部落問題や警察組織内の軋轢やその他もろもろのサブテーマ(決して軽くはない)を描いています。非常に重たいテーマを一気に読ませる筆力はさすがです。

  • 代表作の1つ。
    グリコ森永事件を思わせる社長脅迫事件の真相は…
    脅迫する側の一味も人間味溢れています。
    合田と義兄の加納との間にもある結末が?

  • 主人公の合田はもちろんその仲間(上司、同僚)も多士済々で第一級のエンターテイメント大作です。

  • 合田雄一郎シリーズ三作目。分厚い上下巻で二段組なので、読了までに結構時間をとられましたが、大満足でした!!

    毎度のことながら、男たちの働く現場を、よくここまで詳細にリアルに描けるものだなぁと、高村さんの取材力に驚かされます。
    今回は警察以外に、国内最大手ビールメーカーと、新聞社が主な戦場になっています。

    上巻途中まで、犯人グループが、どう集い、どう計画を立てるか、一人の老人の視線を中心に描かれていきます。
    その後は、誘拐・解放され、裏取引に応じるよう脅迫を受ける社長、蒲田署に移動になった合田雄一郎刑事、事件を追う新聞社の根来記者の3人の視点で物語が進みます。

    企業への脅迫は、応じても拒否をしても大きなリスクを負わざるを得ません。
    その現場での役員たちの葛藤が、緻密に語られています。

    もちろん、合田と義兄・加納との仲もかなり進展(?)して、重苦しい事件の合間合間に加納が出てくるとほっと癒されます。

  • あの「怪人21面相」が登場する「グリコ・森永事件」に想を得て描かれた長大小説。 膨大な取材に基づいて描かれた本作は、事件に関する本等を読み込んだ人々にとっては驚愕の連続かもしれない。 小説の姿を借りながらも読後リアルな怖さがなかなか抜けなかった・・・ 

  • 合田と加納が出てくるシリーズの完結編でしょうか?
    彼らの関係性が明確に表現されている回かも。
    ちょっと感極まりました、終盤の勢いに。
    呑み込まれます、それぐらい力のある作品だと思います。

  • おもしろすぎてどうしよう!早く読み進めたいのに、ゆっくりじっくり舐めるようにずーっと読んでいたい。<br><br>それにしても雄一郎と義兄の関係が気になって気になって仕方がありません。

  • 企業恐喝事件を容疑者、企業側、警察、マスコミなどさまざまな視点から描く。人間関係が複雑に絡み合い、重厚かつ細密な描写で物語にどんどん引き込まれていく。

  • 上巻は何か月もかけて読んだけど下巻は一晩で読んだ。世界のどうしようもなさがどうしようもないまま書かれて、あのラストには泣いた。

  • 何年も前から読もう読もうと思いつつやっと読み出した1作。さすが高村 薫といった感じの作品。
    この作品はおもしろい。オススメです。

  • 最近読み返してやっぱり良いなぁと思った。
    時間と、この事件に関わる人々のこころが、実際に存在するかのように感じられる。
    人が歩いていくということとは。残せることとは。
    切なくなるし、どきどきするけど決して甘くないところが好きだ。

  • 物凄く冒頭あの部分で手間取った私。これでも古典が得意だった…らしい。

  • 一言で言うと、長い。
    ですが、臨場感溢れる文章は、やはり飲み込まれてしまいます。

  • 最後の一行までどこをとっても非の打ちようのない緊張感と重厚さがある話。三部作の最終話にふさわしい仕上がり。

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著者プロフィール

(たかむら・かおる)作家。『銃を置け、戦争を終わらせよう』(毎日新聞出版)、最近著『墳墓記』(新潮社)、『我らが少女A』(毎日文庫)など。

「2025年 『核と原子力の非人間性』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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