レディ・ジョーカー〈上〉

著者 :
  • 毎日新聞出版
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  • Amazon.co.jp ・本 (426ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784620105796

作品紹介・あらすじ

人質は350万キロリットルのビールだ-業界のガリバー・日之出麦酒を狙った未曾有の企業テロは、なぜ起こったか。男たちを呑み込む闇社会の凄絶な営みと暴力を描いて、いま、人間存在の深淵を覗く、前人未到の物語が始まる。

感想・レビュー・書評

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  • 合田雄一郎刑事シリーズ 第3弾

    一九四七年 怪文書
    第一章 一九九〇年 ー 男たち
    第二章 一九九四年 ー 前夜
    第三章 一九九五年 ー 事件

    終戦直後の労働争議を発端とした因縁が、下町の競馬好きな男たちの鬱屈とした不満に火をともす。

    老人、障害児を持つ元自衛官、金属加工職人、証券マン、警察官で構成される犯人グループ「レディ・ジョーカー」と捜査本部から日之出ビール社長・城山のボディガードととして参加した合田との戦い。


    相も変わらずの硬質な文体でしたが、事件が走り始めるとスピードが上がってきます。

    人間の動機、感情の緻密な揺れ動きを描いた上でのストーリー進行が面白い。

  • 名作でふ。
    WOWOWドラマも映画も見ました!

  • ・・・ああ・・・高村女史の本読んでると、今流行の作家さんたちの
    作品、吹けば飛ぶようだ・・・・(すみません

    助手さんたちもたくさん抱えてらっしゃるんだろーけど、
    ほんっとーに突っ込みどころが無いというか、色んな物事を完璧に勉強されているというか・・・。
    だけじゃなく、彼女のすごいところは、美術や、クラシック音楽などにも造詣が深いということ。

    彼女がクリスチャンだということにも通じるのかもしれないけど
    描く人物のひとりひとりが、ストイックで、静謐で・・・
    特に合田刑事。ううう(萌)
    彼女の出世作「マークスの山」でも大活躍だったけど・・うう(悶)

    合田刑事だけじゃなく、実に人物の描き分けがうまいし、饒舌。

    情景描写や、人物描写も隅々までされているので、まるで映画を観ているようです。

    ただ、さらっと読めないので、読み始めるのに一呼吸いるんだよねw
    今回、株の話がかなり出てくるので、ちょっときつかったっすw
    (株雑誌出してる出版社にいたくせに未だによくわからん世界だw)

    でも本当に勉強になるし、見事に「完璧な別世界」を魅せてくれる、稀有な作家です・・・愛して止みません。

  • 競馬を通じて集まる5人、戦前の労働運動、大手ビール会社社長。
    マークスに引き続き読んだが、照柿を飛ばしているので合田刑事の現状について「?」だった。
    合田刑事の苦悶・苦境、さまよえる精神を反映しているかのように、切れが悪い。
    この話の中では誰も痛快で無敵なヒーローはいなくて、どのキャラも苦悩し、迷い、決断するが、無力でがんじがらめで無様で、低調。

  • 私の中ではこれは文学。
    合田シリーズの中ではこれが間違いなく傑作だと思う。
    何度読み返したかわからない。
    どなたかがレビューされていましたが諦観と怒りが混ざり合ったタイトル、これも秀逸。

  • 企業恐喝をテーマに「人間」を描いた傑作。

    上・下巻、おまけに各ページ(イントロは違ったような気がしますが)上・下段あるという恐ろしいボリュームの小説ですが全く苦になりません。
    当時の編集者にグリコ・森永事件関係の担当者がいた事もこの小説を書くきっかけになったそうです。犯行の手口等は実際の事件の手口をなぞったものになっています。
    そのあたりがあまりにリアルに描かれているため作者は実は実行犯の関係者ではないだろうかと思えてきます。企業恐喝をテーマにしたサスペンス小説なのですがその他にも部落問題や警察組織内の軋轢やその他もろもろのサブテーマ(決して軽くはない)を描いています。非常に重たいテーマを一気に読ませる筆力はさすがです。

  • 代表作の1つ。
    グリコ森永事件を思わせる社長脅迫事件の真相は…
    脅迫する側の一味も人間味溢れています。
    合田と義兄の加納との間にもある結末が?

  • 主人公の合田はもちろんその仲間(上司、同僚)も多士済々で第一級のエンターテイメント大作です。

  • 合田雄一郎シリーズ三作目。分厚い上下巻で二段組なので、読了までに結構時間をとられましたが、大満足でした!!

    毎度のことながら、男たちの働く現場を、よくここまで詳細にリアルに描けるものだなぁと、高村さんの取材力に驚かされます。
    今回は警察以外に、国内最大手ビールメーカーと、新聞社が主な戦場になっています。

    上巻途中まで、犯人グループが、どう集い、どう計画を立てるか、一人の老人の視線を中心に描かれていきます。
    その後は、誘拐・解放され、裏取引に応じるよう脅迫を受ける社長、蒲田署に移動になった合田雄一郎刑事、事件を追う新聞社の根来記者の3人の視点で物語が進みます。

    企業への脅迫は、応じても拒否をしても大きなリスクを負わざるを得ません。
    その現場での役員たちの葛藤が、緻密に語られています。

    もちろん、合田と義兄・加納との仲もかなり進展(?)して、重苦しい事件の合間合間に加納が出てくるとほっと癒されます。

  • あの「怪人21面相」が登場する「グリコ・森永事件」に想を得て描かれた長大小説。 膨大な取材に基づいて描かれた本作は、事件に関する本等を読み込んだ人々にとっては驚愕の連続かもしれない。 小説の姿を借りながらも読後リアルな怖さがなかなか抜けなかった・・・ 

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著者プロフィール

●高村薫……1953年、大阪に生まれ。国際基督教大学を卒業。商社勤務をへて、1990年『黄金を抱いて翔べ』で第3回日本推理サスペンス大賞を受賞。93年『リヴィエラを撃て』(新潮文庫)で日本推理作家協会賞、『マークスの山』(講談社文庫)で直木賞を受賞。著書に『レディ・ジョーカー』『神の火』『照柿』(以上、新潮文庫)などがある。

「2014年 『日本人の度量 3・11で「生まれ直す」ための覚悟』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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