悪霊 (アジア・ノワール)

著者 :
  • 毎日新聞出版
3.29
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感想 : 1
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  • Amazon.co.jp ・本 (222ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784620106335

作品紹介・あらすじ

人の花は一度だけだ。私の花は、もう咲いたのだろうか?神秘の島・バリの舞踏に魅入られた「私」に起きた奇跡とは?森に響くガムラン、心に流れこんでくる、圧巻の幻視-いま最も注目される作家が放つ、めくるめく再生の物語。

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  • バリの伝統舞踊に魅了され、琴子は天才舞踊家ルバの元に弟子入りする。琴子は、師匠ルバ、その娘マヌと共に、バリの神々と対話するように舞いを続ける。幻想的な舞いに、琴子の恋、ルバの家族の哀しい出来事が織り込まれてゆく。
     
     悪霊は「ブタカラ」とルビがふられている。バリ・ヒンドゥーには黒魔術なるものがあり、ブタカラと呼ばれるという。日本語の「悪霊」のじめっとした感じとは、ちょっと異なる。
     
     語り口が幻想や観念に傾きすぎのきらいはある。だが一方で、琴子の母と祖母、祖父の愛人の自殺など、母子三代の濃密な血の連なりも描かれている。
     
    著者の父が繰り返し書き続けた“紀州の物語”に共通するものを感じた。
    期待せずに読み始めたのだが意外にも上質な佳品。

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