魂萌え !

著者 :
  • 毎日新聞社
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  • Amazon.co.jp ・本 (477ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784620106908

感想・レビュー・書評

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  • つつがなく平凡な主婦として暮らしていた主人公が、夫の突然の死に見舞われ、それと同時に夫の愛人発覚、子供たちとの遺産相続の問題、古くからの友人との葛藤とか新たに知り合った人々との交流の中で生まれてくる戸惑い…という具合に嵐の中に放り込まれ、その嵐に立ち向かいながらたくましくなっていくというお話しでした。

    面白くて一気に読みましたが正直、ラストはすっきりしなかったです。
    ん?こんな感じで終わり??みたいな…

    主人公敏子と夫の愛人昭子の対決はどうもすっきりしないというか気分が悪かったです。不倫に気分が言いも悪いもないだろうというところでしょうけど、愛人が妻に対して「敵」という意識を持って最初から喧嘩腰ってのはなんか違うんじゃないの??という違和感を感じました。それに奥さんに向かって「奥さんには悪いけど、あたしと隆さんとの間には、強くて深い絆が」あったんです」って失礼にも程があります。どうせ不倫するにしても人様の旦那さんをおかりしてます、位の謙虚さがあっていいのではないか?と思うんですよね。この昭子、不倫してた、愛人と言う立場と言う以前に人として尊敬できません。主人公の敏子も敏子です。人が良すぎます。花瓶壊したくらいですむもんじゃないでしょう。もっともっと言いたいこと言えばいいのに「関口はしあわせだったんでしょうね」なんて心にもないこと言っちゃって…。でもって、なんで自分も妻子ある塚本と付き合ったりしなきゃ行けないの?いらいらしました。
    まぁ、こんな憤る私もまだ若いってことでいいのでしょうか?(笑)
    私は敏子のようにも昭子のようにもなりたくないです。あと、敏子の友人たちも私は人間的魅力を感じない。好きではないです。
    はっき感じたたことは「良き妻良き母として生きるだけにとどまらず、一人の人間として、女としての生き方を持って生きたい」という事でした。私も将来は敏子のような立場に立つかもしれないのですから。

  • 女性として、一人の人間として、今後の生き方について深刻に考えさせられる本 生きるのは大変・・

  • 主人を亡くした妻が主人の秘密を知る事になり、それに対峙し乗り越えていく姿が等身大で書かれている。面白いね

  • 敏子、59才。
    夫の急逝により、長年の夫の秘密の露呈、息子との同居話、遺産相続と平凡な主婦だった敏子の生活に荒波が押し寄せる。その中で敏子はどのように今後の人生を過ごすことを決めるのか…、というお話。

    自分探しの旅、未亡人編。
    59才にもなれば心が乱れることもなく、穏やかに暮らすことができるほど人間として成熟しているんだろうなぁ、という今までの勝手な思いこみが覆されました。
    悟りの道は遠い。

    タイトルと装丁が目をひきます。

  • 主人公の敏子は59歳で、うちの母親と同い年。突然の夫との死別、子どもも頼りにならず、夫の秘密も知り打ちひしがれる。
    夫と家に守られていたひ弱な人生を捨てて、1人で思うがままに自由に生きようと決意するところが、潔い。
    不惑とはほど遠く、死ぬまで惑いっぱなしこそが人間だと思える一冊。

  • 60歳間近で夫に先立たれ、その夫には長年愛人がいたり、息子と遺産相続で揉めたり、いざ1人になって外の世界に出てみるとまるで世の中が分かっていなかったり・・・。

    決して人事ではないんだよなぁ。
    いずれ、自分の身にも起こりうる話。

    生き方について考えさせられちゃいました。

  • 第5回婦人公論文芸賞受賞作。
    477Pのボリュームある本を手にしたのは、初めてだった。
    しかし、読みかけると桐野さんの情景を描写させられる上手さだろうか、その場にいるように感じ、二夜であっと云うまに読了。

    夫婦ふたりでの平穏な生活。主人公 関口敏子59歳、夫・隆之63歳が心臓麻痺で急死。その人生は一変した。長男・彰之、長女・美保との相続問題。そして、夫の遺した衝撃的な「秘密」。

    本を読み進めていく中で、その年齢に達してない中でも、いづれやってくる老後や不測の事態の時、自分はどうだろうか?とか、家族や周りの態度はどうか?と考えさせられた。
    このような家族でないし、と思い込んでるが・・・。
    一人になり、歳を重ねていくということは、病気と一緒で本人しか分からないことで、とても寂しいものには違いないだろう。

    しかし、控えめの主人公 敏子がどんどん強くなっていかれる姿がみえて、ホッとした。やはり、精神的には、女性は強いとも思う。
    その後の姿も覗きたい気分になった。

  • イライラ
    ムカムカ
    モヤモヤ
    ハラハラ

    読み進めていく上でいろんな感情が出てきた本。

    私があの奥さんだったらどうだろう。
    愛人の女とあそこまで渡り合えるかな(笑)

    桐野さんの本はダークなところが好きだったけど
    こんな本も良いですね。
    どちらにしろ上手さが光る。

  • 老後が心配

  • 59歳の主婦との世代の差がだいぶ縮んだ。
    ものすごくお腹が空いたときのカツ丼のように一気にいった。
    楽しかったなあ。

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著者プロフィール

1951年金沢市生まれ。1993年『顔に降りかかる雨』で「江戸川乱歩賞」、98年『OUT』で「日本推理作家協会賞」、99年『柔らかな頬』で「直木賞」、03年『グロテスク』で「泉鏡花文学賞」、04年『残虐記』で「柴田錬三郎賞」、05年『魂萌え!』で「婦人公論文芸賞」、08年『東京島』で「谷崎潤一郎賞」、09年『女神記』で「紫式部文学賞」、10年・11年『ナニカアル』で、「島清恋愛文学賞」「読売文学賞」をW受賞する。15年「紫綬褒章」を受章、21年「早稲田大学坪内逍遥大賞」を受賞。23年『燕は戻ってこない』で、「毎日芸術賞」「吉川英治文学賞」の2賞を受賞する。日本ペンクラブ会長を務める。

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