横道世之介

著者 :
  • 毎日新聞社
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レビュー : 621
  • Amazon.co.jp ・本 (432ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784620107431

作品紹介・あらすじ

なんにもなかった。だけどなんだか楽しかった。懐かしい時間。愛しい人々。吉田修一が描く、風薫る80年代青春群像。

感想・レビュー・書評

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  • どこにでもいるような大学生「横道世之介」くん。
    大学入学とともに上京してきてからの1年間が書かれている。
    とくにこれといった出来事もなく、何気ない日常が書かれているのだけど、ほのぼのとしていて、まだまだ続きが読みたいな~と思った。

    世之介くん、少し鈍感で、でも優しくて。何年か経っても友達から思い出してもらえるってことは それだけ世之介くんには魅力があったのだろう。

    出てくる人たちも個性的で なかでも祥子ちゃんよかった。
    子供を大切に育てることは「大切なもの」を与えるのではなく、その「大切なもの」を失ったときにどうやってそれを乗り越えるか、その強さをおしえてやること・・祥子ちゃんの生き方、考え方素敵だな・・

  • 何だろう? このホワッと温かいやさしさに包み込まれたような幸せな感じは・・・
    そして、このぽっかり穴が空いたようなさみしさは・・・

    世之介を評して、世之介と関わりのあった人は、それぞれ

    「8人いる孫たちの中でばあちゃんは世之介が一番好き。あんた
    はいつもどっか抜けているけど、その分欲がなくてよろし」
    「 世之介くんと言えば、隙だらけ 」
    「笑っちゃうくらい立派な人とは反対の人。いろんなことに
    『YES』って言ってるような人 」
    「 世之介が自分の息子でほんとうによかったと思うことがある
    の。実の母親がこんな風に言うのは少しおかしいかもしれない
    けれど、世之介にであえたことが自分にとって一番幸せでは
    なかったって。」

    と言う

    そして、私もこの本を読むことによって、世之介と出会えたことを本当に幸せに思う
    世之介と出会わなかった人に比べて、なぜか自分がとても得をしたような気持ちだ

    『 与謝野祥子以外、開封厳禁 』と書かれた封筒に入っていた数枚の写真
    世之介があの写真を撮っている場面が一番好きだ
    撮っている姿と写真は、まさしく横道世之介そのものだから

  • 自分が死んだら、明日どれだけの人が悲しんでくれるだろうか。
    20年後、ふとしたことで思い出してくれる人がどれだけいるのだろうか。
    今いる自分は一人で生きてきたわけではなく、
    何気ない日常を毎日繰り返して、積み重ねて、
    そして今の自分になっているわけで。

    地方から大学入学のために上京してきた横道世之介君の、
    隙だらけだった彼の、隙が少しなくなっていった1年間の物語。
    友達とのやりとりやサークル活動、アルバイト、恋愛。
    青春時代の、それはあまりに普通の出来事なのに、
    読み終えるとどうしようもなく横道世之介が愛しくなるのは、なぜ?
    自分も死んだ20年後に、ふとしたことで誰かに思い出してもらえるような、
    そんな彼のような人になりたい。人でありたい。

    映画を観る前にちょっくら復習を。そんな軽い気持ちで読み始めたら。
    もう、どっぷりはまってページをめくる手が止まらなくなってしまいました。
    423ページ。4時間半かけて一気読み。夜の12時前から朝方4時過ぎ。
    バレンタイン前の忙しいこの時期に、睡眠不足って!
    どうしてくれるの吉田修一!と責める気は毛頭ありませんが。

  • もうすぐ映画公開だそうですね。カミさんに今電車で読むの勇気いるねと言われました。なんのなんの。
    さて、世之介さんはそんな他人の目が気になる的な感覚無しのマイペースなさえない大学生です。青春ですね。良い感じでした。

    人は人との出会いで成長していくのですね。内向的な私は、なかなか人とオープンに話すのが苦手です。それぞれの人にそれぞれの物語があって、人と絡んで、離れて、それぞれ進んでいく。

    人との出会いや関わりあいに臆病ではいけないなと思いました。だってまだ生きているんだからね。

  • 九州から大学進学のため上京してきた横道世之介。
    彼の大学に入ってからの一年間と20年後を織り交ぜながらの話。
    特に驚くような大きな出来事があるわけではなく
    バイトや友人関係、恋愛など普通の大学生の話なので
    最初はなかなか読み進めるのが退屈だった。
    でも素直で奔放でかなりすっとこどっこいで人に流されやすい世之介が徐々に可愛く思えて中盤からサクサク読んだ。
    世之介が生きた時代背景が全く私も同じ。
    わたせせいぞうの『ハートカクテル』や『サラダ記念日』など懐かしいベストセラー、そして映画『トップガン』も流行ったなあなんて
    世之介を通して自分の学生時代を懐かしく思い出せて嬉しかった。
    何よりも世之介のキャラはとても光っていて愛おしい。
    世の介にかかわった人たちが皆温かな気持ちで世の介との思い出を語る場面がとても印象的。
    でもラストはとても切ない、余韻が残る。

  • 『愛に乱暴』の毒と熱にやられた後の息抜きに、こちら再読。
    世之介、いいなあ。愉快だなあ。ほけっとしてるなあ。
    初期の吉田修一のもやついてどこかうすら寒い青春群像にくらべると、この抜け感。とほほな台詞まわし最高。いったい、幾つの目で吉田さんは世界を見ているのだろう。とんぼの目玉でも持ってんじゃなかろうか、というほどおなじ世界を違う目で描ける人だが、この世之介の人物造詣はかなり好み。
    でも80年代ののどかな雰囲気の中に登場人物達の現在の陰をさらりと挟みこみ、全体に香辛料をまぶしてみせる、そこがまた腕。

  • 映画予告編で見た高良健吾さんと吉高由里子さんの笑顔が唐突な感じで挿入されていたサンバとともにキョーレツに印象残っていたため、そのままのイメージで読了。タイトルからも予告編からもどんな話か想像がつかなかったけれど、横道世之助、という長崎出身ののんきで気の良い青年を中心とした群像劇、みたいなもの。人つきあいにストレスやわだかまりを感じない様子がうらやましい。祥子さんがかわいらしかった。

  • 大学進学をきっかけに長崎から上京してきた横道世之介の1年間とその後の話を綴ってある。
    さえない世之介だけど、なんかいい。憎めないというか、なんとなくいい感じでじわじわと心に寄り添ってくる。
    どこにでもいるようで、そうでない。この人が身近にいる人生を生きられるとしたら、とても素敵なことだと思えた。
    作者と年があまり変わらないこと、舞台が身近な場所ということで、すごく身近に感じられる。

  • 今度映画化されることもあり、読んでみました。
    世之助くんと、彼に関わった人との物語。
    ちょっと泣いちゃいましたが、心温まるお話でした。
    最近読んだ本の中では、一番好きな本です。

  • 吉田修一の本はパレード、悪人、パークライフ、最後の息子、7月24日通りなどなどちょいちょい読んでるけど、読み終わって思う。これが一番好きかも。
    どこにでもいる大学生・世之助が上京してきてからの1年が、
    彼とともにいた人たちの20年後のいまを織り交ぜながら語られる。
    世之助の行動がおかしくて、くすくす笑えるけど、最後はとても切ない。
    誰かと出会うってすごいことだ。

    キャラクターも世之助はじめ普通なんだけど普通でなくて魅力的。祥子ちゃんと加藤君が特に。
    映画にはマイブームな綾野剛が出るんだけど、加藤君が出てきた瞬間、あ、彼が演じるのはこのキャラクターだよね、ってすぐ分かった。絶対見に行かねば。

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著者プロフィール

吉田 修一(よしだ しゅういち)
1968年長崎県生まれ。法政大学経営学部卒業後、スイミングスクールのインストラクターのアルバイトなどを経験。
1997年「最後の息子」で第84回文學界新人賞を受賞しデビュー。同作は第117回芥川龍之介賞候補にもなった。
2002年『パレード』で第15回山本周五郎賞を同年「パーク・ライフ」で第127回芥川龍之介賞、2007年『悪人』で第61回毎日出版文化賞及び第34回大佛次郎賞、2010年『横道世之介』で第23回柴田錬三郎賞をそれぞれ受賞。2016年には芥川龍之介賞選考委員に就任している。
その他の代表作に、2014年刊行、本屋大賞ノミネート作の『怒り』。2016年に映画化され、数々の映画賞を受賞。体当たりの演技を披露した広瀬すず出世作としても名を残すことになる。

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