三十光年の星たち (下)

著者 :
  • 毎日新聞社
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  • Amazon.co.jp ・本 (296ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784620107684

感想・レビュー・書評

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  • 相変わらず輝さまは最高です。今回は何だかすごくリアリティーがあって、考えさせられたなあ。。。

  • 真っ直ぐなこと。それをやり続け守り続け邁進していくこと。
    師と仰げる方に出逢えるのだろうか、独りよがりにならずに、叱られ続け、働き続けることが出来るのだろうか。三十年。自分は何を磨いていくのだろう。私には、見えないものを見ようとする努力が出来るだろうか。

    世の中のありとあらゆる分野において、勝負を決するのは、人間としての深さ、強さ、大きさだ。鍛えられた本物の人物になるには三十年かかる。―略―これから先、三十年のあいだ、そのつどそのつど、悩んだり苦しんだり、師匠を疑って反発したり、ときには恨んだりもするだろう。そしてそのつど、なぜだろうと考えつづけるだろう。そうやって考えつづけて、あるときふっと、ああそうなのかと自分で気づいたこと以外は何の役にもたたないのだ。

    「なぁ、仁志、三人の息子のなかで、仁志がいちばん親孝行だって、お父さんに思ってもらえるようになるんだぞ」
    物語の終盤で、佐伯さんが言った言葉。愛情をとてもとても感じました。

    私には、何もまだまだ分からないし、むしろ分かるわけがないのだろう。だから、毎日、ただ真っ直ぐに真っ直ぐに、積み上げて生き続けなければならないのかもしれない。とにかくとりあえず三十年。

  • スピード感や結果が求められる時代ではあるが、小説を読むにつれ、長い年月がもたらす恵みや豊かさの大切さを感じた。
    かつて著者は「大人とは?」との問いに対し、『草原の椅子』のあとがきにおいて、次のように述べている。
    「幾多の経験を積み、人を許すことができ、言ってはならないことは決して口にせず、人間の振る舞いを知悉していて、品性とユーモアお忍耐力を持つ偉大な楽天家」であると。
    佐伯老人は著者のいう「大人」の体現者であり、仁志が彼に認められ、師弟ともいうべき関係を結べたのは、これから大きな糧になると思う。久々に心がじんわりと温かくなるお話を読んだ。

  • ひとりの名もない頼りない、たいした学歴もない青年が、三十年後をめざして、手探りでもがきながら、懸命に自分の人生を作り始める物語。
    (あとがきより)

  • 自分を磨くには、働いて働いて働きぬく。か、自分の師と仰ぐ人に叱られて怒られて、これでもかというまで叱られること。

    これからどういう生き方をするかで、これからの自分の30年後が決まる。

    哲学書のような。ある意味、私の人生の指南書になりそうです。

  • 宮本輝作品を読むといつも、心に残る言葉に出会う。
    鍛えられた本物の大人になるためには三十年かかる。これからひたむきに、まっすぐ、力一杯歩いて、60歳になった頃に、私は本物の大人になれているだろうか。これからの毎日を、横着せずに大切に積み重ねていこうと思う。忘れそうになったらまた読みたい本。

  • やっぱりこの人の作品は胸を打つ。
    人と人が支え合いながら生きる。人が何かを学びながら、人間として成長していく。
    その当然あるべき姿を、仁志という30歳の青年と75歳の老人を通してまざまざと見せつけてくれた。

    人が成長する時、その結果を急いではいけないのだな、と。
    作中で繰り返し語られる「三十年後の自分」という言葉に、猛省させられた。

  • いつも通り料理が美味しそう
    ソースはデミグラスソースってことなんかねぇ
    をナポリタン風??
    食してみたし・・・
    とりあえず  ポトフ作りたい。

    主人公の仁志さん
    冒頭の頃はいい加減な人だったけど 人として 成長したな~と

    で 結局借金の回収とツッキッコの両立は出来たのでしょうか?
    基金も立ち上がったのか???と自分のなかで曖昧な中1人目に200万貸してしまって
    青木さんその後成功したのかしら?
    佐伯さん亡き後って・・・

    佐伯さんと出会ってから 30年かけて自分は変わって見せる!
    って話なのに1年満たずの話で終わってない?
    もう1度読み直してみます

    どちらかと云うと物語後が気になる

  • 本を手に取ると、今、このタイムングで読むべき本だったと思う事が多々あるが、今作もまさに今読むべきタイミングの本だったと実感。自分の指南書ともなりうる一冊。

  • 30年後の自分かぁ、真剣に考えたことないなぁ。でもそういう時間軸で物事を考えるって大事なことだなと思った。こういう本は特に若い人に読んでもらいたい、ビジネス書といってもいいような内容。佐伯老人のような人物に私も出会いたかった。

著者プロフィール

1947年兵庫生まれ。追手門学院大学文学部卒。「泥の河」で第13回太宰治賞を受賞し、デビュー。「蛍川」で第78回芥川龍之介賞、「優俊」で吉川英治文学賞を、歴代最年少で受賞する。以後「花の降る午後」「草原の椅子」など、数々の作品を執筆する傍ら、芥川賞の選考委員も務める。2000年には紫綬勲章を受章。

「2018年 『螢川』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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