マルセル

著者 :
  • 毎日新聞社
3.67
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本棚登録 : 197
感想 : 43
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  • Amazon.co.jp ・本 (512ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784620107776

作品紹介・あらすじ

予想できない方法でわたしは姿を現し、生き返る。遺された取材ノートから知った、ロートレックの名画『マルセル』盗難事件。1968年、嵐吹き荒れた時代の不可解な事件を、父はなぜ追い続けたのか。謎に導かれるまま、新聞記者・千晶は、東京から神戸、京都、パリへ…。実在の未解決事件をテーマに恋愛小説の名手が贈る芳醇な「絵画」ミステリ。

感想・レビュー・書評

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  • 面白かったけど、ミステリーとしては???な部分が多い。
    絵は誰が盗んだの?葉子さんは事故死?自殺?なぜ復讐されなければならないの?
    最後の方ミステリーらしく盛り上がるけどあまり必然性が感じられない。危険ならパリに呼ばなければいいのに。葬儀の時に来日しているならその時に顔は見れるはず。
    長い分ミステリーとしては謎がすっきりしない。

  • 京都と、東京とフランス。なんとなく最近のわたしの興味を充分にひきだしてくれる舞台でくりひろげられるお話、夢中で読んでしまいました。

  • オシャレなミステリー
    社会的なことや美術の面白いところも盛り込んで合って満足

  • 初の高樹のぶ子作品でした。

    京都とパリと団子坂が舞台で、ひたすらにお洒落です。
    絵画とコーヒーと新聞がモチーフで、とても意識高い系です。
    あぁ、この小説に登場人物になりたい、できればヒロイン千晶になりたい。

    そんな風に思うのは久々のことでした。
    オススメです。

  • 1968年、日本で起きたロートレックの名画『マルセル』盗難事件。新聞記者だった父が事件を追い続けていたことを、遺された父の取材ノートから知った千晶は、未解決の謎を辿り始める。
    死ぬまで執着したこの事件を通して父を理解するため。
    「死んだ」と聞かされていた母を探すため。
    自らも新聞記者となった性から、未解決事件への興味。

    ただ単純に『マルセル盗難事件』について描かれた作品と思い読み始めたけれど、どちらかというと父・母を追い求める娘の物語という面が多いのかも。
    最後には、盗難事件が大きな組織犯罪へも繋がってくる。
    「あれ、ここで終わっちゃうの?」感も残るけれど、この先を続けるとなると上下巻の分量になってしまうのだろうな。
    ということからも、やっぱり父・母を追い求める娘の物語なのだなぁ。

  • この本、単行本なのだけどBookOFFで360円で売っていた。調べてみた感じ、まだ文庫化されていないのに。高樹のぶ子の小説は一筋縄ではいかない面白さがあるのだけど、簡単に読みこなすつもりだと少しとっつきにくいのか。
    このマルセルはロートレックの秀作で、京都国立近代美術館で盗まれ、8年後にみつかた事件。これを背景にして自分の出目を探ることになる主人公。京都、そしてフランへと何かに惹きつけられるようにロートレックと出生の事実にせまっていく。360円なんてとても思えないこの世界に乾杯したくなった。

  • 美術絵画が好きなので借りてみたけど、最後の方がモタっとして、イライラした

  • ドロっとした実在の未解決事件をもとに、個性豊かな架空の登場人物たちが片や迫り、片や追い詰められる。期待以上の作品だった。

  • 恋愛小説の名手が書いたミステリーは1968年のロートレックの名画「マルセル」盗難事件を題材にし、その謎と、ヒロイン千晶の父の過去、そして見知らぬ母の秘密を解き明かしていく複層の謎解きである。事件の舞台となった京都の情景が懐かしいし、東京、神戸、そしてパリへの調査行などもドラマティックである。謎の母の秘密に辿りついていく中で、秘密結社のようなものが登場し、逆転に次ぐ逆転と、興味は深まるばかり。最後の場面は自然な流れとして予想できるものだが、それだけにスリリングな状況として一言一句に目が離せない。絵画ビジネスと言う特殊な世界はサスペンスになじみそう。この事件は記憶にないが、3億円事件と同時期であまりにも埋没してしまったからか。高田浩吉の住居、黒木メイサ似の美人などが登場するのは現実味があるとは思うが、そのような表現があることがこの小説の普遍性を損なわないのか?と心配ではある。

  • 時間がないときに行った図書館で直感で借りてきた本でしたが、なんとこんな洋風なタイトルのくせに、取り壊される築100年の民家と、京都の町家が出てきました!内容はややこしくて、策士になるための訓練と思って読みましたがちょっと難しく、まだまだ策士にはなれないけれども、民家に対する勘だけは研ぎ澄まされてきたことがわかりました^^;

  • 面白かったけど、謎の人物のメールあたりからあまりに非現実感が・・・。

  • 新聞記者の千晶は、同じく新聞記者だった亡き父が残した、マルセル盗難事件に関する資料を見つける。それを追う中で出会った恋、様々な人物、そして謎。とにかく最後まで止まらない。面白かった。

  • 新聞記者の千晶は父が遺した取材ノートから知った、ロートレックの名画『マルセル』盗難事件。1968年、嵐吹き荒れた時代の不可解な事件を、父はなぜ追い続けたのか。謎に導かれるまま、新聞記者・千晶は、東京から神戸、京都、パリへ…。実在の未解決事件をテーマに恋愛小説の名手が贈る芳醇な「絵画」ミステリ。

    いつも推理小説を読んでいるのでミステリーとしては薄い、その割に分厚い本で長かったなーという印象が残ってしまった。千昌とオリオさんの恋は微笑ましくて良かった。ラストもハッピーエンドなのかどうかよくわからないけど…ミステリー部分も私には謎が多いままだった。それが未解決の事件を引き立たせているのかも?

  • 恋愛が必要なのか?

  • 主人公の千晶の前向きでひたすら真実を追い求める姿に感動。先はどうなるのかとハラハラしながら読み進みました。一気に読みたかったけど、すぐに終わるのがもったいないような、そんな気がして少しずつ読み進みました。ただの新聞記者に過ぎない彼女が、父の死をきっかけに、見ず知らずの母親を追い求めてパリまで行っちゃうんですよね~。彼女のひたむきさにただただ脱帽です。周りの複雑な人間関係も、最初はわかりにくかったけど良しとしましょう。久々にサスペンスでおもしろかったです。

  • 分厚い本ですが、読み始めると止まらなくて一気読みしてしまいました。

    ラストは実に感動的です。
    日々、仕事や諸々に頑張っているヒロインが幸せを掴んでいくお話はいいですね。

    幸せな読書時間でした。

  • ミステリー仕立てらしいけど、確かに謎ときのような部分もあるけれど、最終章までの叙述がちょっともたれた。そのかわり最終章はどんでん返しがあって、溜飲を下げるような感覚を味わった。

  • 今年読んだ本のなかでベスト3に入る作品。毎日新聞の連載小説だったとのことだが、実に緻密に書き上げられている。新聞記者だった一人身で自分を育ててくれた父なきあと、その父が残した昔の名画盗難事件にまつわる謎に偶然取り組むことになる娘。その事件がおきた京都で出会ったひとたちが何らかのかたちで事件にかかわっているのは感じるがだれも真相は話してくれない。関係者のひとりがなくなってその葬儀にパリから参列した人からのメールから絡まった謎の糸が解け始める。緻密な物語構築がなされているので、筋が少し読めても最後のページまで緊張感をもって読むことができた。秀作です。高城のぶ子って恋愛小説家だとおもっていましたが、おみそれしました。

  • 絵画盗難事件を追う新聞記者のキャリアウーマンが主人公で舞台が東京、京都、パリに飛んでラブストーリーもあるミステリーなんですが、どうも言葉に引っかかりを感じてなかなか入り込めませんでした。抱きしめられると、マヨネーズのチューブみたいに余計に涙が飛び出す。とか、焼いて剥いたネギみたいに、ぐずぐずになっていく。とか、喉の奥にワカメが引っかかって取れない気分。って表現に違和感を感じてしまいました。「甘苦上海」を読んだ時もそう思ってやめたのかも…。

  • ホントは誰が盗んだのでしょう?

  • 1968年12月といえば 何といっても府中の3億円事件。 個人的には地元だったので、もうその話題ばかりで このマルセル盗難事件が起きたなんて少しも知らなかった。毎日新聞連載中は 1-2回読んでみたことがあったけど 途中だったので良く分からなかった。やはりこの事件が1968年の 同じ窃盗事件で未解決で事項を迎えたという事を知った時に、無性に読みたくなった本。この著者の書物は初めてだったが、すんなりある懐かしさを持って入ることが出来た。
    最後までミステリアスで あのダビンチココードを思わせるような係累探しも
    興味深い。またロートレック展で マルセルに日本に来てほしいな....

  • 実際にあった絵画盗難事件の知られざる一面、そして真相は・・・という壮大なミステリー。ストーリー展開の早さ、意外さにページを繰る手が止まらなかった。

  • 作者初のミステリー。テレビで「このミス」をとりたいとおっしゃるほど、作者の思いが入った力作だったと思います。
    実際の未解決事件をベースにしたことは読後知りましたが、特に違和感なく話の運びはスムーズでした。主人公の恋愛面は何となくふわふわした感じでしたが、ミステリーとしては最後まで読ませる作品になっていると思います。

  • いまいちすっきりしない展開

  • 1968年(昭和43年)に、京都国立近代美術館でロートレックの「マルセル」が盗難事件に遭う。数日後、額縁だけが見つかる。時効成立後、「マルセル」は発見されるが、犯人は見つからず事件は迷宮入り。

    本作は、この実際に起こった事件をベースに作られた小説。

    主人公の千晶が、私と同い年なのに親近感が湧く。
    また、額縁が見つかったとされる疎水沿いの小径も、おそらくあそこのことだろうと想像がつく。
    そして最後に、千晶とお母さんが背中合わせで対面するオランジュリー美術館。太陽の優しい光が差し込むモネの睡蓮の部屋。私が大好きな美術館の一つ。

    ストーリーも確かに面白かったけれど、私は何やら懐かしいものに再会した気分を味わった。
    岡崎の辺り、そしてパリにもまた訪れたい。

  • 実際にあった絵画盗難事件をもとにしたミステリー。
    高樹のぶ子特有の、どこかフワフワしてとらえどころのない文体が、更なる謎の深みに連れていってくれます。
    最後のどんでん返しの応酬には、かなりパニック。あれもこれも繋がっていたなんて…!
    かなり分厚い本ですが、東京、京都、パリをまたいだ大がかりな物語に一気に引き込まれました。

  • 絵画盗難事件と言う実話が大きなベース。
    30代後半の女性の恋愛観や親子の不思議な絆が謎解きとともに京都やパリを舞台に描かれる。
    テーマは決して軽くはないが、展開や文章が軽やかで、素直に読めた。
    個人的好みでは、せっかくの長編、もう少し掘り下げ、どろどろとした部分も期待してしまう。(Y)

  • 去年1年間、朝日新聞で連載されたもの。
    1968年(昭和43年)12月、京都国立近代美術館で開催されていた「ロートレック展」に
    フランスから借りて展示されていた「マルセル」(時価3500万円相当)が無くなった。
    盗難から3日後、額縁だけが発見されたが、「マルセル」は見つからず。
    時効成立後の1976年1月、個人から届けられたが、時効のため真相を追究することができず、
    貸出し元だったアルビ美術館に無事戻ったが、犯人・その盗んだ目的は解明されぬまま。
    この実際に起こった絵画盗難事件をもとに、書かれたミステリー。
    新聞記者の父が他界し、遺品の整理をしていて見つけたこの事件の取材ノート。
    娘の千晶自身も新聞記者なので、その内容に興味を持ち、父の後を追い始める。
    そこで運命的に出会った京都とパリの人たち・恋愛・千晶の出生の秘密・・・
    千晶は様々な事実を突きつけられ、混乱しながらも解明しようとする。
    ミステリーなので詳しく書けないけど、とっても読み応えがあって、おもしろかった。

  • 期待しないで読み始めて、予想外の面白さでした。
    昨年の毎日新聞連載小説。実に読み応えのある作品でした。
    作者の今までの作品と、少し雰囲気が変わったかも。一種の推理小説の要素もあり、作者お得意の男女の機微もあり、ラストのどんでん返しは驚きでした。もう一つの舞台として登場するパリ、作品のテーマであるロートレックの絵、など、さすがの表現力、描写力。満足。

  • 京都とフランスを舞台とする華麗な感じのミステリーだった。
    有名絵画の裏にはこんな話もあるかもしれない。
    新聞記者の父親の仕事に向き合い、同じ新聞記者の娘が段々ひも解いていく様が面白かった。
    ちょっと中途半端な恋愛storyが話の流れを中断する用にも感じた。
    母親との再会という最後はちょっと意外な展開だった。

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著者プロフィール

小説家

「2022年 『ベスト・エッセイ2022』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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