姉川の四人 信長の逆切れ

著者 :
  • 毎日新聞社
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  • Amazon.co.jp ・本 (352ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784620107912

作品紹介・あらすじ

あの屈辱の金ケ崎の敗戦から三ヶ月。復讐に燃える信長は、盟友・家康をこきつかい二倍近い大軍で浅井長政領内奥深くに攻め込む。楽勝かと思いきや、とことん弱い織田勢は…大誤算にキレる信長、一撃で粉砕、弱すぎる秀吉、どこにいる?光秀、またも巻き込まれた家康。のちの天下人・四人の悪戦苦闘をコミカルに描く痛快歴史小説。

感想・レビュー・書評

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  • 合戦シーンがすごく詳細。
    もちろん作者の脚色込みだろうけど、丁度、大河ドラマ《どうする家康》の姉川の合戦の回を見逃してたので、コレで繋がりました(笑)

    ちなみに「著者は岐阜県大垣市に在住し、大垣・関ヶ原・姉川・小谷は現地踏査が容易である」そう。

  • 長い話だったがコミカルで光秀がお茶目で楽しく読めたけど、最後の方がお腹いっぱいで読むのではなく見ていただけだけど緊張が弛んだのが伝わる。今まで読んだ信長の小説とは全く違う愛嬌ある話になっている

  • 再読。これはこれで好き。特に、光秀は面白い。

  • 楽しみながら読んできた鈴木輝一郎氏による「四人シリーズ」の4冊目です。戦国時代の主役とも思える、信長・秀吉・光秀・家康が同じ場所にいた、という想定で書かれた歴史小説の4番目の舞台(私が読んだ4番目です)は、信長が慌てて戦場から逃げ帰ったといわれる、姉川の戦いです。

    戦国時代を数時間の授業で終わった中学、高校時代の記憶しかない私の「浅井長政像」とは、朝倉家や父親を慮って決断ができずに、いずれは信長に滅ぼされてしまうものでしたが、この本によれば、浅井長政は強かったのですね。驚きました!

    今後は有名な戦いにおいて、惜しくも弱者側になってしまった人たちにもフォーカスをあてて書かれた本や小説を読んでみたいなと思いました。

    以下は気になったポイントです。

    ・組織戦闘が主流のこの時代(戦国時代)、剣術・槍術などの個人格闘技は「武芸」としてさげすまされていた。そもそも大将みずから護身術を駆使せねばならないような合戦は、すでに負け戦である(p39)

    ・戦国武将は死と隣り合わせなので勇猛果敢な印象があるが、実際は変節と屈折、内通と陰謀を組み合わせているのが通例である(p53)

    ・征夷大将軍がいる場所が幕府なので、足利義昭が織田の本陣につけば、浅井長政はいやがおうでも幕府(天下の政道)に反逆する立場に置かれる(p70)

    ・柴田勝家は信長に謀反を計画した経験がある、丹羽長秀、佐久間信盛は桶狭間の合戦のとき、信長を見捨てて参陣しなかった(p72)

    ・戦国武将には戦うための優先順位がある、1名前、2所領、3命、4利益、銭金と命の順位の低さは変わらない(p87)

    ・大麻はもっも身近な農作物のひとつであった、実や下剤、種子は食用、茎は乾燥させて松明、上質紙の材料にもなった。木綿の国産化が成功していなかった戦国時代では、重要な衣料素材でもある。この時代には喫煙の習慣、発想はなかった(p107)

    ・鉄砲隊は兵力として運用するには費用がかかりすぎる、弾薬・弾丸を購入する資金力が必要となる、弓矢はその点、矢は消耗品であっても山地に自生している矢竹を伐採して調達できる(p137)

    ・信長は、小規模軍事と大衆煽動、経済に突出している、一方、意思疎通能力が絶望的に低い(p145)

    ・戦国時代の主君の重要な仕事は、家臣団の目標設定、意欲の維持、人間関係の調整である(p148)

    ・騎馬武者の首をひとつとれば、彼の指揮する、槍隊・弓隊・礫隊・鉄砲隊が退却することになる、総大将の首をとれば戦局そのものがひっくり返る(p176)

    ・合戦は三面=囲碁・将棋・双六に似ている。三面のほうが、本物の合戦から要素別に抽象化し遊戯にしたもの。陣取りや領地の攻勢の要素を取り出したのが「囲碁」、将兵の個性を踏まえて適材適所に人物を配する用兵術を取り出したのが「将棋」、運によって変化し続ける戦局から最善手を選ぶ要素を取り出したのが「双六」(p186)

    ・戦国の一個小隊は、弓隊・鉄砲隊・礫隊、槍足軽、徒歩武者、騎馬武者、伝令、隊長から構成され「備」と呼ぶ(p194)

    ・合戦では、刀はあまり実用的な武器ではない、護身のため、敵の首を討つため、戦場で逃亡を図ろうとする味方の足軽を切り捨てるため(p215)

    ・合戦と「祭り」は似ているが違う点、1)命のやり取りの有無、2)本物の合戦では開始の合図はない(p223)

    ・外見に特徴のある家康や秀吉、浅井長政はそう簡単に影武者を立てられない、武田信玄が本陣にどっしり構えていられるのは、幾人もの影武者を仕立てているから(p229)

    2020年1月13月日作成

  • ちょっとハマらんかった。

  • 今回は四人に加えて稲葉一鉄の存在がいい。
    秀吉のヘタレはこのシリーズに通底していて、この流れで中国攻めはどう描かれることになるのか読んでみたいけどなぁ。

  • 浅井長政(朝倉義景)vs織田信長(家康、秀吉、光秀)との姉川の戦いを面白く描く。浅井長政は戦いに敗れるもカリスマ性に溢れ強くカッコ良い、それに引き換え疑心暗鬼の信長、裏切り心で揺れ動く家康、博打好きな光秀、そして弱く生への執着心だけが強いカッコ悪い秀吉が面白かった。

  • 20151029読了

  • しまったな。「金ヶ崎の四人」を先に読むべきだった。
    金ヶ崎後の「姉川の戦い」において信長、家康、光秀、秀吉の四人がどんな損得勘定で決戦の場に立ったかを描く戦国小説。
    色々な歴史小説が「ビジネス書」として読まれる訳がよく判るような、それぞれの立場において何が一番効果的か。
    「戦は政治である」は至言だなぁ。

  • 口語+現代訳の地の文なので非常に読みやすい。
    内容としてはサラッとしたように見えて、その実、戦勝・戦勝後の論功行賞でのやりとりが実に講談めいて面白くも熱い芝居と言える

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著者プロフィール

1960年岐阜県生まれ。94年『めんどうみてあげるね』で日本推理作家協会賞受賞。著書に『浅井長政正伝』『信長と信忠』『お市の方』『織田信雄』等多数。主宰する小説講座からは各文学賞受賞者を多数輩出。

「2020年 『新・時代小説が書きたい!』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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