だから荒野

著者 :
  • 毎日新聞社
3.60
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本棚登録 : 1231
レビュー : 223
  • Amazon.co.jp ・本 (424ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784620107974

作品紹介・あらすじ

46歳の誕生日。身勝手な夫や息子たちと決別し、主婦・朋美は1200キロの旅路へ-「家族」という荒野を生きる孤独と希望を描き切った桐野文学の最高峰!

感想・レビュー・書評

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  • 正直ちょっと物足りなかった。
    桐野さんと言えば、毒々しい表現で人間の裏の部分を鋭利に描く印象を持っていた。
    しかし、この作品はぬるま湯に浸かっている家族の不毛な内輪揉めを見せつけられている感じでなんとも居心地が悪かった。

    専業主婦の朋美は自分の誕生日に家族で出かけてレストランの席で、わがままな家族にほとほと嫌気が差しそのまま出奔する。
    着の身着のままで長崎へと向かう朋美を追う姿はさながらロードムービーのよう。
    一方、東京に残された夫の浩光が右往左往する姿はなんとも頼りない。

    まず、夫から渡される生活費の20万に不満を抱く朋美に疑問。
    家賃や固定費を除いて自由に使える生活費が20万あれば十分じゃないか?
    そりゃベンツのワゴンを簡単に買えるような夫という時点で生活レベルが違う。
    庶民の私はどうすりゃいいんだ。
    わがままな夫とは言え、食うに困るわけでもなしDVがあるわけでもなし。
    ゲーム依存の子供は心配の種だろうけど、引きこもりでもなく。
    一体何が不満?
    あえて言えば、退屈な毎日ということか。

    誰にも共感できなかった。
    この小説ってどんな人をターゲットに書かれたんだろう。
    新聞小説だったみたいだけど。
    うーん・・・。
    登場人物全員に「喝!!」を入れたくなるような作品。

  • 自分の楽しみを最優先する身勝手な夫、彼女の家に入り浸る大学生の長男、部屋に籠ってゲーム三昧の高校生の次男。主婦の森村朋美は46歳の誕生日の夜、堪忍袋の緒が切れて突然車にて家出する。東京からはるか遠く、初恋の相手が住んでいる長崎を目指し、一人旅に出るが・・・
    朋美の思い切りのよい行動には、爽快感すら感じるが、夫の立場だったら、子供の立場だったらと考え出すと微妙なところも。明日は我が身とならぬよう気をつけなければ。

  • こんなだんなと息子たち、いらなーいと思ってしまうよなぁ。
    相手のことを考えなさすぎ! これじゃ、一緒に生活する意味がない。
    家出してゴルフセットを売るあたりは
    「いいぞ〜」
    と応援したくなったけど、ちょっと物を買い込みすぎのような。先の予定が立っていないのなら、食を最優先するもん、あたしなら。
    ただ単に食い気の問題か?
    他人を信じてみたいけど、これではちょっと。
    自分である程度はなんとかできる能力というか度胸というかも必要なのね。

  • 図書館で借りた本。46歳の専業主婦が自分の誕生日という事でイタリアンレストランにダンナと長男と行くが、男達の優しさの欠片も無い小言連発にキレていきなり車で失踪する。行き先決めずに飛び出し昔付き合った男が長崎にいると分かり当てもなく九州を目指すのだが…途中、車を盗難されたり売春婦と間違われたり、無知な世間知らず故の失敗もあるが、何とか長崎へ。その時家族は…と言うドタバタ劇のような内容。自己中ダンナは隙あらば浮気しようと画策するし、息子達は母の心配もしないが最後は収まるところに行く軽い内容かな。

  • 自分たちのことばかり考えている家族に嫌気がさし
    衝動的に家出をしてしまった40代主婦

    いきあたりばったりの行動だが
    偶然の出会いにより九州で生活を始める・・

    主婦のパートと、おいていかれた夫のパートが交互に描かれ
    夫の身勝手さにイライラする(笑)

    最後はおさまるところにおさまったなーという感じ
    もっと波乱があってもよかったかも

  • 夫や子供は確かに身勝手で酷いと思うが、
    それを言い訳に家事や教育をおざなりに、
    半ば放棄してきた朋美もお互いさまで、あまり同情できない。
    特に食事がひどく、子供があんな風になってしまった一因でもあると思う。

    そんな朋美が山岡に出会ってからは、きちんとした敬語を使い、
    真面目に面倒を見るようになったのは少し違和感を感じた。
    なんだ、ただのグウタラな人じゃなかったんだ。

    ともあれ長崎への旅は、平々凡々な毎日を送っている私には
    想像もつかないような事が次々と起こり、刺激があって面白かった。
    最後に救いの兆しが見えたので、昔ほどの毒々しさはなかったな。
    東京島以降の桐野作品は個人的にはいまいちだったが、
    これは久しぶりに大いに楽しめた。

  • 全員がバラバラで崩壊しかけている家族。
    妻のBirthdayをキッカケに本当に壊れていく。

    誕生日だというのに夫は、妻をタクシー代わりにし、
    容姿やセンスに性格まで言いたい放題・・・。
    息子2人は母に悪態ばかり。
    こんな人生なら結婚しない方がよっぽど
    マシだと思ってしまいます。

    家庭を捨てた妻は車に乗って東京から長崎を
    目指します。
    道中、車が盗まれ、被爆者の老人に拾われたり。。
    一方、夫は妻に意地になり、妻に逃げられた事を
    隠したりしているうちに帳尻が合わなくなったり。。

    シリアスなのにちょこっとコミカル、
    先が読めない展開で面白かったです。

    息子も(気持ち)変わり、逃避行した妻も結局
    自宅に戻り、家族を今一度考え直して一件落着。
    でもこの家族のことだから、これからも
    喧嘩満載でやっていくのだろうけれど。
    家族ゲームっぽいテイストだったけど、
    壊れたままで終わらなくて良かったです。

    一度荒野に触れることで、自分を見直せる
    という作品でした。

  •  2013年10月10日刊行。たまたまその日近くに、書店に新刊チェックに立ち寄って出会う。でも、さすがは桐野さん。予約して、4ヶ月待った。でも、桐野さんは大好きな作家さんの一人。どんなに待っても読みたかったのですよ。

     「IN」「女神記」「優しいおとな」と、最近読んだ桐野作品が、どうもしっくりこなくて、「うーん、私、桐野さんと合わなくなっちゃったのかな・・・」とがっかりしていた。
     けれど、これは面白かった。桐野さんらしい、息をつかせない展開で、久し振りにページをめくる手を止められなかった。村野ミロシリーズを彷彿とさせた。結末にあんまりひねりがなくて、ウーンこんなもんかな、と思いはしましたけれども。

     46歳の誕生日に、主婦の朋美は身勝手な夫と息子たちと決別し、突然車に乗って1200キロ、長崎の旅にでる。

     これは痛快!!と思っていた。女一人の気ままな一人旅と思っていた。

     いえ、とんでもない。朋美は、行く先々で、孤独にやられる。ビジネスホテルで、アウトレットモールで、チェーン店のカレー屋で。お茶も満足に沸かして飲めない朋美。たくさん人がいるのに、孤独を感じる朋美。
     周りにこんなに人がいるのに、私は一人なんだ・・・て感じた経験は、誰しもあるのではないだろうか。

     対照的に、孤独を自ら選んだ山岡老人。一生家族を持つことなく、一人で生きることを選んだ彼。
     また彼の元に戻って来たいと言う朋美に、山岡老人は「あなたはあなたの荒野を探しなさい」と告げる。

     そうか。捨ててみないと分からないことがある。

     自分にとって大切だと、後生大事にしてきたものを、思い切って捨ててみて、そして荒野に立つことで、見えてくるものがあるということか。
     
     これは、2014年上半期ベスト5に入れてもいいなと思う。朋美は家に帰ってほしくなかったけれども。

    • 猫丸(nyancomaru)さん
      「朋美は家に帰ってほしくなかったけれども。 」
      ふ~ん、、、(読んでいないのですが、「どうして?」と思ったので)
      「朋美は家に帰ってほしくなかったけれども。 」
      ふ~ん、、、(読んでいないのですが、「どうして?」と思ったので)
      2014/03/27
  • 一歩間違えると、これは自分かもしれない。そんかことを考えながら、平凡な主婦の突然の出奔をハラハラしなが読んだ。
    こんな風に行動できる人はほぼいないだろう。
    だから小説があるのだな。2019.5.2

  • 専業主婦の朋美が、家族で外食中にレストランを飛び出しそのまま車で家出をする。東京から長崎までの逃避行。朋美のことを行け行けゴーゴー!!と応援しながら読んだ。夫のゴルフバックを売り払うところなんてスカッとする。最後は丸く収まりすぎて物足りず。

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著者プロフィール

1951年金沢市生まれ。成蹊大学卒業。1993年『顔に降りかかる雨』で江戸川乱歩賞、1998年『OUT』で日本推理作家協会賞、1999年『柔らかな頬』で直木賞、2003年『グロテスク』で泉鏡花文学賞、2004年『残虐記』で柴田錬三郎賞、2005年『魂萌え!』で婦人公論文芸賞、2008年『東京島』で谷崎潤一郎賞、2009年『女神記』で紫式部文学賞、2010年『ナニカアル』で島清恋愛文学賞、2011年同作で読売文学賞を受賞。2015年、紫綬褒章を受章した。近著に』『奴隷小説』『抱く女』『バラカ』など。

「2016年 『猿の見る夢』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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